第3話 “藍川しおり”(脚本)
〇土手
「おーい! そこ気を付けろー!」
「ちょっとこっち手伝ってくれ!」
〇河川敷
「おーい、一服どうだぁ?」
真澄「微糖か? ブラックか?」
作業員「いつも有り難うございます」
作業員「”幸坂さん”」
真澄「気にすんな キャンペーンのシール集めてんだ」
作業員「またまたぁ」
作業員「ホント、人が良いんだから」
真澄「今夜までには終わりそうだな」
作業員「河原の整地だけっすから」
作業員「燃えたのなんて 雑草くらいしかありませんよ」
真澄「まぁ・・・な」
作業員「しっかしバカな鎧人だよなぁ」
作業員「なーんで こんな河原に隠れてたんだか」
作業員「珍しいよな」
作業員「こんな周りに何もねぇとこ」
作業員「空き家なんて腐るほどあんのによ」
真澄「・・・・・・」
真澄「あとは、」
真澄「頼んだな」
「うぃーす」
〇川沿いの原っぱ
「”ゲンさん”」
ゲンさん「・・・カズヤだってな」
真澄「えぇ」
ゲンさん「馬鹿な奴だ」
真澄「ゲンさん・・・」
ゲンさん「ガキの方は?」
真澄「『ホーム』で面倒を見させています」
ゲンさん「何人増やすつもりだ 託児所じゃねぇんだぞ」
真澄「それは・・・ 分かっていますけど・・・」
ゲンさん「いまに隠し切れなくなる」
ゲンさん「いくら近所には 養護施設だっつってもな」
真澄「”ユカリ”は、 よくやってくれています」
ゲンさん「普通は金持ちそうな ジジイかババアが仕切ってるもんだ」
真澄「じゃあ、ゲンさんいて下さいよ・・・」
ゲンさん「あぁ?」
ゲンさん「俺が、見えんのか?」
ゲンさん「”金持ちそうに”」
真澄「・・・七三分けにすれば、」
ゲンさん「ぶち殺すぞ」
真澄「ははは・・・」
真澄「事件概要書に・・・」
真澄「ウチの娘の名前が・・・ありまして」
ゲンさん「言わんこったねぇな」
ゲンさん「集まり過ぎれば、そういう確率も上がる」
真澄「・・・面目ない限りです」
真澄「ただトモヤから・・・」
真澄「『六道會』の名前が」
真澄「どうやら カズヤは俺を頼りに来たらしく・・・」
ゲンさん「・・・・・・」
真澄「この現場が終わったら、」
真澄「鎧人街へ・・・行ってみようと思います」
ゲンさん「・・・・・・」
ゲンさん「・・・リクドウが黙ってねぇぞ」
真澄「ちょっと”お忍び”で探るだけです」
真澄「”アユム”なら何か知っているかも・・・」
ゲンさん「・・・・・・」
ゲンさん「気を付けんだな」
ゲンさん「あいつ、ハジメと仲良かっただろう」
ゲンさん「『鎧人イズモ』の件を知らないワケねぇ」
真澄「・・・だから、」
真澄「余計に心配なんです」
ゲンさん「テメェは過保護が過ぎる」
真澄「・・・・・・」
真澄「・・・甘党、なんで」
真澄「苦いの飲めなくて」
ゲンさん「じゃあ買うんじゃねぇよ」
真澄「それで・・・なんですけど」
真澄「1つ問題があって・・・」
真澄「”運ぶ物”がないんです」
ゲンさん「カズヤが木っ端微塵に 吹き飛びやがったからな」
真澄「”この格好”で、鎧人街に入るなら・・・」
真澄「なにか売り物がないと・・・」
ゲンさん「分かった分かった」
ゲンさん「どっかで野垂れ死んでる奴がいねぇか 知り合いに当たってやる」
真澄「ありがとうございます」
ゲンさん「”飲んじまった”からな」
ゲンさん「とっとと失せろ」
真澄「よろしくお願いします」
ゲンさん「・・・ったく、」
〇空
ゲンさん「馬鹿ヤローしかいねぇなぁ・・・」
第3話
”藍川しおり”
〇空
「捕れるぞーっ!」
「ライトッ!ライトーッ!!」
「付き合って下さいっ!!」
〇体育館の裏
男子生徒「ちゅ、中学の頃からずっと・・・」
しおり「あぁ~・・・えぇ、と・・・」
男子生徒「と、友達からお願いします!!」
しおり(うわ・・・断り辛いなぁ・・・)
しおり(友達とか・・・ ハードル下げられちゃうとなぁ)
男子生徒「お、お願いしま──」
「なるほど」
タケル「話は聞かせてもらったよ」
男子生徒「ど、どちら様ですか・・・?」
タケル「しおりの、」
タケル「兄だ」
男子生徒「えぇ・・・」
しおり「私が『えぇ・・・』だわマジでお前・・・」
タケル「”友達から”とは、 なかなか誠意のある申し込みだね」
タケル「君にこれを」
男子生徒「あ、あの・・・これは・・・」
タケル「君の戦闘力を確認させてもらおうか」
しおり「なぜだ・・・」
タケル「俺は警察庁直属の 『特殊制圧機動隊』に所属している」
タケル「つまり、彼女は騎士(ナイト)の妹だ」
タケル「俺に恨みを持つ鎧人から 狙われる可能性もゼロではない」
しおり「なら学校に来んなぁ!!」
タケル「君に”友達として” 妹を守る力があるのかな?」
男子生徒「と、友達のハードル高っけぇ・・・」
〇教室の外
タケル「さぁ構えろォ! 少年ーッ!!」
男子生徒「む、無茶苦茶ですってぇー!!」
タケル「君の”覚悟”を見せてみろォーッ!!」
しおり「実の兄が『辻斬り魔』に・・・」
アキラ「アタシのせいで 親友の学校生活がカオスに・・・」
〇学校の裏門
〇学校脇の道
〇住宅地の坂道
しおり「勝てるワケないっしょ!?」
タケル「別に『勝て』とは言っていない!」
タケル「”覚悟”を見せてみろと言ったんだ!」
しおり「なんで友達になんのに 覚悟がいんだよ!」
しおり「辺境の部族か!!」
アキラ「しおりはモテるからね~」
しおり「アキも余計なこと言わんでいい!」
タケル「妹に言い寄る男が 大勢いるだなんて初耳だぞ・・・!!」
しおり「いちいち言うワケねーだろ・・・!」
アキラ「タケルさん、 マジでお父さんみたい」
タケル「・・・・・・」
タケル「当然さ」
タケル「俺は父から、」
タケル「託されたんだ」
タケル「家族の幸せを」
「・・・・・・」
タケル「真澄さんだって同じだろ?」
タケル「アキちゃんの幸せを 守りたいと思っているはずさ」
アキラ「・・・ウチは、」
アキラ「違うよ」
しおり「アキ・・・」
アキラ「だって”来なかった”もん」
アキラ「病院」
アキラ「まだ家にも帰って来ないし」
しおり「い、忙しいんだよ、きっと」
タケル「真澄さんは まだ現場処理の仕事を?」
アキラ「うん」
アキラ「鎧人事件があると だいたい3日以上は帰って来ないから」
しおり「アキ、前に言ってたじゃん」
しおり「真澄さん、スマホ持ってないって」
しおり「きっとまだ知らないんだよ・・・」
アキラ「・・・そんなん、」
アキラ「被害者の名前くらい 仕事なら分かるっしょ」
アキラ「事件の落とし物だって探すんだし」
「・・・・・・」
アキラ「娘が殺されかけたのに 帰れない仕事とか・・・」
アキラ「あるワケない」
タケル「勤続だけで言えば・・・十数年になる」
タケル「責任ある立場にもなるだろう」
タケル「直接関わらないけど、 同僚に聞いた事があるんだ」
タケル「鎧來種の遺体は 現場の責任者が研究施設へ運ぶ」
タケル「日本全国の、各地にね」
しおり「きっと・・・ たまたま遠くまで行ってるのかも」
アキラ「いいって、いいって」
アキラ「慣れてっからさ フォローしなくていいって」
アキラ「それに・・・」
アキラ「逆にしんどいからさ」
しおり「アキ・・・」
昔からアキは
”可哀想”を嫌う
〇団地
── だから、
居心地がいい ──
〇住宅地の坂道
しおり「兄貴のせいだかんな」
タケル「えっ・・・」
タケル「な、なにか おかしい事を言ったか・・・俺は」
〇団地
「・・・・・・」
タケル「しおりは先に帰っていてくれ」
タケル「アキちゃん、家まで送るよ」
アキラ「あひゃい!! おねしゃすッ!!」
しおり「アキさん、なんて?」
タケル「今日は母さん、夜勤の日だろ?」
しおり「連絡取ってんだ」
タケル「当然だろう 母さん言ってたぞ」
タケル「お前、母さんいないと 夕飯を食べずに寝る日があるらしいな」
しおり「うっさいな~・・・」
しおり「お腹空いてない日に 1人分作んの面倒なんよ・・・」
タケル「日持ちする料理を 作り置きするんだよ」
タケル「そうすれば母さんだって 次の日に楽が出来るだろう」
しおり「ぐぬぬぬ・・・」
タケル「今日は俺が作ってやる 10代が食事を抜くんじゃない」
しおり「一人暮らしの男メシかよ・・・」
アキラ「い、い、」
アキラ「異次元の会話しとる・・・」
しおり「なんて?」
アキラ「しおり・・・料理してんの・・・?」
しおり「そりゃ、母子家庭だし自炊くらいするよ」
しおり「”あり合わせ”で簡単に、だけど」
アキラ「料理に・・・ ”簡単”があるだと・・・!?」
タケル「ひ、必要に迫られれば 誰でも出来るようになるさ」
タケル「俺だって 最近するようになったんだから」
しおり「ねぇねぇ、アキ」
しおり「料理できない女なんか 結婚できね~ぞ~」
タケル「お、おい・・・」
タケル「今どき、そんな考え方は──」
アキラ「料理できた方がいいですか・・・?」
タケル「えっ?」
タケル「ま、まぁ・・・ 全く出来ないよりは・・・」
「ちくしょぉぉおおお~~っ!!」
タケル「あぁっ!! ちょ、待ちなさいっ!!」
しおり「マジうける」
〇マンションの共用廊下
〇玄関内
しおり「あれ、電気点いてる」
「ママいるのー?」
〇明るいリビング
英理花「あら、おかえり」
しおり「今日は夜勤じゃなかったの?」
英理花「残業の調整で 遅く出勤して欲しいって」
英理花「ママ、残業し過ぎなんだって」
しおり「だったら ギリギリまで寝てればいーじゃん・・・」
英理花「なに言ってんの」
英理花「ママ分かってんのよ? こないだ夕飯、お菓子で済ませたでしょ」
しおり「あ、あはは・・・」
しおり「洗い物がメンドーでさ・・・」
英理花「っもう!」
英理花「気持ちは分かるぞっ」
しおり「ちょ、アタマ撫でないでってば」
英理花「うふふ」
英理花「じゃあ、ママ行ってくるね」
英理花「ちゃんと食べるのよ」
しおり「ねぇ・・・ママ」
しおり「・・・・・・」
英理花「なによ、言いたい事あるなら ちゃんと言いなさい?」
しおり「・・・仕事、」
しおり「少し減らせないの?」
しおり「兄貴も配属決まって、 仕送り増やすって言ってたし・・・」
しおり「私も必要なら・・・バイト始めるからさ」
しおり「だから1人で頑張らなくたって──」
英理花「しおり」
英理花「前にも話し合ったでしょ?」
しおり「・・・・・・うん」
英理花「ママは、」
英理花「タケルからのお金は使いたくないの」
しおり「でも──」
英理花「分かって、しおり」
英理花「ママは、自分の大切な子供に・・・」
英理花「”命”なんて懸けて欲しくない」
英理花「タケルに、 騎士の仕事なんてして欲しくないの」
しおり「うん・・・」
英理花「タケルの仕送りに頼ってしまったら」
英理花「あの子が”死ぬかもしれない”行為を・・・」
英理花「認めてしまう」
しおり「そんなことは・・・」
英理花「ママはタケルに 『いつでも辞めていい』って言い続けたい」
英理花「だから甘えたくないの」
英理花「分かって? しおり・・・」
しおり「・・・・・・」
英理花「大丈夫よ、心配しないで」
英理花「贅沢は出来ないけど、」
英理花「しおりの進学費用くらい 余裕なんだからねっ!」
しおり「そういう話じゃないよ・・・」
英理花「じゃあ、行くわね」
「あまり夜更かし、しないのよ」
しおり「ママの体を心配してんだってば・・・」
〇簡素な一人部屋
しおり「なんもねー部屋・・・」
しおり「とりま・・・ くっそマズい男飯からは逃れたな~」
しおり「兄貴、さっさと帰らせ──」
しおり「・・・・・・」
しおり「家族の幸せ・・・か」
タケルさぁぁあああんッ!!
〇学校脇の道
〇簡素な一人部屋
しおり「案外・・・」
しおり「相性良いのかもな・・・」
もし、
”自分の事”よりも
大切にしたい誰かが出来たなら、
兄貴は”命”を惜しむだろうか
〇団地のベランダ
私に”父親”の記憶はない
初めから”存在しない”のと、
”存在するのにいない”のとでは、
どっちが・・・
『人並みの幸せ』に近いのかな──
しおり「もしかしたら・・・」
しおり「アキが”義理の姉”になったりして・・・」
「キッツいな」
〇団地
〇団地
〇アパートの台所
「うぅ~ん・・・ 朝ごはん~・・・」
美月「何にしようかしらぁ・・・」
美月(い、いま物音が・・・)
美月(あ、空巣・・・!?)
美月(なんでウチなんか──)
まさか例の鎧人の ──
美月(アキラを起こして逃げる・・・?)
── 否、
美月(相手は子供だって話・・・)
美月(ここで取り押さえる──!!)
『美月・The・Myマイク』
緋ノ原家では、
毎月25日の給料日に
カラオケ大会が開催されるのだが、
だいたい歌ってるのは美月だけなのだ!!
美月「このヤロォ────ッ!!!!」
???「ぎゃぁああああっ!!!!!!」
〇アパートの台所
美月「あ、あ、アキラぁ~~!?」
美月「なにやってるのよ、アンタぁ!?」
アキラ「ビビった・・・ マジでビビったよぉ~~・・・」
〇団地
〇明るいリビング
「まさかアキラがねぇ~」
それでは今週のトピックスです
「『朝ごはん作りたい』だなんてねぇ~」
先日の多摩川河川敷における
鎧來種事件で──
アキラ「”あり合わせ”で・・・ 作りたかったんよ・・・」
美月「ド素人が生意気いってんじゃないの」
美月「今晩いっしょにハンバーグ作ろっか」
アキラ「ハンバーグって 人間が作れる物だったのか・・・」
美月「大抵の料理は 人間が考えて作り出したのよ・・・?」
アキラ「いや、てっきり 工場で粉砕した”牛”を丸めてレンチン──」
美月「怖い怖い怖いっ!」
美月「完全に間違ってるとは 言い切れない表現が余計に怖い!」
迅速な駆除にあたった隊員に対し、
表彰する方針で──
アキラ「表彰・・・!!」
アキラ「タケルさん・・・すっげぇ~・・・」
美月「へぇ~そっかぁ~」
美月「それでか~なるほどね~」
アキラ「なにが!? 別に!? ていうか何が!?」
美月「大丈夫、大丈夫、」
美月「仕方ない」
アキラ「だから何がーッ!!」
「ただいま~・・・」
〇玄関内
真澄「疲れた~・・・」
真澄「元気しかねぇな・・・ 我が家は・・・」
〇明るいリビング
アキラ「だ~か~らぁ~~ッ!! まだ全然そーゆーんじゃないんだってッ!!」
美月「はいはい”まだ”ね 分かる分かる、一番楽しい時期よね」
アキラ「なにちょっと遠い目してん──」
真澄「俺はまだ・・・ 完全スルーが切ない年頃なんだが」
美月「あら! おかえりなさい!」
アキラ「・・・・・・」
真澄「アキラ、ただい──」
アキラ「・・・話しかけんなッ」
「・・・・・・」
真澄「心配した・・・」
真澄「無事で良かった」
真澄「事件概要の書類で お前の名前を見つけて・・・」
真澄「すぐお母さんに電話して・・・」
美月「お母さんがね 『こっちは大丈夫だから』って言ったの」
美月「大したケガもなかったし、 入院するわけでもなかったから」
真澄「病院、行けなくて・・・」
真澄「すまなかった」
アキラ「・・・・・・」
それでは今回の表彰にあたり
鎧來種を駆除した──
『藍川タケル』さんの
コメントを一部抜粋して紹介いたします!
〇テレビスタジオ
アナウンサー「『身に余る称賛のお言葉を頂き、」
アナウンサー「光栄に思うと共に 大変恐縮しております」
アナウンサー「自身としては たまたま通報前に通りかかっただけです」
アナウンサー「いち警察官として 人々の安全な暮らしを守る使命に、」
アナウンサー「何ら変わる事はありません」
アナウンサー「鎧來種は 国民の命を脅かす危険な存在です」
アナウンサー「少しでも疑わしいと感じたら 決して迷わず、」
アナウンサー「迅速な通報を よろしくお願い致します』」
アナウンサー「とのコメントでした」
キャスター「いやぁ~ とても謙虚な方ですね!」
キャスター「業務の関係上、 撮影する事は叶いませんでしたが」
キャスター「彼のような 最前線で戦う人達がいるからこそ」
キャスター「日本の治安は守られているのだと、」
キャスター「我々国民は 一人一人が自覚しなくてはなりませんね」
アナウンサー「続いてのニュースです」
アナウンサー「増え続ける鎧來種犯罪の対策として 政府では血液検査の義務付けを検討し──」
〇明るいリビング
真澄「タケル君が助けてくれたんだってな」
アキラ「いま、タケルさんが・・・」
アキラ「毎日ボディーガードしてくれてる」
真澄「・・・・・・」
真澄「明日から学校行かなくていい」
アキラ「なんだよ・・・それ・・・」
真澄「本当にやむを得ないような外出だけ 一緒に来てもらえばいい」
真澄「いくら知り合いだからって過剰だ」
真澄「被害者1人に 四六時中つきまとうのは──」
アキラ「タケルさんはアタシを”守ってくれる”!!」
──タケルさん、
マジでお父さんみたい
アキラ「・・・思い出したみたいに、」
アキラ「”父親”やるんじゃねぇよ・・・」
美月「アキラ」
アキラ「タケルさんなら アタシを守ってくれる」
アキラ「毎日一緒にいてくれる」
アキラ「別にアンタなんか・・・」
アキラ「・・・・・・」
アキラ「”必要ない”」
美月「アキラ!」
真澄「本当にすまない 申し訳ないと思っている」
美月「お父さんだってね」
美月「家族のために 一生懸命、働いてくれてるのよ」
美月「分からない年齢じゃないでしょ?」
アキラ「お母さんまで・・・ なんだよ・・・」
アキラ「そんなに大事な仕事なのかよ」
アキラ「娘の命よりも」
美月「アキ──」
アキラ「使命とか、信念とか、 命かけてるワケでもねぇくせに!!」
アキラ「毎日毎日『疲れた』しか言わねーじゃん」
真澄「・・・・・・」
アキラ「正直に言えよ・・・」
アキラ「その場しのぎで謝んなよ・・・」
真澄「俺は──」
アキラ「どうでもいいと思ってんだろ?」
アキラ「名前だって、」
アキラ「男みたいだもんな」
アキラ「そりゃ『疲れた』って思うよな アタシのせいで毎日大変なんだもんな」
アキラ「本当は子供欲しくなかったんだろ?」
「そんなこと──」
アキラ「死んでた方が都合よかったんだろッ!?」
美月「言っていい事と」
美月「悪い事があるわ」
真澄「俺は・・・」
真澄「お前を”どうでもいい”と 思った事なんか一度もない」
真澄「この先、死ぬまで、」
真澄「たとえ死んでも」
真澄「絶対にない」
〇マンションの共用廊下
しおり「アキ!?」
〇明るいリビング
美月「・・・感想は?」
美月「『本気の反抗期』」
真澄「想像以上にキツい」
今日は晴れ渡る1日となるでしょう!
美月「あの子が生まれてから」
美月「初めて叩いたわ」
真澄「まだ・・・ 名前のこと気にしてたのか・・・」
それでは『今日のワンコ』です!
美月「しおりちゃんのおかげで だいぶ前向きになったんだけどね」
今回のワンコは『モモちゃん』!
美月「ほかに可愛い名前の”戸籍”なかったの?」
真澄「あの子1人ならまだしも・・・ 母子の2人分だったから・・・」
美月「ホントに?」
真澄「あ、いえ、その・・・」
美月「いい加減、スマホ買ったら?」
真澄「最悪の可能性だってある 2人と繋がる物は持てない」
美月「心配性なんだから・・・」
『モモちゃん』はお散歩が
だぁ~い好きっ!
美月「大丈夫よ」
美月「アキラが騎士にバレることは絶対ない」
美月「だからこそ──」
美月「連れ出したんだから」
真澄「万が一だってある」
真澄「タケル君とはいえ・・・流石に・・・」
美月「『正直に言えよ』」
真澄「えっ」
美月「普通に」
美月「イヤなんでしょ?」
ラッキーカラーはグリーン!
憧れの人と両想いになれるチャンス!!
真澄「うるせぇよ、テレビ・・・」
〇原宿の通り
〇カフェのレジ
店員「ようこそ『スターライトカフェ』へ!」
〇都会のカフェ
アキラ「アタシもう、 しおりんちの子供になるぅ~~~ッ!!!!」
しおり「はいはいはい、どうどう・・・」
しおり「思ってたんと違う角度から来たな・・・」
アキラ「なにが?」
しおり「あ、いや別に」
タケル「あ、あのな・・・」
タケル「平日の午前中から 制服の女子2人とスーツの男がだな・・・」
しおり「うるさいっ! 元はと言えば、全部兄貴のせいだかんな!」
しおり「いいからコーヒー買って来いっ!」
タケル「み、身に覚えがなさすぎる・・・」
アキラ「もう家に帰りたくない・・・」
「・・・・・・」
タケル「アキちゃん」
タケル「俺もね」
タケル「母と喧嘩した事があるよ」
タケル「正確には・・・ まだ冷戦中・・・なのかな」
しおり「兄貴・・・」
タケル「嘘を吐いて、騎士になったんだ」
タケル「警察の採用試験に受かったあと」
タケル「『配属希望は一般職にするよ』って、」
タケル「母さんを騙した」
しおり「・・・・・・」
タケル「騎士学校に進むのは 反対されると分かっていたからね」
タケル「正直に話したのは 部隊への配属が決まってからだよ」
アキラ「決まってから・・・って」
アキラ「つい、こないだなんじゃ・・・」
── まぁでも家族の夢が叶うのは嬉しい
アキラ(あの日・・・ それでケーキ買って帰ったのか・・・)
タケル「そりゃあもう、謝ったよ」
タケル「とにかく謝って・・・ ひたすら謝って・・・」
タケル「それでも、認めてはもらえていない」
しおり「・・・・・・」
タケル「表彰されたって仕方ないんだよ」
タケル「一番救いたい人の気持ちは・・・ 裏切っているんだから・・・」
アキラ「タケルさん・・・」
タケル「たとえ家族同士であっても、」
タケル「全ての気持ちに 折り合いがつけられるワケじゃない」
タケル「でも、理解は出来る」
タケル「”折れる”ことは出来なくとも、」
タケル「”思い遣る”ことは出来る」
タケル「アキちゃんだって、 『言い過ぎたな』とは思ってるんだろ?」
アキラ「・・・・・・」
アキラ「・・・うん」
タケル「とりあえず、帰って謝ろう?」
タケル「”謝ること”と、 ”折れる”ことは、同義じゃない」
タケル「互いの気持ちを尊重すれば 見えてくる”距離”だってあるよ」
しおり「兄貴・・・」
タケル「たしかに俺も 真澄さんに挨拶すらなかったのは 礼儀として良くなかったと思うしね」
アキラ「そ、そんなタケルさんは──」
タケル「今度、事件があったら 現場で真澄さんを探してみるよ」
タケル「俺が死んでなかったらね」
しおり「この空気じゃ笑えないっての・・・」
タケル「じゃあコーヒー買ってくるからさ」
アキラ「ありがとう・・・」
アキラ「・・・ございます」
しおり「ケーキ追加で! 『スターライトスペシャルシフォンケーキ』」
タケル「・・・一番高いヤツだろうソレ」
「まったく・・・」
しおり「アキ?」
アキラ「・・・結婚したい」
しおり「ボソッと言うんじゃねぇ」
〇カフェのレジ
店員「ご注文をお伺いしま~す」
タケル「えっと・・・ スターライト・・・なんだったかな」
タケル「あれ?」
店員「なにか?」
タケル「どこかで・・・」
タケル「お会いした事ありませんか?」
店員「・・・ごめんなさい」
店員「よく言われるんです」
店員「男性からは」
タケル「あ、いや、違くて──」
店員「私、そのような遠回しの アプローチには殺意しか覚えませんの」
タケル「ごご誤解ですッ!! そういう意味ではなくてッ!!」
〇都会のカフェ
しおり「なにやってんだアイツ・・・」
アキラ「あぁ・・・ああぁぁ~・・・」
しおり「どしたん?」
アキラ「おのれ清楚系がぁぁああああ~~ッ!!!!」
しおり「情緒どうなってんだよ、お前」
アキラ「結局あぁいうのが全部もってくんだ! どうせアタシは”ゴリラ”だよ!! 可愛くなくてゴメンなさい!!」
しおり「ちょっと落ち着けよゴリラ・・・」
しおり「もう・・・どうすりゃいいん──」
しおり「いぃ~こと、思い付いた」
〇団地
〇明るいリビング
美月「・・・・・・」
〇明るいリビング
真澄「しばらく戻れないと思う」
真澄「アキラを頼みます・・・」
〇明るいリビング
美月「せめて・・・」
美月「あの子が独り立ちするまでは・・・」
「ただいま~・・・」
美月「おかえり!」
美月「も~っ! お母さん1人でハンバーグ作っ──」
〇団地
〇明るいリビング
美月「どちら様ですか!? 警察呼びますよッ!?」
アキラ「アキラだっつーの!! 黒染めしただけでしょーがぁ!!」
美月「誰かぁぁああああッ!!!! 助けてぇぇえええ~~ッ!!!!」
〇空
アキラ「ビビりすぎだっつ~のぉ~~っ!!!!」
〇空
〇山奥のトンネル(閉鎖中)
「はぁ、はぁ・・・!」
???「バカな・・・話が違う・・・!」
〇廃工場
〇ボロい倉庫の中
???「くそ・・・ッ!」
「忘れ物だ」
???「ほら、まだ”残っている”だろう」
???「ぐぁ・・・ッ」
騎士「う・・・くっ・・・」
騎士「通報と話が違う・・・ 『マリオネット』だと・・・」
???「なんの事だ?」
???「剣筋からして お前は5年目という所か」
???「ベテランであればあるほど”良い”・・・」
???「”ヘスティアーゼ”が──」
騎士「ァグッ!」
???「”骨の髄まで”侵食しているからな・・・」
騎士「『騎士狩り』・・・ニカイドウ・・・!!」
ニカイドウ「俺ぁ、そんな名前じゃねぇよ」
騎士「う、うぁぁああああ──ッ!!!!」
ニカイドウ「最近の支給品は ナマクラばかりだな」
騎士「あ・・・あ・・・」
ニカイドウ「お前は疑問を持った事があるか?」
ニカイドウ「鎧化した鎧來種の皮膚は 刃物も銃弾も通さない」
ニカイドウ「”切れる”のは、この剣だけだ」
ニカイドウ「何故だと思う?」
騎士「た、助けてくれ・・・」
ニカイドウ「”折れない”モノはな」
ニカイドウ「”芯”が通ってんだよ」
騎士「も、もう警察は辞職する・・・ だから命だけは・・・」
ニカイドウ「人間と同じだなぁ、オイ」
ニカイドウ「信(芯)念がねぇと、すぐ折れる」
騎士「────ッ!!」
ニカイドウ「地獄に”折れない”秘訣でも持っていけ」
ニカイドウ「鎧來種を殺せるのはな」
ニカイドウ「”鎧來種だけだ”」
ニカイドウ「剣の”心棒”に使われている素材は──」
〇黒
「”背骨”だよ」
「家族」ですねぇ……
きれいにまとまらない心の機微が描かれていて、じんわりしました。点をポツポツ置いて全体像が見えてくるような。
イメチェンは思い切りましたね!🤣
黒髪=清楚の発想??
しかし、芯が「背骨」とは不穏です。えぇ……
セリフ、エフェクト、効果音、キャラの動き一つ一つが丁寧に作られていて凄いです✨
真面目な話の時にTVの付けっ放しは雰囲気をぶち壊しに来ますね🤣『今日のワンコ』からツボでした!
昔からある番組ですよね〜😊モモちゃん!
ニカイドウは打撃や関節技が得意そうですね…!
剣が効かないなんて!😱
続きを待ってます!
凄いですね…やはり映像とBGMも効果音と台詞回しとセンスが素晴らしいです…
個人的にはあのテレビの音が真剣なシーンで混じってるところが好きですね✨😆
あとやはりアキラの恋愛めっちゃ応援しちゃいます💓🥰
アキラのお父さんのところはうるっときましたね…今後二人の関係もどうなっていくのか気になる所です…
そして、最後の不穏なシーンがまた次回への期待が膨らみます!!!!!