teenage lobotomy

矢島好喜

エピソード1(脚本)

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矢島好喜

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〇渋谷駅前
「いたっ!」
通行人B「おっと! す、すいません!!」
通行人B「急いでたので・・・。 怪我してないですか?」
通行人A「い、いえ!大丈夫です。 急にぶつかったので ビックリしちゃって・・・」
通行人B「よかった。 じゃ、急いでいるので!」
通行人A「は、はい!」
  「シャー・・・ザー・・・ザザザ」
仁香(にか)「えー、こちら弐(に)。 スクランブル交差点で 『対象』と思われるひったくり発見。 至急、応援求む」

〇ラーメン屋のカウンター
太一(たいち)「っし、出やがったな!」
太一(たいち)「オッサン、おあいそだ。 金ここ置いてくぞ!」

〇ショッピングモールの一階
凛詠(りよん)「あ、にーたんの声だー」
菜々(なな)「もう、せっかく買い物始めた ところだったのに・・・」
菜々(なな)「ヨンちゃん、ほら、行こっか。 お仕事」
凛詠(りよん)「にーたんのところいくー」

〇カウンター席
太陽(さん)「こちら参(さん)」
太陽(さん)「悪いが今、可及的速やかに 解決しなければならない問題が 発生しているため、向かえない」
太陽(さん)「申し訳ない。 健闘を祈る」
ナンパした女の子「おまたせー。 あれ?誰かと電話してた?」
太陽(さん)「いやいやー全然。 じゃあ遊びにいこっか」
ナンパした女の子「やったぁ! 欲しいものあってさぁ」
太陽(さん)「うんうん。 買いに行こう」
ナンパした女の子「バッグ欲しくってー。 あとコートもちょーカワイイのが 出ててー」
太陽(さん)「うんうん。 いいねいいね」
ナンパした女の子「いやー、今日マジ神だわ。 高すぎて自分じゃ絶対買えないし」
太陽(さん)「うんうん、そうだね・・・」
太陽(さん)「・・・」
ナンパした女の子「・・・ん?」
太陽(さん)「・・・いや、俺買わんよ?」
ナンパした女の子「は? マジフザケんなよこのおっさん!」
太陽(さん)「お、おっさん・・・」
ナンパした女の子「もう帰る!!」
太陽(さん)「・・・」
太陽(さん)「えー、こちらサン 事案が解決したので 直ちに現場に急行する」

〇ビルの屋上
仁香(にか)「そろそろかなぁ」
太一(たいち)「はぁっ・・・はぁ・・・」
仁香(にか)「お、さすがいっちゃんや 一番のりやね」
太一(たいち)「うっせぇ! ヘラヘラしやがって。 犯人はどこだ!!」
仁香(にか)「まぁちょお待ちぃな ・・・お、きたきた」
太陽(さん)「やれやれ。 正義に休息は許されないということか」
仁香(にか)「サンちゃんも早かったねぇ さてはフラれたかな」
太陽(さん)「・・・詮索はよせ」
凛詠(りよん)「にーたんいたー」
菜々(なな)「ちょっと、ヨンちゃんは 走ったら危ないってば」
仁香(にか)「ご苦労さんです、ナナねーさん」
菜々(なな)「ねーさんって呼ぶな! 同い年!」
菜々(なな)「・・・それで、犯人の特徴は?」
仁香(にか)「白のシャツにこげ茶のジャケット 下はグレーのチノ」
仁香(にか)「髪は黒で耳が隠れるくらいの ストレート。 あとペンダントつけとったかなぁ」
菜々(なな)「さすがの『記憶力』 ほら、あんたの出番でしょ!」
太陽(さん)「やれやれ」
菜々(なな)「悔しいけどやっぱ 『似顔絵』だけはうまいわ」
太陽(さん)「はっはっは! 想像・・・いや、創造力と言ってくれ。 で、どうだいナナ、終わったらデーt」
菜々(なな)「う・る・さ・い!」
菜々(なな)「ったくもう・・・」
太一(たいち)「いや、そういうナナもスゲーけどな。 誰も『視力を下げるため』の メガネをしてるなんて思わねぇよ」
仁香(にか)「裸眼で12.0やからねぇ」
仁香(にか)「まぁ引き換えに『運動能力』が 人並み以下になってしもたわけやけど」
菜々(なな)「あー、もう、うっさい! 気が散る!!」
太一(たいち)「す、すまん・・・」
仁香(にか)「ははっ。 やっぱりいっちゃんはナナねーさんには 弱いんやねぇ」
菜々(なな)「見つけた! センター街!!」
太一(たいち)「任せろ!」
菜々(なな)「あっ!こらバカイチ!! ヨンちゃん連れてかないで どーすんのよ!!」
凛詠(りよん)「もんだーい、なっしーんぐ。 とうっ!!」
菜々(なな)「と、飛び降りっ!?」
仁香(にか)「はぁーい、いっちゃん 上見て上ー」

〇渋谷駅前
太一(たいち)「あん?上・・・?」
太一(たいち)「おわぁっ!!」
凛詠(りよん)「ないすきゃーっち」
太一(たいち)「ばかやろヨン子! いくら俺が『身体能力が高い』ったって タイミング合わなきゃ死んでたぞ!?」
凛詠(りよん)「だいじょーぶ! ほら、いっちゃんだーっしゅ!!」
太一(たいち)「ったく。 ほら、ちゃんと捕まってろ」
凛詠(りよん)「おっけー。とばせとばせー」

〇ビルの屋上
菜々(なな)「まったく・・・。 心臓がいくつあっても足りないわ」
仁香(にか)「まぁまぁ。 それよりちゃんとナビしてあげてーな。 犯人移動するやろ」
菜々(なな)「もう!人使い荒いんだから!!」

〇センター街
通行人B「ちっ。 大して入ってなかったなぁ」
通行人B「ま、学生ならこんなもんか」
通行人B「・・・ん? うわっ!」
太一(たいち)「はい、つーかまーえたっと!」
太一(たいち)「オラ!さっさと盗んだもん出しやがれ!!」
通行人B「一体どこで・・・? 仕方ない!!」
通行人B「・・・って、あれ?」
太一(たいち)「悪いがその『異能』は使えねぇんだよ」
太一(たいち)「こいつがいるからな!」
凛詠(りよん)「よん、えらーい」
通行人B「ちっ!『対策課』か!!」
太一(たいち)「そういうこった。 お前みてぇな異能を使って 悪さをするやつぁ」
太一(たいち)「誰が許したって俺らが許さねぇ!」
凛詠(りよん)「いっちゃん、かっくいー」
太一(たいち)「・・・気が抜けるからやめろ。ヨン子」
通行人B「くそっ!こんなやつらに・・・」
太一(たいち)「反省して、罪滅ぼしするこったな」

〇おしゃれな居間
課長「・・・」
課長「・・・まぁ」
仁香(にか)「まぁ?」
凛詠(りよん)「まぁまぁ?」
課長「異能者を捕まえたことは良しとしよう」
課長「被害者は上京したばかりの受験生でな、 この件で東京が嫌いにならなくて 良かったとも思う」
菜々(なな)「ですよねっ!」
太陽(さん)「ですね! で、課長、今後の警護のために 彼女の連絡先を・・・」
課長「おいサン」
太陽(さん)「はい?」
課長「この領収書の束と 合計額の109,000円は何の経費だ?」
太陽(さん)「や、やだなぁ、 僕の似顔絵用の紙やペンは特製で・・・」
仁香(にか)「どう考えても『女』やなぁ」
太陽(さん)「に、ニーくん 何を言い出すんだい?」
課長「・・・あとイチ」
太一(たいち)「おうよ!」
課長「お前、どれだけ飯食う気だ」
太一(たいち)「いやその・・・ この身体になってからやたらと 腹が空いてですね」
仁香(にか)「代謝がええんやろなぁ」
課長「・・・はぁ(もうやめたい)」
仁香(にか)「・・・なんか言いました?」
課長「・・・まぁ、いい。 今後も励むように、解散!!」
仁香(にか)「・・・(ごまかしよったな)」

〇渋谷駅前
  今日も今日とて
  大勢の人が行き交うこの街で
  異能による犯罪が
  少し『普通じゃない』人間達によって
  防がれていることは
  実はあまり知られていない。

コメント

  • それぞれのキャラにちゃんと特徴があり、
    物語の軸もしっかりとしていて読み応えがありました✨
    中でも何故か自分のお金じゃ買えないからと
    ハッキリいう女の子が印象に残りました😂笑

  • それぞれの能力設定だけでなく、キャラの個性がしっかりしていて面白かったです!
    もっと大きな事件に立ち向かう長編とかあれば楽しみです☺️

  • 面白かったです!読み終わったあとに、これ読み切りだったんだ…!とショックを受けました(笑)キャラクターそれぞれの特徴も目立っていて分かりやすく、とても続きが読んでみたいと思える作品だったのでコメントさせて頂きました。

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