第四話 ドキハラ殺害現場(脚本)
〇可愛らしいホテルの一室
樋上 雄司「う⋯嘘だろ?」
樋上 雄司「趣味の悪い冗談はよせよ、 なぁ、おい、」
起きろよ、一輝──ッ!!
角下 イノ「ネイキッさん⋯これは⋯」
角下 イノ「⋯ネイキッさん?」
死ん⋯だ?
佐江川さんが──?
〇アパートの中庭
いつき「はっ!?」
いつき「なんでお前、マッパなの?」
出会ったときから無遠慮で、
いつき「ワイルドかよ! ギャハッ!」
まお「からかうの、やめなよ!」
まお「は⋯裸だって、 し⋯自然体でいいじゃない!」
いつき「だな! ナイス・ナチュラル👍️」
分け隔てなく、私と接してくれた
佐江川さん──
いつき「え? また里親候補ぉ?」
いつき「オレの心にゃ、もう 父さんと母さんがいるんだってば!」
いつき「友達ならウェルカムでっせ!」
愛に恵まれ、
愛をふりまいてきた佐江川さん
佐江川 一輝「両親が恋しくないかって?」
佐江川 一輝「そりゃ、たまにゃ会いたいよ? でもさ──」
佐江川 一輝「オレ、両親が駆け落ちした直後に 生まれてンだよね⋯」
佐江川 一輝「や~っとあっちで二人だけの時間 楽しんでるんだからさ?」
佐江川 一輝「お邪魔虫はゆっくり行くわ!」
いつだって眩しく暖かい、
太陽みたいな佐江川さんが──
〇黒
も う 、 い な い
私 の せ い で ・・・
〇可愛らしいホテルの一室
「ネイキッさんってば!」
角下 イノ「いちいちフリーズしないでください!」
角下 イノ「『ヤツ』を野放しにするんスか!?」
ネイキッド・N・ヌーディック(悲しみに暮れても、 彼はもう戻らない⋯)
ネイキッド・N・ヌーディック(ヤツを止めなくては──)
ネイキッド・N・ヌーディック「イノ君、皆を集めて」
ネイキッド・N・ヌーディック「各部屋の施錠確認もお願いします」
角下 イノ「りょ!」
角下 イノ 「下には樋上さんが行ったんで、 戸締まり確認してくるッス!」
ネイキッド・N・ヌーディック(遺体の状況は──)
頸動脈を左右とも切られ、
左胸と背中にも刺し傷がある
おびただしい出血量だ
ネイキッド・N・ヌーディック(首と左胸は急所⋯ 即死だったでしょう)
ネイキッド・N・ヌーディック(他に損傷は──)
唇が捲れ、血が滲んでいる
ネイキッド・N・ヌーディック(彼に限って、乾燥による 荒れではなさそうですね)
ネイキッド・N・ヌーディック(恐らく⋯)
手首足首にうっすらと拘束痕がある
ネイキッド・N・ヌーディック(やはり⋯幅的にも ガムテープを使ったのでしょう)
ネイキッド・N・ヌーディック(現場の状況は──)
ベッドとサイドテーブルだけの
簡素な部屋である
隠れられるような場所はない
ベッドの上には──
ベッドの下には──
窓とカーテンは閉まっているが、
窓の鍵は開いている
ネイキッド・N・ヌーディック(上下開きの窓⋯)
ネイキッド・N・ヌーディック(ここから逃げたとして、わざわざ 閉めていくだろうか⋯?)
〇暗い廊下
〇可愛らしいホテルの一室
穂積 真緒 「何があったって!?」
無名山 ホルヘ「おぉ、神よ⋯」
大原 満枝「嘘でしょう? いっちゃん──」
穂積 真緒「入らないで!」
穂積 真緒 「私が調べる」
穂積 真緒 「何も動かしていないね?」
ネイキッド・N・ヌーディック「えぇ⋯」
穂積 真緒 「胸の傷が背中まで── 惨すぎる⋯」
穂積 真緒「侵入経路は窓か? 庇をつたえば可能だろう」
穂積 真緒 「凶器は持ち去ったか」
穂積 真緒 「これは⋯ダイイング・メッセージ?」
穂積 真緒 「防火スローガン⋯ 消防士の仕業とでも言うのか?」
角下 イノ「そんな安直なメッセージ 残すかな~?」
服部 せつな「火の用心⋯ ひに、ようじん⋯?」
服部 せつな「分かった! 名前が『ひ』で始まるヤツが犯人だ!」
樋上 雄司「ざけんなよ!」
樋上 雄司「火みてぇに赤い髪のことだろ!?」
無名山 ホルヘ「『火遊び』に対する警告では?」
無名山 ホルヘ「愛を無責任にばら撒くから、 恨まれるのだ」
「あ⋯あり得る⋯」
大原 満枝「じゃ、あの救命衣も犯人が⋯」
樋上 雄司「いや、あれは偶然だろ? 自由席だったんだぜ?」
ネイキッド・N・ヌーディック「彼を知る者なら、」
ネイキッド・N・ヌーディック「彼が『フォトジェニック』な 船頭に座ると予想できたでしょう」
角下 イノ「やはりSNS経由で情報を──!」
角下 イノ「パーティーの日時だけでなく 船のことまで筒抜けだったとは⋯」
服部 せつな「ネットストーカーの怨恨とか、 ウチら巻き込まれ損ぢゃん」
服部 せつな「待って? 外部犯てコトはさ──」
服部 せつな「そいつの船をパクって帰れるぢゃーん!」
穂積 真緒「とっくに島を出てるでしょ」
ネイキッド・N・ヌーディック「休憩中の皆さんの行動を 教えてください」
無名山 ホルヘ「まだ探偵ごっこを続ける気か?」
ネイキッド・N・ヌーディック「犯人はまだ──」
ネイキッド・N・ヌーディック「この島にいるかもしれません」
「な、なんだって──ェ!?」
角下 イノ 「実は、先日ネイキッさん宛に これが届いたんス」
ネイキッド・N・ヌーディック「匿名でしたが、 私が思うに差出人は──」
かくかく──
しかじか──
樋上 雄司「なんで黙ってたんだよ!」
樋上 雄司「──と言いたいとこだが⋯」
穂積 真緒「お母さんを殺した犯人⋯? 容疑者は不明じゃなかった?」
穂積 真緒「しかも13年間で接点らしきものは、 10冊の小説と脅迫状のみって⋯」
ネイキッド・N・ヌーディック「悪戯の可能性もありますが、 命に関わることなので──」
穂積 真緒「ま、用心に越したことはないか」
穂積 真緒「私、一輝が部屋に戻るのを見たよ」
〇暗い廊下
ネイキッドが降りた2〜3分後かな?
コンタクト外しに洗面所に
行ったとき、廊下で見た
歩行はしっかりしていたよ
〇可愛らしいホテルの一室
無名山 ホルヘ「彼が鼻唄まじりに部屋に入ったのを 私も聞いた」
〇教会の中
無名山 ホルヘ「私はその後 チャペルで一時間ほど祈ったが、」
無名山 ホルヘ「不審者は見なかった」
無名山 ホルヘ「全裸男はうろついていたがね」
〇可愛らしいホテルの一室
角下 イノ「チャペルに行く前は部屋で何を?」
無名山 ホルヘ「聖書を手入れし 身嗜みを整えていたよ」
無名山 ホルヘ「戻ってからはシエスタだ」
大原 満枝「私は皆が静かになってから 下に戻ったよ」
〇広い厨房
大原 満枝「お昼の片付けと 夜の下ごしらえをしに、ね」
大原 満枝「16時半から17時くらいまで だったかしら⋯」
〇可愛らしいホテルの一室
ネイキッド・N・ヌーディック「キッチン⋯ちょうど真下ですね」
大原 満枝「え、ええ⋯ でも何も聞かなかったわ」
大原 満枝「それから部屋に戻って、 小一時間ほど眠ったわ」
樋上 雄司「俺はアイツの隣部屋だったが、 即寝たから何も気づけなかった」
「同じく速攻爆睡⋯」
大原 満枝「ヘトヘトに疲れてたんだ、 しょうがないよ」
穂積 真緒「18時半くらいからポツポツ 起き出して、19時頃下に降りたね」
穂積 真緒「あ、あと⋯」
穂積 真緒「顎間接の硬直が始まってるから、 死後1~2時間は経ってるかも⋯」
ネイキッド・N・ヌーディック「なるほど──」
ネイキッド・N・ヌーディック「全員寝ていた時間もあり、 アリバイの証明は難しそうですね」
穂積 真緒「そもそも正確な時刻が 分からないからね」
穂積 真緒「とりあえず下に降りようか」
無名山 ホルヘ「その前に、セニョールの 安寧を祈りましょう」
〇幻想空間
〇暗い廊下
大原 満枝「⋯ねぇ」
大原 満枝「いっちゃん、 冷凍室に連れていけない?」
服部 せつな「食品と一緒に入れんの!?」
大原 満枝「だって⋯」
大原 満枝「このまま置いていくなんて、 あんまりよッ!」
大原 満枝「あんなにキラキラしていた子が⋯」
大原 満枝「このまま、ただただ 朽ちていくだなんて⋯」
大原 満枝「うぅっ⋯」
穂積 真緒 「冷房をフルにして 後で氷を持ってこよう」
ネイキッド・N・ヌーディック「⋯この合鍵、ずっと樋上さんが 持っていましたか?」
樋上 雄司「いや、ここに来てから 春花が管理していたが⋯」
樋上 雄司「それがなんだ?」
ネイキッド・N・ヌーディック「⋯いえ、」
ネイキッド・N・ヌーディック「念のため、ここも⋯ 鍵をかけておきますね」
ごめんなさい⋯
さぁさぁ 幕は上がり
まずは一人目が 退場──
お次の スポットライトは
誰に 当たるやら──
乞 う 御 期 待 🎶
そ……そんな被害者エピソードの後出しがあるなんて😭😭😭ショタ時代を出されると思い入れが増しちゃうタイプです……!おーん
ミステリー要素が深まってきて、気になりますね!
ネイキッさんが強烈で忘れがちだけど……これ、ミステリーだったー!シリアス展開の中浮かび上がる裸に一瞬戸惑ったものの、すぐに物語に引き込まれました。続きも楽しみにしております✨️
密室殺人が始まり誰が犯人かと予測するのがワクワクしますが、一輝君の死が辛い😢子供の頃は皆良い子(ネイキっさんは裸ではありますが笑)だったのに誰かが何か歪んだんだろうな…続き気になります。
大原さんが死体を冷凍庫に入れれないかと提案するの大好きです。自分も食べる食材が入ってるのに…。凄く故人を尊重してるよう感じました。(とか言ってこれもトリックかもしれない😆)