2日目『周辺国家および世界情勢についての研修プログラム』 (脚本)
〇黒
〇綺麗な会議室
マリア・ルータス「あ、おはようございます!」
マリア・ルータス「朝早いんですね!感心です!」
マリア・ルータス「本日のプログラムも引き続き私が担当させていただきます!よろしくお願いしますね!」
マリア・ルータス「今日の研修プログラムは、『周辺国家および世界情勢について』」
マリア・ルータス「我がクローレンツ大帝国を取り巻く状況や、世界情勢についてお話しできればと思います」
マリア・ルータス「早速、始めていきましょう!」
〇未来の都会
マリア・ルータス「私達の住むクローレンツ大帝国は、前回お話ししたように、東大陸の北部70%を占めています」
マリア・ルータス「その南には、あなたの母国であるシスタニア共和国がありますよね」
マリア・ルータス「あなたはシスタニア出身なので、シスタニアの歴史については既にご存知かも知れませんが、」
マリア・ルータス「今の世界情勢を語る上でも必要な事ですので、説明させていただきます」
〇西洋の城
マリア・ルータス「帝国の隣国シスタニアは、約15年ほど前までは王政国家でした」
マリア・ルータス「シスタニア王朝最後の国王グスタフが全ての権限を持った50年間の間、独裁的な政治が続いていたのは有名ですね」
マリア・ルータス「その頃帝国はと言うと、前皇帝ルクセン陛下の時代でした」
〇黒
マリア・ルータス「当時から強大な軍事力を持つ帝国ではありましたが、ルクセン陛下は外政や他国の事に干渉する事は滅多になく、」
マリア・ルータス「その頃の帝国は世界の国々から『眠れる獅子』と呼ばれていたそうです」
〇西洋の城
マリア・ルータス「シスタニア王グスタフは、強大な力を持つ帝国に対し一線を引きつつも、国内では独裁的な政治を続け、民を弾圧していました」
マリア・ルータス「そうして膨れ上がった人々の報復心にやがて火が付きます」
〇荒廃した市街地
マリア・ルータス「そう。今から約15年程前の話です」
マリア・ルータス「反シスタニア王政のレジスタンス組織『赤い飛行船(レッド・ツェッペリン)』が急激に成長し、」
マリア・ルータス「シスタニア軍の一部までも取り込んで、国王軍と衝突」
マリア・ルータス「シスタニア内戦が始まったのです」
〇西洋の城
マリア・ルータス「レジスタンスの勢いにシスタニア国軍は徐々に押され、首都デカルタ最終決戦にて敗北」
マリア・ルータス「後で言うシスタニア革命の成就ですね」
マリア・ルータス「その内戦を機に、シスタニアには新政府が設立され、共和国へと変わっていったのです」
〇謁見の間
マリア・ルータス「ルクセン前陛下はシスタニア新政府と和平条約を結び、そこから数年は同盟国として交流もありました」
〇黒
マリア・ルータス「しかし」
マリア・ルータス「ルクセン陛下が病床に伏し、サキュラス陛下が皇帝に即位すると、世界の状況は一変します」
〇塔のある都市外観
マリア・ルータス「今から四年前、サキュラス陛下は帝国のもつ世界一の軍事力を行使して、全世界を統一する事を宣言しました」
マリア・ルータス「それにより世界は震撼します。眠れる獅子が目覚めてしまった。と」
〇豪華な王宮
マリア・ルータス「帝国と海を隔てる西大陸諸国は、サキュラス陛下の宣戦布告を受けて混乱に陥ります」
マリア・ルータス「ルクセン陛下時代に同盟を結んでいたシスタニアによる水面下での交渉が直ぐに行われましたが、」
マリア・ルータス「帝国はシスタニアとの同盟を破棄。同時にシスタニアに向けての侵攻作戦を開始しました」
〇荒廃した市街地
マリア・ルータス「それが今から四年前のシスタニア侵攻作戦です。シスタニアは僅か一年で、この帝国の支配下となりました」
〇綺麗な会議室
マリア・ルータス「シスタニア人であるあなたにとっては辛いお話かもしれません」
マリア・ルータス「けど、その後三年間の間で戦争難民や移民受け入れの為の制度が帝国内で整備され、」
マリア・ルータス「今ではあなたのように、他民族であってもこの国の公務員として活躍する人が増えています」
マリア・ルータス「これこそが、統治。と言うことではないでしょうか?」
マリア・ルータス「皮肉な事ではありますが、あれだけ小国どうしで小競り合いの絶えなかった西大陸諸国も、」
マリア・ルータス「クローレンツ大帝国という巨大な力を前に、連合国家として一つになり、一致団結する道を選んだのです」
マリア・ルータス「現在、世界は東大陸の帝国と西大陸の連合国で、大海を中心に完全に二分され、睨み合いの冷戦状態が三年も続いています」
マリア・ルータス「口火を切り、やがて世界大戦が始まれば、この国はその武力を持って世界の全て統治するでしょう」
マリア・ルータス「その為に大勢の血が流れる事も、悲しみが連鎖する事も私たちはちゃんとわかっています」
マリア・ルータス「しかし、それは今まで人類が繰り返してきた争いの歴史に比べれば微々たるもの」
マリア・ルータス「その連鎖を今この時代で終わらせ、争いのない未来のために、私たちはこの軍務総省で働いているのです」
マリア・ルータス「今日のプログラムはここまでです」
マリア・ルータス「次回は『軍務総省及び、その他帝国の機関』についてのプログラムとなります」
マリア・ルータス「お疲れ様でした。また、次回も宜しくお願い致します」