〇学校脇の道
西條　園（さいじょう　その）「はぁ・・・」
北原　そら（きたはら　そら）「ため息をつくお主はどうした」
西條　園（さいじょう　その）「ほら、風が今、部活を頑張ってるでしょ？ だから、私に何か出来ないかなぁって」
西條　園（さいじょう　その）「それで、何をするのがいいかなぁって思ってたの。全然、思い浮かばなくて・・・」
北原　そら（きたはら　そら）「偉い」
西條　園（さいじょう　その）「頑張ってる時の応援はポイント高いから〜」
北原　そら（きたはら　そら）「自分のためか、偉くないな」
北原　そら（きたはら　そら）「そういえば、風は無事に１回戦を勝ったそうな」
西條　園（さいじょう　その）「そうなの？ 良かったー！」
西條　園（さいじょう　その）「・・・って、応援に間に合って無いじゃん、バカものっ!!」
北原　そら（きたはら　そら）「知らんのだが」
北原　そら（きたはら　そら）「ちなみに、次のお相手は部内で１,２を争う強敵だとか」
西條　園（さいじょう　その）「え、嘘っ!?　風、ピンチじゃんっ!!」
西條　園（さいじょう　その）「やっぱり応援に行こっかなぁ・・・、悩むぅ・・・」
北原　そら（きたはら　そら）「応援は駄目と言われてるぞ」
西條　園（さいじょう　その）「そこはもう、ルールを無視して・・・」
北原　そら（きたはら　そら）「迷惑だからやめようか」
西條　園（さいじょう　その）「・・・・・・」
西條　園（さいじょう　その）「こっそり風の部屋に忍び込んで・・・」
北原　そら（きたはら　そら）「犯罪だからやめようか」

〇開けた交差点
北原　そら（きたはら　そら）「ただ、目的はどうであれ、何かしてあげるというのは良い心掛けではないか」
西條　園（さいじょう　その）「でしょっ！ 私だって、風のために頑張るから！」
西條　園（さいじょう　その）「風、どうやったら喜んでくれるかな～」
北原　そら（きたはら　そら）「差し入れ」
西條　園（さいじょう　その）「それいいね！　そら、ないすアイデア！」
北原　そら（きたはら　そら）「適当に言ったのに、採用された」
西條　園（さいじょう　その）「どんなお菓子がいいかな～」
北原　そら（きたはら　そら）「バウムクーヘン」
西條　園（さいじょう　その）「運動してる時にバウムクーヘンなんて食べたら、口の中パサパサになるでしょっ！」
北原　そら（きたはら　そら）「適当なことを言い過ぎて怒られた」
西條　園（さいじょう　その）「やっぱり、ゼリーとかかなぁ。ちっちゃいゼリーをいっぱい作って、あげるとか」
北原　そら（きたはら　そら）「ありだな。風には香から渡して届けてもらうとか、やりようもある」
西條　園（さいじょう　その）「そうだね、どんどん決まってきた！」
西條　園（さいじょう　その）「帰って、早速準備するぞーっ！」
北原　そら（きたはら　そら）「ちなみに、余りはもらえるのか？」
西條　園（さいじょう　その）「一つ、300円ぐらい？」
北原　そら（きたはら　そら）「くそ、いつも見返りを求めていた、つけが・・・っ!!」

〇おしゃれなリビングダイニング
西條　園（さいじょう　その）「ただいまー」
園ママ「あら、おかえり」
西條　園（さいじょう　その）「ママ、今、帰ってきた所？」
園ママ「そうなの。今日は二年目の子が業務をまともにこなさないからその尻拭いを・・・」
西條　園（さいじょう　その）「へ、へぇ～」
西條　園（さいじょう　その）「あ、ママ！　今日、キッチン使ってもいい？」
園ママ「もちろん！ 料理を手伝ってくれるって条件付きでね！」
西條　園（さいじょう　その）「うん、わかった。ありがと」
園ママ「それで、風ちゃんにプレゼント？」
西條　園（さいじょう　その）「うん、１口ゼリーを作ろうかなって！ 風、今ね、部活で大事な試合があって！」
園ママ「それは、風ちゃんだけに作るの？」
西條　園（さいじょう　その）「そのつもりだけど・・・」
園ママ「はぁ・・・、甘いわぁ・・・、こんな子に育てた覚えは無いんだけど・・・」
西條　園（さいじょう　その）「えぇ、そうなの？」
園ママ「いい？　風ちゃんだけに渡したら、風ちゃんが他の子に妬まれかねないでしょ？　だから、ここは部活のメンバー全員分、作るべき！」
西條　園（さいじょう　その）「えぇ、全員分っ!? だって、20人ぐらいいるよ!?」
園ママ「風ちゃんのだけ手作りで、あとの人はその辺の100均のゼリーでいいじゃない」
西條　園（さいじょう　その）「そこは適当なんだ、流石ママ」

〇おしゃれなリビングダイニング
西條　園（さいじょう　その）「頑張って、作るぞー！」
園ママ「おー！」
西條　園（さいじょう　その）「レシピもそこまで大変じゃなさそうだから、ママの言う通り全員分、頑張ってみようかな」
園ママ「その意気ね。関係無い人で試作を作って、風ちゃんのを本番用にしなさい」
西條　園（さいじょう　その）「わかった！」
園ママ「それで、レシピは・・・、サクランボの一口ゼリーね」
園ママ「園も、成長したわねぇ」
西條　園（さいじょう　その）「え、そう？」
園ママ「手間はそこまでかからない上に見た目が綺麗、努力した感じが出るメニューね」
園ママ「味も美味しくなりそうだし、女子力もアピールできる、良いチョイスだと思うわ」
西條　園（さいじょう　その）「でしょ？　丁度いいの見つけたんだー」
園ママ「難点は、さくらんぼだから種が出ることね。それを部活中にどう処理するか・・・」
西條　園（さいじょう　その）「先に切って抜いておくとか？」
園ママ「それだと見た目が悪くなっちゃう、微妙ね」
園ママ「種を出す用の紙を入れておきなさい。そしたら、気遣いの出来る子って思われるから」
西條　園（さいじょう　その）「わかった！　ママ、そんな所に気づくなんて流石だね！」
園ママ「あなたと比べて、くぐってきた修羅場の数が違うのよ♪」
西條　園（さいじょう　その）（ママ、どんな人生を歩んできたんだろう・・・）

〇おしゃれなリビングダイニング
　　～数時間後～
園ママ「園、もうそろそろ出来たんじゃない？」
西條　園（さいじょう　その）「あ、うん！　見てみる！」
西條　園（さいじょう　その）「うん、固まってるっぽい！」
園ママ「じゃあ、何個か味見してみよっか」
西條　園（さいじょう　その）「うん、そうだね！」
西條　園（さいじょう　その）「んっ・・・」
園ママ「うん、うん・・・」
西條　園（さいじょう　その）「うん、美味しい！」
園ママ「悪くないわね、上出来！ これで風ちゃんも喜んでくれるわね」
西條　園（さいじょう　その）「良かったぁ、美味しく出来て。 あとは、これを部活の人に渡して・・・」
西條　園（さいじょう　その）「あ」
園ママ「どうしたの？」
西條　園（さいじょう　その）「どうしよ、部活の人みんなにあげちゃったら、風だけ特別感、出ない!!」
園ママ「なんだ、そんなこと」
園ママ「一番のプレゼントは、好きな人からの応援メッセージ！　それだけあれば問題無し！」
西條　園（さいじょう　その）「あっ、」
西條　園（さいじょう　その）「そっかぁ・・・///」
園ママ「じゃあ、明日のために準備しなきゃね」
西條　園（さいじょう　その）「・・・風、勝ってくれるかな？」
園ママ「絶対大丈夫よ。だって・・・」
園ママ「愛の力は、偉大だからっ!!」
西條　園（さいじょう　その）「そうだよね、ママ!!」

〇教室
西條　園（さいじょう　その）「うぅ・・・」
西條　園（さいじょう　その）（失敗したぁ、ゼリーそのまま持ってきたから、ぬるくなっちゃう・・・）
西條　園（さいじょう　その）（氷で冷やして持ってきたけど、流石に部活の時間までは厳しいよねぇ・・・）
北原　そら（きたはら　そら）「お困りかい」
西條　園（さいじょう　その）「あ、そら！」
北原　そら（きたはら　そら）「ゼリーを作ると聞いていたから・・・」
北原　そら（きたはら　そら）「保冷バックと氷、持ってきたぜいっ!!」
西條　園（さいじょう　その）「え、そら、ありがとーっ！ じゃあ、お言葉に甘えて、使ってもいい？」
北原　そら（きたはら　そら）「ゼリー１・・・、２つと交換でなっ!!」
西條　園（さいじょう　その）「もうっ、絶対にそれ狙ってたでしょっ!!」
西條　園（さいじょう　その）「はい、ゼリー２つ!!」
北原　そら（きたはら　そら）「まいどありぃっ!!」
　　エピソード23
　　「応援パワーっ!!」
　　～　完　～

〇教室
夏海　涼花（なつみ　すずか）「なんかわからないけど、振り返りをしてって香に頼まれたんだよね～」
高ノ宮　百合（たかのみや　ゆり）「振り返りって、何？」
夏海　涼花（なつみ　すずか）「わかんないけど、やってみるか～」
高ノ宮　百合（たかのみや　ゆり）「涼花、ノリ良いよねぇ・・・」

〇教室
高ノ宮　百合（たかのみや　ゆり）「さて、次回の「叫んじゃうほど愛おしい」なんだけどっ・・・」
夏海　涼花（なつみ　すずか）「なんだけど～？」
高ノ宮　百合（たかのみや　ゆり）「ついに、風ちゃんと涼花、因縁の対決っ!!」
夏海　涼花（なつみ　すずか）「風は強いからな～」
高ノ宮　百合（たかのみや　ゆり）「立ち塞がる涼花に、風ちゃんは勝てるのかっ!!」
夏海　涼花（なつみ　すずか）「負けないぞ～」
高ノ宮　百合（たかのみや　ゆり）「苦戦する風・・・、その時、風ちゃんにお菓子とメッセージがっ!!」
夏海　涼花（なつみ　すずか）「美味しそ～」
高ノ宮　百合（たかのみや　ゆり）「勝負の女神はどちらの微笑むのかっ!!」
夏海　涼花（なつみ　すずか）「ニコニコ～」
高ノ宮　百合（たかのみや　ゆり）「次回、「ついに決着っ!!」」
夏海　涼花（なつみ　すずか）「いぇーい」
高ノ宮　百合（たかのみや　ゆり）「はぁ、はぁ・・・」
夏海　涼花（なつみ　すずか）「・・・・・・」
夏海　涼花（なつみ　すずか）「百合も、ノリノリじゃーん」
高ノ宮　百合（たかのみや　ゆり）「私、こういうの手が抜けないの」