炎を宿りし獄炎の女戦士

ヒムネ

父親(脚本)

炎を宿りし獄炎の女戦士

ヒムネ

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〇綺麗な港町
  ──ここは水の街モイス。遥か昔に漁業が盛んで経済成長を遂げたこの街は今、大きな問題を抱えている。

〇怪しいロッジ
ウカ・デルマ・ネール「──どうぞ、シルビアさん、リトナさん」
「お邪魔します」
シルビア・ヤン・オードリー「ウカ」
ウカ・デルマ・ネール「は、はい」
シルビア・ヤン・オードリー「街だけじゃなくて、家まで案内してくれてありがとう」
ウカ・デルマ・ネール「いえ」
シルビア・ヤン・オードリー「助けてもくれて、まるで誰かさんみたい」
アイン・イヨ・リトナ「え、誰ですか?」
ウカ・デルマ・ネール「お二人とも、どうぞお座りください」
シルビア・ヤン・オードリー「それにしても、一人で暮らしとは思えない家の広さね」
アイン・イヨ・リトナ「ウカさん、家族と暮らしてるんですか?」
ウカ・デルマ・ネール「はい」
シルビア・ヤン・オードリー「両親はどうしたの、留守だけど」
ウカ・デルマ・ネール「ここには居ません」
ウカ・デルマ・ネール「両親は」
ウカ・デルマ・ネール「ここ水の街モイスの住民の方たちとここから北西の中心街に向かいました」
  心配そうな顔でコーヒーが出す。
シルビア・ヤン・オードリー「中心街って」
ウカ・デルマ・ネール「ズズッ・・・中心街ファンバオム」
アイン・イヨ・リトナ「どんなところなんでしょうね」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・別に、普通よ」
アイン・イヨ・リトナ「え、シルビアさん知ってるんですか?」
シルビア・ヤン・オードリー「知ってるもなにも、あたしはファンバオム生まれ」
アイン・イヨ・リトナ「ほえー、シルビアさんって中心街育ちだったんですか〜」
シルビア・ヤン・オードリー「そんな事はいい」
シルビア・ヤン・オードリー「それで、どうして両親があんたを残してファンバオムに行ったのよ」
ウカ・デルマ・ネール「・・・漁業の衰退です」
アイン・イヨ・リトナ「衰退って、お魚さんが少ないって事ですか?」
ウカ・デルマ・ネール「はい」
ウカ・デルマ・ネール「父と母はその原因が中心街ファンバオムの街長であり国家連合長シルスク・ヤン・オードリーのせいだと」
アイン・イヨ・リトナ「ヤン・オードリーって・・・」
ウカ・デルマ・ネール「父は漁業でほぼ帰らないため母は懸命に一人私を育ててくれました・・・だから本当はやめてほしい」
アイン・イヨ・リトナ「あ、シルビアさん」
  シルビアは玄関を開いて外に出た。

〇綺麗な港町
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさん、その、さっきのウカさんの話し」
シルビア・ヤン・オードリー「そうよ、シルスク・ヤン・オードリーは私の父」
アイン・イヨ・リトナ「やっぱり・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「まさかそんな事になってたなんて知らなかった」
アイン・イヨ・リトナ「・・・・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「よくわからない父だけど、またより分からなくなっちゃった」
アイン・イヨ・リトナ「よくわからない、って」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・私の父は、家に帰ってこないでずうっと留守だった。物心を覚えた時からもずっと」
シルビア・ヤン・オードリー「それでも父を信じて、自分の運命を全うするために言われることをやってきた」
シルビア・ヤン・オードリー「それでも父と、ちゃんと話した事もないのよ、この年になるまで・・・」
シルビア・ヤン・オードリー(『シルビア、お前は──』)
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさん」
アイン・イヨ・リトナ(遠くを見ている目、なんか、さみしそう・・・)
シルビア・ヤン・オードリー「あたしが教わったことって、無駄にならないといいんだけどね」
アイン・イヨ・リトナ「無駄なんて、そんなことないですよ」
シルビア・ヤン・オードリー「ごめん愚痴って、ウカのところに戻るわよ」
アイン・イヨ・リトナ「はい・・・」

〇怪しいロッジ
ウカ・デルマ・ネール「あっ!」
シルビア・ヤン・オードリー「ごめんなさい、勝手に抜け出して」
ウカ・デルマ・ネール「いえ」
ウカ・デルマ・ネール「こちらこそ、大丈夫でしょうか、何か私が気に病むことを」
シルビア・ヤン・オードリー「大丈夫」
ウカ・デルマ・ネール「そう、ですか・・・あの」
アイン・イヨ・リトナ「なんでしょうかウカさん」
ウカ・デルマ・ネール「どうして御二人はモイスの海岸に?」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・わからない」
ウカ・デルマ・ネール「え?」
シルビア・ヤン・オードリー「騙そうとかじゃないの、ほんとうに分からないのよ」
アイン・イヨ・リトナ「はい、洞窟でイザークさんとともにデス・キラーと戦って私が動けなくなって、シルビアさんが現れて」
シルビア・ヤン・オードリー「獣を宿す者の力を使い果たしたリトナを助けようとしたら・・・一瞬眩しくなって」
アイン・イヨ・リトナ「気がついたときには海岸に」
ウカ・デルマ・ネール「不思議な体験をしたんですね」
ウカ・デルマ・ネール(獣を宿すもの?)
シルビア・ヤン・オードリー「はぁーっ、まったく、どうしてこう次から次へとトラブルが起きるのよ」
アイン・イヨ・リトナ「イザークさん、心配しているでしょうね」
シルビア・ヤン・オードリー「そうね」
シルビア・ヤン・オードリー「たしかモイスって、ヴォルムの真反対の東側・・・ウカ、ここからヴォルムに戻るとどれくらいか知らない?」
ウカ・デルマ・ネール「ヴォルム、ですか〜・・・う〜ん」
ウカ・デルマ・ネール「う〜ん」
ウカ・デルマ・ネール「おそらくは一週間くらいかと〜」
アイン・イヨ・リトナ「一週間ですか!?」
シルビア・ヤン・オードリー「も〜、それじゃあ時間が掛かり過ぎる」
アイン・イヨ・リトナ「あ、それとウカさん、獣を宿す者という人はこのモイスで聞いたことはありませんか?」
シルビア・ヤン・オードリー「あたしとしたことが」
ウカ・デルマ・ネール「獣を宿すものってなんですか?」
  ──シルビアはがっくりしながらも知らないウカに話してあげた。
ウカ・デルマ・ネール「4人の獣を宿す者、やはり聞いたことはありません」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・一応、獣を宿す者の一人がこのリトナ」
アイン・イヨ・リトナ「エヘ」
ウカ・デルマ・ネール「へ〜・・・獣って、やっぱり恐いんですか?」
アイン・イヨ・リトナ「え、え〜っと、ボワ〜ッと力が出て乗っ取られるというか〜」
ウカ・デルマ・ネール「乗っ取られるって」
シルビア・ヤン・オードリー「リトナ、なにウカを恐がらせてんのよ」
アイン・イヨ・リトナ「いえ、シルビアさん、本当にそんな感じなんですよ。だってその時に私は意識が無いんですから」
ウカ・デルマ・ネール(乗っ取る・・・獣・・・)
シルビア・ヤン・オードリー「どうしたのウカ、恐すぎた?」
ウカ・デルマ・ネール「乗っ取られるのは恐いですね~、はは〜・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「そんな感じよ」
シルビア・ヤン・オードリー「それでさウカ、あたし達はヴォルムにどうしても向かいたいの、何かすぐ行ける方法を知らない?」
  このまま徒歩でヴォルムに着くのは一週間。それでは時間がかかり過ぎてその間にも凶悪な魔物に襲われるに決まっている。
  何としてもシルビアは近道がほしかった。
ウカ・デルマ・ネール「う〜ん〜」
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさん、ウカさんが困ってるじゃないですか」
シルビア・ヤン・オードリー「ウカ、知り合いでも何でも良いから、このモイスになんかないわけ?」
ウカ・デルマ・ネール「あるにはあるんですが〜・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「教えて!」
ウカ・デルマ・ネール「出来るかどうか〜」
シルビア・ヤン・オードリー「あるのね!」
ウカ・デルマ・ネール「まだ説明が!」
シルビア・ヤン・オードリー「あるなら、なんだってやってやるわよ」
アイン・イヨ・リトナ「はい!」

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