#2(仮)

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〇立ち飲み屋
  第3話
  
  これまでのお話──
  ひょんなことから
  「過去」にタイムリープしたものの、
  「今」に戻ってこれずにいるミッチ──
  彼女がいるのは
  「今」から
  24分前の過去なのであった──
マキマキ「岸本さん、 周りから「キャシャーン」さんって 呼ばれてますね」
キョウコ「私らにも、 そう呼ばせようとするの、キツイよな」
マキマキ「なんでキャシャーンなんですか?」
キョウコ「きしもとさん──」
キョウコ「きしもっさん──」
キョウコ「きっさん──」
キョウコ「きっしゃん──」
キョウコ「きゃしゃーん!」
マキマキ「ウザいです」
ミッチ「なんの話し?」
キョウコ「岸本さんですよ」
ミッチ「キャシャーンの話やったらええわ アホなるから」
ミッチ「大将! 「あの日の」お願いっ!」
  あいよっ!
  
  酎ハイレモン
ミッチ「今日の会議、 代理店のテカテカツーブロック、 はりきってたなぁ!」
キョウコ「ちょっと、キツかったですね〜」
ミッチ「あのテカロック、 誰かの発言の後、 8割がた──」
ミッチ「「なるほどですね〜、とは言え・・・」 って言いよんねん」
ミッチ「「とは言え」が、 だんだん 日本語に聞こえんくなったもんな」
「トワイエ!」
ミッチ「フランス語っぽいやろ 知らんけど」
ミッチ「「なるほどですね〜、 トワイエ、ターゲットの潜在的な 『夢』をですね──」
ミッチ「──クリエイティブの力で、なんとか!」」
キョウコ「中身ないっすね〜」
ミッチ「会議で 「クリエイティブの力!」とか言うやつ、 信用できんからな」
マキマキ「どうしてですか?」
ミッチ「具体的なアイデアや、 具体的な対策ではないからだよ」

〇小さい会議室
  予算に
  はまらないので、
  ここのCGパートは・・・
テカロック「なるほどですね〜」
テカロック「──とは言え、 そこは、クリエティブの力で!」
  スケジュールもですね、
  これだけキャストが多いと・・・
テカロック「なるほどですね〜」
テカロック「──とは言え、 そこは、クリエティブの力でなんとか!」

〇立ち飲み屋
マキマキ「地獄!」
マキマキ「そう言えば、 地獄チャーハン、 まだ来てないですね──」
マキマキ「ちょっと、オーダー見てきます」
テカロック「おっ! つ・か・れ・さま・ですぅ」
ミッチ「あ! おつかれっす! 本日、ありがとうございました!」
キョウコ「お世話になってます!」
テカロック「お二人、 この店知ってるなんて、 かなりイケてますよ〜」
ミッチ「そーなんですかぁ!」
ミッチ(名前、なんやったっけ?)
キョウコ「テ、テキトーですよ〜」
キョウコ(あぶねっ、 テカロックって言いそうなった!)
テカロック「──トワイエ今度、 知り合いがプロデュースした店、 行こうよ!」
(ウザっ!)
ミッチ「トワイエ、 クリエイティブな交友関係、 広いっすね〜!」
キョウコ(まずいっ! ミッチさん、悪い顔になってる!)
テカロック「クリエティブの力って、 みんな幸せにするじゃん?」
ミッチ(「トワイエ」って、言わんかった、コイツ)
ミッチ「トワイエ、 クリエイティビティで、 消費者インサイトに、 リーチっす!」
  地獄チャーハン、
  お待たせしました!
  
  小皿、ここに置いときますね〜
テカロック「あ、ごめん、 クライアントのところ戻んなきゃだ じゃ、引き続き、 よ・ろ・し・く・ですぅ」
マキマキ「テカロックさん、 来てたんですか?」
ミッチ「なんでわかんのっ!?」
マキマキ「めんどくさそうなの見えたんで〜」
キョウコ「マキマキ、 聞こえる聞こえる!」
ミッチ「次の会議で、 トワイエムーブが始まったら、 バシッ〜言うたんねんっ!!」

〇小さい会議室
テカロック「とは言え、 クリエティブの力で、 もっとブレイクスルーできないっすかね?」
ミッチ「・・・」
ミッチ「はっ!?」
ミッチ「──タイム・・・リープ?」
テカロック「タイムリープ・・・ なるほどですね〜」
テカロック「──とは言え、 クリエイティブディレクターのミッチさんの力で、 バズっとバズれると思うんです」
ミッチ(クリエイティブ・・・恥ずい!)
ミッチ「そう簡単におっしゃりますけれど!!! 現実的に──」
テカロック「なるほどですね〜」
テカロック「──とは言え、 バズっとバズれるバズコンテンツが欲しいんすよね〜」
ミッチ(人の話を最後まで聞かんやつ・・・)
テカロック「僕の言ってること、わかります?」
ミッチ(腹たつ)

〇立ち飲み屋
ミッチ「はっ!」
キョウコ「なにっ!?」
ミッチ「マキマキ?」
キョウコ「ねー、地獄チャーハン、遅いっすよね!」
ミッチ(また、時間巻き戻っとる)
キャシャーン「お!? 編集、終わったんか?」
ミッチ「あ! 岸本さん、おつかれっす!」
キャシャーン「キャシャーンって呼べって!」
キョウコ「岸本さん、おつかれっす!」
キャシャーン「キャシャーンだっつの!」
ミッチ(いったい何があったんや!? テカロックじゃなく、キャシャーンきた!)
キャシャーン「で編集うまくいったの? テカロックの後出し修正に、 イライラしてたじゃんよ?」
ミッチ「あっ!!」
ミッチ(いつも酔っ払ってるから気づかへんかったけど・・・)
ミッチ(今の世界・・・36分前の世界には、 36分前の「あたし」がいるんか!?)
ミッチ(36分前の「あたし」は、 今、まさに、編集中か!?)
ミッチ(・・・)
ミッチ(うち、めっちゃ働いてるやんっ!!)
キャシャーン「まー、 山越えたんだったら、良かったよ──」
キャシャーン「テカロックも、現場振り回しがちだけど、 それは仕事のスキルの問題で──」
キャシャーン「──ミッチのチームを信頼して、 声かけてくれてる、味方だってこと、 忘れんなよ」
キャシャーン「会社は違っても、 現場ではチームなんだかんな!」
ミッチ「それは──」
ミッチ「──わかってますよ・・・」
キョウコ「大丈夫っす! 仕事はきっちり やらせていただいてますから!」
キャシャーン「よしっ! じゃー、おごったろう!」
  ──三度目のタイムリープで
  さらに12分過去に来たミッチは、
  ホントの時間から36分前にいるのだが、
  ──ちょっとだけ反省モードなのであった
ミッチ「あれ、マキマキは?」
  ──つづく

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