異界転生 ~学校では教えてくれない、世界の救い方~

資源三世

異界再会 ~あんなに一緒に戦ったのに~(脚本)

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〇体育館の外
着ぐるみ「逃しはしねぇぜ、仮面野郎」
仮面「はて? 幼子と着ぐるみに知り合いなどいないが」
着ぐるみ「勇者と剣聖だよ! てめぇがこっちに送ったんだろうが!」
仮面「あぁ、お前たちだったか。ずいぶんと変わり果てた姿になったな。分からなかったぞ」
着ぐるみ「てめぇがこの姿にしたんだろうが!」
白「落ち着け、煽ってるだけだ」
仮面「幼子になっても、記憶と知能はそのままのようだな。ふむ、期待通りにいったようだ」
着ぐるみ「やっぱ、てめぇが犯人じゃねぇか! ふざけた姿に変えやがって!」
白「我の頑強な肉体と、勇者の聖剣の力を恐れ、相反する姿に変えたといったところか」
仮面「大方、その通りだが、恐れてというのは、自意識過剰ではないか?」

〇体育館の外
仮面「貴様らが私の脅威になるとでも?」
白「今までそう言って、我らを侮った者は数多くいたよ」
白「だが!」
着ぐるみ「そいつら全部、ぶっ倒して、俺達はここにいるんだよ!」
着ぐるみ「てめぇの用意した凶器、ありがたく使わせてもらうぜ!」
  勇者は、巨大なハンマーを軽々と振りかぶると、そのまま勢いよく全力で振り下ろす
  衝撃だけで魔獣の群れを吹き飛ばした一撃である。まともに食らえばなすすべなく潰されるだろうが──
  仮面はそれを剣一本で受け止める
仮面「忘れたか、私の剣には死を纏わせている」
仮面「生物を斬れば、その傷は治ることなく。攻撃であれば、その勢いを無為に帰す」
着ぐるみ「確かに俺は馬鹿だけどな、やられたことは忘れない性質でね」
  仮面の腕に、受け止めた剣に、強烈な重量が襲い掛かる
着ぐるみ「よくわからねぇが、勢いは殺せても重量は消せないんじゃねぇか?」
  ミシミシと、仮面の全身の筋肉が軋む。圧倒的な重量が襲い掛かる
仮面「良い勘をしている」
仮面「死とはあくまで動を静に変えること。それは存在そのものが持つ性質を変えるわけではないからな」
仮面「だが、私が力比べに付き合うとでも?」
着ぐるみ「付き合ってもらうぜ!」
仮面(逃げられない? いなすことはおろか、足を動かすことすらできない)
仮面(こいつ、雑だが力の入れ方が上手い。常に私の逃げ道を塞ぐ方向へ重量をかけてくる)
着ぐるみ「てめぇを見つけた時、この着ぐるみの中に、ありったけの重石をいれておいたんだよ」
着ぐるみ「俺のパワーに重石にハンマーの重さ。逃げようとすれば、たちまちぺしゃんこだ!」
仮面「くっ!」
着ぐるみ「今だ、師匠!」
白「貴様の企み事、全てここで潰させてもらう」
着ぐるみ「なんだ、影が泡立って?」
着ぐるみ「消えた?!」
白「なっ!」
白「くっ・・・」
着ぐるみ「師匠!」
白「影の移動を使えるのか」
仮面「知っていたか」
白「かつて、相対した魔族が使っていたからな」
仮面「そうか」
仮面「道理で不意打ちに反撃できるわけだ」
白「かつての体なら、今ので相討ちにも出来たろうに。口惜しいな」
仮面「相討ちか」

〇体育館の外
仮面「何故、そこまでする必要がある?」
仮面「私達の世界を救うために、この異界に犠牲になってもらう。それが、そんなに気に入らないか?」
仮面「お互いに名も知らぬ、ただの異界だ。私を止め、この世界を救ったところで、奴らは感謝などしない」
仮面「薄氷の上にあった平和の尊さにも気づかず、素知らぬ顔で平穏を貪るだけだ。そんな奴らに何故、命を懸ける?」
白「世界の危機など、知らないなら知らないで良いではないか」
白「我らの世界は、常に魔族と争い続け、誰を生かすべきか、常に命を天秤にかけなくてはならなかった」
白「我はこの世界の人々に、その痛みを知って欲しいとは思わぬよ」
白「世界の危機など知らず、平和を享受してくれればいい。玲緒には平穏の中、目指す未来を目指して欲しい」
着ぐるみ「俺も大体似たようなもんだ」
着ぐるみ「この世界じゃ、ちっちゃいガキどもが、親と仲良く暮らしてるんだぜ?」
着ぐるみ「両親と手ぇ繋いで、旨いもの食って、笑ってるんだ。平和も平穏も好きなだけ堪能しろって話だ」
白「故に」
白「その邪魔をするというなら、我らは幾度でも剣を振るおうぞ」
仮面「自分の世界の救済より、見知らぬ異界の平和に肩入れか。理解できない夢想だ」
仮面「結局、私達の意志が通じる時は、殺し合うときのみということか」
仮面「デッドリードライブ!」
「オーバードライブ!」
玲緒「遅くなりました!」
仮面「増援か」
着ぐるみ「ヒャッハー! てめぇの持ってきた武器だ、十分に味わいな!」
仮面「小癪な」
ぬりかべ「させるかよ!」
玲緒「体育館の人達の避難は終わってます。思う存分、戦えますよ!」
玲緒「一気に押し込みましょう!」
ぬりかべ「白、トドメは任せるぞ!」
白「玲緒!」
着ぐるみ「ヒャッハー! 一気に決めるぜ!」
白「ダメだ、待て!」
玲緒「第三抜剣!」
仮面「選べ、白金──」
仮面「仲間の命を守るか、私を討つか」
白「我は──!」
仮面「それが答えか」
白「玲緒!」
玲緒「くっ・・・ なんとか、大丈夫・・・です」
仮面「奴らを守ることを選ぶか。奴らを見捨て、私を討てば、戦いは貴様の勝利で終わったものを」
仮面「聖剣で受けた傷が癒えていない今なら、私を確実に葬れたこと、気づいてないわけでもあるまい」
仮面「お前は昔からそうだったな。目の前のことしか考えない」
仮面「黄金(こがね)の勇者を失った時の痛みからも、何も学んでいないと見える」
白「その名・・・ やはり、貴様だったのか」
白「黄金(おうごん)の勇者・・・」

〇体育館の外
玲緒「黄金(こがね)に黄金(おうごん)?」
玲緒「勇者って、何人いるんですか?」
着ぐるみ「代々、一人しかいねぇよ。確か、俺の先代が黄金(こがね)で、黄金はその前」
着ぐるみ「歴代最強とか言われたけど、魔王に負けて死んだとかなんとか習った気がする」
白「史実ではな。だが、真実は違う」
白「黄金(おうごん)の勇者は、今際の際に、魔族に寝返ったのだ」
仮面「寝返るとは人聞きの悪い。私は奴らの内に入り込み、世界を救う術を探っていただけだ」
白「その果てに、どれだけの血が流れたとしてもか?」
仮面「目の前の誰かを救う偽善で、後に数千数万の命を危機に晒す貴様よりかは良いと思うがね」
白「やはり、我らは相容れないようだな」
仮面「あぁ、どちらかが消えることでしか、決着はつくまいよ」
仮面「さらばだ、白金」
仮面「まだ立ち上がるか」
白「玲緒!」
玲緒「幼女を傷つけるなんて、風紀委員長として黙って見てられませんから」
仮面「白金よ、まるであの時の再現じゃないか」
白「逃げろ、玲緒!」
玲緒(あの斬撃が来る!)
玲緒(太刀筋が見えない、残像が流星群のようにしか映らない超高速の連撃──)
玲緒「それでも、止める!」
玲緒「くっ!」
ぬりかべ「ぐはぁっ!」
着ぐるみ「な、流れ弾が・・・!」
仮面「見えないまでも剣気を頼りに防いだか。なるほど、こちらの世界にも良い腕を持つものがいるものだ」
仮面「だが──」
  玲緒の剣は、真ん中から折れ、刀身は無情なほど当たり前に、地面へと落ちるのだった
玲緒「剣が・・・」
玲緒「あんなに一緒に戦ってきたのに・・・」
玲緒「そんな・・・こんなあっけなく?」
仮面「言い残すことはあるか?」
白(くっ、動け! 体よ、動いてくれ!)
白(頼む、今一度でいい! 我が命などくれてやる、彼奴を討つ間だけ動いてくれ!)
玲緒「・・・一つだけ、聞いていいですか?」
仮面「なんだ?」
玲緒「私達、前にどこかで会ったことありませんか?」
仮面「時間稼ぎにしては、お粗末な質問だな。まあいい」
仮面「私が過去にこの世界を訪れたのは17年前に一度だけ」
仮面「白金よ、覚えているだろう。黄金(こがね)の勇者が私を討ち、貴様が魔王を討ったあの日」
仮面「魔王の転生の力が暴走し、私はこの異界へと転生してしまったのだよ」
仮面「あぁ、そうだ。貴様が魔王を討たなければ、この異界へ侵攻する計画は生まれなかったのにな」
玲緒「なんか、さっきからねちねちと煩いですね!」
仮面「なっ!」
玲緒「結果論でマウントとって、勝った気になってるんですか? 格好悪い人ですね」
仮面「貴様!」
玲緒「まあ、仕方ないですよね。そのままじゃ勝てないからって、弱い幼女に転生させるんですから」
玲緒「でも、幼女というセレクトは玲緒的に最高のチョイスだと思います。有難うございました!」
仮面「死を悟り、気が触れたか?」
白「いや、残念だが、玲緒はこれが平常だ」
仮面「そ、そうか」
仮面「狂えば、死の恐怖も紛れたものを」
白「玲緒!」

〇黒

〇体育館の外
仮面「なん・・・だ?」
白(仮面が剣を振るうタイミングで、始点を正確に妨げたのか?)
玲緒「本当、来るのが遅いですよ」
仮面「何者だ?」
晴「生徒会長・・・と言っても分からないわよね」
晴「学園最強と言えば、分かるかしら?」

次のエピソード:異界狂騒 ~世界が終わるまでは、諦めることのない~

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