決着の闘技場(脚本)
〇闘技場
剣がデス・キラーに当たった衝撃音。
イザークとデス・キラーの攻防。
イザーク・フェイン・リッダ「フルバーンッ!」
イザーク・フェイン・リッダ(ちっ、やっぱり炎はダメか!)
アイン・イヨ・リトナ(イザークさんの激しい攻撃)
アイン・イヨ・リトナ(それだけでなく速さも目に見えてアップしている)
アイン・イヨ・リトナ「これが、獣を宿す者・・・すごいです」
シルビア・ヤン・オードリー「そう、これがこの前あんたが使った力よ」
アイン・イヨ・リトナ(すごいですイザークさん、でも・・・)
シルビア・ヤン・オードリー(さっきから剣撃は効いてるけど、炎耐性を持ったデス・キラーに炎はほとんどダメージを受けてない)
ネコ「ニャ~」
アイン・イヨ・リトナ「はっ、ネコちゃん!」
シルビア・ヤン・オードリー「ん? 猫?」
ネコは闘技場の階段を上がっていく。
「ニャー、ニャー、ニャー」
シルビア・ヤン・オードリー「ん、何よ」
「あっ、イザークさんっ!」
シルビア・ヤン・オードリー「あ、リトナ」
「ニャーニャーニャー!」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・もう、何よっ、猫っ!」
シルビア・ヤン・オードリー(あたしを・・・呼んでるの?)
シルビア・ヤン・オードリー「・・・・・・」
「もうっ!」
イザークを助けにいくリトナに対し、鳴き続ける猫が気になってシルビアは仕方なく闘技場を上がっていく。
〇岩穴の出口
階段を上がり入口に猫を追ってきたシルビア。
ネコ「ニャー」
猫は地面を掘り出す。
シルビア・ヤン・オードリー(はあ? 何やってんのこの猫──)
〇闘技場
アイン・イヨ・リトナ「イザークさん」
イザーク・フェイン・リッダ「すまないリトナ」
イザーク・フェイン・リッダ「はぁ、はぁ・・・うっ!」
イザークが顔を歪めたあと、身体から炎のは煙のように消える。
イザーク・フェイン・リッダ(こ、これ以上は、だめだ。獣に意識を乗っ取られる)
アイン・イヨ・リトナ「イザークさん、その、力が・・・」
イザーク・フェイン・リッダ「ああ、時間切れだ」
だがデス・キラーはまだまだ戦えると言わんばかりにゆっくりと歩いてくる。
アイン・イヨ・リトナ(もうイザークさんを戦わせるわけにはいかない)
イザーク・フェイン・リッダ「リトナさん」
アイン・イヨ・リトナ「わかってますよイザークさん、自己犠牲はもうしません」
アイン・イヨ・リトナ「いまは私のやれることをやるだけです」
イザーク・フェイン・リッダ「助かるよ、リトナさん」
アイン・イヨ・リトナ「今度は私が相手ですデス・キラー!」
デス・キラー「グォォォッ!」
イザーク・フェイン・リッダ(すまないリトナさん、いまは身体が痙攣して動かすので精一杯なんだ。くそ、獣を宿すしても倒せないとは、相性が悪かった)
アイン・イヨ・リトナ「不届き者には天罰をっ!」
デス・キラー「グゥゥ」
激しくぶつかり合うとリトナの袋をかする。
アイン・イヨ・リトナ「しまった」
おじいさんに貰った玉をを拾おうとするリトナを殴りかかるデス・キラー。
イザーク・フェイン・リッダ「リトナッ、後ろだっ!」
アイン・イヨ・リトナ「うう、うあぁぁぁっ!」
玉を拾ったリトナは怯まず、デス・キラーの拳を上手く避けて右肩にカウンターの一撃をくらわした。
アイン・イヨ・リトナ「はぁ、はぁ、これは届けるんです。あなたに殺られたく、ありません!」
イザーク・フェイン・リッダ「いいぞ!」
イザーク・フェイン・リッダ(リトナさんの動きが良くなってきた。迷いが無くなったようだ)
イザークの思っていたとおりリトナは、二人を守りたいという気持ちが強くなり集中力が高まっていた。
イザーク・フェイン・リッダ(オレも少しずつ動けるように)
イザーク・フェイン・リッダ「なんだ、闘技場周りの扉がっ、一斉に、なぜ!?」
〇山並み
ケルス「──あの闘技場はどちらかが死ぬまで扉が開かぬ、絶対にな」
ムーシャ「で〜も」
ケウロ「デス・キラーが殺られることはないでしょう。フフッ」
〇岩穴の出口
シルビア・ヤン・オードリー「リトナ」
シルビア・ヤン・オードリー「猫どころじゃない!」
ネコ「ニャーッ」
シルビア・ヤン・オードリー「リトナ」
カプリース「彼女を助けたくはないのっ?」
シルビア・ヤン・オードリー「え・・・人、間?」
カプリース「扉が閉まったのは、たぶんケウロ達の仕業ニャ」
シルビア・ヤン・オードリー「ケウロ?」
カプリース「そうニャ、そしてここを掘ることがあの娘を救うことになるニャ」
シルビア・ヤン・オードリー「リトナを?」
カプリース「リトニャって言うニャ、へ〜リトニャか〜」
シルビア・ヤン・オードリー「猫女っ、どうしてリトナを救うことになるのよ、ちゃんと説明して!」
〇闘技場
デス・キラー「グォアアッ!」
炎をリトナに向かって吐き出したデス・キラー。
アイン・イヨ・リトナ「ううっ、はぁああっ!」
炎を物ともぜず胸部に強烈な斧が入った。
アイン・イヨ・リトナ「がはっ」
「はぁああっ!」
アイン・イヨ・リトナ「イザークさん!」
イザーク・フェイン・リッダ「一緒に仕掛けよう!」
アイン・イヨ・リトナ「はい!」
二人挟むように飛び上がった。
「はぁああっ!」
イザーク・フェイン・リッダ「なに!?」
アイン・イヨ・リトナ「炎のバリア!?」
イザーク・フェイン・リッダ「どういうことだ、いままでなかった炎のバリアが急に」
アイン・イヨ・リトナ「・・・・・・」
アイン・イヨ・リトナ「前戦ったときも、第三の眼が生えました。もしかしたら炎を進化、強化されたのかもしれません」
デス・キラー「グウウウ・・・」
炎が更に激しくデス・キラーに纏わりつき、強化したと確信する二人。
〇岩穴の出口
カプリース「──ここは地下闘技場で、今掘ってる場所が水脈に繋がってるニャ」
シルビア・ヤン・オードリー「それがどうして・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「え、もしかして!」
カプリース「そうニャ」
シルビア・ヤン・オードリー「でも危険よ!」
カプリース「う〜ん、それぐらいじゃないとあの炎を纏ったデス・キラーを倒せないと思うニャ」
シルビア・ヤン・オードリー(これだけ戦ってもデス・キラーはまだ動いている・・・)
シルビア・ヤン・オードリー(危険、だけどそれはおそらくこれからも同じ)
シルビア・ヤン・オードリー「一か八か、やってやるわよ!」
カプリース「じゃあこれ教えるニャ」
〇闘技場
「ぐあっ」
「ああっ!」
何度も立ち上がってきた二人でも、身体は小さなな疲労を隠せず正直になっていく。
「はぁ・・・はぁ・・・」
イザーク・フェイン・リッダ(まずい、今度は長期戦の疲労か)
アイン・イヨ・リトナ「はぁ、はぁ・・・わたしは、まだ、やれる」
デス・キラー「グォォォオッ!」
アイン・イヨ・リトナ「やぁぁぁっ!」
「グォォォーッ」
イザーク・フェイン・リッダ「こっ、これは、地下水か!」
シルビア・ヤン・オードリー「リトナッ、イザークッ、これでデス・キラーも炎が使いづらくなるはずよっ!」
イザーク・フェイン・リッダ「シルビアさん!」
アイン・イヨ・リトナ「ありがとう、シルビアさん・・・」
リトナの周りを炎が包む。
イザーク・フェイン・リッダ「あ、あれは、ほんとうだ・・・本当にリトナは!」
シルビア・ヤン・オードリー「はぁ・・・はぁ・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「頼んだわよ、リトナ」
〇闘技場
水は地下闘技場を満たしていき、それを感じてデス・キラーは飛び上がる。
それを見てすぐリトナも飛び上がった。
〇黒
デス・キラー「グォォォッ!」
デス・キラーは渾身の一撃を込めた燃える拳で襲いかかった。
それを炎を纏わせた斧で弾いてデス・キラーの首を持つ。
アイン・イヨ・リトナ「うあぁぁぁぁぁぁっ!」
デス・キラーを水の中投げ飛ばす。
それを追いかけるようにリトナは斧に炎を纏わせ、更に全身から更に炎を纏い水の中へ勢いよく入っていった。
〇闘技場
デス・キラー「グゥゥ、オオオオオォォォッ!」
アイン・イヨ・リトナ「はぁああああああっ!」
1度目の炎は水でかき消されるも、2度目の斧を纏う炎とともにデス・キラーの頭蓋骨を切り裂く。
デス・キラー「グォアァァァ・・・・・・」
デス・キラー「・・・リ・・・トナ・・・れ・・・」
〇闘技場
シルビア・ヤン・オードリー「やった、リトナ・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「リトナ!?」
〇闘技場
〇闘技場
イザーク・フェイン・リッダ「まずい、気を失っているぞ!」
イザーク・フェイン・リッダ「おいシルビアッ!」
なりふり構わずリトナを救いにったシルビア。
イザーク・フェイン・リッダ「シルビアァッ、リトナァァッ!」
〇闘技場
シルビア・ヤン・オードリー(くっ、リトナ)
アイン・イヨ・リトナ(う、シルビア・・・さん、身体が、動か、苦しい)
意識を失っても、すぐに目覚めたリトナだったがそれが災いして息が出来ず。
シルビア・ヤン・オードリー(リトナ!)
アイン・イヨ・リトナ(シルビ・・・ア・・・さ)
〇闘技場
イザーク・フェイン・リッダ(ちくしょう、身体が万全なら・・・)
イザーク・フェイン・リッダ「ん?」
泳げに行けず、歯を食いしばるイザークの目には大きな閃光が広がった・・・・・・。