〇教室
中川大輔「はぁ・・・・・・」
中川大輔「今日も疲れた・・・・・・」
中川大輔「さっさと帰って寝──」
岸本怜奈「大輔くん！大ニュース！」
中川大輔「ま、また怪異かなんかか？」
岸本怜奈「今回は凄いんだよ〜？」
岸本怜奈「きた！」
岸本怜奈「ほら大輔くん！電話出てみて！」
中川大輔「はぁ・・・・・・」
中川大輔「もしもし・・・・・・」
？？？「私メリーさん、今コンビニ前にいるの」
中川大輔「お、おい！メリーさんじゃねぇか!!」
岸本怜奈「そうだよ！最高！」
岸本怜奈「遂に私の元にメリーさん様が・・・・・・」
中川大輔「うわ・・・・・・」
中川大輔「メリーさんってあれだろ？」
中川大輔「電話の度に近づいていって、最終的に『背後にいる』とか言って殺されるやつ」
岸本怜奈「そう！それのこと！」
岸本怜奈「怪異の中の最王手！永遠の憧れ！」
中川大輔「うわ・・・・・・」
岸本怜奈「でも、なんでメリーさんが電話してくれたんだろう？」
岸本怜奈「元の話では、自分が捨てた人形なのに」
中川大輔「人形捨てたりはしてないんだな」
岸本怜奈「うん！人形はみんな家にいるよ」
中川大輔「じゃ、迷惑電話だな」
岸本怜奈「私もそう思ったんだけど──」
岸本怜奈「はい！もしもし！」
？？？「私メリーさん、今・・・・・・えと、校門前にいるの」
岸本怜奈「近い！迎えに行きま──」
岸本怜奈「今校門前だって！」
中川大輔「お、おい、次の電話で背後じゃねぇか・・・・・・！」
岸本怜奈「そうだねぇ、そしたら私は死んじゃう」
岸本怜奈「でも、今は大輔くんがいるから攻略出来るかも」
中川大輔「は・・・・・・？」

〇教室
メリーさん？（私メリーさん、今クラスに入ったの）
メリーさん？（ここで上手くやって、メリーさんの名を襲名したいの）
中川大輔「こ、これで背中合わせになってるよな・・・・・・!?」
岸本怜奈「完璧！」
中川大輔「別に壁に背中つければいいだろ・・・・・・」
岸本怜奈「この手の怪異は壁すり抜けしてくるし！」
岸本怜奈「物の壁より魂籠もった人間の方が効果あるの！」
メリーさん？（私メリーさん、今目の前に背中合わせに立ってる人がいるの）
メリーさん？（これ、対抗策かなにか・・・・・・？）
岸本怜奈「メリーさん様！この部屋にいる気がする！」
中川大輔「出ていけ！メリー！」
メリーさん？（私メリーさん、メリーさんに様付けはおかしいと思うの）
メリーさん？（でも呼び捨てもムカつくの）
岸本怜奈「はい！もしもし！」
メリーさん？「私メリーさん、今教室に入ったの」
岸本怜奈「どう？背中合わせ作戦は」
メリーさん？（正直効いてるの・・・・・・）
メリーさん？（本物のメリーさんならともかく、私は憧れて真似してるだけの新人なの）
岸本怜奈「返事がない！効いてるのかな？」
メリーさん？（ま、まずい・・・・・・！何か言わないと！）
メリーさん？「私メリーさん、全然ちっとも効いてないの」
岸本怜奈「ちっとも効いてないって！流石はメリーさん！」
中川大輔「おい、ハンズフリーにして俺にも聞こえるようにしてくれ」
岸本怜奈「了解！」
メリーさん？（はんずふりい？）
メリーさん？「私メリーちゃ、さん・・・・・・」
メリーさん？「間違えちゃった・・・・・・」
メリーさん？「私メリーちゃ、さん・・・・・・」
メリーさん？「間違えちゃった・・・・・・」
メリーさん？「えっ!!??」
メリーさん？（私の声・・・・・・!?）
メリーさん？「わ、私メリーさん、今教室に入ったの」
メリーさん「わ、私メリーさん、今教室に入ったの」
岸本怜奈「さっきも教室に入ってなかった？」
中川大輔「お前の聞き間違えだろ、メリーさんが間違うはずないし」
岸本怜奈「あっ、電話切らないから進まなかったのかな」
メリーさん？「あっ・・・・・・」
メリーさん？「どうしよう・・・・・・」
中川大輔「お、おい・・・・・・」
中川大輔「ここまで密着しないとダメか？」
岸本怜奈「隙間作ったら危険でしょ？」
中川大輔「そりゃそうだけど・・・・・・」
メリーさん？「・・・・・・・・・・・・」
メリーさん？「あの２人の隙間、何とか入れないかな」
メリーさん？「男の方は恥ずかしそうにしてるし、完全に密着はしてない・・・・・・！」
メリーさん？「きた・・・・・・私の勝ち！」
メリーさん？「よいしょ・・・・・・よいしょ・・・・・・」
岸本怜奈「なんか背中に違和感・・・・・・」
メリーさん？「よいしょっ・・・・・・！」
メリーさん？「私の勝ち！最後は電話掛けるだけ！」
岸本怜奈「きた！」
岸本怜奈「もしも──」
メリーさん？「私メリーさん!!!」
メリーさん？「今あなたの後ろに──」
先生「おい、まだいたのか」
先生「さっさと帰れ」
岸本怜奈「はーい、すみませーん！」
メリーさん？「あっ、待って・・・・・・！」

〇学校脇の道
岸本怜奈「メリーさん、あとちょっとだったのになー」
中川大輔「どうせイタズラ電話だろ」
メリーさん？（メリーさん、今後ろにいるのに・・・・・・）
岸本怜奈「それじゃあ大輔くん、また明日ね」
中川大輔「おう、気をつけて帰れよ」
メリーさん？「やった！１人になった！」
岸本怜奈「もしもし！メリーさん！」
メリーさん？「私メリーさん、今あなたの後ろに──」
岸本怜奈「あ、家まで待っててね」

〇大きな箪笥のある和室
岸本怜奈「ただいま！」
岸本怜奈「メリーさん、もういいよ」
メリーさん？「コイツムカつく・・・・・・！」
メリーさん？「部屋にも色んなホラーグッズあるし、こいつ怪異を舐めてる！」
岸本怜奈「はい！」
メリーさん？「私メリーさん、今あなたの後ろにいるの！」
岸本怜奈「そうなんだ！」
岸本怜奈「それはすぐにでも振り向きたいけど、その前に見せたいものがあるんだ」
岸本怜奈「喰らえっ！えいっ！」
メリーさん？「ぎやぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!??」
岸本怜奈「うわっ、びっくりした！」
岸本怜奈「振り向いても・・・・・・何もなし」
岸本怜奈「本物ならこんなの効くわけないし、偽物かぁ・・・・・・」
岸本怜奈「残念！でも楽しかった！」
メリーさん？「う・・・・・・」
メリーさん？「メリーさんへの道は・・・・・・険しいの・・・・・・」