第25話 死地へ(脚本)
〇広い和室
2021年 大阪府 大阪市 道頓堀 民宿おいでや亭 室内
斎王は先程の事を一通り話す。そして満場一致で『堺市』に入ることになったが···
キング「どうやって入る?さっきテレビ付けてみたけど警察びっちり囲ってやがるぜ?」
鸞「それだけじゃない、さっきカラスが戻ってきたが神奈川で俺達を襲ってきた警官いただろ?」
鸞「どうやらあいつが今回の作戦の『指揮』を取ってるらしい。見つかればタダでは済まないぞ···?」
斎王は頭を悩ませ、部屋の中をぐるぐると歩き始める。しかし一向に答えは出ず数十分···
ふとテレビを見るとバラエティー番組が放送されていた。他愛もない罰ゲーム付きの番組
そこで斎王はある事を閃き、鸞とエンチャントに話す。その後凪園とキングにも話し、フェード以外が『作戦』を理解した
鸞「エンチャント···お前そんな事もできたのか···凄いな。まぁこれならいけるな」
キング「俺と凪園のやつもいい案だな、名軍師誕生だなぁおい!」
斎王幽羅「まだ成功するわけじゃない。タイミングを4人で話しあってて、準備が出来たら行こう」
〇繁華な通り
大阪府 堺市 南区中区境界線付近
大勢の警察官達が南区の侵入を許さないと言わんばかりに人の壁を作っており
周囲を警戒していた。そんな警官達の近くでテントが張られており、そこに居たのは···
警官「本当に斎王幽羅達来るんですか···?とても来るとは信じられませんが···」
岡崎 警視正「いや、必ず来る。奴らの仲間の中国人がいるが」
岡崎 警視正「その中国人の命の恩人であり育ての親がこの南区の中にいる」
岡崎 警視正「あいつらは必ず『助け』に来る。斎王幽羅があの土壇場で中国人を助けたように」
岡崎 警視正「奴らはリスクを犯してまでも『情』を取る。まさに『ヒーロー』と言った所か?」
警官「俺ならさっさと国外逃亡してますね。斎王幽羅ってのも案外ただの」
警官「『ヒーロー気取りのガキ』って事ですかね。あっはっはっは!」
そんな中ある警官がとある人物を連れてくる。岡崎は予想通りという表情をし、警官の話を聞く
警官「岡崎警視正!先程そこで不審な男がいたので捕まえた所、斎王幽羅でした!如何なさいましょう」
岡崎はにやにやしながら腰に挿していた銃を抜き取り斎王に突きつけ、話しかける
岡崎 警視正「自分が犠牲になって中国人を助ける気か?いいね、この場で『全裸で土下座』したら見逃してやる」
しかし、そこで予想外の事が起きた。
警官「岡崎警視正!先程そこで不審な男がいたので捕まえた所、斎王幽羅でした!如何なさいましょう」
警官「岡崎警視正!先程そこで不審な男がいたので捕まえた所、斎王幽羅でした!如何なさいましょう」
岡崎 警視正「ど、どうなってる···なぜ『斎王幽羅が増殖している』···!?」
1人、また1人と斎王幽羅検挙の報告をする警官達に現場は大混乱に陥る。
そんな様子を物陰から見ている者たちがいた
〇入り組んだ路地裏
堺市 中区 裏路地
エンチャント魔導法士「見ろ、馬鹿どもが慌てふためいておるわ。滑稽だな」
鸞「あんたの複製魔術と俺の分身の術の合わせ技であの場には『50人以上の斎王幽羅が一斉検挙』される事になるだろうからな」
斎王幽羅「なんか気味悪いから早く終わらせようよ···凪園、キング。お願い」
その言葉に2人は呼応し、キングが肩を回しながら歩き始め
凪園は軽快な足取りで建物を登り、屋上へたどり着く
キング「さーて、やるか··· ··· ···」
混乱状態の警官達に向けキングは大きく息を吸って声を放つ
キング「こっちだポリ公共!かかってこいクソザコがァ!!」
警官達が振り向いた瞬間キングは盾を上空へ投げ、自身の姿を盾に変化させる
凪園無頼「風のビート 『アストライア・ゼピュロス!!』」
凪園はそれを見て風で出来た『女神』を作り出し、盾を警官達に蹴りつける
女神は天秤を高々と掲げる。天秤からは『大竜巻』が2つ生まれ警官達を囲うように吹き荒れる。
盾が地面に接地する数秒前にキングが人の姿に戻り、盾を地面に叩きつける
キング「逃げ場はねえぞ!『太閤石垣障壁(エンペラー・ザ・ウォール)!! 』」
キングは瞬時に盾の姿に戻り、障壁と一体化。まるで『城』を思わせる巨大な石造りの『バリケード』展開し
警官達の逃げ場は無くなった。そしてキングが一体化した障壁から分離し、全員で南区に全力疾走をし
遂に侵入に成功、そして一直線にどこかに向かうフェードに皆がついて行く事に。
そしてとあるBARの前に中国人同士が争っている様子が見えたが
フェード「真麻烦! !(邪魔だ!!)」
フェードが放つ一撃とは思えない『荒々しい剣技』で数十人の中国人達が戦闘不能に
勢いよくBARに入り、斎王達もそれの後を追う。
〇シックなバー
大阪府 堺市 南区 とあるBAR
民主派の中国人「フェードさん、よくぞご無事で。ひとまず掛けてください」
フェードは周りを見た後、男に鬼のような形相で詰め寄る。
フェード「ミンさんはどこだ!?あの人を助けるためにここに来たんだ、私は!」
民主派の中国人「お、落ち着いてください!ミンさんは別働隊で動いてまして···」
フェード「なら別働隊の場所を言え! 赶快!(早く!)」
行動を急ごうとするフェードに斎王は止めに入る
斎王幽羅「フェード、まだほとんどの状態が分かっていないのに行動に移すなんて危険だ」
斎王幽羅「まずは地形と敵味方の場所くらい把握してもいいんじゃないかな?」
フェード「そんな悠長な事をしてミンさんが死んだらどうするつもりだ!こうしてる間にも···ミンさんは戦ってるんだぞ!?」
斎王幽羅「それで俺達が何も分からず突っ込んで、ミンさんの足を引っ張る形になってもいいの?」
斎王幽羅「俺だってミンさんを助けたい。だけど事を急いでいい事なんてない、まずはじっくり『観察』してもいいんじゃないかな?」
斎王の言葉を聞いて少し落ち着いた様子を見せるフェード。ひとまず鸞がカラスを呼び
カラス達に様子を伺わせる事に。数分後三匹のカラスが戻り鸞が餌を与えた後飛び立つ
鸞「数秒だけの確認が複数回あったそうだ、恐らく『建物』を経由して移動している」
鸞「カラス達の情報だと、ゆっくりではあるがここを目指して移動しているそうだ」
フェード「なら今すぐ移動せねば、ミンさんは追われているのだろう」
鸞「いや、下手に動かない方がいい。敵の位置が完全に『把握』出来てない」
鸞「それに凪園とキングが警察達を閉じ込めてるが、あの暴風がいつ静まるかもわからん」
鸞「最悪の場合、戦闘中に挟撃に会う可能性が高い。合流を待って一方の勢力に集中出来るようにした方がいい」
フェード「くっ···真令人沮丧!(もどかしい!)」
エンチャント魔導法士「おい若いの。共産派の中国人達がミンを狙ってるのだろ?どれくらい居る?ミン達を含め民主派はどれくらい残ってる?」
すると中国人は俯きながら静かに話す
民主派の中国人「共産派は確認できるだけで200人、ここに残って戦ってる民主派は40人程度です」
その言葉を聞いたフェードは目を丸くして中国人に聞き返す。
フェード「そんなに···そんなに民主派は減ったのか···?」
民主派の中国人「突然共産派から攻撃があって対抗しようとしたんですが、次々にやられてしまって···」
民主派の中国人「ロンさん···いや、ロンの野郎が指揮をとってるのと『異能武器』がでかいでしょう」
フェード「ロンの異能武器か?どんなものかわかるか?」
民主派の中国人「いえ···ただ、突然『空爆』が起きることがあって···戦闘機の影は見えるんですが···なんの異能なのかさっぱりで···」
それを聞いたキングはなにか思い当たるのか、直ぐさま質問をする
キング「その妙な空爆があった日『雨』降ってなかったか?もしくは水場があったとか」
民主派の中国人「は、はい!確かに雨が降ってました、なぜわかったんですか···!?」
キング「間違いねえ。『虚空の星』だ、石ころみたいな見た目の変化武器だったのを覚えてる」
キング「あいつの異能は『土地の記憶を再現する』能力で、使用者にデメリットもない。ただ···」
キング「『一定量の水』がないと異能が発動できねえ。後、当然のことだが」
キング「そいつも変化武器から人格を消したっていうんだったら湿気で錆びる。錆びが全身に回れば」
キング「『異能は使えなくなる』。だからあまり多用はできねえはずだ」
エンチャント魔導法士「雨雲くらいならワシがどうにでもするが···それだけじゃなさそうだな。外見てみろ」
一同が外を見ると水たまりができていた。天気は曇りだが雨は降っていない
不思議に思う一同であったが、原因は直ぐにわかった
エンチャント魔導法士「みろ、地面から水がちょろちょろ溢れてる。『水道管に亀裂を入れて』水たまりを作ってるな」
エンチャント魔導法士「空爆のおかげで地面のあちこちがぶっ壊れてるし、土の部分は『泥』になってるだろうな」
キング「つまりいつでも異能は発動できるって訳か···どうするよ、斎王」
斎王はこの状況に頭を抱えた。敵の異能武器、圧倒的数の不利、無限湧きするであろう警察達···
何か打開策はないかと思考を巡らせる。そんな中、最悪な事に警察達を囲んでいた暴風が止んでしまう
キング「やべぇな、警察達こっちに来るぞ。どうする?」
しかし警察達は人数を増やしただけで、なぜかこちらには向かってこなかった。そして斎王はとある事を閃く
To Be Continued··· ··· ···