第8話『魔女の陰謀』(脚本)
〇暖炉のある小屋
カーライン「誰かに見つかっていないだろうな?」
魔女「無論だ」
魔女「果たして、私を呼んだからには 理由があるんだろ?」
カーライン「歌姫のエイリを事故に見せかけて 暗殺してほしい」
魔女「ほう」
魔女「そんなことすれば、大陸中が大騒ぎになるぞ」
カーライン「構わないさ」
カーライン「異世界人の分際で目立ち過ぎた」
魔女「随分と異世界人のことが嫌いのようだね」
カーライン「この世界の中心的存在でいていいのは この世界の人間だけだ」
魔女「気に入ったよ」
魔女「庶民の星が突然亡くなったら 大陸は大混乱に陥り楽しいことになりそうだ」
魔女「では、どうしてくれようか」
カーライン「少しばかり面倒な冒険者が味方についている」
カーライン「だが運に見放され、落ちこぼれの男だ おそらく問題ないだろう」
カーライン「そこだけ突破すれば問題ない」
魔女「では、力技で抑えるとするか」
「段取りは任せる。頼んだぞ」
魔女「単純な男だね」
魔女「私が異世界人を呼んでいるのも気づかずにさ」
〇山道
エイリ「いやー、目的の一つは達成したし あとはグレーシア行って慰問するだけだ」
レセ「ていうか、馬車使わないのか?」
エイリ「レセ君は分かってないな」
エイリ「情緒ってやつをさ」
エイリ「冒険の旅といえば 徒歩って決まってるんだよ」
レセ「歌姫は意外と庶民派なんだな」
レイド「私が全盛期の時は 馬車なんて当たり前だったのに感心だ」
レイド「でも、危険を考えたら 馬車の方が安全なんだけどね」
エイリ「だから、優秀な冒険者雇ったんじゃん」
レイド「そりゃ、どうも」
レイド「だけど、久しぶりの大勢での旅は楽しいな」
レセ「確かに」
エイリ「どうせだったらダンジョン攻略してみたいな」
レイド「鑑定士もいないし危険だな」
エイリ「ですよねー」
エイリ「あそこ、見て! 何かあるよ!」
レイド「ん、あれは?」
〇古い洋館
エイリ「こんなところに館があるよ!」
レイド「ダンジョンだな」
レセ「建物型初めて見たな」
エイリ「入ろう!」
レイド「言うと思った」
レイド「だから鑑定士いないんだって」
エイリ「そんなこともあろうと 用意してるんだな」
レイド「グリモア」
エイリ「そそ、この日のために用意したんだ」
エイリ「これがあれば鑑定士なんていらない!」
レセ「これ高いんだろ? 鑑定士の代わりに ダンジョン鑑定してくれるからさ」
エイリ「金なら任せろ」
レセ「さすが、歌姫」
エイリ「これなら安心でしょ?」
レイド「ああ、たまにある変異型じゃなければな」
レセ(ルオン、グレン、ナナリー)
エイリ「よし、早速使ってみるぞ!」
エイリ「鑑定石!教えて! あのダンジョンは安全?」
エイリ「青だから安全だね」
エイリ「C〜D判定」
エイリ「これでいいよね?」
レイド「ああ、未開のダンジョンらしいし いいだろう」
レセ「まあ、レイドさんがいれば 大体大丈夫だろう」
エイリ「やった!」
〇古い洋館
魔女「狙い通り、食いついてきてくれたようだね」
魔女「さて、私の罠を掻い潜れるかな」
〇洋館の玄関ホール
エイリ「雰囲気あるなー」
エイリ「モンスターいなかったら住めそう」
レイド「実際、そう言う場所あるからな」
レイド「構造はしっかりしてることが多いから モンスターを全討伐すれば住める」
レイド「住み心地は別だけどね」
エイリ「だったら別荘にしちゃおう」
レイド「いいな」
館のモンスター「我がダンジョンに侵入する者は」
エイリ「ふらいにゃ──♫」
館のモンスター「はあ!?」
エイリ「やったぜ」
レイド「凄いな、歌かい?」
エイリ「僕の歌って、アンデッド系と 相性良いらしいんだよね」
レイド「それはいい」
レイド「ちょっとアンデッド系は 苦手だったから助かったよ」
〇古い洋館
魔女「やっべ!アンデッドしか用意してねえわ!」
魔女「レイドがアンデッド系が苦手だって 調べて来たから用意したのに!」
魔女「何であの娘、ピンポイントで 得意なんだよ!」
魔女「ていうか、戦えんの!?」
〇洋館の廊下
館のモンスター「ここまで来れば平気か!?」
館のモンスターB「聞いてた話と違う」
館のモンスターC「ただの人間じゃないのか!?」
エイリ「みーーつーけーた」
「ひいいい!」
エイリ「じょうぶつしゃ──」
館のモンスターB「ぎゃーーー!」
館のモンスターC「命だけは!」
エイリ「もんすたーのことばわからなーい」
館のモンスターC「あーーー!」
エイリ「ちっ!一匹逃したか」
レイド「俺、いらないな」
〇古い洋館
魔女「何かおかしくね?」
魔女「罠に嵌められてるのどっちよ」
〇地下室
館のモンスター「これまで多くの人間を葬って来たが あんなタイプ初めてだ」
館のモンスター「討伐を楽しんでやがる」
館のモンスター「足音だ!近づいて来てやがる」
エイリ「そこにいたんだ」
エイリ「ねえ、遊ぼう」
館のモンスター「こうなったら仲間たちの仇だ!」
館のモンスター「もう後に引けないんだ!!」
エイリ「なむあみだぶつ!」
館のモンスター「あーーーー!」
エイリ「よし!狩り終わり!」
エイリ「楽しい!」
〇古い洋館
魔女「・・・・・・」
魔女「計画間違ったわ」
魔女「恐怖の顔を見たくて計画立てたけど」
魔女「逆だったわ」
魔女「こんな回りくどい手使わない方が良かった」
魔女「異世界人こわええ」
魔女「今日は逃げよう」
レイド「気のせいか」
レイド「館にいる間、誰かに 監視されてる感じがしたが」
レイド「気をつけた方がいいかもしれないな」
〇城の会議室
エイリ「楽しかったー」
エイリ「寝床も確保できたし ここ今度から別荘にしよう」
エイリ「ちゃんと撮ってた?」
レセ「撮ってたけど、善悪の概念が 覆りそうだったぞ」
レセ「ホラー映画として使えそう」
エイリ「女優もやろうかな」
エイリ「そうだ」
レセ「ん?」
エイリ「報酬は何が良い?」
レセ「どうした?急に」
エイリ「だって、一応君らの雇用主じゃん?」
レセ「そういえば、そうなのか?」
レセ「俺が勝手に付いてきてるだけって 認識だったわ」
エイリ「ちっ、言わなければ良かった」
エイリ「タダ働きさせられたのに」
レセ「おい」
エイリ「冗談」
エイリ「そうだなぁ」
エイリ「報酬はエロ動画に出るって言うのはどう?」
レセ「ありがとうございます!」
エイリ「即答がそれかよ」
レセ「じゃなくて」
レセ「はあ!?」
エイリ「正常な反応遅っ」
レセ「何言い出してんだ?」
エイリ「私な世界じゃそれ ノリツッコミって言うんだよ」
エイリ「きっとセンセーショナルだよ!」
レセ「いやいや!」
レセ「大陸中がひっくり返るわ」
エイリ「大ヒット間違いなし」
レセ「そんなことしたら、俺殺されそう」
エイリ「だったら、君だけの動画に出てあげる 他の人には見ることができないやつね」
レセ「ん?」
レセ「それってどう言う意味?」