第23話 道半ば(脚本)
〇沖合
2021年 日本海沖 ミサイル艦わかたか 甲板
斎王とキングは急いで甲板まで行き、様子を見る
甲板では放送で言われていた事とは異なり『船頭』が少し抉られていた。だがそれ以上に
その場には『立つことも困難な強風』と『猛暑と呼称できる程の暑さ』があった
斎王幽羅「ね、ねぇ···何があったの?ここ『変』じゃない···?」
凪園無頼「互いに技打ったらこーなったよー?ヤバくねー?」
鸞「だな。今エンチャントが謝りに行っている、俺も今から船頭を直しに行くから詳細は今度話す」
そう言って鸞は船頭に行き、船員達と一緒に修理を行う
抉られた船頭は『高温で焼かれた』ようにどろどろになっていたが
切断面は機械で切ったように『綺麗に』切断されていた
キング「斎王、これエンチャントと鸞が直せないと終わりだな」
キング「というか···変な感じで抉られてるな、どんな技打ったらこうなるんだ···?」
凪園無頼「ヒミツー。まぁでも、今の所火力ナンバーワンは俺と鸞になったねー」
するとエンチャントが帰ってきて、斎王達にも事情を説明する
斎王幽羅「大技の特訓···でも被害でちゃダメじゃない?エンチャントさんどうにかできなかったの?」
エンチャント魔導法士「いや、まぁ···できるには出来るが···間に合わなかった。すまん」
斎王幽羅「ひとまず直して。それから船員の人達にも謝ってきて、わかった?」
エンチャント魔導法士「しかし物がないと直せん、鉄だから最低でも『銅』が必要で···」
斎王幽羅「早く、行って」
エンチャント魔導法士「··· ··· ···はい」
そして一日目が終わり、無事修復も終わった。
〇殺風景な部屋
2日目
斎王幽羅「凪園と鸞が大技の特訓するのもいいし、それを教えるのもいいけど」
斎王幽羅「人に迷惑をかけない!それだけは守って、いい?」
エンチャント魔導法士「はい、すいませんでした···」
鸞「今後は大技の制御も考えなきゃな···幸いどうにかなって助かったが、今後は控えるよ」
斎王幽羅「エンチャントさん、あとどれ位で着くかって聞いてる?」
エンチャント魔導法士「明日の11時頃だと、だから今日は丸1日暇になるわけだ」
斎王幽羅「そっか、じゃあ···ひとまず個人で過ごそっか」
〇飛行機の座席
同時刻 北海道 空上 国内便飛行機内
イヴァン司教「···さて、趙さん。面白いことが分かりましたよ」
イヴァン司教「我らのクローン兵器『カロル・シヴェータ』はどうやらバラバラにされて海の底に沈んでいます」
隣同士の席で話す2人。イヴァン司教の言葉を閉ざすように趙は切り込む
趙「そりゃそうかい、そんな事より総帥からのお言葉だ」
趙「『二度の失敗を我らは許容しない、ロシア正教に金銭、物資の支援を今日で止めさせてもらう』」
趙「悪いが総帥はロシア正教と縁切りを選んだ、俺はあんたが使えると思うから個人的に付き合うがよ」
趙「もう『紅色派』に関わるな、いいな?」
イヴァン司教はさぞこの事実に焦ると思いきや、微笑みながら返した
イヴァン司教「いいですよ?支援も別に問題ありません」
イヴァン司教「クローン兵器カロル・シヴェータは『試作品』ですので、戦闘データが取れればそれでいいです」
すると趙は眉をひそめイヴァン司教に尋ねる
趙「試作品···?お前あれがプロトタイプだって言ってなかったか?」
趙「今回で2日目のプロトタイプの使用、前回から何かを改善したように思ったが···」
趙「目的は『実用化』ではなく『データ収集』だって言うのか···?」
イヴァン司教を睨みつける趙。しかしそんな彼にイヴァン司教は一言、言い放つ
イヴァン司教「『アメリカと手を組んでるのが紅色派だけとは限りませんよ?』」
その発言を聞き、趙の顔は強ばる。それもそのはず
ロシアとアメリカは冷戦時代からの因縁があり、手を取り合うなんて『想像もしていなかった』のである
趙「何が目的だ···?お前···ソビエト時代の力を取り戻すのが目的じゃなかったのか···?」
イヴァン司教「我らが神はただの1人、人類の希望にして『喧嘩王』の異名を持つ非能力者最強の男のみです」
イヴァン司教「ソビエト時代の力など不要です、我らの神が居れば『非能力者最強の時代』が訪れる」
イヴァン司教「そうなれば、最早この世の全てが我らが神にひれ伏す。人類に境界は無くなり、横一線となる」
イヴァン司教「素晴らしいでしょう?斎王勇次郎が目指した『全てが横一線になる世界』を我らロシア正教が実現するのですよ」
ロシア正教の真意を耳にした趙は鼻で笑った。やはり宗教家はどこまで行っても
趙「自己満足の理想ばかりだな。だが紅色派は違う」
趙「紅色派は平等の世界を作るための偶像、お前らで言う所の『神』が必要だ」
趙「その為に喧嘩王を『作り出す』。そして全ての異常を紅色派が徹底排除する」
趙「雪月頼が非能力者達にした事を俺達は『異能力者達』に行う。俺達非能力者だけの楽園を」
趙「再び取り戻す。その為にはいずれお前達ロシア正教も障害になるだろうよ」
互いが理想を語り合う。強大な力を持った2人の異能力者に振り回された世界
そんな世界で2人の異能力者の『信念』は『歪んだ形』で伝達していた
2人は互いの理想論を『異常者の妄言』と捉え、その後会話のないまま
『東京へ向かった』
To Be Continued··· ··· ···