からすときつね

ぐらっぱ

第二話 (脚本)

からすときつね

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〇黒背景
  ──銃声
  ──バンッ!!

〇血しぶき
「グルルルルル・・・」
  おれをうったな・・・
  よくも・・・よくも・・・
  ・・・おまえらなどこのおれのキバで
  そのくびにかみついてやる!!
  ・・・
  ちからがはいらない・・・
  なぜだ・・・
  よくも・・・よくも・・・

〇モヤモヤ
  生きたいか?
(だれだ・・・)
  選べ
  生きたいか
  ここで死ぬか
(しぬ・・・? おれが? なぜだ・・・なぜだ・・・)
  お前はもうすぐ死ぬ
  このままではな
(ちからがはいらない・・・ なぜだ・・・なぜだ・・・)
  説明している時間はない
  生きたければ願え
(また、えもの、くえるか・・・?)
  ああ
(い、き、た、い・・・)
  契約は成された
  ただしお前は──

〇黒背景

〇農村
「・・・」
「あっちに逃げたぞ!!」
「グッ・・・」
「大人しくしろ!!」
「待て 黒虎!!」

〇黒背景

〇農村
「どこに行ったんだ・・・」
「早く見つけないと・・・」
「手分けして探すぞ」
  ・・・
カラス「なんだか騒がしいな」
キツネ「一体何が・・・」
カラス「ふむ・・・」
キツネ(今日は珍しく真面目な顔をしているな)
キツネ(こいつも神獣の端くれ やっと自覚を持ったか)
カラス「キツネさんよぉ」
キツネ「なんだ?」
カラス「任務って何するんだ?」
キツネ「・・・」
キツネ「はぁ!?」
キツネ「お前・・・ ボクの話を聞いてなかったのか!!」
カラス「ほら・・・確認だよ確認!! 聞いてないわけないだろ ははは・・・」
キツネ(説明している時に大人しいと思ったら 寝ていやがったなこの馬鹿ガラスめ)
キツネ「もう一度説明するぞ」
キツネ「ボクらの任務は──」

〇幻想
  先の大戦で我々は多くの同胞達を失った
  今は停戦中の為暫くは平和だろうが
  いつまた攻めてくるかわからない
  なので同胞となる者を
  出来るだけ多く迎えたい
  地上へ行き素質ある者を探して欲しい
  頼んだぞ

〇農村
キツネ「──と、主上が以前言っていただろう」
カラス「あー、はいはい そういやそんなこと言ってたなぁ」
キツネ「同胞となる者を迎えに行くのは 本来、別の者達に任せているが」
キツネ「その者が手に負えない場合や 他の神の者達が狙っている場合は 我々神獣が迎えに行く事となっている」
カラス(話なげーな)
キツネ「普段はボク一人でこなしているが 今回は主命だからな お前と一緒に行くなんて」
カラス「今回もキツネ一人でいいじゃん・・・」
キツネ「なんか言ったか?」
カラス「いやっ! なんにも言ってねぇよ! は、ははは・・・」
キツネ「・・・まぁいい 今回は同胞になる事を了承しているので 迎えに行くだけの簡単な任務だ」
キツネ「何も問題無いし お前でもできる」
カラス「だったらキツネ一人でいいじゃん・・・」
キツネ「主上が言う事に何かご不満でも?」
カラス「いやっ・・・ 主上に不満なんてないない!! 任務楽しみだなぁ」
キツネ「・・・」
キツネ「大丈夫かな・・・」
カラス「・・・」
カラス(ん? 問題無いならなんで俺らが呼ばれてるんだ?)
カラス(面倒そうな予感がするぜ・・・)
キツネ「うん・・・?」
キツネ「向こうから誰か来る」
キツネ「お前達は天上の者か?」
「ああ、神獣様 我々は主上の命で地上に待機しておりました」
キツネ「何があった?」
天上人の男1「実は、黒虎・・・ 今回の者が突然暴れ出して」
天上人の男2「我々では抑えきれず・・・」
キツネ「我々が行こう その者はどこに?」
天上人の男1「南西にある洞窟に逃げました 何人かが説得に向かいましたが ・・・」
天上人の男2「どうも言葉が通じないようでして」
キツネ「分かった ボクらに任せてお前達は戻れ」
「神獣様 後はお願いします」
キツネ「あいわかった 安心しろ 黒虎は我々が保護する」
キツネ「・・・」
キツネ「さて」
キツネ「そういう事だ カラス、洞窟に向かうぞ」
キツネ「カラス?」
  ・・・
キツネ「カラスがいない・・・」
キツネ「あいつ逃げやがったな!」

〇黒背景

〇洞窟の深部
黒虎「グルルルルル・・・」
「黒虎!! 大人しくしろ」
黒虎「ウガァッ!!」
「うわあああぁ!!」

〇血しぶき

〇山中の坂道
「・・・」
カラス「面倒だし俺はここで待機してるかぁ」
カラス「大体いつも俺なんざ誘わないのに いったいどういうつもりだよ」
カラス「主上の命っていうけど・・・」
カラス「主上が俺にそんな期待しているわけが・・・」
カラス「・・・」
カラス「それとも今回はかなりやべえ奴なのか?」
カラス「いや、相当危険な奴なら 主上から直接話あるはずだよなぁ・・・」
カラス「うーん・・・」
カラス「いや、きっと大丈夫だな」
カラス「適当にサボって問題無いだろ」
カラス「・・・あんなとこに洞窟が 隠れるのに丁度いいな」

〇洞窟の深部
カラス「ここなら暫く見つからないだろ」
カラス「・・・ん?」
カラス「おい、お前達もここで昼寝か?」
「黒虎が・・・」
カラス「え? なんだって・・・?」
カラス「・・・」
黒虎「ガウ!!」
カラス「うぉ!? なんだお前は」
カラス「お、おい? お前なんで睨みつけてるんだ? 俺ぁ何もしな・・・」
黒虎「ガウァッ!!」
カラス「うぉっ!? あっぶねぇな なにしやがる」
カラス「躾のなってないガキめ」
黒虎「ウウゥ・・・」
カラス「まるで獣みたいだな こいつまだ馴染んでないのか?」
黒虎「ガウッ!!」
カラス「うぉっ!?」
黒虎「ウッ・・・」
カラス「安心しろ 峰打ちだ」
「・・・銃で峰打ちは無いような」
カラス「え? そうなの」
カラス「ってお前さっきここで寝てたやつ!!」
「私は彼を探しに来た時に うっかり足を滑らせてしまって・・・ もしやあなたは神獣様ですか?」
カラス(なんか嫌な予感・・・)
カラス「お、おう・・・」
天上の者「私は天上の者です 神獣様! 黒虎を迎えにきてくださったのですね」
カラス「えっ? あ、あー・・・そう! 迎えにきたんだ!」
天上の者「・・・しかし突然発砲されるなんて」
カラス「ち、ちがっ!! いきなり飛びかかってきたし それにこれは動きを止める為の」
天上の者「神獣様の能力でしたか!!」
カラス「あ、ああ・・・ そんなとこだな」
カラス(ただの麻酔銃だけどな 小動物用で威力弱いけど)
天上の者「それでは黒虎をお願いします」
カラス「おう・・・」
カラス(めんどくせえなぁ)
カラス(とりあえず連れて帰るか)
  ・・・
カラス「あれ? どこ行った」
天上の者「神獣様! あぶない!!」
カラス「え?」
カラス「うぉ!?」

〇血しぶき

〇山中の坂道
キツネ「まったく・・・!! あの馬鹿ガラスめ」
キツネ「今回は主上の命だから連れてきたというのに それをサボりやがって」
キツネ「見つけたらただじゃおかな・・・」
キツネ「ん? あれは・・・」
「おたすけぇー!!」
キツネ「あれはカラス? 何してるんだあいつ」
キツネ「カラスの頭に齧り付いてる子は ・・・誰だ?」
カラス「キツネぇ! 助けてくれぃ!」
キツネ「お前、何遊んでいるんだ?」
カラス「遊んでねぇ! 洞窟に入ったらこいつがいきなり・・・」
キツネ「洞窟だって!? もしやその子が黒虎か?」
黒虎「ウゥー!! ガウゥ」
カラス「いいからはやくこいつを なんとかしてくれ!! 頭に齧り付いてきて離れねえ!!」
キツネ「・・・」
キツネ「今、主上に確認した その子が黒虎で間違いないな」
黒虎「ガウウウゥ」
カラス「早く・・・ 俺の頭が禿げそうだ」
キツネ「てっきりお前は任務放棄したのかと思ったが」
キツネ「見直したぞ 一人で黒虎を探しに行くなんて」
カラス「お、おぅ・・・」
カラス「それより牙が頭に刺さって すごく痛いんだが・・・」
黒虎「ガウゥ?」
キツネ「その子をしっかり押さえていろよ このまま帰宅しよう」
カラス「いや、それより先に頭を・・・」
キツネ「社への扉はすぐそこだ さぁ急いで帰るぞ」
カラス「・・・いや、俺の頭の心配してくれよ」
キツネ「・・・」
キツネ「しかしあの者はまるで獣のようだ 本当に同胞として迎えるのか?」

〇黒背景

〇後宮の廊下
キツネ「──というわけで 無事に黒虎を保護し連れてきました」
キツネ「今は部屋で眠っております」
主上「ご苦労であった キツネも、カラスも ゆっくり休んでおくれ」
カラス「では、我々はこれで・・・」
キツネ「主上・・・ ボクはどうしても あの者が同胞になれると思えないのです」
カラス(めんどくせぇ事言い出したぞ 後は主上に任せてさっさと戻りたいのに)
キツネ「あの者は人語も話せず まだ心は獣のままです 時期尚早なのでは」
主上「ふむ? キツネはあやつを同胞にする事に 反対かのぅ?」
キツネ「素質はあるかもしれません しかし同胞とするには不安要素が多すぎます」
カラス(いいじゃんよぉ 天上の空気は問題無さそうだし 本人了承済みなんだろ)
キツネ「ですのでひとまずここは様子を見て・・・」
カラス(ああ、もう!! 話なげぇ)
カラス「主上の目に狂いは無い あいつには可能性がある 何も問題は無いだろう」
カラス(さっさと終わらせてさっさと寝たいぜ)
キツネ「あいつは獣のままじゃないか どこを見てそう判断したんだ」
カラス「主上の選んだ者だ 必ず立派な同胞になる」
カラス(全くこの真面目な優等生ちゃんが! 後は主上に任せちまえばいいだろ)
主上「ほう・・・ カラスはあやつの可能性を見抜いておったか 流石じゃのぅ」
カラス「ええ、私には全て分かっておりました」
カラス(分かってないけどな)
キツネ(面倒になって適当に言いやがったな・・・)
主上「心強いぞ、カラス! 実は教育係は誰にするか悩んでおったのだが お主に安心して任せられそうだ」
カラス「え? 教育係・・・?」
主上「あやつが一人前になるよう教育しておくれ お主と似た環境の者じゃ 気が合うかもしれんの」
カラス「え?」
主上「そうと決まれば善は急げじゃ お前の屋敷で一緒に暮らすのがいいじゃろう 必要な物は後で届けるから心配はいらんぞ」
カラス「いや、ちょっ・・・」
主上「では二人とも戻ってゆっくり休んでおくれ ご苦労であった」
カラス「あ、ちょっと待って・・・ 行ってしまったか」
キツネ「良かったなぁカラス こんな重大な任務を任されるなんて」
カラス「キツネ!! ・・・この!」
カラス(主上に聞かれそうだし ここで暴言吐けないな)
キツネ「無責任な事を言うからだ馬鹿ガラス 責任を取って黒虎を一人前にするんだぞ」
カラス「うぐぐ・・・ 反論できねえ」
キツネ「ほら、誇り高き任務に感動してないで さっさと帰るぞ」
カラス「・・・」
カラス「なんで俺がこんな目に遭うんだ!!」
カラス「くっそう 俺はただ早く寝たかっただけなのに・・・」
カラス「・・・」
カラス「チックショウー!!」

〇雲の上
???「さてさて、これから忙しくなるのぅ 楽しみじゃ ほっほっほ」

〇幻想
  こうして黒虎の教育係になったカラス
  この先どんな騒動が起きるのか
  第三話へ続く──

次のエピソード:第三話

コメント

  • からすときつね、移植おめでとうございます!
    再現されていて懐かしい気持ちになりました。
    BGMや効果音が追加されたらどれほど感動出来るだろう……と、楽しみで仕方ないです。
    続きをお待ちしてます!

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