Ep.3 最期の記憶を(脚本)
〇王妃謁見の間
アミントレ「君を7番目の団員として歓迎しよう」
ロジオ「(それからこれからの仕事というか、活動について説明があった)」
アミントレ「そうだな・・・・・・」
アミントレ「ネスト」
ネストレ「はい、マスター」
アミントレ「おい、ここは店じゃねぇからボスって呼べ」
ネストレ「はい、ボスター! って、あれ?」
アミントレ「ボスとマスターが混じってるな」
アミントレ「あ、自己紹介が遅れたが、俺はアミントレ・アゴスティ」
アミントレ「ある時はフラゴレ亭のマスター。そして、」
アミントレ「ある時は境界なき記憶調査団の表の団長」
ロジオ「表の?」
アミントレ「よくあるだろう? 裏の〜とか? 陰の〜とか?」
ロジオ「は、はぁ・・・・・・」
アミントレ「あとは、セヴェ」
セヴェリアーノ「はっ」
アミントレ「お前は分かっているだろうが、頼むな」
セヴェリアーノ「・・・・・・仰せのままに」
アミントレ「あとはそうだな、イラリアはどうだ?」
イラリア「・・・・・・」
イラリア「正気?」
アミントレ「あぁ、マリーヌでも良いが、ロジオとの相性を見てみたくてな」
イラリア「・・・・・・そんなこと、意味あるかしら」
アミントレ「あるさ。意味のないことなんて殆どない」
イラリア「・・・・・・貴方に何か言うのは無意味なようだけどね」
イラリア「まぁ、良いでしょう」
アミントレ「ロジオにはまずネスト、セヴェ、イラリアについて仕事を覚えてもらう」
ロジオ「はい、よろしくお願いします」
ロジオ「(そうして、俺は境界なき記憶調査団の7番目の団員になった)」
「おーい」
ロジオ「はい?」
ネストレ「にどめまして?」
ロジオ「あ、貴方は昨日の?」
ネストレ「あぁ、覚えているかは不明だが、ネストレ・イッツォ」
ネストレ「まぁ、ここではネストって呼ばれているかな?」
ネストレ「それから、こっちは・・・・・・」
セヴェリアーノ「セヴェリアーノ・エルミーニだ。アンブロージョ・アナスタージだな?」
ロジオ「はい、アンブロージョ・アナスタージです」
セヴェリアーノ「・・・・・・明日の朝、ヴィータの大広場で」
ネストレ「まぁ、驚くよな。でも、変なヤツだけど、悪いヤツじゃないから。変なヤツだけど!」
ロジオ「はぁ・・・・・・」
ロジオ「(貴方も割と変わってると思うけど・・・・・・)」
ネストレ「とりあえず、俺、セヴェ、イラリアさんの順で仕事を見てもらうことにしたから」
ネストレ「早速、行くか」
ロジオ「は、はい・・・・・・!! よろしくお願いいたします」
ネストレ「まぁ、俺には畏まらないで良いよ。そう言うの、俺も疲れるしさ」
ロジオ「は・・・・・・うん」
ネストレ「じゃあ、今日はフォリアの方に向かう。チェリアーレにヴィータ、それにブレッザにも」
ロジオ「ブレッザ・・・・・・」
ネストレ「ん? 大丈夫か?」
ロジオ「えぇ、でも、1日でどうやって行くんですか?」
ロジオ「1日、馬車で移動しても移動するだけで終わりそうだなって・・・・・・」
ネストレ「あぁ、それなら大丈夫。腕を」
ロジオ「え? 腕?」
ネストレ「まぁ、お望みならハグでも構わないけど・・・・・・」
ロジオ「は、ハグ・・・・・・」
ネストレ「そう。でも、まぁ、どこに出るか分からないから腕が無難かな?」
ロジオ「分かりました」
ネストレ「じゃあ、まずはチェリアーレへ行こう。3・2・1・・・・・・」
〇ヨーロッパの街並み
-チェリアーレ・パニョッタ通り-
ロジオ「ここは・・・・・・パニョッタ通り?」
ネストレ「そう、チェリアーレのパニョッタ通りだよ。さて、こっちかな?」
ロジオ「あ・・・・・・」
〇ヨーロッパの街並み
ネストレ「これから会いに行くのはアージアっていう子で、失っているのは前世の記憶」
ネストレ「彼女は断片的に記憶はあるけど、はっきりとしていなくて、現在調査中」
ネストレ「俺はその断片を調査して、実証班に引き継ぐ」
ロジオ「実証班?」
ネストレ「実証班っていうのは調査した記憶が正しいか裏付けを取る班だな」
ネストレ「ほら、例えば、断片的な情報を繋ぎ合わせて、これが君の過去だ」
ネストレ「なんて言われても、今一つ、信用できないだろう?」
ロジオ「まぁ・・・・・・そりゃ、そうかな」
ネストレ「そこで、境界なき記憶調査団は調査班と実証班の2つを作っている」
ネストレ「調査団は」
〇黒
ネストレ「まず、俺」
ネストレ「ミリア」
ネストレ「セヴェ・・・・・・実証班に近いけど、調査班の仕事もやってる」
ネストレ「あとは大勢の准団員達に」
ネストレ「それにマスターもかな?」
〇ヨーロッパの街並み
ロジオ「え、あの団長さんも?」
ネストレ「まぁ、表だっての調査はしないけど、並の調査員よりも能力が低いってことはないだろ」
ロジオ「・・・・・・」
ネストレ「さて、そんなこと、言っている間に着いた。 ここがアージアの家だ」
ロジオ「(それから、俺とネストさんはアージアって子の話を聞いた)」
アージア「お兄ちゃん達が記憶調査団の人?」
ネストレ「あぁ、そうだよ。俺はネスト。こっちはロジア。君がアージアかな?」
ロジオ「・・・・・・」
アージア「うん、私がアージアだよ」
ネストレ「そっか。早速なんだけど、君が覚えていることを教えてくれるかな?」
アージア「うん。前世の私の名前はシルヴァーナ・・・・・・」
アージア「ううん、シルヴィア・・・・・・だった気がする」
ネストレ「シルヴィア・・・・・・良い名前だね」
ネストレ「苗字はどうかな? 覚えていたりするのかな?」
アージア「ううん。苗字は覚えていない」
アージア「それで、私は木が沢山ある村で育った・・・・・・と思うの」
ネストレ「村からは海は見えたかな? それか、海鳴りが聞こえていたとか??」
アージア「海・・・・・・?」
ネストレ「うーん・・・・・・海、知らないか。じゃあ、ラーモ湖は?」
アージア「うん、知ってるよ」
ネストレ「じゃあ、話が早い。そのラーモ湖に塩が沢山入っている感じなんだけど?」
アージア「塩ってあの、お料理に使う?」
ネストレ「そう、海は湖のように水が沢山あって、水が塩辛いんだ」
アージア「へぇ、そうなんだ」
ネストレ「・・・・・・。まだ断定はできないけど、君はフォリアに住んでいたのかもね」
アージア「フォリア?」
ネストレ「そう、この辺りの土地をまとめてフォリアって言うんだよ」
アージア「フォリア・・・・・・フォリア・・・・・・そう、確か、フォリア地方だった気がする」
ネストレ「うん、凄い。ちょっとずつ、思い出せているじゃない」
アージア「えへへ」
ロジオ「(そんな気が遠くなるようなやりとりがいくつも続き、)」
ロジオ「(俺達は前世のアージアが住んでいたと思われるブレッザに行くことになった)」
ネストレ「じゃあ、行こうか」
アージア「うん」
ロジオ「(彼女はネストさんがしっかりと抱き抱えて、俺は腕を差し出す)」
ネストレ「じゃあ、しっかり掴まってろよ」
〇児童養護施設
ブレッザ。
都会であるチェリアーレやヴィータとは違い、
村というのが近いフォリアの町だった。
ロジオ「(俺はこのブレッザに住んでいた)」
「おーい!!」
ネストレ「おいったら!!」
ロジオ「あ、ネストさん?」
ネストレ「あ、ネストさんって・・・・・・」
ロジオ「あの子は?」
ネストレ「アージアのこと?」
ネストレ「彼女ならチェリアーレに送って行った」
ネストレ「見覚えがあるような、ないような・・・・・・ってことだったからな」
ネストレ「まぁ、1回、前世に縁がある場所を見たからって思い出せるなら俺達なんかいらねぇよな」
ネストレ「まぁ、気長に彼女の前世と向き合うよ」
ロジオ「そうですね・・・・・・」
ネストレ「まぁ、向き合うとは言ったものの、1回で全てを思い出せるケースや」
ネストレ「衝撃的な1シーンを見るケースもあるらしいけどな」
ロジオ「衝撃的な1シーン・・・・・・」
ネストレ「そう、例えば、最期の記憶とか?」
ロジオ「最期の・・・・・・記憶・・・・・・?」
ネストレ「俺もその辺りは詳しい訳じゃないが、」
ネストレ「記憶が失われている人間にはあまり良い死に方ができなかったと言われている」
ロジオ「例えば、殺されたとか?」
ネストレ「まぁ、可能性はあるよな。そのことを思い出さないようにする為に全てを忘れている」
〇黒
ロジオ「(ならば、彼らもそうなんだろうか)」
〇児童養護施設
〇西洋の住宅街
〇海辺
〇王妃謁見の間
〇草原の道
〇黒
ロジオ「(そして、自分さえも・・・・・・)」
〇児童養護施設
ネストレ「本当にもうヴィータに行って良いのか? 久し振りの帰郷ってヤツなんだろ?」
ロジオ「えぇ、俺の育ての親は来世に行ってしまいましたしね」
ロジオ「(来世に行く・・・・・・それはこの世界では「死ぬ」ということだ)」
ネストレ「そうか・・・・・・分かった」
ネストレ「じゃあ、今日はヴィータに行ったら解散するということで・・・・・・」
ロジオ「はい、じゃあ、お願いします」
〇中東の街
ヴィータ-第4区画-
ネストレ「じゃあな。俺はチェリアーレの支部に戻るよ」
ロジオ「(チェリアーレにはフォリアの第1支部があるらしい)」
ロジオ「(まぁ、ヴィータは酒類を取り扱っているところが少ないしな)」
ロジオ「分かりました。今日はありがとうございました」
ネストレ「それじゃあ、また!」
ロジオ「さて、今日の宿を見つけるか・・・・・・」
ロジオ「(そして、俺は適当な宿屋に入った。チェリアーレにブレッザ、ヴィータ)」
ロジオ「(運んでもらっただけなのに、何だか、もの凄く疲れていた)」
ロジオ「(だから・・・・・・普段は見ないようなものを見ていた)」
〇海辺
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」
ロジオ「(荒い息遣い、静かな潮騒・・・・・・)」
ロジオ「(見覚えのある人達・・・・・・)」
〇黒
それが最期の記憶・・・・・・
〇基地の広場
セヴェリアーノ「・・・・・・」
〇黒
次回
〇黒
Ep.4 向けられた切先は