泣き虫彼氏は無愛想彼女のために今日も泣く

無知の無知

エピソード11「うぁぁぁぁあああああぁぁぁぁ……」(脚本)

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〇一人部屋
月見 時雨(つきみ しぐれ)「・・・・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「・・・眠くない」
月見 時雨(つきみ しぐれ)(・・・駄目だ、頭の中に後悔ばっか浮かんでくる)
月見 時雨(つきみ しぐれ)「・・・でも、結人の言う通り、最後に思いっきり告白が出来たのは良かったかな」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「・・・さっきよりは、少し気持ちが軽くなったかも」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「・・・結人、からかな」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「いや、違う、陽葵から・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「しかもこれ、メッセージカード!?」
  陽葵『さっきは帰っちゃって、ごめんなさい。時雨の言葉に本気で応えたくて、でも、私は口下手だから・・・』
  陽葵『だから、メッセージに残して、私なりの返事を作ってみたの。読んでくれると、嬉しいな』
月見 時雨(つきみ しぐれ)「な、なんて書いてあるんだろ・・・ 読んで、みよ・・・」

〇居酒屋の座敷席
月見 時雨(つきみ しぐれ)「もう無理、気持ち悪・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「だ、えっと、その・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・だ、大丈夫?」
  陽葵『最初に話したのは、飲み会の時。時雨が偶然、私の隣に座ってくれて嬉しかった! 実は、ずっと喋ってみたくて・・・』
  陽葵『時雨は気付いてないかもしれないけど、あの時、凄く緊張してたんだよ? ずっと時雨の方をチラチラって見ちゃって』
  陽葵『あの時、勇気出した過去の自分を褒めてあげたいの!! だってそのおかげで、時雨と一緒にいれるから!!』

〇川に架かる橋
月見 時雨(つきみ しぐれ)「絶対に陽葵の理想の彼氏になるからっ!!」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「だから、俺と付き合ってくださいっ!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・は、はい、こちらこそ」
  陽葵『人生って、何が起こるかわからないんだね。だって、気になってた人から告白されちゃったから!!』
  陽葵『昔からずっと、「愛想が悪くて彼氏なんて作れるの?」って言われた私に、こんなかっこいい彼氏が出来るなんて!!』
  陽葵『・・・これは今だから言えるけど、あの時は半信半疑だったの。興味本位? 遊び半分? 疑っちゃって、ごめんね』

〇川に架かる橋
月見 時雨(つきみ しぐれ)「大丈夫? 寒くないか?」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「大丈夫!」
  陽葵『時雨と付き合ってから、毎日がすっごく楽しくなって、キラキラして見えたの!! ただの帰り道もすっごく楽しくて!!』
  陽葵『この時になって、毎日毎日ちょっとずつ実感してきたの。あ、私、時雨の彼女になったんだ・・・って♪』
  陽葵『ただ、私は口下手だから、あんまり上手にお話しすることが出来なくて・・・、時雨は楽しんでくれていたかな?』

〇カウンター席
月見 時雨(つきみ しぐれ)「そっか、陽葵もわからなかったんだ・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「俺だけわからないのかと思ってた、 なんか安心しちゃった」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・私も、ホッとした」
  陽葵『今だから、言います。実は私、デートは楽しさよりも緊張が勝ってたの。変な姿を見せちゃったらどうしようって・・・』
  陽葵『映画デートの日なんて、映画の中で寝ちゃって、失敗したなぁって思って・・・。本当に後悔して・・・』
  陽葵『時雨は、そんな私も明るく笑い飛ばしてくれて。その時、心が軽くなったの。デートって楽しいって思うようになって!』

〇観覧車のゴンドラ
月見 時雨(つきみ しぐれ)「こんな彼氏だけど、これからもよろしくな!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・///」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「時雨、好き・・・///」
  陽葵『遊園地デート、あの日は自分でもびっくりしちゃった。まさか、自分から、その、キスをおねだりしちゃうなんて///』
  陽葵『あの時の時雨の顔、胸のドキドキ、絶対に忘れない。っていうか、忘れられない!! だって、本当に嬉しかったから・・・』
  陽葵『一つ思ったこと。時雨はいつも私のことを楽しませようとしてくれるってこと。私、甘え過ぎちゃってた? 大丈夫だった?』

〇ゲームセンター
月見 時雨(つきみ しぐれ)「取れたぁ!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「すごい、おめでとう!!」
  陽葵『ゲームセンターデート、時雨へのお返し!! いつも色々頑張ってる時雨が楽しめるように、色々考えたの!!』
  陽葵『でも、結局ぬいぐるみ取ってもらっちゃったんだよね。あのぬいぐるみ、毎日抱いて寝てるよ』
  陽葵『あの時の時雨、本当に楽しそうだったな~。時雨が楽しそうにしてたから、私も、すっごく嬉しくなっちゃった!』

〇女性の部屋
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・すっごく、残念」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「え、あ、いや、ご、ごめん・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「・・・マジで、ごめん」
  陽葵『・・・この話は、しなきゃだよね。この前のお家デート、初めてデートで悲しいって思っちゃった』
  陽葵『でも、あれは私が我儘だったと思うの。時雨に早く愛してもらいたくて、安心したくて、時雨のペースも考えなくて・・・』
  陽葵『お姉ちゃんからは、「時雨君は陽葵を傷つけるのが怖いんだよ」って。合ってるよね? 私に魅力が無いんじゃないよね?』
  時雨『・・・この話はお終いにしよっか。次は、時雨が怖いなんて感じないぐらい、私を好きにさせればいいだけだもんね!!』

〇黒
  陽葵『時雨、今更なんだけど・・・』
  陽葵『私の彼氏になってくれて、本当にありがとう!! 私、本当に幸せだよ・・・』
  陽葵『でも、一つだけ怒ってること! 少しだけ付き合うなんて、時雨はそれでいいの!? 私はもっといっぱい付き合いたい!!』
  陽葵『だから、ずっとずっと、一緒にいようね。こちらこそ、よろしくお願いします!』
  陽葵『・・・私も、時雨の理想の彼女になるから、ね?』
  陽葵『時雨は十分、私の理想の彼氏だけどっ!!』

〇一人部屋
月見 時雨(つきみ しぐれ)「ぁ、ぁ、ぁっ・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「ぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「ぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁああぁぁぁぁ・・・!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

〇女性の部屋
朝喜 陽葵(あさき ひまり)(・・・時雨、読んでくれてるかな)
朝喜 千華(あさき ちか)「ごめんね、急に入ってきちゃって」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「お姉ちゃん・・・」
朝喜 千華(あさき ちか)「時雨君が来てるよ、玄関の前を行ったり来たりしてる」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・時雨っ!?」
朝喜 千華(あさき ちか)「行ってあげたら?」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「う、うんっ・・・!」

〇綺麗な一戸建て
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「し、しぐれ・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「ひ、陽葵っ!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「し、しぐ・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「ひまりぃぃぃぃいいいいいぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「し、時雨、抱きつ、くるしぃ・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「ひまいぃぃぃぃいいいいいぃぃ!!!!!!!!!!!」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「めっせーぃえんぶぉんだっ!! まじですきでゃ!! ほんとうにひまぃのことがずぎでずぎで・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「だいずぎなんだぁぁぁぁああああぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・泣き過ぎ、なの」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「おばえびじょうのがのじょなんでびねぇよっ!! じぞうのがのじょだぅ、ひまぃがっ!!」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「ぜってぇぇぇばなざねぇぇがらっっ!!!!  べっべぇぇばばばべぇぇぇええええええ!!!!!!!!!!!!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・ほとんど、聞き取れないの」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・でも、ありがとう」
朝喜 千華(あさき ちか)「あ、あのぉ・・・。 お取込み中に悪いんだけど、せめて家の中で・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「ずいばぜんでじだぁぁぁぁぁ、ずぐにがえびばずがだぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
朝喜 千華(あさき ちか)「え、なんて?」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「すぐに帰ります・・・?」
朝喜 千華(あさき ちか)「聞き取れるのすご・・・。 あ、いや、雨も酷いし、一旦家の中に、ね?」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「いや、ぐす、めいわぐ、がげるわけにはいかないので、がえじまず・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・私が、時雨の家に行く?」
朝喜 千華(あさき ちか)「あ、いいじゃん。 着替えて行ってきなよ」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「部屋が、荒れてて・・・、ここ最近、何もしてなくて・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・関係、無いよ」
朝喜 千華(あさき ちか)「陽葵はそんなんじゃ止まらないよ、頑固だからね~」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・泊まるよ?」
朝喜 千華(あさき ちか)「じゃあ、話が終わったら一旦戻ってきてね。パパとママには私から話しておくから」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・うん!」
朝喜 千華(あさき ちか)「あと、時雨君、タオル取ってくるから。 風邪と警察には気をつけるんだよ~」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・時雨、来てくれたんだ」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「体が勝手に・・・、迷惑かけて、本当にごめん、ごめん、ごめん・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・うん、すっごく迷惑だったの」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・寝巻で来てるし」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「ごめんなさぃぃぃぃいいいぃぃぃ・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・罰として」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・今晩は、甘えさせて///」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「それは、ご褒美だろぉぉおおぉぉ・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「泣き虫な時雨、初めて見た・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・新しい一面、発見♪」

〇黒
「・・・これからも、よろしくね」
「もちろんだよぉぉぉおおおおぉぉぉ・・・」
  『泣き虫彼氏は
  無愛想彼女のために
  今日も泣く』
  ~おしまい~

〇川に架かる橋
月見 時雨(つきみ しぐれ)「・・・・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「・・・雨、強いな」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・うん」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「偶然、折り畳み傘を持ってて良かったー!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・私、は忘れたの」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「さっき、傘が鞄に入ってたの見えたけど?」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・嘘なの」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「まったく、陽葵はちゃっかりしてんな」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・えへへ」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「・・・・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あ、大丈夫か? 寒くない?」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・大丈夫、時雨は?」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「俺は・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「ちょっと寒い、寒がりでさ・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・じゃあ、私も傘、差すね」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あー、もうちょいで別れ道だから、そこまで!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・わかった」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「・・・・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「じゃあ、ここでお別れだな」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・うち、来てもいいよ?」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「え、マジ? じゃあ・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「今日、バイトだぁぁぁあああぁぁぁ・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・そっか、残念」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「ぁぅぁぅ・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あ、バイト終わり、うちに来る? ちょっと夜遅いけど」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・それ、ありなの」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「おっけー! 部屋、ちょっとだけ片付けとくわ」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・気にしないのに」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「じゃ、また後で!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・うんっ!」

次のエピソード:おまけ

コメント

  • 完結おつかれさまでした🙌
    ずっと不安や後悔、反省で泣きまくってきた時雨クン、最終回は会心の嬉し涙ですね✨ よかったー😂
    文字のみならず、視覚や聴覚からも時雨クンの感情がダイレクトに伝わってきました😊
    ステキなお話をありがとうございました🙇‍♀️

  • 完結お疲れ様でした!
    終始歯車が噛み合わない二人がお互い勇気を出すことで最後に動き出し最高のハッピーエンドに😭時雨の涙はいつも陽葵の為に流されて本当に好きなんだなぁといつも思ってました。🥹素晴らしい作品をありがとうございました!

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