私にだけ冷たい旦那様がタイムリープしすぎて骨になった理由

ふゆ

11.たくさんの人に殺された理由(脚本)

私にだけ冷たい旦那様がタイムリープしすぎて骨になった理由

ふゆ

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〇華やかな裏庭
メイド「どうぞ」
メイド「すっ、すみません!」
アドリアン「気をつけるように」
アドリアン(イライラしてる場合じゃない)
アドリアン(これからどうするか考えるんだ)
アドリアン(イーダを国外に脱出させるか?)
アドリアン(・・・いや、『聖女』に、国境を越えさせるのは至難の業だ)
アドリアン(なんせ『国の宝』だからな)
アドリアン「くそっ」
  俺の意思で、彼女をこの世に留まらせた
  もう後にはひけない
  引くつもりもない

〇黒
  王家は、王家のためだけに、
  『聖女』を殺そうとしている
  人々のために生まれた聖女を
  だけど一番問題なのは
  全てを受け入れてしまう彼女自身だ

〇華やかな裏庭
アドリアン(修道院なら彼女を守ってくれる筈)

〇教会
  教会は独立した組織
  女神信仰は大陸中に広がっている
  一国の王と言えど、手出しできない

〇華やかな裏庭
アドリアン「しかし」
アドリアン(屋敷内に潜んでストーカーする奴だぞ)
アドリアン(素直に説得に応じるだろうか)
アドリアン「・・・・・・」
アドリアン(危険感より『俺との結婚嬉しい』が上回ってるんだよなあ──)
  『死』を間近で実感してもらえれば──
  応じる気になるかも

〇密林の中
アドリアン「ぐ・・・」
  ちくしょう
  イーダを殺した奴
  三人もいたのかよ
アドリアン(父上はこんな輩にイーダを引き渡したのか)
アドリアン「それにしても」
アドリアン「なんでお前が先に死んでるんだ?」
アドリアン「馬鹿・・・」
  大人しく守られててくれよ

〇黒

〇華やかな裏庭
騎士「お見事!」
アドリアン「いえ、さすがお強い」
アドリアン(こっちも人数を増やせばいいんじゃないか?)
アドリアン(騎士に力になってもらえないだろうか?)
騎士「さすがアドリアン様」
騎士「お父様も誇りに思われていることでしょう」
騎士(そろそろ昇進かな♪)
アドリアン「・・・・・・」
アドリアン(駄目だ、騎士は父の配下 頼れるわけがない)

〇ヨーロッパの街並み
用心棒「いいぜ。付き合ってやる」
用心棒「で、報酬は?」
用心棒「おほ、こんなに!?」
用心棒「任せときな!」

〇密林の中
アドリアン「や、やった。倒せた」
アドリアン「行くぞ。イーダ!」
アドリアン「え・・・?」
用心棒「すみませんね。旦那」
用心棒「聖女だって聞いちまった以上」
用心棒「もっと金になる方法、山ほどあるんで」
イーダ「アドリアン様!」
用心棒「あ、向かってくるから・・・ くそ、もったいねえ」
用心棒「ついてねえな。くそっ」
アドリアン「イーダ・・・」
アドリアン「・・・・・・」

〇黒

〇華やかな裏庭
アドリアン(くそ!)
アドリアン(何でもできるこの俺が)
アドリアン(できると、思ってたのに!)
アドリアン(俺には、信用に足る人を選別する力がない)
アドリアン(用心棒を雇うのは、無理だ)
騎士「おっと」
騎士「今のが避けられましたか」
騎士「さすがです」
アドリアン「えっ」
アドリアン「そりゃ、何回も見てれば分かりますよ」
アドリアン「あ、いや」
アドリアン(そうか)
アドリアン(いつも同じ動作をするなら)
アドリアン(覚えてしまえば・・・!)

〇密林の中
男「なんだこいつ、笑ってやがる」
男「やられすぎて狂ったか?」
アドリアン(覚えた。全部覚えたぞ・・・!)
アドリアン(次は、絶対いけるからな!)
  待ってろよ。イーダ

〇黒

〇密林の中
アドリアン(くっそお!)
アドリアン(あと一人なのに!)
アドリアン(どうしても、倒せない)
アドリアン(こいつ、強い)
野盗「この野郎が!よくも散々!」
野盗「くっそ、いってえな」
野盗「血かよ。これ、あーあ」
野盗「ああくそ!腹の虫がおさまらねえ!」
野盗「こい!」
イーダ「あ・・・!」
イーダ「やめ、やめてください!」
野盗「ち、ガリガリじゃねえか」
アドリアン「やめ」
アドリアン「やめろ」
アドリアン「やめろお!」

〇黒

〇華やかな裏庭
騎士(表情が、変わられた)
騎士「ぐ・・・!」
アドリアン(こいつも)
アドリアン(こいつも、 イーダを引き渡した奴の一人)
アドリアン(それなのに)
アドリアン(俺の味方みたいな顔をする)
騎士「い、いい打ち込みです!」

〇密林の中
野盗「うぐおほっ!」
野盗「く」
野盗「くっそぉ、こんなガキ、に・・・」
野盗「おがあぢゃん──」
アドリアン「や」
アドリアン(やった。やった・・・ついに!)
イーダ「ア、アドリアン様、大丈夫ですか?」
アドリアン「・・・!」
アドリアン(この手を、この時間に、無傷のまま、握る日が、来るなんて)
アドリアン「ぐうぅ・・・」
イーダ「・・・・・・」
アドリアン「・・・急ごう」
イーダ「ど、どこにです?」
アドリアン「修道院に──」
アドリアン「渡し」
アドリアン(渡す?)
アドリアン(本当に?)
アドリアン「もし、俺が」
アドリアン「──と言ったら」
イーダ「え?」
アドリアン「いや、なんでもない。行こう」
イーダ「あ」
アドリアン「ん?」
イーダ「あぶなっ──」

〇森の中
  ああ、そうだよな
  絶対かなわない敵って、言ってたもんな
アドリアン「イーダの死体を確認しに来た」
アドリアン「王宮の兵士か」
アドリアン「一人、なわけないよな。ははは」

〇黒

〇華やかな裏庭
騎士「え?」

〇空

〇上官の部屋
メランジェス伯「アドリアン・・・!?」
メランジェス伯「その血はなんだ・・・!怪我か?」
アドリアン「・・・──・・・──」
メランジェス伯「あ?何だ。聞こえんぞ?」
メランジェス伯「・・・・・・!」
アドリアン「今まで、あなたとの対決を避けてきた」
アドリアン「それが全ての原因だと、気付いたんです」
アドリアン「父上──・・・!」
アドリアン「覚悟!」
アドリアン「イーダ・・・?」
イーダ「駄目ですよお。アドリアン様」
イーダ「アドリアン様は、 完全無欠の王子様なんですから」
イーダ「そんなやり方、 お義父様に勝ったって言えますか?」
アドリアン「なんで」
アドリアン「なんで、お前が怒らないんだよ!」
アドリアン「死の間際に、全て思い出すと言ってたよな?」
アドリアン「思い出したんだろう? 今まで何をされてきたこと、全部!」
アドリアン「この男に!」
イーダ「・・・・・・」
イーダ「お義父さんだけがいなくなっても、 計画は止まりませんよ?」
アドリアン「・・・・・・」
イーダ「でも」
イーダ「私が、悔しいのは」
イーダ「全部の記憶を辿っても、あなたが、」
アドリアン「なんだ?」
イーダ「ふふ」
イーダ「でも、あの時は、捨て身で助けてくれましたね」
イーダ「アドリアン様、すっごい刺されてたけど」
イーダ「格好良かったあ❤️」
イーダ「アドリアン様、本当にお優しいです❤️」
イーダ「もう分かったでしょう」
イーダ「国にもお義父様にも絶対勝てないって❤️」
イーダ「ああ」
イーダ「この時が一番幸せ」
イーダ「浮気者で素っ気ないアドリアン様が」
イーダ「私のことだけ見ていてくれてる」
イーダ「まさに二人の新居ですね♪」
アドリアン「ああ」
アドリアン「分かってないのは、 お前の方だってことが分かった」
アドリアン「俺は優しくなんかない」
アドリアン「完璧でもない」
アドリアン「繰り返すたびに、俺もお前も壊れていく」
アドリアン「ここは墓場だ!」
アドリアン「これは永遠の死だ!」
アドリアン「積み重ならない時間なんて、 何の意味もない」
アドリアン「絶対にぶっ壊してやる」
アドリアン「お前から出たいって言わせてやる!」
イーダ「そんなこと」

〇黒
  ありえないんですよ
  ❤️
  つづく

次のエピソード:12.あなただけは選ばない理由

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