ひめおと~ 姫が男に転生しても勇者の愛は変わらないのか?~

イトウアユム・いわさきなおみ

第11話「束の間の休息」 (脚本)

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〇海水浴場
大和要「いらっしゃいませー!」
大和要「――って、葵さん! どうしてここに?」
姫野葵「要くんが一生懸命働いている姿を 見に来たんですよ」
姫野葵「バイト、今日が最後なんでしょう?」
大和要「そうだけど・・・ なんだか少し恥ずかしいな」
姫野葵「ふふっ 恥ずかしがることないじゃないですか」
姫野葵「ええと、それじゃあ・・・ イカ焼きを1ついただけますか?」
大和要「イカ焼き1つね、了解 ・・・はい、どうぞ」
姫野葵「ありがとうございます」
姫野葵「――それでですね、実は1つ 要くんにご提案があって」
大和要「提案? 何かな」
姫野葵「もしもう少し熱海に滞在できるのであれば 明日、私が滞在している別荘にご招待させてくれませんか?」
大和要「え──」
黒須雫「マジっっっっスか!!」
大和要「!?」
  店の奥から雫が飛び出してきた。
  遅れて、呆れ顔の紫も顔を出した。
江西紫「やれやれ・・・すまんな、要 雫のヤツ、辛抱がきかなくて」
大和要「え、どういうこと?」
江西紫「そちらが葵さんだろう? せっかくなので 2人でゆっくり話してもらおうと、遠慮 していたのだが・・・」
黒須雫「へへっ、メンゴメンゴ♪」
黒須雫「でもさあ、別荘なんてセレブなワードを 聞いちまったじゃん?」
黒須雫「パリピ代表のオレとしては 居ても立っても居られないっつーか」
  ぺろりと舌を出しておどけて見せる雫に
  要と紫は呆れ顔だ。
  一方、雫の登場にしばし驚いていた葵は
  ふっと表情を緩ませる。
姫野葵「雫くん、ですよね?」
姫野葵「要くんから聞いていた通り すごく元気が良くて楽しい人なんですね」
姫野葵「そしてそちらが紫くん、かな。ふふ、2人とも要くんの良いお友達だと伺っています」
姫野葵「――はじめまして、姫野葵と申します」
江西紫「江西紫です いつも要がお世話になっています」
黒須雫「オレは黒須雫でっす! よろしくッス!」
大和要「葵さん、ごめん。騒がしくて・・・」
姫野葵「いいえ、要くんの大切なお友達と お知り合いになれて私も嬉しいです」
姫野葵「もし良かったら、お2人も明日 私の別荘に来ていただけませんか?」
黒須雫「やっっった! オレはトーゼン、オッケーっス!」
江西紫「こら、雫!」
江西紫「すみません、姫野さん ご迷惑でなければ」
姫野葵「迷惑だなんて。むしろ嬉しいです じゃあ、要くんも良いですか?」
大和要「うん、ありがとう 喜んで行かせてもらうよ」
姫野葵「良かった 明日、旅館までお迎えに行きますね」
姫野葵「じゃあ要くん、バイト、頑張ってください」
大和要「ありがとう、葵さん」
大和要(葵さんの別荘か・・・どんな所なんだろう ちょっと楽しみだな)

〇おしゃれな居間
  翌日、要と雫、紫の3人が葵の運転で
  別荘に連れてきてもらうと──
近衛尊文「大和要。来おったか」
大和要「うっ、尊文さんもいたんだ」
大和要(尊文さんと会うのは あの出版社での言い争い以来だ)
大和要(・・・ちょっと、気まずいな)
  しかし要の心配をよそに
  尊文の態度はいつもと変わらない。
近衛尊文「ふん、当然だろう 今回の交流会の主催元はうちの出版社だ」
近衛尊文「葵さんの担当編集者である私が 来なくてどうする」
近衛尊文「君たちが江西くんと黒須くんだな 葵さんから話は聞いている」
近衛尊文「私は近衛尊文という 今日一日、よろしく頼む」
姫野葵「目の前がビーチなので、皆さんは 海水浴でも楽しんできてください」
姫野葵「その間に、私と尊文さんで BBQの用意をしておきますから」
黒須雫「ひゃっほー! ビービーキューきたー!」
江西紫「雫、うるさいぞ。ヨソ様の家でくらい 静かにできないのか」
姫野葵「ふふ、賑やかで良いですね」
大和要「葵さん、ごめんね。じゃあ、後で」

〇海辺
黒須雫「ひゃっほー!! 海だー!」
  ビーチに出るや否や、雫が一直線に
  海へ向かって走っていく。
  一方の紫は、パラソルの下で
  バッグをごそごそしている。
大和要「紫、何してるの? 泳ぎに行こうよ」
江西紫「ああ、先に行っていてくれ 俺は日焼け止めを塗ってから行く」
大和要「日焼け止めなんて塗るの?」
江西紫「海辺の紫外線を舐めていると 痛い目を見るぞ?」
江西紫「日焼けは火傷と同じだからな 要も使うか?」
大和要「えっ? うーん、どうしようかな──」
黒須雫「オーイ! お前ら何やってんの! 早くこーいーよー!」
  振り返ると、既に腰まで海に浸かった
  状態の雫が手を振っている。
大和要「あはは。雫ってば、めちゃめちゃ はしゃいでるね」
江西紫「こんなに日差しが強いのに あんなに肌を露出して」
江西紫「・・・明日の朝には大変なことになるぞ」
大和要「・・・紫って、時々本当に 母ちゃんなんじゃないかなって思うよ」
江西紫「何か言ったか?」
大和要「いえっ、何も!」
黒須雫「おーーーい! 要ー、紫ー!」
大和要「はいはい、今行くー!」

〇海辺
  葵の別荘前のビーチで海水浴やBBQを
  楽しんだ後、要と葵は2人きりで砂浜に
  座っていた。
  少し離れた所では、雫と紫、そして尊文の3人が片付けをしている。
姫野葵「なんだか申し訳ないですね。じゃんけんで 勝ったから、片付け免除だなんて」
姫野葵「・・・私がご招待したのに」

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