私って

L-eye

勝って返す(脚本)

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〇火山のある島
ガンディ「・・・いよいよだな」
由加「うん」
ガンディ「・・・伊吹由加。悪い」
由加「何が?」
ガンディ「お前は特訓に夢中で気付いていないだろうが・・・俺と修行してどの位経ったと思う?」
由加「うーん・・・10日位?」
ガンディ「1ヶ月だ」
由加「えっ!?」
ガンディ「・・・予定より長く修行をさせちまった。その謝罪だ」
由加「・・・いや、良いよ。楽しかったし」
ガンディ「か、軽いな・・・」
由加「にしても、ボスはよく待ってくれたよね。いくら私を倒す為に準備してたとしても、向こうもこれほど掛かる準備だったのかな?」
ガンディ「ボスは慎重な性格だ。俺の位置情報も既に割れている上、行動も予測して動く類の人間だ」
ガンディ「俺の生命反応が消えず、既に1ヶ月経過している。にも関わらず自分の所にも帰らない時点で、幾つかに選択肢を絞ってる筈だ」
ガンディ「『敵との共闘』だって、珍しい話では収まらねぇ。特に俺が相手じゃあな」
由加「「俺が相手じゃあ」?」
ガンディ「俺は予測不可能って事だ。だが、ボスは俺が突飛な行動をするのも予測してる。こっちの修行もお見通しだろうよ」
ガンディ「だからこそ、気合を入れて行くぞ。今の俺とお前は、たかだか1ヶ月の修行にしては訳がわからん程強くなってる」
ガンディ「・・・正直、負ける気がしない」
由加「私も、負ける方が難しいとさえ思ってるよ」
ガンディ「・・・だからこそ、気を引き締めろ。最早俺らの標的はボスだけだ」
ガンディ「基礎戦闘力を完全に底上げ出来た以上、他の奴は余程の手練れでもない限り雑魚だ。相手にならん」
ガンディ「だが、どんな雑魚であろうと揺さぶりには応じるな。間違っても敵の言葉に聞く耳を持つな」
由加「『変化に動じない心理抵抗』・・・だっけ」
ガンディ「そうだ」
ガンディ「実力が拮抗してるほど、精神面の揺らぎが与える影響は大きい」
ガンディ「雑魚でもそうだが、俺らと互角以上の奴なら尚更だ。まあそんな奴などそうそう居ないが、用心はしておけ。良いな?」
由加「・・・・・・・・・」
由加「わかった。じゃあ、乗り込もうか」
ガンディ「・・・ああ」

〇大きい研究所
由加「・・・ここ?」
ガンディ「ああ」
ガンディ「・・・入ったら、後はひたすら攻撃する事になる。言葉を交わす余裕もないぞ」
由加「・・・・・・」
ガンディ「行く・・・」
由加「・・・・・・・・・・・・」
ガンディ「・・・・・・・・・・・・?」
ガンディ「・・・何だ、ありゃ?」
由加「さあ・・・」
ガンディ「まあ良い。乗り込むぞ」

〇研究施設の玄関前
ガンディ「3・・・」
由加「2!」
ガンディ「お、おい!大きな声を出すな馬鹿!とっとと乗り込むぞ!うおおおおお!」
由加「あんたも大きな声出してんじゃん──」
  緊急警報発令。緊急警報発令。『ターゲット』の侵入を確認。殲滅開始。殲滅開始。
由加「ターゲット・・・つまり私達は待ち伏せされてた訳だね──」
ガンディ「ああ、そういう事だ──」
ガンディ「なっ!」
由加「はっ!」
由加「楽勝だね」
ガンディ「ああ。だがこっからだ。・・・来たぞ」
由加「・・・相変わらず、数だけは多いね」
ガンディ「はっ!問題ねぇ!行くぞ!」
由加「・・・・・・」
ガンディ「ぼさっとするな。敵が居ない内にさっさと進むぞ」

〇研究施設の廊下
ガンディ「ここを突っ切れば第一研究室だ。一気に行くぞ」
由加「でも、まだ楽勝だね。寄り道しても良いんじゃない?」
ガンディ「油断するなって言っただろうが!このまま真っ直ぐ進むぞ!」
由加「えー・・・」
ガンディ「ちょっと余所見してる間に大量の敵が集まってくんだよ!さっきの一連でわかっただろうが!」
由加「・・・・・・・・・」
由加「ぷっ」
ガンディ「・・・何がおかしい」
由加「いや、やっぱりちゃんと考えてるんだなって。意外と」
ガンディ「てめえええええ!「意外と」は余計だっつってんだろうがああああ!」
???「おや、いつの間に仲良くなられたんですか?」
???「さあ・・・どっちも破壊するのが大好きな戦闘狂ですから、気が合ったんでしょうね」
ガンディ「チッ・・・お前らか」
ガンディ「・・・どっちを殺る?」
由加「私は佳菜ちゃん!我孫子は任せた!」
我孫子「そんな、私も貴方様が良かったのですが・・・」
由加「じゃあ二対一?良いよそれでも」
ガンディ「・・・俺抜きで話を進めんじゃねえ」
ガンディ「第一、二対一だと俺が暴れられねえんだよ!ちったあ考えろ!一人は俺だ!」
我孫子「そうですか、では・・・」
「バトルフィールド、展開」

〇地下駐車場
ガンディ「・・・はっ!またバトルフィールドか!だからテメェらは嫌いなんだよ!」
我孫子「悲しいですねえ・・・仲間に嫌われるというのは」
ガンディ「はっ!ぬかせ!ボスの犬であるテメェと俺が仲間な訳ねえだろうが!」
ガンディ「最初から潰す気だったぜ!テメェもなあ!」
我孫子「・・・そうですか。悲しい、本当に悲しいですよ」
ガンディ「勝手に悲しんでやがれ。俺はテメェで存分に楽しませてもらうぜ」
我孫子「本当に悲しいですよ。貴方様との時間を・・・」
我孫子「貴方様との時間を、終わらせなければならないなんて」
我孫子「さあ、ショーが始まりますよ。貴方様はこれに耐えられますでしょうか?」
ガンディ「・・・ソイツが、ショーの目玉か?」
我孫子「ええ、そうです。試しに、攻撃をしてみて下さい」
ガンディ「・・・・・・」
ガンディ「はあああああああああ!」
ガンディ「っ!?」
ガンディ「(ビクともしねぇ・・・!今の伊吹由加すら直撃したらグラつくほどのパンチだぞ!?)」
我孫子「ふふふ・・・次は此方の番です」

〇ボクシングジム
由加「ボクシングジム?」
佳菜「はい。このフィールドであなたを倒します」
由加「なら、次はどんな敵?私は何でも──」
佳菜「私です」
由加「そっか。佳菜ちゃんが相手か。よろしくね・・・」
由加「・・・・・・・・・えっ?」
佳菜「私が相手です。とは言っても、このまま戦う訳じゃありません」
由加「・・・どういう事?」
佳菜「こういう事です・・・」
佳菜「はっ!」
由加「・・・・・・・・・・・・」
由加「・・・どういう事?」
佳菜「これは、ボスの研究の一部・・・あなたを倒す為に作られた、『合成人間』のデータの1つです」
佳菜「この姿は『猫人』・・・猫と人間の融合体です。耐久力は並ですが、攻撃性能が人間の比じゃありません。例えば──」
由加「・・・・・・」
佳菜「このように発達した爪から強力な一撃を食らわせる事も可能です」
佳菜「この姿で、私はあなたに勝ちます。・・・何としてでも」
由加「・・・まあ、存分にやると良いよ。来な」

〇地下駐車場
ガンディ「・・・・・・・・・・・・」
ガンディ「チッ!」
  おや?攻撃の手が止まりましたねぇ・・・
ガンディ「うるせぇ!考えてんだよ!」
ガンディ「(・・・クソが!硬すぎてロクに攻撃が入らねえ!)」
ガンディ「(どうすりゃ良い?今までのやり方じゃ・・・)」
ガンディ「・・・」
ガンディ「チィッ!」
  効かない攻撃も、素早い回避も、何れは限界が来る。・・・もういっそ、諦めてはどうでしょう?
ガンディ「うるせぇ!諦めてたまるか!」
ガンディ「(・・・クソッ!クソッ!クソッ!・・・どうしたら良い!どうしたら・・・)」
ガンディ「・・・やめだ」
ガンディ「ちゃっちい作戦なんて考えるだけ無駄だ。俺は俺の一撃をぶつける為に来たんだ!その為に・・・日々訓練で基礎を磨いてきた!」
ガンディ「基礎は裏切らねえ!はあ!」
ガンディ「(効いてねえが・・・殴る!)」
ガンディ「うおおおおおおおおお!」
ガンディ「さらにもう一発だ!おおおおおお!」
ガンディ「・・・・・・」
モンスターN「・・・・・・・・・」
ガンディ「(効かねえよな)」
ガンディ「(だが、関係ねえ!)」
  無駄な攻撃を続けても無駄なだけだと思いますが・・・何故こうも同じ手ばかり使うのですかねぇ。理解に苦しみます
ガンディ「・・・おい我孫子。そして無敵野郎」
  はい。何でしょう
ガンディ「今から放つ一撃は・・・俺の歩んできた道全てだ」
  道・・・ですか?
ガンディ「ああそうだ。俺が今まで鍛えてきたのは、俺の為、まだ見ぬ強者の為、ヤツを今度こそブチのめす為・・・」
ガンディ「ひとえに!俺の『信じる道』の為だ!うおおおおおおおおおお!」
ガンディ「覚悟しろ!全身全霊で、テメェらを倒す!がああああああああああ!」
モンスターN「・・・・・・・・・・・・」
  ・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・?な、何ですか?その姿は・・・
ガンディ「・・・・・・・・・」
ガンディ「(・・・どういう事だ)」
ガンディ「(今まで経験した事のない力が備わっている)」
ガンディ「(それに・・・何だこの色は)」
ガンディ「(俺の感情が昂った事により身体が異常に変質したのか?)」
  ・・・まあ良いでしょう
  此方としても、そろそろ終わりにしたかった所です。無駄な事に興味はないのでね・・・
ガンディ「・・・そうか」
  ええ。・・・終わりにしましょう
ガンディ「・・・・・・」
ガンディ「ああ、終わりにしよう──」
  終わりです・・・ガンディ!
ガンディ「・・・」
  !?
モンスターN「・・・」
  これは・・・?
ガンディ「・・・・・・」
  ・・・構う事はありません。これに攻撃が効く筈がない!はああ!
ガンディ「・・・無駄だ」
  無駄?そんな筈は・・・
ガンディ「・・・ソイツを見てみろ。もう動く事すらままならねぇ」
  くっ!
ガンディ「行かせてもらうぞ。俺にはまだ、戦うべき敵がいるんでな」
  ・・・・・・・・・で、ですが──
  その辺にしておけ。我孫子
ガンディ「・・・」
  ぼ、ボス!?まさか、もう準備がお出来で?
  ふん、元より準備など心の問題だけだ
  「これは世の中の未来を変える戦となる。負ければ、この世界は絶望へと変わる・・・」
  そうだ。この戦いは、絶対に負けてはならない・・・
  ・・・だからこそ、すぐにでも始める。最終決戦だ・・・伊吹由加を連れてこい。我孫子
  ・・・・・・承知しました。今すぐに山岡佳菜との戦闘を中断させます──
ガンディ「・・・・・・・・・・・・」

〇ボクシングジム
佳菜「・・・はあ・・・・・・はあ・・・・・・」
佳菜「(・・・・・・つ、強い!実際に戦ってみて初めてわかるこの異質さ!)」
佳菜「(ただ殴るだけの攻撃が、何でこんなに──!?)」
佳菜「きゃあ!」
由加「・・・・・・」
佳菜「こ、今度は何を仕掛けてくるの・・・?」
由加「・・・」
佳菜「うぐ・・・」
由加「・・・ごめんね。気絶のさせ方がわからないんだ」
佳菜「・・・くっ!」
佳菜「・・・呼び出し?・・・我孫子さんから?」
佳菜「はい。どうなされましたか?」
  ボスからの招集命令です。遂に・・・
佳菜「遂に、完成させましたか?」
  ・・・・・・そのようです。ですので・・・
佳菜「お断りします」
  はい。では、よろしくお願い・・・・・・
  ・・・今、なんと?
佳菜「・・・私はここで、決着を付けます。ここで伊吹由加さんに、勝た──」
由加「・・・ようやく気絶した」
由加「・・・気絶してる・・・よね」
由加「・・・」
由加「もしもし」
  もしもし──おや?貴方様ではありませんか。その・・・私の同僚は何処へ?
由加「・・・気絶してる。多分、暫くは起きないと思う」
  ・・・・・・そうですか
  たった今、ボスから連絡が入りました。「準備が出来た。今すぐ伊吹由加を連れてこい」だそうです
由加「・・・そう」
由加「なら、すぐにでも行くよ。早く終わらせたいでしょ。お互いの為にも」
  ああ、そうだな。一刻も早く終わらせたいさ・・・
由加「・・・・・・・・・・・・」
  待っているぞ、伊吹由加。私はここで貴様を潰す。潰せなければ、未来はないからな──
由加「・・・未来?」
  ああ、そうだ。世界を滅亡させる恐れのあるお前を、御す事が出来るか否か。出来れば、未来は守られる
由加「「出来なければ滅びる」って?私、世界を滅亡させたりなんかしないよ。普通に暮らせれば、それで良い」
  ふん、芽は潰すに限る
由加「でも、『可能性』で潰してたらキリがないよ」
  ・・・・・・・・・・・・
  ・・・やはり、血か
由加「?」
  さっさと来い。どうであれ、貴様は死ぬ。それ以外の選択肢はない──
由加「・・・・・・・・・・・・」

〇研究施設の廊下
ガンディ「おう、戻ってきたか」
由加「・・・・・・」
由加「が、ガンディ?なんか、色が変わってる・・・」
ガンディ「・・・俺にもわからんが、感情の昂ぶりに力が呼応したんだ。変色はその副産物だ」
由加「・・・そう」
ガンディ「・・・・・・・・・」
ガンディ「・・・ボスがお前と戦いたがっている。まあ、既に把握済みだろうが」
由加「・・・・・・」
ガンディ「・・・・・・・・・」
ガンディ「伊吹由加。一つ、頼みがある」
由加「『俺に、ボスとの戦いを譲ってくれないかああ!』」
ガンディ「・・・・・・大体そんな感じだ。そこまで阿呆っぽくはないつもりだがな」
ガンディ「ボスを倒す事は、俺の宿命でもある」
ガンディ「気付いたんだ・・・ボスが俺を何度も遠くへと追いやったのは、単に嫌がらせをする為だけじゃねぇ。厄介払いだったんだと」
ガンディ「厄介払いをするという事は、俺は邪魔だったという訳だ・・・だが、あそこに居た時の俺は殆どトレーニングしかしていなかった」
由加「・・・?」
ガンディ「トレーニングルームなんざ、俺以外誰も使ってなかったんだ。なのに、追い出した」
ガンディ「・・・つまり、俺という存在が日に日に強くなっていく事に恐怖を覚えたんだ、ヤツは。そうに違いねぇ」
由加「(何か違うような・・・)」
由加「まあ、ここは譲るよ。あんただって修行したんだし、前負けた時の何倍も強くなってる筈」
由加「それに・・・負けた時は私が居る。思いっきり戦って、思いっきり負けていいよ」
ガンディ「尚更負けられねぇわ!」
ガンディ「・・・恩に着るぜ。この借りは、勝って返す」
由加「うん。それが理想だね・・・行ってらっしゃい、ガンディ──」
  何処に行くと言うのだ?
由加「・・・・・・」
ガンディ「『ボス』・・・!」
  分断する必要はない。諸悪の芽は、今ここで──
  今ここで、私が潰すからな──

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