キズナ石Panic! 求婚神狐と巫女JKの秘密

羽遊ゆん

14 邪魔者とご法度(脚本)

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羽遊ゆん

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〇女の子の二人部屋
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ、青柳くんからだ~!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「もしもし青柳くん?」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「久遠さん! 一番に知らせたいことがあって!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「え? なになに? どうしたの?」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「実はさ、俺、妖怪退治に使えそうな装置をずっと考えてて」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「それが今朝、完成したんだ!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「え~♪ そうなの? どういう装置?」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「あ、直接見てもらった方がわかりやすいかも」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そっか、じゃあ‥私も報告したいことがあるから家に来ない?」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「いいの!?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うん♪ すぐ、地図送るね~!」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「じゃあ、またあとで!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁‥さっきからクッションをボカスカ殴ってるけど‥‥やめてぇ~」
玲仁(れいじ)・神狐「・・・」
久遠 陽菜(くおん ひな)「青柳くんが家に来るって」
玲仁(れいじ)・神狐「‥ふーん」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ねえ玲仁、私『天郷』で玲仁と緋紗の話を聞いたよ?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「春菜が、玲仁は緋紗を元に戻したいんじゃないかって言ってた」
玲仁(れいじ)・神狐「ああ、その通りじゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁の口から教えてよ。玲仁と緋紗のこと」
玲仁(れいじ)・神狐「そうだな‥陽菜には話しておこう」

〇村の広場
  我と緋紗は
  
  幼いときからの親友であった
緋紗(ひさ)「あははは! こっちじゃ玲仁!」
玲仁(れいじ)「あれ? 緋紗‥どこに?」
玲仁(れいじ)「うぎゃ!」
緋紗(ひさ)「玲仁~‥隙だらけじゃ!」
玲仁(れいじ)「ぐぬぬ‥緋紗! 今度はあの丘まで競争じゃ~!」
緋紗(ひさ)「のぞむところ!」
緋紗(ひさ)「待て待て~♪」
  なにをするにも一緒で
  
  共に切磋琢磨する仲だった
  我らは成長しても
  
  同じ道を志していた
緋紗(ひさ)「社(やしろ)の管理者にふさわしいのは、わらわしかおらぬ」
  緋紗は、向上心の塊だった
緋紗(ひさ)「しかし、玲仁‥おぬしはわらわの上を目指せよ?」
緋紗(ひさ)「おぬしに負けるのは、なぁんとも思わぬ」
緋紗(ひさ)「もし、わらわが負けても、おぬしに勝とうと、上を目指せる」
緋紗(ひさ)「しいては、今よりもっと強くなれるということじゃ!」
  我は、緋紗と競い合うのが
  
  ただ‥楽しかっただけ
  必ずしも、社の管理者に
  
  なりたいわけではなかった
緋紗(ひさ)「のお玲仁、わらわは‥上に立つものは」
緋紗(ひさ)「すべてのものに平等であるべき、と思っておる」
緋紗(ひさ)「わらわを頼って助けを乞うものがいれば」
緋紗(ひさ)「どんなものにも、救いの手を差し伸べるのが当然じゃろ?」
  客観的にも、社の管理者には
  
  緋紗が適任、と思っていた
  そして
  
  忘れもしない
  
  あの日
  社の管理者候補たちが集う
  
  選定試験の日
  最後のふたりに
  
  我と緋紗が残った

〇荒野
緋紗(ひさ)「玲仁、全力で来い! 手を抜いたら許さぬ!」
玲仁(れいじ)「手など抜くものか! ゆくぞ! 緋紗!」
玲仁(れいじ)「‥さすが、緋紗。我の負けじゃ」
緋紗(ひさ)「玲仁の全力、しかと受け止めたぞ」
玲仁(れいじ)「やはり緋紗が社の管理者にふさわしい」
緋紗(ひさ)「そうか?」
  ── 告 ──
  先般の試験は『玲仁』を勝利とする
緋紗(ひさ)「‥な!」
  緋紗は、長が定めた掟を守らなかったため、敗者とする
玲仁(れいじ)「緋紗が勝利したのは、一目瞭然であろう!」
  これは、決定事項である
玲仁(れいじ)「異議を申し立てる!」
緋紗(ひさ)「玲仁‥よい。長にはわらわが直接話に行く」
玲仁(れいじ)「‥緋紗」

〇女の子の二人部屋
玲仁(れいじ)・神狐「結果に納得のいかぬ我をなだめ、緋紗は単身で話をしに行った」
玲仁(れいじ)・神狐「しばらくして、我が呼ばれ、長の元へ着いたときには」
玲仁(れいじ)・神狐「緋紗は、すでに『邪念骨』という妖怪と契約をしてしまっていた」
久遠 陽菜(くおん ひな)「『邪念骨』、春菜から聞いたよ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あらゆる邪の思念が塊となって意思を持ったもの‥だよね?」
玲仁(れいじ)・神狐「そうじゃ」
玲仁(れいじ)・神狐「緋紗は、平静を装っていたが、試験結果が覆った理由については」
玲仁(れいじ)・神狐「相当、心を痛めていたと思う」
玲仁(れいじ)・神狐「心が弱った、その隙を『邪念骨』に狙われたのじゃ」
玲仁(れいじ)・神狐「正常な状態で、緋紗が『邪念骨』と契約なんぞするはずがない」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ねえ! 緋紗が敗者になった理由ってなんだったの?」
玲仁(れいじ)・神狐「それは‥」
玲仁(れいじ)・神狐「緋紗が女人の姿をしていたからじゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「え?」
玲仁(れいじ)・神狐「性別の変更はご法度なのじゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ん? どゆこと?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「緋紗って、女性‥だよね?」
玲仁(れいじ)・神狐「‥男性じゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「えええええ~~~~!?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「だ!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ど!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「で!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「えっとえっと!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あんなにキレイで!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あんな立派な、おっ××持ってるのに?」
玲仁(れいじ)・神狐「す、姿は変幻自在じゃからの‥」
玲仁(れいじ)・神狐「緋紗は‥幼少から女人の姿をしておった」
玲仁(れいじ)・神狐「『一番自分でいられる姿』だと言ってな」
玲仁(れいじ)・神狐「我も周囲のものも、緋紗の姿に慣れておったし」
玲仁(れいじ)・神狐「女人の姿について物申すものはいなかった」
玲仁(れいじ)・神狐「長たち以外、は」
久遠 陽菜(くおん ひな)「長たち?」
玲仁(れいじ)・神狐「天上に住む、最高権威神じゃ」
玲仁(れいじ)・神狐「頑固者が多くての、話の分かる長もいるが少数で‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「なるほど‥長が絶対って感じなんだね」
玲仁(れいじ)・神狐「‥そうじゃな」
久遠 陽菜(くおん ひな)「でもさ、私、緋紗のこと見直した!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「てか、全然知らなかったんだけど」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁の話を聞いて、元の緋紗に戻してあげたいって思った!」
玲仁(れいじ)・神狐「ま、まことか!?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「すっごくいい神様になりそう♪」
玲仁(れいじ)・神狐「緋紗の良さ、分かってくれるか!?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うん♪ 一緒に緋紗と佐恵を元に戻そう!」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜‥我は今、猛烈に感動しておる」
玲仁(れいじ)・神狐「本当に‥陽菜に出会えて、良かった」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ! 青柳くんが着いたみたい~」
玲仁(れいじ)・神狐「・・・」

〇黒

〇おしゃれなリビングダイニング
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「見てよ、コレ!」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「コレは、害獣避けの超音波スピーカーを改造した装置なんだ」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「俺‥妖怪って、動物寄りなんじゃないかって考えてて」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「動物が嫌がる超音波は、妖怪も嫌なんじゃないかって思ったんだ」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「いろんな周波数の超音波が出せるから、調整は可能」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「上手くいけば、攻撃を鈍らせることができそうじゃない?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うん! なんだか上手くいきそう!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「青柳くん、ありがとう」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「‥いやぁ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「じゃあ、今度は私ね♪」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ジャジャーン!」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「え!? これって、剣?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そう、これは『翠霊斬』。緋紗に立ち向かうことができる剣なの」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「へえ~‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「でね! 剣に認めてもらうために『天郷』っていう場所に行ってきたんだ~」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そこでね──」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「‥なんだか、短期間でいろんなことがあったんだね」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うん♪ 『翠霊斬』がいろいろ教えてくれるの」
久遠 陽菜(くおん ひな)「もう前みたいに呪文を唱えなくても、一瞬で術が使えるし」
久遠 陽菜(くおん ひな)「覚醒したら、自信がついたみたい」
久遠 陽菜(くおん ひな)「きっと次こそ、ぜ~んぶ元に戻せるはず!」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「そっか、良かった!」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「けどちょっと‥こっちの装置で心配事が‥」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「玲仁様なんだけど」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「玲仁様、狐の神様だろ? うっかり超音波に反応しちゃわないかなって‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ああ~‥どうかなぁ」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「そういえば、今日玲仁様は?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「二階にいるんだけど‥降りてこないね」
久遠 陽菜(くおん ひな)「すねてるの‥かな?」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「すねてる? なんで?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ、あ~‥玲仁、呼んでくるね!」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「れ、玲仁様、どうしたの? なにか怒ってる?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ち、ちょっと玲仁ってば!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「青柳くんが確かめたいことがあるんだって!」
玲仁(れいじ)・神狐「確かめたいこと?」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「この装置の超音波を聞いて、不快な音を教えてほしいんです」
玲仁(れいじ)・神狐「‥ああ」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「あ、えっとじゃあ‥超音波出しますね」
玲仁(れいじ)・神狐「む‥」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「あ! 嫌な音が聞こえました?」
玲仁(れいじ)・神狐「‥少しな」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「よし! 周波数、把握した!」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「玲仁様、今の嫌な音だけ聞こえないようにすることはできますか?」
玲仁(れいじ)・神狐「ふん‥造作ない」
青柳 当麻(あおやぎ とうま)「あー! 良かった! これで安心して使える!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「もう玲仁! こっち来て!」
玲仁(れいじ)・神狐「なんじゃ~陽菜」
久遠 陽菜(くおん ひな)「青柳くんは私たちのために」
久遠 陽菜(くおん ひな)「妖怪退治の装置を考えてきてくれたんだよ?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そんな態度取ってちゃダメじゃん」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁は、こっちでテレビでも見といて!」
玲仁(れいじ)・神狐「‥むぅ」

〇商店街
レポーターまいまい「コスプレ姿でレポートする『コスプレポーター』まいまいです♪」
レポーターまいまい「ちょ~っと露出多めでお送りします♪」
レポーターまいまい「今日は、こちら! 『御稲荷商店街』で~す♪」
レポーターまいまい「いろんなお店があり──」
レポーターまいまい「んん!? なんでしょう、今の悲鳴は‥」
レポーターまいまい「なになに? どうし──」
レポーターまいまい「たくさんの人がこちらに走ってきます!」
レポーターまいまい「‥動物、でしょうか? なにかが凄い勢いでこちらに‥!」

〇おしゃれなリビングダイニング
玲仁(れいじ)・神狐「この場所は‥」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜! これを見よ!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ん? どうかした? テレビ?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ここ‥近所の商店街じゃん!」

次のエピソード:15 決戦と決断

コメント

  • やっと読みに来れたのですが、面白いですー✨😆
    玲二様可愛いですね✨😍クッションに八つ当たり微笑ましいです✨☺️
    今後どうなるのか楽しみです!また続けて読ませていただきます✨😆

  • すごーくいい所で邪魔をされる玲仁様の拗ね方が人間みたいでリアリティありますね☺️
    佐恵ちゃんが妬んでいたこと、緋紗がまさかの男性だったこと陽菜ちゃんでなくてもビックリすることばかりでした!
    力も手に入れてどの様な戦いになるのか次回も楽しみにしています!

  • クッションに八つ当たりする玲仁さま……カワイイ🤣
    ここにきての緋紗さんの正体が……女装…もとい、男の娘……いや、驚きです😂
    テレビに映るラスト、動物ではなく根菜の群れが見えたような気が、、、キモキモを超える濃ゆさの予感が、、、次回も楽しみです✨

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