裸族探偵ネイキッドの誕生秘話

根本桃安(ねもとぴぁ)

第五話 ドロドロ疑心暗鬼(脚本)

裸族探偵ネイキッドの誕生秘話

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〇おしゃれな食堂
大原 満枝「いっちゃんに氷持ってくから 先に食べててね」
「⋯」
樋上 雄司「食う気になれねぇよ」
静永 春花「あ、あのぅ、夜だけど⋯」
静永 春花「皆で寝ちゃダメ⋯ですか? 応接間で⋯」
樋上 雄司「はぁ!?」
樋上 雄司「お、俺がついてるんじゃ ダメなのか?」
穂積 真緒 「いや、いい考えだと思うよ」
穂積 真緒 「こんな時は皆一緒にいた方がいい」
静永 春花「な、何の音!?」
穂積 真緒 「ママ達だよ、大丈夫」
服部 せつな「いや、丸聞こえなんだけど〜 うちの寮より床薄くない!?」
無名山 ホルヘ「本当に宿泊施設だったのか怪しいな」
ネイキッド・N・ヌーディック「作りはそのようですね」
ネイキッド・N・ヌーディック「浴室や洗面所が共用ですし、 2階には部屋番号がついていました」
ネイキッド・N・ヌーディック(しかし、ベッドに 落ちていた鍵は確か──)
ネイキッド・N・ヌーディック「無名山さん、部屋の鍵を 見せてもらえますか?」
無名山 ホルヘ「何か疑っているのか? 神に仕えるこの私を?」
ネイキッド・N・ヌーディック「そ、そういうわけでは⋯」
ネイキッド・N・ヌーディック(あとでイノ君に確認しよう)
穂積 真緒 「また氷落とした⋯」
穂積 真緒 「ちょっと見てくるよ ママが心配だ」
ネイキッド・N・ヌーディック「大丈夫ですよ イノ君がついてますから」
穂積 真緒 「⋯随分と信頼しているんだね? 助手君のこと」
穂積 真緒 「君が名前呼びするほどだもんな」
ネイキッド・N・ヌーディック「名前呼びはイノ君の希望で──」
穂積 真緒 「君が『デバ君』以外を名前で 呼ぶのを初めて聞いたよ」
穂積 真緒 「デバ君とは生まれたときから 一緒だったんだろ?」
ネイキッド・N・ヌーディック「ええ、彼は長生きですから、 いつから飼われていたかは不明ですが、」
ネイキッド・N・ヌーディック「物心ついたときから ずっと私を支えてくれた」
ネイキッド・N・ヌーディック「かけがいのない友であり、 大切な家族です」
穂積 真緒 「⋯だよね」
ネイキッド・N・ヌーディック「デバ君がどうしたんですか?」
ネイキッド・N・ヌーディック「⋯なんか怒ってますか? 穂積さん?」
穂積 真緒「別に」
穂積 真緒(他人の心はすぐ読み取れるくせに、)
穂積 真緒(それが自分に向けられると 途端に鈍感になるのは何故なんだ?)
穂積 真緒「し⋯強いて言うなら、 私や、皆だって君とは──」
角下 イノ「戻ったッス」
ネイキッド・N・ヌーディック「おかえりなさい 変わったことはなかったですか?」
大原 満枝「おやおや」
大原 満枝「そりゃ食べられないわよね、 あんなことがあった後だもの⋯」
大原 満枝「冷蔵庫に入れておくから、 お風呂にしましょう?」
ネイキッド・N・ヌーディック「見張っていますので 皆さんお先にどうぞ」
角下 イノ「僕も後で行きます!」
大原 満枝「イノちゃんの分は出しとくかい?」
角下 イノ「夜は食べない派なんで⋯」
大原 満枝「あらあら、ちゃんと食べなきゃ~」
穂積 真緒 「じゃ、悪いけど 先にお風呂いただくね」

〇浴場
  女湯
服部 せつな「なに震えてんの!? おしっこぢゃないよね!?」
静永 春花「ち、違うよぉ⋯!」
静永 春花「せつなちゃんは怖くないの!? 犯人がまだ島にいるかも知れないんだよ!?」
服部 せつな「まさか、あの脅迫状にビビってんの?」
服部 せつな「あんなん、ジェラッた犯人の 嫌がらせに決まってんぢゃん!」
服部 せつな「ったく、エセ探偵がでしゃばるから 話が拗れるのよ!」
服部 せつな「本職の刑事に任せときゃいいのに」
穂積 真緒「交番勤務の警官だよ、 しかもペーペー」
穂積 真緒「ネイキッドがいてくれて心強いよ」
服部 せつな「頼りになるって? 義務教育も受けてないヤツが?」
大原 満枝「探偵ちゃんは、 学校に行く必要がなかったのよ」
大原 満枝「5歳時点で高卒レベルの問題を 難なく解いていたからね」
服部 せつな「は!? 何そのチート」
穂積 真緒「お母さんが優秀な方だったんだっけ?」
大原 満枝「ええ、彼女の名前は──」

〇SHIBUYA SKY
  シシー・N・ネイキッド
  米国の名門大学の経済学部を
  18歳で卒業。
  コスメ、健康食品、ホテル事業等で、
  一財を成した若手実業家。
  23歳で突如来日、美容事業及び
  eラーニング事業に専念する。
  他を寄せつけぬ手腕と
  月さえ霞むその美貌から、
  『ビジネス界のアルテミス』と
  称えられ、一躍時の人となる。
  しかし、エンパイア・ステート・
  ビル級に高いプライドと
  他人を信用しない気難しい性格から、
  享年30歳まで恋人はおろか
  友人の影もなかったという──

〇浴場
大原 満枝「あの子の存在も、 事件後に明らかになったの」
大原 満枝「箝口令が敷かれたから、 未だ公にはなっていないけれどね⋯」
服部 せつな「あいつ、隠し子だった⋯ってこと?」
静永 春花「は、箱入り息子だったのかもよ?」
静永 春花「赤ちゃんの頃から 美形だっただろうし⋯」
穂積 真緒「生まれてから5年も 存在を隠し通せるものなのか?」
穂積 真緒(そして今の話で思い出した)
穂積 真緒(13年前の事件の参考人に 行方不明の研究者がいたはずだ)
穂積 真緒(その人も海外の大学を飛び級で 卒業していたような⋯)
穂積 真緒(帰ったら確かめてみるか)

〇サウナの脱衣所
  男湯 更衣室
樋上 雄司「ネイキッドの言うことをどう思う?」
無名山 ホルヘ「『この島に殺人鬼が潜んでいるか』 という問いなら、」
無名山 ホルヘ「答えは『ノー』です」
無名山 ホルヘ「一輝が殺されたのは自業自得、 脅迫状はネイキッドの自作自演でしょう」
樋上 雄司「自作自演だと!? なんの目的で脅迫状なんて──」
無名山 ホルヘ「孤独を拗らせた子供は 皆の興味を惹こうとホラを吹く」
無名山 ホルヘ「それと同じこと──」
無名山 ホルヘ「人との関わりを避け続けた 哀れな引きこもりの末路なのだ」
樋上 雄司「神父様がえらく辛辣じゃねぇか」
無名山 ホルヘ「主からの試練に向き合わぬ者に かける慈悲などありませんよ」

〇おしゃれな廊下
ネイキッド・N・ヌーディック「⋯クシュンッ」
角下 イノ「ブレス・ユー!」
角下 イノ「すんません、 上の窓まで確認してなくて⋯」
ネイキッド・N・ヌーディック「大丈夫ですよ、 全部屋閉まってました」
ネイキッド・N・ヌーディック「ところでイノ君⋯それは?」
角下 イノ「食堂から持ってきた 『火の用心』ッス!」
角下 イノ「寝てる間はこっちに置いときましょう」
角下 イノ「テラスの薪も中に入れといたッス👍️」
ネイキッド・N・ヌーディック「⋯警戒すべきは外だけでしょうか?」
角下 イノ「え?」
ネイキッド・N・ヌーディック「佐江川さんの手首足首に 拘束した痕がありました」
ネイキッド・N・ヌーディック「恐らくガムテープで、 口も塞がれていたようです」
角下 イノ「気づかなかったッス」
角下 イノ「──とすると犯人は、 かなり用心深いッスね」
角下 イノ「寝ている相手を縛り、 テープも回収していくなんて⋯」
ネイキッド・N・ヌーディック「『寝ているところを刺された』」
ネイキッド・N・ヌーディック「そう思わせたくて、 剥がしていったのかも──」
角下 イノ「いやいや、起きている間に 殺されたって言うんスか!?」
角下 イノ「部屋に不審者いたら、 叫ぶなり逃げるなりするっしょ?」
角下 イノ「まして無抵抗で縛られるなんて、 いくら酔ってたからって──」
ネイキッド・N・ヌーディック「佐江川さんが、 自ら縛られたとしたら?」
ネイキッド・N・ヌーディック「例えば余興の練習などで──」
角下 イノ「ま、待ってください!」
角下 イノ「まさか⋯ 内部犯を疑ってるんスか?」
ネイキッド・N・ヌーディック「⋯」
角下 イノ「あ、ありえないッスよ!」
角下 イノ「僕ら、着の身着のまま上陸して、 凶器も着替えもないのに──」
ネイキッド・N・ヌーディック「ここは無人島」
ネイキッド・N・ヌーディック「予め凶器を持ち込むことも できたでしょう」
ネイキッド・N・ヌーディック「返り血の問題なら、」
ネイキッド・N・ヌーディック「タオルケット越しに刺し、 ペットボトルの水でゆすげばいい」
角下 イノ「そんな⋯いや、でも⋯」
角下 イノ「じ⋯じゃ、あの脅迫状は!?」
角下 イノ「あれは施設メンじゃなく、 13年前の犯人の仕業なんスよね!?」
ネイキッド・N・ヌーディック「それは──」
「出たから入ってきなよ」
「あ、はーい⋯」
角下 イノ 「え???」
  誰──!?
大原 満枝「こら、せっちゃん! なんて格好でいるの!」
服部 せつな「これがあーしの 湯上がりスタイルなの!」
角下 イノ 「あ、服部さんか!」
  化粧とると『別人』ッスね~!
服部 せつな「や、髪色と声で分かれし」
ネイキッド・N・ヌーディック「スッピンもナイス・ナチュラルですよ!」
服部 せつな「ふん!『別人』上等!」
服部 せつな「装いの数だけ 新しい自分に出会える──」
服部 せつな「それがファッションの醍醐味よ!!!」
ネイキッド・N・ヌーディック(化粧⋯別人⋯)
  装いを⋯
  
   重ねる──?
  『着膨れた道化師』は
  
  もしかすると⋯

次のエピソード:第六話 そして…

コメント

  • 着ぶくれてるっぽい人……?
    といったら……
    いやいや。名前を出すのはまだ早計ですね。
    ママはミステリアスですね。恋人の影もないのに、どんないきさつで……?気になります。

  • ネイキッドの母親のことが気になります!!かなりやり手の色々と伝説を持ってそうです!!😂

    脳内補完で温泉シーン楽しめました✨🥰
    いいですね✨温泉✨🥰

    謎が謎を呼び、今のところ犯人が誰かなどもわかりませんが、今後の展開も楽しみにしてます!!✨😊
    色々と考えながら読むの楽しいですね✨😆

  • ここまで一気読みしました。
    船の沈没やら殺人やらで、探偵がヌーディストであることを忘れてしまいそうですねw

    過去の事件との因果関係は?
    そして着膨れた道化師とは何を意味するか?
    続きを裸で待機します。

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