第7話『古代都市ジャルゼーン』(脚本)
〇荒廃した街
古代都市ジャルゼーン
〇荒廃した街
エイリ「ここが”古代都市ジャルゼーン”」
レイド「1000年前の都市とはいえ 異質な形をしているね」
エイリ「レイドは来たことあるの?」
レイド「そりゃあ、何度かね」
レイド「魔報士にとって 聖地みたいなところだ」
レイド「まあ私は遺物探しがメインだけどね」
レイド「20年前にメリティス・ロックスによって 発見された」
レイド「そして、その際に”情報伝達魔法”の 復活にも成功した」
レイド「大陸の文明を一気に向上させた大発見だ」
エイリ「ホント、凄いよね」
エイリ「ここで目的のもの見つかるかな」
レイド「調べ尽くされてるだろうからどうだろう」
〇荒廃したセンター街
エイリ「凄い!多分繁華街だね!」
レイド「学説でもそう言われてるな」
エイリ「健在の時に来たかったな」
エイリ「懐かしい」
レイド「懐かしい?」
エイリ「こっちの話」
〇荒廃した国会議事堂の広間
エイリ「確か、こっちだったはず」
レイド「知ってるのか?」
エイリ「ちょっとメリティスに教わったの」
レイド「メリティスさんがどうかしたのか?」
エイリ「うん」
エイリ「ここの秘密について教えてくれたの」
〇謎の部屋の扉
エイリ「ここだ」
レイド「こんなこところに扉?」
レイド「こんな隠し部屋があったなんて知らなかった」
エイリ「特殊な魔術でしか 入れないようにしてるんだって」
エイリ「普通の人にはただの壁にしか見えない」
レイド「なるほどね」
〇英国風の図書館
エイリ「すご!」
レイド「これが隠し部屋」
エイリ「これを持つ者しか辿り着けない」
エイリ「そして、中央に1枚のティスク」
レイド「こんなものがあるのか」
エイリ「これを見に来たの」
エイリ「レセ君、ディスク見たいから そのキャメラ貸して!」
ああ、了解
〇英国風の図書館
ミドライマ「私はジャルゼーンの元首 ミドライマである」
ミドライマ「この動画を見る者へ」
ミドライマ「この動画を見ているということは 貴君は私の忘却魔法を突破したということだ」
ミドライマ「相当優秀な魔術師と解釈させてもらおう」
ミドライマ「そして、我が国家の繁栄と衰退ぶりに 疑問を持っているはずだ」
ミドライマ「単刀直入で言わせてもらおう ”情報伝達魔法”によって 我がジャルゼーンは滅びることになった」
〇英国風の図書館
エイリ「情報伝達魔法で滅んだ?」
レセ「そんなまさか」
〇英国風の図書館
ミドライマ「情報伝達魔法がどんなものか この書庫に眠る文献を見れば分かるはずだ」
ミドライマ「我々は情報伝達魔法によって お互いを監視し、憎み合うようになった」
ミドライマ「これは禁忌の魔術だったのだ」
〇センター街
市民A「てめえ!俺をキャメラで付け狙ってるだろ!」
市民B「うるせえ!てめえが金返さないから、その本性を暴いてるだけだ!」
そこに歪んだ正義がはびこり
〇西洋風のバスルーム
市民C「誰か撮影してるの!?」
良俗など無視され
〇城の客室
貴族A「それでは今回の件は内密でお願いします」
軍人A「もちろんです」
軍人A「誰かそこにいるのか!?」
疑心暗鬼に陥れた
〇英国風の図書館
ミドライマ「最初は娯楽、情報伝達など 便利なもの程度に考えていた」
ミドライマ「結果我々はありもしないキャメラに怯え 隠されたキャメラに私生活を抜かれ お互いを憎しみ合うようになった」
ミドライマ「皮肉である」
ミドライマ「世界最高峰の知恵と技術を過信したあまりに 秩序は乱れ道理は失せた」
ミドライマ「我々は滅びゆくだけだ」
ミドライマ「今まさに屋外では内乱が起こり 昨日まで友であった者同士が罵り 今日まで師弟であった者同士が殺し合う」
ミドライマ「残酷な光景が広がっている」
ミドライマ「まだ救いなのは”情報伝達魔法”が 閉鎖的都市であったジャルゼーン内のみに とどめていたことである」
ミドライマ「これから私はジャルゼーンの過ちを 世界で繰り返さぬように」
ミドライマ「有志と共に”忘却魔法”を使い この都市を封印させる」
ミドライマ「我がジャルゼーンは滅びるだろう」
ミドライマ「しかし、世界が滅びることに比べれば 些細な犠牲と言える」
ミドライマ「もし、貴君がこの封印を解き ”情報伝達魔法”を復活させるのであれば」
ミドライマ「我々の過ちを2度と繰り返さぬように 思慮深く行動してほしい」
ミドライマ「”異世界より伝わったこの技術”」
ミドライマ「我々にはまだ早すぎたのだ」
ミドライマ「だから決して侮ってはいけない」
ミドライマ「我々と同じ悲劇を繰り返さぬことを祈る」
〇英国風の図書館
レセ「なるほど」
レセ「情報伝達魔法が秩序を乱したのか」
エイリ「だから、メリティスは 魔報士を作って使える人間を限定したんだね」
レイド「我々がこうして娯楽として使えるのも 古代人の犠牲によるものだったんだな」
エイリ「こんな大事なこと、メリティスは 秘匿してるんだろう」
エイリ「公開すれば、みんな気を付けると思う」
レセ「多分、そんな危険なもの 誰も使いたがらないだろ?」
レセ「少なからず反対するものが出てきて 争いの種になるかもしれない」
レセ「都市を一つ滅ぼしてるんだ」
レイド「だから、情報伝達魔法に関しては 厳しく法律と制限を作り出したんだね」
エイリ「そっか」
エイリ「この便利なものから もう離れられないよね」
エイリ「知らない方が幸せなこともあるんだね」
レイド「あとこの情報伝達魔法が 異世界から来たということも 影響していると思う」
エイリ「そうだね」
レイド「やはり印象は良くないな」
レセ「異世界の技術か魔術で 都市が滅んだんだからな」
エイリ「これは僕たちだけの秘密にしよう」
エイリ「メリティスもごく一部の信用できる人間にしか教えていないらしいし」
レセ「そんなこと、新米魔報士の俺が 知って良かったのか?」
エイリ「僕の責任で許可を貰ってるよ」
エイリ「もちろん、このことは 死ぬまで黙っていてもらうけど」
レセ「分かった」
レイド「冒険者の義務として 発見者の意思は遵守する」
エイリ「2人ともありがとう」
エイリ「でも、来て良かった!」
エイリ「知りたかったことも知れたしね」
レセ「ああ、俺も見ることができて良かった」
レイド「貴重なものを見ることが出来て感謝するよ」
〇テントの中
レセ「歴史的動画を見れるなんて思わなかったな」
レセ「あの部屋探せば、もしかしたら 当時のエロ動画が見つかるかもしれない!」
レセ「明日もう一度探すか」
エイリ「たのもーーー」
レセ「エイリどうしたんだよ!」
エイリ「寝付けなくてさ」
エイリ「あんなの見た後で落ち着かないのかな」
レセ「俺もだ」
レセ「なあ、エイリ」
エイリ「ん?」
レセ「お前、もしかして 異世界の人間なのか?」
エイリ「そうだよ」
エイリ「僕は11年前」
エイリ「この世界に来たの」
レセ「もしかして、あの日か!?」
エイリ「そうだよ」
エイリ「君と出逢った日」
エイリ「僕は異世界から来たの」
エイリ「魔術なんてなく 科学が発達した世界からね」