短編 秘めた想い(脚本)
〇城の廊下
侍女「⋯⋯」
私は⋯⋯
さもしい女です⋯⋯
〇城の客室
侍女「これが『リ』で⋯⋯」
侍女「これが『ン』⋯⋯」
ライム「リ⋯⋯ ン⋯⋯ ?」
ライム「これで『リン』って読むの?」
侍女「そうです」
侍女「リン様のお名前です」
ライム「難しい⋯⋯」
侍女「ま、まあ、ゆっくり覚えていきましょう」
ライム「でもニンゲンってスゴいね」
ライム「こんな印でリンってわかっちゃうんだね」
侍女「魔物は文字を使わないのですか?」
ライム「使わない」
ライム「でも絵は描くよ」
侍女「まあ!」
侍女「ではリン様の似顔絵など描かれては?」
ライム「う〜ん⋯⋯」
ライム「でも、せっかくだから、文字で伝えたいな」
侍女「ではラブレターを書きましょう」
ライム「ラブレター?」
侍女「リン様へのお気持ちを綴るのです」
ライム「気持ち⋯⋯ ぼくの気持ち?」
侍女「そうです!」
ライム「⋯⋯」
ライム「ぼくは、リンの事が好き!」
侍女「ふふ⋯⋯ そうです」
侍女「では実際に書いてみましょう⋯⋯」
〇キラキラ
なんて眩しいのだろう⋯⋯
自分の気持ちを素直に表現する。
それだけなのに。
私とは大違い⋯⋯
〇城の廊下
人間とは何と浅ましいのでしょう⋯⋯
性格だの、中身だの言っても、
結局はその容姿に惹かれてしまう⋯⋯
リヴァル「何か用か?」
侍女「いえ⋯⋯」
侍女「失礼しました」
リヴァル「?」
〇上官の部屋
勿論、あの方の事は知っている。
その生い立ちも。
企みさえも。
知っていても、すぐには報告出来なかった。
嗚呼、何て愚かなのでしょう⋯⋯
国に背いてまで、
何故、こんな想いに身を焦がすのか⋯⋯
〇炎
あの方は、この国を乗っ取ろうとしている⋯⋯
知っていて、私は止める事が出来ない⋯⋯
危険だと知りながら⋯⋯
裏切りだとわかっていながら⋯⋯
それでも⋯⋯
いや、だからこそ、
燃え上がってしまうのかも知れない。
〇華やかな広場
決して私には振り向いてくださらない。
君主に嫉妬する事さえある⋯⋯
嗚呼、
嗚呼⋯⋯!!
狂ってしまいそう⋯⋯
〇手
そう。
私は惹かれているのだ。
あんな男に⋯⋯
卑怯で、残忍で、
決して自分の手は汚さない、
そんな男に⋯⋯
どうしようもないくらいに惹かれている。
狂おしいほど、恋焦がれている。
リヴァル「────────」
いや。私も同じ穴のムジナか。
決して本心を見せない、という点では同類だ。
似た者同士。
お似合いだ⋯⋯
〇森の中
リヴァル「当たり前だ」
リヴァル「主君を危険に晒しているんだぞ?」
本当に愚か。
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)
タイトル的にリヴァルの話かと思ったら、まさかの侍女さんの話だった。
自分で自分を俯瞰して最低だと思っても、それでも止められない激情…はい、好きです💘あの森のシーンでも「刺すのもありだったんじゃ…」と本編ブチ壊し展開もありえた…いやいやいや、ゴホン。
最後のリヴァルの側にいることを決断したのは、ライムとの出会いの影響なんでしょうね。
侍女ちゃん、そうだったのですね😳
さもしい、という言葉を自分自身に使ってしまう彼女は、全然さもしさなんてないと思います。ちょっと恋愛下手なだけで…恋に落ちてしまったら、そこに揺れ動くのは当たり前で。そんな侍女ちゃんが暇をいただいて駆け付けたラストに、やっぱりさもしくなんてないっ!て思ってしまいました。彼女なりに幸せになってくれればいいな✨
こんにちは!
ちょっと気になって、本編より先にこちらにお邪魔してしまいました😂
悪役を好きになっちゃうってなんだか寂しくて切なくてでもなんだか自分に正直でいいですね
しかもミグランスさんの恋愛歴が気になりすぎて(笑)
それでエッセイとか面白そうですね