バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

桜海(おうみ)とあ

第2話 「リアリナ様。抱きつかれたら、その…」(脚本)

バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

桜海(おうみ)とあ

今すぐ読む

バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒
  episode 02

〇時計
リアリナ・シャルルド・グレイ「どうしよう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「スローライフが目前なのに、死亡エンドを回避しないと、先に進めないじゃない!」

〇不気味
リアリナ・シャルルド・グレイ「おかしいわ・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「晩餐会前にリアリナが死ぬイベントなんてあったかしら?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あり得ないわ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「だって、死んだら誰がヒロインを虐めるというの!?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「!! もしかして、バグ、バグなの? ちょっと! 早く直してよ運営さん!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「バグのせいで悪役令嬢、死にましたけど!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「しかもループするとか確実にバグってるでしょ!」

〇華やかな裏庭
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ。どうした? さっきから変だぞ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「殿下、まだいらしてたんですか?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「其方は・・・どうしてそんなに可愛くないことを言うのだ?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「招待状をわざわざ持ってきてやったと言うのに」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それでしたら、ご心配なさらずとも参加いたしますわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ではわたしは自室へ戻ります。 ごきげんよう」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ! 待て!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「こうしてはいられないわ! 今夜のために早く対策を練らなければ!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「今夜!? 今夜とはなんだ!!! リアリナ!!」

〇屋敷の書斎
  ──屋敷 書庫──
リアリナ・シャルルド・グレイ「死なないように対策、立てなくちゃ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「まずはスマホで検索を・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・って! この世界にスマホは無かったぁーー!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「し、仕方がない。自力で探そう!」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様 どうなされたのですか?」
テオフィル・ベフトン「スタン様が困惑なさっておいででしたよ」
テオフィル・ベフトン「・・・ああ、こんなに散らかして」
テオフィル・ベフトン「・・・一体、何をお調べです?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この屋敷を守る防御魔法よ!」
テオフィル・ベフトン「屋敷を守る防御魔法など、そんな一朝一夕で、できるものではございませんよ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私だって本気を出せば防御魔法の一つや二つぐらい、ちょ、ちょっ、と・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ(って、リアリナは防御魔法どころか魔法は落第スレスレだったわ)
リアリナ・シャルルド・グレイ(もう! なんでもっと真面目に覚えようとしなかったのかしら! 私のバカー!!)
テオフィル・ベフトン「一体、魔法をどうするおつもりですか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あ! そうだわ!」

〇黒

〇海辺
リアリナ・シャルルド・グレイ(幼少期)「行くわよ!」
リュカ・シャルルド・グレイ(幼少期)「はい! リアリナ姉様!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(幼少期)「えーい!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(幼少期)「ああ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(幼少期)「どうしよう・・・ボールが」
リュカ・シャルルド・グレイ(幼少期)「姉様。お任せください!」
リュカ・シャルルド・グレイ(幼少期)「はい、どうぞ」
リアリナ・シャルルド・グレイ(幼少期)「わあ! ありがとう! リュカ!」
リュカ・シャルルド・グレイ(幼少期)「姉様のためなら、いつでも!」

〇屋敷の書斎
リアリナ・シャルルド・グレイ(リュカの魔法なら助かるかも!)
リアリナ・シャルルド・グレイ「リュカはどこなの?」
テオフィル・ベフトン「リュカ様なら、昨日より隣町へかかりつけ医の元へと行かれましたが」
リアリナ・シャルルド・グレイ「どこか悪いの?」
テオフィル・ベフトン「詳しくは聞いておりませんが、2、3日療養なさるとのことです」
リアリナ・シャルルド・グレイ「最近、巷で流行りのウイルス系とか?」
テオフィル・ベフトン「ウイルス? それは”悪魔の果実”でしょうか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「”悪魔の果実”?」
テオフィル・ベフトン「果実と誤って食すと、身体の中に悪魔が棲みついて」
テオフィル・ベフトン「徐々に悪魔に魂を喰われ、肉体が悪魔に変化すると言われている毒のことです」
テオフィル・ベフトン「最近、王都で流行しているようですので」
リアリナ・シャルルド・グレイ「怖!! 悪魔になるって! ものすごく嫌なんですけど!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(インフルとかオタフク風邪とかそういうイメージだったのに)
リアリナ・シャルルド・グレイ(なにその怖すぎる世界線!)
テオフィル・ベフトン「一体どこで口にするのか分かりませんから」
テオフィル・ベフトン「我々も外で食事をするときは、気をつけねばなりませんね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そ、そうね。お鍋はシェアしないほうが良さそうね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「じゃあ、リュカは頼れないとして」

〇立派な洋館
リアリナ・シャルルド・グレイ「この屋敷ごと守る方法とかないかしら?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「バリアとか加護とか、なんでもいいから敵の攻撃を無効化するやつ!」

〇屋敷の書斎
テオフィル・ベフトン「それは王宮の魔法使いにしか扱えない魔法ですね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「王宮の魔法使い・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「じゃあ、スタンに頼めばいいのね!」
テオフィル・ベフトン「お、お待ちください! リアリナ様ー!」

〇立派な洋館
リアリナ・シャルルド・グレイ「殿下! お待ちを! お待ちください!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ま、待ってーーー!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「殿下ぁあああーー!!!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「はあっ、 はあっ このドレス、クッソ重たいわね!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「待ってぇー!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「っきゃ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・い、痛たた」

〇並木道
リアリナ・シャルルド・グレイ「もう、スタンのバカーー!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ううっ。八方塞がりだわ。 どうしたらいいの?」
「リアリナ様ー!!」
テオフィル・ベフトン「突然、屋敷を飛び出されてどうなさったんです?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「もう聞いてよ! スタンったら私が呼び止めているというのに馬車を加速させたのよ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あれ絶対気づいてたわ。 ほんっとにリアリナには冷たいんだから!」
テオフィル・ベフトン「まさか本気で防御魔法を頼むおつもりだったんですか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうよ当然じゃない。 じゃないと私、死・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ううっ!! あ、頭が・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ああああ!! 痛い!! 痛い!! 痛い!!」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様! どうなさったんですか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「頭が・・・割れ・・・」
テオフィル・ベフトン「頭? 大丈夫ですか? しっかりなさってください!」

〇黒
  強い痛みに意識が薄れる中
  テオの声が、
  何度もこだましていた──

〇立派な洋館

〇洋館の廊下

〇貴族の部屋
リアリナ・シャルルド・グレイ「んっ・・・んんん・・・」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様! お気づきになられましたか!?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・テオ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あれ? ここは寝室? クッキーはどこ?」
テオフィル・ベフトン「・・・まだ混乱なさっているのですね」
テオフィル・ベフトン「お嬢様は頭が痛いとおっしゃった後、倒れられたのですよ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それはね・・・う! ううう!!」
テオフィル・ベフトン「大丈夫ですか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「!! これって・・・」

〇時計
リアリナ・シャルルド・グレイ「ループの秘密を誰かに明かそうとすると、死に戻る設定ってやつ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「うーわ! このバグ最悪すぎ!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「だからって負けない!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「どれだけ長い間社畜やってきたと思ってるのよ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ワンオペなんてちょろいんだから!」

〇貴族の部屋
テオフィル・ベフトン「リアリナ様、まだ痛むようであれば医師を呼びましょうか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「いいえ、大丈夫よ、それより」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ひゃああああ!!」
テオフィル・ベフトン「大変申し訳ございません。少々、外します」
リアリナ・シャルルド・グレイ「い、いやああ!! 行かないで!!」
テオフィル・ベフトン「リ、リアリナ様 抱きつかれたら、その・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ(やっぱり、このワンオペ無理ぃいい!!)
テオフィル・ベフトン「リアリナ様・・・」
テオフィル・ベフトン「かしこまりました。 テオはリアリナ様のおそばにおります」
リアリナ・シャルルド・グレイ「よ、よかった・・・」

〇王宮の入口
  ──そうよね
  元騎士団長だったテオなら、きっと一網打尽よ!

〇貴族の部屋
リアリナ・シャルルド・グレイ(これでやっと明日に進めるわ🎵)
(来た!!!)
ツヴァイ「貴様、リアリナだな?」
アインス「悪いが、その首、頂戴する」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そう簡単に殺されないわよ!」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様。ここは私が仕留めます。 リアリナ様は安全な場所へお逃げください」
ツヴァイ「ハハハハハ!!!」
ツヴァイ「俺たちに勝てるとでも?」
テオフィル・ベフトン「早く! 逃げて!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「わ! わかったわ! テオ! ファイト!!」

〇洋館の廊下
リアリナ・シャルルド・グレイ「部屋から飛び出したはいいものの、一体どこに逃げればいいの?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうだわ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「お父様の部屋よ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「従者もたくさんいることだし、きっと安全よ!」

〇上官の部屋
「お父様!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「いやああああー!!」

〇流れる血
  リアリナは勢いよく扉を開いた
  だが、目の前に飛び込んできたのは
  真っ赤な血で染まり、息絶えた
  両親の姿だった
リアリナ・シャルルド・グレイ「きゃああああー!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「お父様! お母様! いやああああ!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「どうして・・・、どうして、 こんなエンディングが・・・」
  抱き上げた父の手から、ポロリと短刀が床へと落ちる
リアリナ・シャルルド・グレイ「お父様・・・ どうしたらいいの?」

〇貴族の部屋
テオフィル・ベフトン「・・・はあ、はあ・・・」
テオフィル・ベフトン「降伏するんだ」
テオフィル・ベフトン「そうすれば命だけは助けよう」
ツヴァイ「なんだこいつ! 人間のくせに!!!」
ツヴァイ「くそ! くそ!!」
テオフィル・ベフトン「動くな」
テオフィル・ベフトン「動けば、殺す」
ツヴァイ「なら殺せ!! さっさと殺しやがれ!!!」
アインス「やめろ! ツヴァイ! 死にたいのか!?」
ツヴァイ「でもこのままじゃ、帰れねえ!!」
アインス「降伏しよう」
ツヴァイ「兄貴!」
アインス「ツヴァイ。 素直に負けを認めるんだ」
ツヴァイ「・・・ざけんな」
ツヴァイ「俺は・・・認めねえ!!!」
テオフィル・ベフトン「!!」
テオフィル・ベフトン「・・・う、動くな!」
ツヴァイ「ううっ! ああ?」
ツヴァイ「刺さねえのか?」
テオフィル・ベフトン「っく・・・!」
ツヴァイ「お前・・・。 人を殺したことねえな?」
テオフィル・ベフトン「そ、それは・・・!!」
ツヴァイ「そうか、はははっ! そうだよなぁ!!」
ツヴァイ「こんな綺麗な屋敷に雇われている用心棒様だもんなあ!」
テオフィル・ベフトン「!!」
ツヴァイ「おら殺せ! 殺してみやがれ!」
テオフィル・ベフトン「やめるんだ!」
テオフィル・ベフトン「っは!!」
アインス「ふん!!」
「ぐはっっ!!」

〇貴族の部屋
ツヴァイ「人の生き死にに情けとか、かけてんじゃねえ!! バカが!!」
「うっ・・・ま、待て・・・」
「・・・頼む、リアリナ様・・・だけは」
ツヴァイ「!?」
「殺さない・・・で・・・」
アインス「・・・青年」
アインス「大切なものが奪われるのは、君が臆病なせいだからだ」
アインス「我々を恨まないでくれ」

〇黒
「・・・っ・・・・」

〇黒
  next episode 03

〇黒
  NEXT episode 03

次のエピソード:第3話 「バッドエンドを回避するには、王太子攻略が鍵ですか⁈」

ページTOPへ