【第2照】誰もがジョーカー(脚本)
〇ヨーロッパの街並み
その頃のグリーン
グリーン「はい、着いたよ。もう容易に森に行かないようにね」
ヨウジ「ありがとう、グリーン!」
ヨウジ「──所で、一つ聞きたいことがあるんだけど」
グリーン「なに?」
ヨウジ「大声では言えないな・・・。ちょ、耳貸して。或いは周りの人みんな消して」
グリーン「発想過激ボーイ」
ヨウジ(次から次へと不名誉なあだ名が増える)
グリーン「はい、これで大丈夫?」
ヨウジ「あっ、ありがとう」
ヨウジ「グリーンって、あのお姉さん好きなの?」
グリーン「えっ!?」
ヨウジ「声でかいよ!」
グリーン「ご、ごめん。・・・なんでそう思ったの?」
ヨウジ「だって、わかりやすかったもん」
ヨウジ「瞬きの数が多くなってたし、瞳孔も通常よりも開いてたし、心拍数早まってたし」
ヨウジ「あっ、あとわざと目線を合わせないようにもしてたな。少し早口だった気もする」
グリーン「いや、すごいな!?てか、それだけの観察眼を備えていて何故森に迷ったんだこの子」
ヨウジ「はしゃぎすぎた」
グリーン「なら仕方ない」
ヨウジ「相手は敵だから、色々と気を使うよね。人間って大変だね」
グリーン「どの視点からの発言?」
ヨウジ「でも、僕はお似合いだと思うよ。悪とか正義とかよく分からないけど、」
ヨウジ「2人のオーラ、すごく似てたから」
グリーン「発想過激ボーイ・・・」
ヨウジ「世界中の誰が2人の恋を応援してなくても、僕だけは応援してる」
ヨウジ「だって、僕を助けてくれた大好きな2人だもん」
グリーン「ありがとう」
「ヨウジー!!」
ヨウジ「あっ、母さんだ」
ヨウジ「それじゃあね、グリーン」
グリーン「その心を忘れない、素敵な大人になるんだよ」
〇古書店
ヒーローの基地(資料室)
グリーン「ただいま」
イエロー「あぁ、おかえり。迷子の坊やは無事に送り届けられたか?」
グリーン「あぁ」
グリーン「怪我の手当てか?」
イエロー「そうだ」
グリーン「そうか。お大事に」
イエロー「・・・」
グリーン「なに」
イエロー「──ずっと、思ってたんだけどさ」
イエロー「今日、明らかにお前のこと攻撃してなかったよな?」
グリーン「たまたまだろ」
イエロー「いや、お前ヒーローのくせに傷ひとつない綺麗な体過ぎない?」
イエロー「僕、まだ膝のところカサブタあるんだけど?」
グリーン「ヒーローなのにカサブタで済んでるんだし、上出来だろ」
イエロー「ヒーローになってこのかた無傷のお前に言われたくないんだけど!?」
イエロー「この勢いでもう1つ気になってること、言っていい?」
グリーン「勿論。俺たち仲間だろ?何でも言ってくれ」
イエロー「だよね、よかった。じゃあ言うわ」
イエロー「相手の親玉の女の子さ、お前のこと好きなんじゃ──」
グリーン「んな訳ないだろそんな都合の良い妄想あったらダメだろ変な期待持たせるなおバカ!!」
イエロー「えぇっ・・・情緒不安定ヒーロー・・・」
グリーン「俺はあの子の敵だぞ!?しかも悟られない様にめちゃくちゃ冷たい態度とってるのにおバカ!」
イエロー「めちゃくちゃ責められる。あと根が良い子だからバカに「お」を付けちゃう」
イエロー「恋ってこんなに人間を化け物にしちゃうの?もしかしてこいつから討伐した方が良い?」
グリーン「俺だって、敵に恋なんかしちゃいけないことはわかってる。だからこの間だって・・・」
〇荒野
あの日あの時のグリーン
イエロー「ぐぁあああああっ!!!!!!!!!!!!」
イエロー「クソ!今日のところは引き上げてやる!次は絶対に負けない」
グリーン(えっ、また俺だけ当たらなかった。ここから一歩も動いてないのに?)
グリーン(あっ、駄目だ。自分に都合の良い解釈しそう。真顔真顔)
グリーン「・・・ふん」
アクノ「ふふふふふ・・・はははははっ!!その顔、最高だわ!何度来ても同じよ」
グリーン(え〜めっちゃいい笑顔)
アクノ「悔しかったら、懲りずにまた来ることね」
イエロー「くそっ!馬鹿にしやがって!!」
グリーン(スムーズに会話のキャッチボール出来ててすごいな、イエローは)
アクノ「あら?馬鹿になんかしてないわ」
イエロー「覚えていろよ」
アクノ「勿論よ」
グリーン(認知されてんじゃん、いいなー・・・)
〇古書店
グリーン「──って感じだったし」
イエロー「もう突っ込まないからな?」
イエロー「お前の恋なら応援したいよ、僕だって。だけど、相手が悪の組織だったら話は別だ」
グリーン「・・・」
グリーン「俺もずっと思ってるんだけど、彼女は本当に悪の組織なのか?」
グリーン「怪我をしてるお前には悪いけど、これだけ日々戦って、毎回擦り傷程度で済んでるのは」
グリーン「わざと必要以上に傷つけない様にしてるんじゃないか?」
グリーン「あれだけの魔法を使える人が、敵対してる相手にこれだけの怪我で済ませるなんて──」
イエロー「それはお前が都合が良い様に捉えてるからだ」
イエロー「いざという時の判断をする覚悟だけは、ちゃんとしておくんだぞ」
「イエロ〜、ちょっときて〜」
イエロー「はーい」
イエロー「じゃあ、またな」
グリーン「あぁ」
グリーン「もしもあの子が同じ立場なら、きっともっとクールに対応できるんだろうな」
グリーン「なんて、悲しいだけの想像はやめよう」
〇魔王城の部屋
その頃のあの子
アクノ「ヴェヴぅえぇえヴェックショぉおおおおおおおおおおおおおおおおおいっチクショー!!」
ブーカ「うわっきったな!!除菌殺菌」
アクノ「ちょ上司に向けてアルコール消毒しないでよ!?今もしも火の攻撃受けたら大惨事よ!?」
ブーカ「それくらい魔法でちょちょいのちょいと消せるでしょう?」
アクノ「それはそうだけど、私の魔法を居酒屋のお通しみたいな軽さで言われるの腹立つわね」
ブーカ「居酒屋のお通し美味しいじゃないですかお通しだからってバカにしてるんですか謝ってくださいよ」
アクノ「いや沸点スイッチどこ!?すごい早口だしそんなにお通し好きだと思わなかったよごめんね!?」
ブーカ「分かれば良いんです。でも今度奢ってください」
アクノ「強かすぎるだろ私の部下」
ブーカ「悪なら強かな方が良いのでは?」
アクノ「それはそうだよ毎回論破されちゃうよ!」
アクノ「はーっ。きっとあの人なら、イエローとか他のメンバーにもクールに返すんだろうなぁ」
〇古書店
実際の彼
グリーン「んな訳ないだろそんな都合の良い妄想あったらダメだろ変な期待持たせるなおバカ!!」
イエロー「えぇっ・・・情緒不安定ヒーロー・・・」
グリーン「俺はあの子の敵だぞ!?しかも悟られない様にめちゃくちゃ冷たい態度とってるのにおバカ!」
〇魔王城の部屋
アクノ「はぁっ・・・ほんといつもクールで、優しくて、かっこよくて大好き」
ブーカ「・・・」
アクノ「さて、次のデ・・・戦いに向けて、作戦練りますか!」
ブーカ「──はい」
〇黒
この時、もっと早くに気づいているべきだったんだ
些細で大きな彼の変化に
続く