第7話 勇者の始まり①(脚本)
〇魔法陣
聖教──
この国で最大の宗教。
神官や聖騎士を多数抱え、各街の教会に派遣している。
その教えは魔物を”悪しきもの”とし、神とその使いである聖女を崇めるというもの。
魔王討伐という目標をかかげ、勇者の認定や支援も行う。
〇中世の街並み
ルーク「聖教について知っているのは、そんなところかな」
ルーク「正直、俺の故郷の村ではそこまで信仰されていなくてさ」
ルーク「あんまり気にしたことないな」
イーさん「お前さん、勇者なのにな・・・」
カニーラ「あたしも、里では全然聞かなかったっすね」
イーさん「そりゃ、魔女の里なんて特殊な環境だからな」
ルーク「大体、聖女を崇めるのがよくわからない」
ルーク「崇めるなら断然、姉ちゃんの方がいいだろ?」
イーさん「それ、聖都で絶対いうなよ・・・」
ルーク「イーサンは、聖教に詳しいのか?」
イーさん「俺は・・・」
イーさん「山賊になる前は、聖騎士をやっていたんだ」
〇黒
〇巨大な城門
ライラ「いよいよ着いたね、聖都!」
ビンス「今回は、ずいぶん早くから小さくされたな」
ライラ「念のためにね」
ライラ「聖教は、勇者に魔王討伐を依頼しているところだもん」
ライラ「聖都はいわば敵の本拠地真っ只中なんだから、慎重にいかなきゃ」
ビンス「聖教の企てを調べるつもりなのか?」
ライラ「もちろん!」
ビンス「しかし、どうやって?」
ライラ「そんなの、正面からに決まっているじゃない」
ライラ「私には、やましいことなんてないもの」
ビンス「・・・真っ向から揺さぶりをかける気か?」
ビンス「叩きつぶされるぞ」
カニーラ「そんなの、ダメっすよ!」
ライラ「カニーラ、ビンスくんをお願い!」
ビンス「おい!?」
ライラ「カニーラたちは、水面下で調べてくれる?」
ライラ「カニさんだもん、潜るのは得意だよね?」
カニーラ「・・・わかったっす」
カニーラ「きっと、役に立ってみせるっす!」
ライラ「うん、お願い」
ライラ「あと、ウマちゃんも・・・」
ウマ「ウマウマッ!」
ライラ「え? 私についてくるの?」
ライラ「あ、ポケットに戻っちゃった・・・」
ビンス「仕方ない、ウマちゃんはお主に預ける」
ビンス「無事に、我と再会させるのだぞ」
ライラ「・・・わかったよ」
〇城門の下
門番「よし、通っていいぞ」
門番「じゃあ、次の人──」
門番「この街に来た目的は?」
ライラ「勇者様の代理です」
門番「・・・えーと、勇者の名前は?」
ライラ「勇者様は勇者様よ」
ライラ「他にいるわけでもないですし、わかりますよね?」
門番「ったく、どの勇者だってんだよ」
ライラ「どの? おかしいわね」
ライラ「まるで、勇者様が何人もいるみたい」
門番「い、いや、そんなことはないぞ!」
門番「教会本部へ連れていってやる。ついて来い!」
〇巨大な城門
カニーラ「ライラさん、何とか教会の人と接触できそうっすね」
ビンス「あんな挑発の仕方をして、無事ですめばよいがな」
カニーラ「そこは、ライラさんを信じるしかないっす」
カニーラ「さて、あたしたちも動くっすよ!」
〇西洋の市街地
カニーラ「聖都には、よく勇者様が来るっすか?」
街の人「いや? 勇者様が訪れたときには大々的にお祝いをするはずだけど、最近は全然だな」
街の人「昔は勇者様が聖剣を抜いたときもお祝いをしていたんだが、それもないな」
街の人「冒険者風のやつらなら、よく見かけるけどな」
カニーラ「じゃあ、今は勇者様が不在なんすか?」
街の人「いいや、いたはずだ」
街の人「そうそう、名前は確か──」
〇街の宝石店
街の人「マイケル様だったかな」
街の人「違うわ、ダニエル様よ」
カニーラ「え・・・?」
〇噴水広場
カニーラ「それとなく街の人に聞きこみしたっすけど、大した収穫はなかったっすね」
ビンス「あまり目立つと危険だからな、仕方あるまい」
カニーラ「わかったことといえば──」
カニーラ「勇者の噂はよく耳にするものの、大々的に送りだすことはないってことくらいっすかね?」
カニーラ「昔は国をあげて勇者の誕生を祝ったのに、最近ではそれがないとか・・・」
ビンス「あと、人々が認識している勇者の名前も、まちまちであったな」
ビンス「『勇者様』とひとくくりにされて、名前を呼ぶ習慣が薄れているようだ」
ビンス「だから、街の人々も違和感に気づいていない」
カニーラ「勇者が何人もいることに、っすね」
ビンス「だが、まだ憶測の域を出ないぞ」
カニーラ「いや──」
カニーラ「もう一つ、心当たりがあるっす」
〇黒
〇原っぱ
カニーラ「聖騎士だったなら、何もかも知っているんじゃないっすか?」
カニーラ「聞かせてほしいっす、イーサン!」
カニーラ「勇者の秘密を」
カニーラ「聖教が、何をしようとしているのかを!」
〇西洋風の受付
教会本部
門番「いいか、もう余計なことをいうんじゃないぞ」
門番「どうせ、神官様を仲間にしたいだけだろ?」
門番「だったら、大人しくして──」
ライラ「いいえ」
ライラ「私たちが仲間にしたいのは、聖女さんです」
門番「はあ!? 聖女様だあ!?」
門番「そんなの、無理に決まっているだろ!」
ライラ「どうして?」
ライラ「魔王討伐は教会の悲願ですよね?」
ライラ「なら、聖女さんが勇者について行っても、 問題はないはずよ」
ライラ「教会が本当に勇者様の力を信じているなら、ね」
門番「こいつ・・・!」
門番「教会に対して、不敬にもほどがあるぞ!」
ライラ「私を斬れるとでも?」
ライラ「『剣さん、あれに封印!』」
門番「俺の剣が、受付の羽ペンに封印された!?」
門番「あの剣、いくらしたと思っているんだ! よくも・・・!」
司教「どうしました?」
門番「し、司教様!」
門番「この女が──」
ライラ「勇者様の代理です」
ライラ「この女呼ばわりは、やめてもらえます?」
門番「くっ」
司教「ほう・・・」
司教(今いる勇者の中で、この時期に聖都へ来そうなのは・・・)
司教「勇者ルーク様の代理の方ですかな?」
ライラ「・・・ええ」
ライラ「よくわかりましたね」
司教「勇者様の代理というのですから、当然わかるでしょう」
ライラ「こちらの門番さんは、わからなかったようなので」
司教「教育が行きとどいておらず、お恥ずかしい」
司教「非礼は、私からお詫びしましょう」
門番「司教様・・・」
司教「お前は、さっさと持ち場へ戻れ」
門番「くっ、申し訳ございません・・・」
司教「勇者様の代理ということは、仲間集めですかな?」
ライラ「ええ」
ライラ「ぜひ、聖女さんを仲間にしたいと思いまして」
司教「聖女様ですか・・・」
ライラ「何か問題でも?」
司教「口で説明するより、ご覧いただいた方が早いでしょう」
司教「どうぞ、こちらへ」
〇城の客室
司教「こちらが、当代の聖女様です」
赤ちゃん聖女「おぎゃあぁぁぁ」
ライラ「あ、赤ちゃん!?」
司教「先代の聖女様の娘です」
司教「聖なる力が宿っているのも確認済みです」
司教「ですが、まだ幼すぎる」
司教「魔王討伐には行けません」
司教「おわかりいただけましたかな?」
おばちゃん聖女「あら、司教様。いらしていたのね」
司教「ちょうどよかった、ご紹介しましょう」
司教「先代の聖女アルマ様です」
ライラ(もと聖女さん!? これが!?)
司教「アルマ様、こちらは勇者様の代理の方です」
アルマ「ふうん」
アルマ「聖女を仲間にしたかったの?」
アルマ「残念だけど、無理ね」
ライラ「もと聖女さんなら、あなたが勇者パーティーに入ればいいのでは?」
アルマ「わたし?」
アルマ「イヤよ、危ないじゃない」
ライラ「勇者は命をかけているのに?」
アルマ「勇者なんて──」
ライラ「聖剣があれば、いくらでも誕生するから?」
ライラ「それが聖教の考えなんですよね」
ライラ「ここへ来る途中で、別の勇者に会いました」
ライラ「これと全く同じ証を持った勇者と・・・」
司教「それはきっと、偽物でしょう」
司教「よくいるのですよ、勇者の権威を笠に着ようとする輩が」
ライラ「そうでしょうか?」
ライラ「聖教は偽物の聖剣をバラまいて、勇者を量産しているんじゃないですか?」
ライラ「若者を魔王討伐の決死隊とするために・・・」
ライラ「そうすれば、聖騎士を何百人と送りこんで、教会の戦力を削らなくてすむから」
司教「なるほど、貴女は陰謀論がお好きなようだ」
司教「ですが、その妄言は許せませんな」
司教「先ほど、貴女の魔法を拝見しました」
司教「どうも強力な封印魔法が得意なようだ」
司教「しかし、あのレベルの魔法が手軽に使えるわけがない」
司教「回数制限・・・よくて、日に5回程度しか使えないのでは?」
ライラ「・・・・・・」
司教「図星ですかな」
司教「どうです? この数を相手にするには、部が悪いでしょう?」
司教「お前たち、その娘を捕えなさい」
「はっ!」
ライラ(これはちょっとピンチ、かも・・・)
まさか聖女が赤ちゃんだったなんて!
聖教の陰謀も見え隠れしているし、お姉さんがピンチだし、気になる展開が目白押しですね
勇者様という役職?でひとくくりにされて名前を呼ばないから違いに気付かなくなるって話、凄く納得しました
なんか詐欺の手口っぽくて良いですね😶うまく言えませんが💦
これは司教がなかなかで、厄介そうですね💦
おばちゃん聖女……高齢出産の産後でしょうか?
それは冒険厳しそう😂
急にシリアスな展開になってきましたね!!
強そうな敵と陰謀・・・今までの楽しいパーティとは、また別のファンタジーの面白さが展開しそうでワクワクしますね!!
ところで前話ではギフトしか押せませんでした💦
先にいいねしてからギフトを押さないと、PCだと画面がうまく展開しないのかな?
失礼しました。