異界転生 ~学校では教えてくれない、世界の救い方~

資源三世

異界決闘 ~盗んだ凶器持って走り出す~(脚本)

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〇体育館の舞台
ぬりかべ「折れた剣に、動きにくい制服、ついでに相手は謎の武器まで持ってる超ハンデ戦か」
ぬりかべ「つまらねぇ真似しやがって」
風紀委員・後輩「彼の所属するグループAは、大企業の子息達の集まりですから」
風紀委員・後輩「みんな、怖がって口出しできないんです」
ぬりかべ「相変わらず卑怯な奴らだぜ」
ぬりかべ「奴自身の実力はどのくらいだ?」
白「力任せの大振りが目立つ、大した実力はないだろう」
風紀委員・後輩「そうなんですが、あのハンマーがとにかく厄介です」
風紀委員・後輩「ハンマーを警戒して間合いを取ると、黒い攻撃がきます」
風紀委員・後輩「かといって、下手に近寄ればハンマーの直接攻撃、それをかわしても黒い攻撃が襲ってきます」
風紀委員・後輩「一度、向こうのペースになったら、攻めるチャンスはありませんでした」
ぬりかべ「俺ならダメージ覚悟の殴り合いに持ち込めばいいが、チビ助じゃ一発で吹っ飛ばされるな」
風紀委員・後輩「勝てるのでしょうか?」
白「心配するな」
白「あの程度、玲緒の敵ではない」
  男はハンマーを上段に構える。いつでも振り下ろせる体勢だ
  対して、玲緒は目を瞑り、両手をだらんと下げて、その場で軽く跳ねるだけ。とても戦う者の姿には見えない
  場内が静まり返り、玲緒の軽く跳ぶ、小さな音だけが響き渡る中、審判が手を挙げる
審判「は、はじめ!」
どうでもいい風紀委員「いくぜ、先手必勝!」
  開戦の号令を合図に、男は巨大なハンマーを振り下ろし──
  そして、勝負は決した

〇体育館の舞台
どうでもいい風紀委員「ははっ、どうだ! これが俺の力だー!」
どうでもいい風紀委員「さあ、審判。さっさと、俺の勝ちを宣言・・・がはっ!」
どうでもいい風紀委員「あれ?」
玲緒「少し、浅かったみたいですね」
  高笑いをあげる男は、リングの外にその体を投げだして倒れていた
審判「じょ、場外! 待て!」
どうでもいい風紀委員「へ?」
性格悪そうな風紀委員「しっかりしろ! やられたのはあなたですよ!」
どうでもいい風紀委員「え?」
風紀委員・後輩「な、何が起きたんですか?」
ぬりかべ「あいつ、ハンマーが振り下ろされる中、正面から突っ込んで斬撃をぶち込みやがったんだ」
風紀委員・後輩「は?」
風紀委員・後輩「言ってる意味がわかりません・・・」
白「理屈は簡単だ。槌が叩きつけられるまでの僅かな時間に、敵の懐に飛び込んで斬撃を撃ち込むという至極、単純なもの」
ぬりかべ「理屈は単純だが、普通は出来ねぇよ。速度はもちろん、敵の攻撃の真っただ中、躊躇いなく踏み込めるもんじゃねぇ」
白「己の技に対する絶対の信頼が、それを可能とする」
風紀委員・後輩「でもハンマーの振り下ろされる真っただ中ですよ?」
白「出来ることに踏み込まぬのは、むしろ度胸がないということだ」
どうでもいい風紀委員「嘘だろ? 頭のネジがぶっ飛んでるのか」
性格悪そうな風紀委員「そんなこと言ってる場合ですか」
性格悪そうな風紀委員「今回は運よく場外まで吹っ飛ばされて命拾いしたけど、次は確実に仕留めに来ますよ」
どうでもいい風紀委員「や、やめてくれ。あんなのともう戦いたくねぇよ」
性格悪そうな風紀委員「ダメですよ。超ハンデ戦で女帝をぶちのめすってのを、裏サイトで触れ回ったんですよ?」
性格悪そうな風紀委員「ここで開始1秒で負けたとなったら、グループから追い出され、カースト最下層待ったなしです」
どうでもいい風紀委員「じゃあ、どうすりゃいいんだよ」
「お困りのようだね」
どうでもいい風紀委員「道具屋!」
ぬりかべ「なんだ、あの仮面の野郎は?」
白「彼奴は!」
白「あの男の放つ剣気。我と勇者をこの地へ送った仮面の男に相違ない」
ぬりかべ「異世界にいるんじゃないのかよ?!」
白「わからん」
白「だが、あの凶器の出どころが彼奴というなら納得だ」
白(今、ここでやり合えば、多くの巻き添えを出す。こちらが手を出せぬ状況で、わざと顔を見せたか)
白「気を付けろよ、玲緒。ここから先、一筋縄では行かんぞ」
仮面「では、活躍を健闘しているよ」
どうでもいい風紀委員「期待通り、女帝をぶちのめしてやるよ」
玲緒「もう、いいのですか?」
どうでもいい風紀委員「あぁ、待たせたな。審判、始めてくれ」
審判「りょ、両者、構え!」
  先ほどと同様に男はハンマーを上段に構え、玲緒は両手をだらんと下げ、その場で軽く跳ぶ
どうでもいい風紀委員「いくぜ」
どうでもいい風紀委員「デッドリードライブ!」

〇空

〇空

〇体育館の舞台
ぬりかべ「なんだ、急に暗くなったぞ」
白「この気配、まさか闇の天蓋か?!」
玲緒「その姿は・・・?」
どうでもいい風紀委員「さあ、始めようぜ!」
審判「ぎゃー!」
玲緒「審判!」
玲緒「試合開始の合図も待たない、審判を狙う。反則お構いなしですか?」
どうでもいい風紀委員「知ったことか!」
玲緒(さっきより振り下ろすのが早い!)
玲緒(黒い柱も、2つ増えた上、時間差で出ますか)
玲緒(制御できてないのか、ほとんど関係ないところに出るけど)
玲緒(先が読めない分、やりにくい)
どうでもいい風紀委員「ちょこまか逃げやがって!」
どうでもいい風紀委員「これならどうだ!」

〇体育館の舞台
玲緒(数を増やした?!)
どうでもいい風紀委員「この数、逃げ切れると思うな!」
性格悪そうな風紀委員「お、おい! こっちまで被害がでてるぞ!」
性格悪そうな風紀委員「がはっ!」
玲緒「黒い柱が観客席まで! 何を考えてるんですか?!」
どうでもいい風紀委員「てめぇがちょこまか逃げるのがいけないんだよ!」
ぬりかべ「お前ら、無事か!?」
風紀委員・後輩「は、はいぃ! なんとか」
白「闇の気配が高まっている! 気を付けろ、魔獣が来るぞ!」
どうでもいい風紀委員「は、ははっ! 化物まででてくるのか。楽しいじゃねぇか! 最高じゃねぇか!」
どうでもいい風紀委員「いつまで逃げられるかな?」
ぬりかべ「こんなの、もう試合じゃねぇ! 助けにいくぞ!」
白「待て」
白「玲緒を見よ。まだあの線の内にいる」
白「試合を諦めておらんぞ」
ぬりかべ「あの馬鹿、いつまで正々堂々に拘ってやがる!」
玲緒「くっ!」
どうでもいい風紀委員「さあリング際まで追い詰めたぜ!」
玲緒「随分と余裕ですね」
玲緒「そんなに腕をプルプル震せておいて」
どうでもいい風紀委員「あ? ちくしょう、なんだこりゃ?」
玲緒「デッドリードライブといいましたか。基本はオーバードライブと同じようですね」
玲緒「制剣の第二抜刀、オーバードライブ。あれは肉体の制限解除。身体能力を極度に向上させますが」
玲緒「慣れないうちは、限界を越えた力に体が耐えられないなんてこともよくあります」
玲緒「そのデッドリードライブを使うと、その限界を超えた体の悲鳴、痛みが認識できないみたいですけどね」
どうでもいい風紀委員「限界を越えて戦えるか。悪くねぇ!」
どうでもいい風紀委員「さあ、限界を超えた俺を相手に、後のないあんたはどうする? さあ、さあ、さあ!」
玲緒「限界を越える意味も分からず、威勢だけは人一倍ですか」
どうでもいい風紀委員「んだと・・・」
どうでもいい風紀委員「てめぇも俺を馬鹿にするのか!?」
どうでもいい風紀委員「どいつもこいつも、表じゃいい顔してすり寄りながら、裏で俺のことを親の権威だけのボンボン息子と笑いやがって!」
玲緒「事実じゃないですか」
玲緒「あぁ、今は親じゃなく、ハンマーの力頼みでしたか」
どうでもいい風紀委員「ふざけんな!」
どうでもいい風紀委員「俺は強い! 強い、強い、強い! 認めて、土下座しやがれ!」
  男はハンマーを大きく振り上げ、それに合わせて魔獣も一斉に襲い掛かる
  そこに、ほんの一瞬、視線を遮る死角が生まれる
玲緒(今!)
どうでもいい風紀委員「消え──」
どうでもいい風紀委員「なっ!?」
玲緒「遅い!」

〇体育館の舞台
どうでもいい風紀委員「ぐわぁ!」
  男はリングの中央へ、五体を投げだし、倒れこむ
どうでもいい風紀委員「な、何が起きた?」
玲緒「ハンマーを振り下ろしたときに生まれた死角を起点に、2,3の死角を伝って距離を詰めただけですよ」
どうでもいい風紀委員「それでも、俺なら反応できたはずだ」
玲緒「あなたは限界を越えて体を酷使したせいで、反応も、体の動きも鈍くなってたんですよ」
玲緒「武器の力を自分の力と見誤ってる時点で、あなたの負けです」
どうでもいい風紀委員「ちくしょう・・・」
玲緒「勝利です」
風紀委員・後輩「や、やりました! 先輩が勝ちました!」
ぬりかべ「気を抜くな! あの怪物共が無数に残っているぞ」
玲緒「いや、流石にこれ以上は厳しいといいますか」
白「これより先は試合ではない。我らがやる!」
ぬりかべ「黒幕がいるのに、お前が動くわけにいかないだろ! 俺がやる!」
白「いや、あの数を相手に主一人では無理だ! やはり我が!」
風紀委員・後輩「わ、私も出来る限りは!」
ぬりかべ「いや、俺がやりたい! 戦いを見てたら、血が騒いでたまらないんだよ!」
白「暴れたいだけの奴に任せられるか! 我がでる!」
風紀委員・後輩「わ、私もいます!」
玲緒「なんでもいいから、早く手伝って!」
着ぐるみ「おう、任せろ」
玲緒「って、猫ちゃん?」
玲緒「それは!」
着ぐるみ「悪くねぇ。借りるぜ」
着ぐるみ「ぶっとべ、ヒャッハー!」
玲緒「今の・・・ まさか、あなた」
白「その剣気は勇者か? どうしたのだ、骨からデカい猫に転生したのか?!」
着ぐるみ「いや、これは被り物だ」
着ぐるみ「骨のまま出歩くなって、あの巻き毛女に渡されたんだよ」
白「ならば、すぐに合流すればよかったものを」
着ぐるみ「そのつもりだったけどよ」

〇体育館の外
着ぐるみ「仮面の男を見つけたんだ。追うしかないよな?」

次のエピソード:異界再会 ~あんなに一緒に戦ったのに~

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