目覚めた青(脚本)
〇闘技場
大きな閃光は闘技場内を包みこんで一瞬のうちに消失。
イザーク・フェイン・リッダ「くっ・・・シルビア・・・リトナ・・・」
あふれる水でも薄っすらと見えていた彼女たちの姿は、どこにもなかった。
〇荒廃した国会議事堂の広間
ケルス「──まさか、炎の耐性を付け加えたデス・キラーが殺られるとは」
「油断、というやつかな?」
ケルス「・・・そう、言われても仕方あるまい。だが、奴が獣を宿す者という事はわかった」
???「航路は確実に動き終わりへと向かっているか」
ケルス「軽く言っているように聞こえるが」
???「軽くはないよケルス心苦しいものさ、しかし上に立ち人を束ねるという事は常に険しい決断を迫られるというものだ」
ケルス「そうですな」
???「とにかく今回の件のような事が続かぬことを願うよ」
ケルス「気をつけますよ」
ケルス(しかし、何なんだこの違和感は・・・何かが引っかかる・・・)
〇海辺
アイン・イヨ・リトナ「う、うう・・・の、ど・・・かわいた・・・」
アイン・イヨ・リトナ「こ、こは・・・」
アイン・イヨ・リトナ(まさかっ!)
アイン・イヨ・リトナ(眩しい日差しによって目に入る大きな青いあおい光景、キラキラした反射光・・・)
アイン・イヨ・リトナ「あ・・・あ・・・海だぁぁぁっ!」
シルビア・ヤン・オードリー「う〜ん・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「もう・・・なに今の大声は・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「あっ」
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさん、シルビアさんっ!」
シルビア・ヤン・オードリー「リトナッ・・・って」
シルビア・ヤン・オードリー「ここはっ、海っ!」
アイン・イヨ・リトナ「そそっ、そうなんですよシルビアさんっ、うっ、海なんですよ、海っ!」
シルビア・ヤン・オードリー「きれい・・・」
シルビアは目の前に広がる光景に心の声が止まっていた。それほど心奪われる世界だった。
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさんも、感動ですか?」
シルビア・ヤン・オードリー「え・・・え、そ、そんなこと・・・」
アイン・イヨ・リトナ「少し一緒に泳ぎましょうよ」
シルビア・ヤン・オードリー「ダメよっ!」
アイン・イヨ・リトナ「あうっ」
シルビア・ヤン・オードリー「こんなところで寄り道してる暇ないんだから・・・そもそもどうしてこんな海岸に・・・」
アイン・イヨ・リトナ「じゃあ・・・少し足で浸かるくらいわ〜」
シルビア・ヤン・オードリー「ちょっと・・・まあ、浸かるくらいなら」
アイン・イヨ・リトナ「つめたい、シルビアさんも浸かりましょうよ」
シルビア・ヤン・オードリー「う、うん」
恐るおそる足を着ける。
シルビア・ヤン・オードリー「あ、つめたい、けど、気持ちいい」
アイン・イヨ・リトナ「ですよね〜」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・リトナ、もしかして海はじめてなの?」
アイン・イヨ・リトナ「はい、ずっとおじいちゃんと山育ちで、たまに街に降りるくらいでしたから海には来たことないんです」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・あたしもそう」
アイン・イヨ・リトナ「え、シルビアさんも?」
シルビア・ヤン・オードリー「ずっと街の中で育って、勉強と運命の日々だった。海に行くなんて考えもしなかった・・・」
アイン・イヨ・リトナ「運命・・・」
ウカ・デルマ・ネール((やっぱりいたわね))
アイン・イヨ・リトナ「崩壊を止める・・・」
アイン・イヨ・リトナ「それが大変な目標なのは知っていますが、このどこを見ても青く、きれいな大海原をわずかでも楽しみませんか」
シルビア・ヤン・オードリー「わずか、か・・・うん、そうね」
「ギャザァァァッ!」
シルビア・ヤン・オードリー「なにっ!? サメ?」
アイン・イヨ・リトナ「鮫の魔物のようですね」
シャークファイター「ギイヤァァァッ!」
ウカ・デルマ・ネール((少し様子を見てみましょうか──))
シルビア・ヤン・オードリー「リトナ、背後に!」
アイン・イヨ・リトナ「わかりました」
シルビア・ヤン・オードリー(あたしに注意を引き付けてリトナに攻撃させる!)
ウカ・デルマ・ネール((あの斧を持つ子にとどめを刺させるつもりね))
ウカ・デルマ・ネール((ん、でも様子が変ね))
アイン・イヨ・リトナ「はぁ、はぁ・・・」
アイン・イヨ・リトナ(のどが・・・)
シルビア・ヤン・オードリー「こいつ・・・」
シルビア・ヤン・オードリー(あの爪ナイフよりリーチ長いし受け切れないかも・・・なら魔法で!)
シルビア・ヤン・オードリー「我が両の始と終に、双の刃をあたえよ・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「ハンド・ディーグッ!」
シルビア・ヤン・オードリー「やあっ!」
魔法によって伸びた両爪により両手で受けきるのがたやすく魔物シャークファイターの攻撃を弾いていく。
シルビア・ヤン・オードリー「いまよっ!」
アイン・イヨ・リトナ「はい・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「リトナッ・・・って、ちょっとっ!」
シルビア・ヤン・オードリー(ふらふらじゃない・・・もしかして喉!?)
あの状態では危険と思うも仕掛けるリトナ。
アイン・イヨ・リトナ「やぁ!」
動きの鈍さにシャークファイターが気づいて反撃を仕掛ける。
アイン・イヨ・リトナ「くっ」
シャークファイター「ギャザァァァッ!」
「アクア・マリンウォーターッ!!」
リトナの目の前に強力な勢いの水流が。
シルビア・ヤン・オードリー「な、なによ」
ウカ・デルマ・ネール「フフッ」
アイン・イヨ・リトナ「青髪の、女性・・・?」
二人の後方の海辺に立つ彼女。
ウカ・デルマ・ネール「まだシャークファイターは倒れてないわ!」
同じ水属性のせいかすぐに立ち上がってきた。
シルビア・ヤン・オードリー「やっぱりそうよね」
ウカ・デルマ・ネール「ん・・・これは・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「そうだ、あんた!」
シルビア・ヤン・オードリー「リトナに水魔法で飲ませて!」
ウカ・デルマ・ネール「え、え・・・私ですか? どうして・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「はやくっ!」
ウカ・デルマ・ネール「は、はいっ!」
何がなんだか分からなさそうな顔で青髪の女性はリトナの前に。
ウカ・デルマ・ネール「あ、あの・・・」
アイン・イヨ・リトナ「す、すいません」
ウカ・デルマ・ネール「ははっ」
ウカ・デルマ・ネール「アクア」
手のひらから丸い水の塊に口を付けて飲みだすもすぐ無くなり、また唱えて出された水を飲んでいくリトナ。
シルビア・ヤン・オードリー「あっ、爪が!」
シャークファイター「ギャザッ!」
シルビア・ヤン・オードリー(こうなったらバーンナイフで)
シャークファイターは斧により綺麗に真っ二つ。
アイン・イヨ・リトナ「はぁ、はぁ、シルビアさん、おまたせしました」
シルビア・ヤン・オードリー「喉渇きにも困ったものね・・・」
アイン・イヨ・リトナ「すいません」
シルビア・ヤン・オードリー「でも、ありがとう」
ウカ・デルマ・ネール(このお二人は〜・・・誰? 意味わからないよ〜)