魔報士の戦場

ぽんたろう

第12話『見えぬ雨、晴れる空』(脚本)

魔報士の戦場

ぽんたろう

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〇荷馬車の中
ビルデ「何だと?あいつが、ここに残って S級モンスターを食い止めるだと!?」
リユ「今、レセ君から連絡がありました だから、早く逃げろと」
ビルデ「俺が逃げたりしたら 世間からの笑いものだぞ」
カタリナ「本当は行きたいんでしょ?」
リユ「カタリナさん?」
ビルデ「そんなわけないだろ!」
カタリナ「あなただって、武器に頼ることなく 毎日鍛錬に励んでたんでしょ」
カタリナ「レイドさんに見せつけるために」
カタリナ「あの武器が無くても あなたは強い」
ビルデ「気づいてたのか」
ビルデ「今こそ、あいつに俺の成長ぶりを見せる時だ」

〇荒地
レイド「さて、もう少し先で戦うとするか」
レセ「本気ですか!?」
レイド「ああ」
レイド「援軍を待っているようでは あの町は助からない」
レセ「ですけど!」
レイド「時間稼ぎぐらいはして見せよう」
レセ「レイドさんが犠牲なることはありません!」
レイド「ありがとう」
レイド「でもね、私は前から贖罪がしたかったんだ」
レイド「あのとき、私がやってきた 傲慢な振る舞いの贖罪をね」
レセ「そんなこと! 後でいくらでも出来るじゃないですか!」
レイド「いや、今しかないだろ」
レイド「この命を賭すに十分なシチュエーション」
レセ「レイドさん」
レイド「久しぶりだな」
レイド「この感覚」
レイド「忘れていたよ」
レイド「傍若無人に荒ぶっていた頃 私は名声を上げることに必死だった」
レイド「大きな成果を獲得するために必至で」
レイド「そのために、小さな犠牲ぐらいなら 平気で切り捨てた」
レイド「特に最初からの仲間だったビルデには 悪いことをした」
レイド「その犠牲とした者たちのために 私は命を賭けなくてはならないのだ」
レイド「ビルデには生き残ってほしい」
レイド「クズな人間が信頼を回復するためには 命をかけるしかないんだ」
「その言葉偽りじゃないだろうな?」
レイド「ビルデ」
レセ「逃げたんじゃないんですか?」
ビルデ「貴様だけ英雄にはさせん」
レイド「そうか」
レイド「共に戦ってくれるのか」
ビルデ「共通の敵がいるだけだ」
ビルデ「それが終われば今後一切関わることはない」
レイド「それでいい」
レイド「じゃあ、いくぞ」
ビルデ「命令するな」
レイド「そうだな、悪かった」
レイド「レセ君、君は帰りたまえ」
レセ「断ります!」
ビルデ「お前は魔報士だろ」
ビルデ「死ぬぞ」
レセ「今ここに魔報士は俺しかいません!」
レセ「俺が二人の勇姿を大陸に届けます!」
レイド「止めても無駄なようだね」
ビルデ「好きにしろ、死んでも自己責任だからな」
レセ「はい!」
レイド「成長したねレセ君」
レイド「お互い頑張ろう」

〇源泉
レイド「天気はいいな」
ビルデ「その方が視聴者には見やすくていいだろ」
レイド「そうだな、よろしく頼む」
ビルデ「足を引っ張るなよ」
レイド「その言葉、返されてしまったな」
レイド「昔、私がビルデに掛けた言葉だ」
ビルデ「貴様のために辛酸を舐め、泥水をすすり ここまで這い上がってきた」
ビルデ「貴様に、俺の変わった姿を 実際に見せるためにな」
レイド「なら、見せてもらおうか」
レイド「ビルデ、君の実力を」
レイド「私もこの3年間無闇に コソ泥をしてきたわけではない」
ビルデ「いいだろう」

〇源泉
レセ「何なんだ、この2人の迫力は」
レセ「どうしてもこの現実を大陸中に 見せないといけない!」
リユ「私にも手伝わせて」
レセ「リユ?」
レセ「逃げたんじゃないのか?」
リユ「私もここに残って 魔報士としての仕事を全うするよ」

〇結婚式場前の広場
町長「みなさん、落ち着いて! 兵士の誘導に従ってください!」
町長「先発の避難は 女性子供、お年寄りでお願いします」
町人A「町長!これを見てください!」
町長「今、テレブを見てる余裕はないぞ!」

〇源泉
レイド「準備は万全だ!」
ビルデ「何としても食い止める!」
レイド「命にかえても あのブルムを死守して見せる!」

〇結婚式場前の広場
町長「この町のために、命を投げ出す覚悟なのか!」
町人A「ビルデさん、一度は断っておいて 戻ってきてくれたんですね」
町人B「確か、レイド・ルーツバって 何年か前に一世を風靡した冒険者ですよね!?」
町長「そうか、どこかで聞いたことある 名前だったはずだ」
町長「その2人が戦うんだ!」
町長「きっとこの町は危機を回避できるはずだ!」
町長「私は残る!」
町人A「町長」
町長「何もない町から誰もいなくなったら 本当に何もない町だからな」

〇上官の部屋
メリティス「急に放送しろとビルデに言われたから 何かと思えば、まさかのS級とはな」
メリティス「もはや、止めても聞く耳は持つまい」
メリティス「そして、あの二人の共闘を 見ることが出来るなんて思わなかった」
メリティス「その町を救えるのは お前たちしかいない」

〇可愛らしいホテルの一室
エイリ「レイド!」
エイリ「それにビルデ、、、」
エイリ「これ、撮影してるのはレセ君だよね?」
エイリ「僕の嫌いだったビルデでさえ戦っている」
エイリ「僕はこのまま逃げていいの?」
エイリ「また、大事な人たちとお別れしちゃうの?」
エイリ「そんなの嫌に決まってんでしょうが!」

〇空
S級モンスター「②6亞4l"rew」

〇源泉
レイド「来たぞ!」
ビルデ「初撃の割に、なんていう威力だ!」
レイド「ああ!これは挨拶程度だろう!」
レイド「だが、やらせん!」

〇荒地
エイリ「間に合ったみたいね」
リユ「エイリちゃん、どうしてここに!?」
エイリ「そりゃあ、もちろん、歌うためだよ」
リユ「危ないよ!」
エイリ「今ね、すごく歌いたい気分なの」
エイリ「歌ってあげる」
リユ「エイリちゃん」
エイリ「引退前の最高のシチュエーションじゃない?」
リユ「すごい」
エイリ「私の歌ってる姿を映してね」
リユ「それだと中継が」
「それなら、アタシがやってあげる」
カタリナ「久しぶりだけど、中継技術は得意よ」
リユ「カタリナさん!?」
リユ「でも、カタリナさんは!」
カタリナ「私もあなたたちと一緒で 魔報士だよ」
リユ「そうだったんですか!?」
カタリナ「一応ね、期待していいよ」

〇空

〇源泉
レイド「剣技が塞がれた!?」
ビルデ「さすがS級だな」
ビルデ「少し短いが仕方ないな」
レイド「お前、その剣」
ビルデ「勘違いするな」
ビルデ「使い捨てのために取っておいたものだ」
レイド「そうか」

〇荒地
エイリ「・・・・・・」
エイリ「さあ、戦え」
エイリ「友のために」
エイリ「お前を信じる友のために」

〇空

〇源泉
レイド「くっ!」
ビルデ「障壁を使ったとはいえ なんという威力だ!」
レイド「あと一発来たら ひとたまりもないぞ」
レイド「また一撃くるぞ!」
ビルデ「ちっ!」
レイド「障壁、間に合ってくれ」
レイド「間に合わない!」
ビルデ「ここで死ぬのか!」
レイド「なんだ!?」
ビルデ「あの強大な一撃を完全に防ぎ切った!?」
「あんたら、僕にここまでさせたんだから 勝たないと絶対許さないからね!」
レイド「なるほど」

〇荒地
エイリ「歌い続けてあげる!」
エイリ「さあ、思う存分暴れな!」

〇源泉
レイド「すごい力が漲ってくる」
ビルデ「こんな感覚初めてだ」
レイド「これが歌姫の力か」
ビルデ「自分の実力で倒せないのは仕方ないが 最高のシチュエーションだ」
レイド「この好機を逃すな!」
ビルデ「分かってる!」
ビルデ「もはや、出し惜しみしてる場合じゃないな」
レイド「お前、それ壊れかけじゃないのか?」
ビルデ「あと一撃だ」
ビルデ「それしか、もたない」
レイド「充分だ」
レイド「存分に一撃を打て」
レイド「俺の全身全霊の力を注いでやる」
ビルデ「ミスるなよ」
レイド「ああ」
レイド「いけええ!」
ビルデ「出し惜しみなしだ!」

〇空
S級モンスター「!?a4」すうdn#」

〇源泉
レイド「終わったのか?」
ビルデ「らしいな」
ビルデ「おかげで、グレガラダスは 完全に壊れてしまったな」
ビルデ「所詮こんなものだ」
レイド「お互いよく生き残ったな」
ビルデ「ああ」
レイド「俺にはD級を倒す余力すら残ってない」
ビルデ「同じだ」
レイド「そろそろ夜明けか」
ビルデ「なあ」
レイド「どうした?」
ビルデ「グレガラダスが壊れた上に 他の護衛たちもいなくなってしまった」
ビルデ「腕のいい冒険者を探そうと思うんだが」
レイド「お前、それって」
ビルデ「どうなんだ? 俺の前にちょうど契約のない冒険者がいるみたいだが?」
レイド「受けよう」

〇結婚式場前の広場
町長「やってくれたぞ!」
町長「レイド殿とビルデ殿が!」

〇荒地
リユ「やったね」
リユ「エイリちゃん、凄かったよ」
エイリ「ありがとう」
レセ「お疲れ様」
「お疲れ様」
レセ「どうにかなるもんだな」
リユ「本当だね」
エイリ「ていうか、レイドたちに 話しかけ行かなくていいの?」
レセ「今、2人で話してるから 邪魔しないようにこっち来た」
リユ「そうなんだ」
レセ「どうやら、何か決まったらしいな」

〇城の客室
カーライン「あの魔女め!」
カーライン「失敗しやがって!」
カーライン「かはっ!」
カーライン「血だと?」
カーライン「意識が」

〇城壁
魔女「ちっ、歌姫の力を侮っていたのが敗因だ」
魔女「面白いものを見せてもらったから 良しとしよう」
魔女「また次の機会を楽しみにしようか」

次のエピソード:最終話『ラスト公演』

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