Xヒーロー

語り部

第27話 自意思(脚本)

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〇入り組んだ路地裏
  2021年 大阪府 堺市 南区 とあるBAR裏
斎王幽羅「そうだな···俺とキングが出会った頃の話しよっか。俺が20の時神奈川に居た時に··· ··· ···」

〇古い洋館
  2015年 神奈川県 変化武器専用集合住宅 炉郷荘前
  その頃の俺は宛もなくふらついてた。一年前に婆ちゃんと父さんの戦い『グレーデイ』が起きて、あらゆる人間が
  俺を攻撃するようになった。一般人や異種族、警察すら俺をリンチにして毎日傷ばかり増える日々
  そんな生活を1年続けて俺は炉郷荘の前にいた。変化武器達だけが住むことを許された場所で
  変化武器達を作った男により今も特殊な結界が張ってるって聞いたから。だからその結界で
  あわよくば『死ねないかな』なんて思ってた。そうして俺は炉郷荘に入ったんだ
  まぁ結界も何も無かったよ。結界なんて誰かの嘘だったって訳だけど、それでも俺は行く場所もないし
  このままでいようとしてた、そんな時俺に駆け寄ってくれる奴がいた。
キング「随分派手にやられたな、しっかりしやがれ···!って軽っ!?お前何食って生活してんだ!!?」
  キングは一も二もなく俺を助けてくれた。治療してやるとまで言ってくれた
  でも俺はそれを拒否した。もうこれ以上生きたくないって、ほっといてくれって。そうしたらキングに殴られたよ
  キングは斎王を殴り飛ばした後、胸ぐらを掴み怒りの表情を見せ斎王に言い放つ
キング「何が生きたくないだ馬鹿野郎、てめぇ···誰に向かって言ってるのかわかってんのか?」
キング「俺達変化武器はお前と違って『生きたくても生きれない』んだよ!甘えてんじゃねえぞ!」
  しかし斎王はキングに頭突きをし、キングの体勢を崩し馬乗りになりながら言い放つ
斎王幽羅「うるさい!俺の事なんてわからない癖に、偉そうに喋るな!もう俺は俺自身を終わらせたいんだよ!」
斎王幽羅「生きらくても生きれない?知らねえよ!お前ら変化武器はいつまでも来もしない奴を待ってるからだろうが!」
斎王幽羅「自分で行動も起こさないでこんな所で腐ってるやつに説教されたくねえんだよ!」
キング「何もしてねえと思ってんのか?俺達は行動を起こしてる、世界各地に仲間を向かわせてる」
キング「それでも、手がかりすら掴めない。仲間も帰ってこない。俺達はただ目に見える最後を待つしかない」
キング「そんな俺達の前で···くだらねえ能書き垂れて『死にたい』だぁ!?喧嘩売ってんなら買うぞクソガキ」
斎王幽羅「あぁいいよ、買ってくれよ!左胸なんて狙い目だ、一昨日刺されたから傷が塞がってないしな!ほらこいよ!」
  そっからはひたすらに殴り合いだったなぁ~···キングは比較的傷が少ない場所ばっか狙ってたよ
  しかも殴り合いって普通殴って殴り返してじゃん?最初はそうだったんだけど途中から
  一発一発かわりばんこに殴るっていうよくわかんない状態になったんだよね。それでお互いがその場で倒れちゃってさ
斎王幽羅「はぁ···はぁ···おい、なんで顔ばっか狙う···?金的とか鳩尾とか狙えただろ···」
キング「うるせぇ···俺はな···てめぇみてぇなイケメン面が嫌いなんだよ。クソが···」
斎王幽羅「そうかよ···ふふっ···どこ行っても嫌われ者だな、俺って···」
キング「てめェなんでそんな傷だらけなんだ···?ヤクザにでも追われてんのか?」
斎王幽羅「知らないのか?俺は···グレーデイを引き起こした2人の能力者の子孫だ」
斎王幽羅「空は黒に覆われ雪と塵が降り注ぐ3日間。その雪に触れたものは『一瞬』で体温を奪われ低体温症で死に」
斎王幽羅「塵に触れた者はこれまた一瞬で塵と化して死ぬ。外には雪と塵が混ざりあった『灰色の何か』ばかりになった所から名ずけて」
斎王幽羅「『グレーデイ』。世界人口の4割がこの3日間で死んだんだ、俺はその遺族達に恨まれてる」
斎王幽羅「どこの国であろうとどんな種族であろうと俺を攻撃する、それくらい俺は恨まれてる。当然のことだろ?」
斎王幽羅「遺族は償いをさせたい、でも当事者は死んでるからじゃあ子孫である俺に償いをさせようって」
  当たり前のように話している斎王にキングは不思議そうに尋ねる
キング「は?そんなんお前関係ないだろ、グレーデイの能力者は死んだんだろ?じゃあそれで終わりじゃねえか」
キング「子孫のお前がそんな責任取ったり償いしたりする必要は無ェだろうが」
斎王幽羅「お前はそう思ってるかもしれないけど、他の人達は違う」
斎王幽羅「それにいいんだよもう···俺は母親も父親も失って頼る人もいない。いい加減死んで···」
斎王幽羅「『二人の所に行きたい』んだよ。もう···痛いのも独りなのも嫌だしさ···」
  キングはそんな斎王を見てながら起き上がり、手を差し伸べる。
  斎王はなんのつもりかと不思議に思いながらキングを見る、するとキングは喋り出す
キング「あんまよく分かんねえけどよ、とりあえず···メシ食うぞ。まだ何人か変化武器もいるから紹介してやるよ」
キング「とりあえずダチぐらいにはなってくれるだろうからよ、だからサッサと起きろよ」
キング「死ぬのはその後でいいだろ?」
  斎王はキングのその言葉を聞き、何かから解放されたように表情が柔らかいものに変わり
  キングの手を取り、炉郷荘へ向かった。

〇入り組んだ路地裏
  2021年 大阪府 堺市 南区 とあるBAR裏
斎王幽羅「そうして俺はキングと変化武器達と出会って考えが変わったんだ」
斎王幽羅「キング達は早い段階で大切な人を失った。それでも下を向かず、上を向いて歩いていた」
斎王幽羅「そんなキング達を見てさ、俺も···俺も『同じような生き方』ができるんじゃないかなって思えてきてさ」
斎王幽羅「それでXヒーローに行って、まぁ···何か流れで6代目マスターになったけど」
斎王幽羅「それで今までXヒーローがやってた『荒事』の依頼は全部拒否して、地域奉仕ばかりやってたら」
斎王幽羅「いつの間にか神奈川の人達に好かれていった。って訳で···まぁ!要するに」
斎王幽羅「俺は母さんや父さんを失って自暴自棄になってたけど、キング達と出会って考え方が変わった」
斎王幽羅「もし···フェードがミンさんを失って悲しみに包まれても『俺達』がいる。何かする前にまず」
斎王幽羅「『俺達を頼って欲しいな』」
  斎王に笑顔を向けられたフェードは『ありがとう』と残し、店内に入る
  フェードの重い足取りは変わらないが、それでも何か『鉛のような闇』から解き放たれたような様子であった
  そして遂に時は来た。キングが急いで現れ斎王に言い放つ
キング「斎王!ミンのおっさん達が来たぞ、急いで戻れ!」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第28話 二者択一

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