Xヒーロー

語り部

第26話 鉛のような闇(脚本)

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〇シックなバー
  2021年 大阪府 堺市 南区
斎王幽羅「いい案が閃いた。俺達は『ミンさん達と合流して全力で共産派を倒そう』」
キング「おいおい、それだと後ろから警察達に襲われて挟み撃ちになるだけだろ」
斎王幽羅「鸞の分身の術に複製魔術を使って『数を多いように見せれば』相手の異能武器のでかい攻撃を誘える」
斎王幽羅「空爆って事は戦時中でしょ?もっと広範囲に攻撃するなら···『地震』を使うはずでしょ?」
鸞「兵庫県南部地震、またの名を『阪神・淡路大震災』。かなりの規模だが異能力で再現できるのか?」
キング「いや、問題ねえ。ただ一気に『錆び』が広がるからここぞという時に使うだろうな」
キング「ただそれだと俺達もタダじゃすまねえぞ?何か策はあるのか?」
斎王幽羅「あの地震は都市直下型、当時の都市構造はおざなりな建築が多かった」
斎王幽羅「阪神・淡路大震災はその建築を今一度見直すきっかけになったとも言える地震で、当時に比べて今の建物の耐震構造は強度が高い」
斎王幽羅「当時は新しい建物は建築基準法の基準を厳しく審査したものが多く、おかげで病院や学校は比較的被害が少なかったのが多い」
斎王幽羅「万博のこともあって外国の目を気にしての事だったらしいけど、返って功を奏した」
斎王幽羅「以降は住宅なども建築基準法を改めて厳しく審査し、三階以上の建物はより厳しく審査をしている」
キング「つまり···『三階建ての公共施設』なら問題ねえってことか?」
斎王幽羅「倒壊の可能性はあるけど『生存確率は一定の保証はある』よ、正直賭けになるけど···どう?」
  皆がそれに賛成する中、フェードだけが反対した。
  当然の事だが今の話は『自分たちに』限定された話で民主派の中国人達を想定していないと
  しかし、斎王には策があった
斎王幽羅「エンチャントさん『建物』作れますよね?時間はどれくらい掛かりますか?」
エンチャント魔導法士「三階建てとなれば『3分』だな、いけそうか?」
斎王幽羅「どういう感じで地震が来るか分からないけど、『余震』から再現するとしたらギリギリセーフだね」
キング「後は誘いに乗るかどうかだな···ここも正直運ではあるが···」
斎王幽羅「ひとまずミンさん達と合流できそうな状態になるまで待とう。今動いたら警察も釣られて動く可能性もある···」
  皆が一様に準備を始め、鸞はカラス、雀、鳩を使い周囲を警戒させる。フェードはそそくさと裏口へ出ていく

〇入り組んだ路地裏
  南区 BAR裏
  いつも気丈に振舞っている彼女に焦りと不安を読み取れる。斎王は隣に立ち、話しかける
斎王幽羅「··· ··· ···ミンさんの事教えてくれる?」
フェード「···普通私の心配をするのでは無いのか?斎王」
斎王幽羅「あ、いや!別に意味はないんだけどさ!ただ···フェードってミンさんのこと話してる時」
斎王幽羅「いつも楽しそうに話してくれるから···少し和んで欲しくてさ···ダメかな?」
  フェードは斎王を1度見た後、俯きながら話始める
フェード「ミンさんは···私を救ってくれた恩人だ。私にとって師であり目標であり···『たった一人の家族だ』」
フェード「あの人のする三国志の話が好きで子供の頃は困らせていたものだ、特に赤壁の戦いや黄巾の乱が好きでな」
フェード「鍛錬中もずっと頭の中で曹操や劉備、呂布、孫権などになりたいと思いながらやっていたものだ」
フェード「その度に『集中しろ』って怒られたっけな。ふふっ···」
  少しづつ表情が柔らかなものに変わるのを見ていた斎王は問いかける
斎王幽羅「フェードはさ···仮にミンさんが死んだ時、俺達との旅を続ける?」
  フェードの表情は固まる。その様子を気にせず斎王は続ける
斎王幽羅「フェードは中国の為に戦うと決意してくれた、恐らく紅色派の『解体』が目的でしょ?」
斎王幽羅「でもその後の事は?もしミンさんがいないままこの旅が終われば」
斎王幽羅「フェードは···どうやって『中国に奉仕するの?』」
フェード「なぜ···なぜ私がミンさんの事で旅を辞めると思った?」
  震えた声で斎王を睨みつけるフェード、斎王はそれにおくさず真っ直ぐ見つめながら話始める
斎王幽羅「フェードの様子を見てると主目的が『ミンさんを助ける事』になってる」
斎王幽羅「もしそれを叶えられなかった時···フェードは中国に対する『恩義』が揺らぐと思う」
斎王幽羅「フェードが北朝鮮から何とか逃げ出して中国にたどり着いた。でも2年のもの間、いいように弄ばれた」
斎王幽羅「それを助けたのはミンさん。フェードが感じてる恩義は国に対してではなく『ミン・チェンユー』に対してだと思うんだよね」
斎王幽羅「そんなミンさんを失った時···フェードは多分··· ··· ···『旅を続ける気になれない』はずだ」
斎王幽羅「それでも···それでもフェードは俺達と旅を続けてくれるって『言える』?」
  フェードは反論できず、その場に立ちつくすことしか出来なかった。
  自分の胸の中にある思いを言い当てられ、それに反論すらできない自分が情けなく感じていた
  そしてフェードは斎王を見つめ、震えた声で問いかける
フェード「斎王は···辛くないのか?親を失って··· ··· ···悲しくないのか···?」
  斎王はそんな問いかけに悲しげな表情をし、答える
斎王幽羅「うん··· ··· ···悲しいし、辛いよ。そうだな···俺とキングが出会った頃の話しよっか」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第27話 自意思

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