滅びた世界の神 その2 怪しい女神様(脚本)
〇森の中
気づいたら森の中だった
レミ=アルシオン「ここは一体どこなのかしら?」
モンスターB「ガルルル」
モンスターA「グアー」
レミ=アルシオン「!!!!」
レミ=アルシオン「仕方ない!あなたたち、覚悟しなさい! 私が何者か教えてあげる!」
レミ=アルシオン「アステリア•リーラ!」
レミ=アルシオン「やったか!?」
???「その言葉、安易に使ってはいけないよ?」
???「はあああっ!」
???「大丈夫かい?」
クオレ「私はクオレ。通りすがりの女神だよ⭐️」
レミ=アルシオン「ええっ!?女神様!?」
クオレ「そうそう女神様!私の事、もっと拝んで感謝して信仰してくれても良いのよ?」
レミ=アルシオン「もしかして、コスプレした痛い人ですか?」
クオレ「何でそんな事言うのよー!!」
クオレ「颯爽と現れて助けたのよ?タイミング完璧だったわよね?」
レミ=アルシオン「(もしかしてこの人・・・)」
レミ=アルシオン「それはそれとして、助けてくれてありがとうございます」
クオレ「良いのよ。人助けは趣味みたいなものだし。 ところであなたはどうしてここに?」
クオレ「あなた、この世界の住民ではないでしょう? 私の世界出身じゃない?」
レミ=アルシオン「え、本当に女神様だったの?でも、あなた達の記録は決して良いものではないのよ?」
クオレ「知ってるわよ。悪いイメージを持たれてそれが後世に伝わるのは仕方のない事でしょう」
クオレ「事の発端は全部あいつが私情に走ったからで ・・・」
レミ=アルシオン「???」
クオレ「何でもないわ。それよりあなたに頼み事があるのよ」
レミ=アルシオン「何でしょうか?」
クオレ「これを持ってとある場所の封印を解いて欲しい」
クオレ「これを装置にセットすれば、封印は解かれる。その人物に事情を話せば、きっと君の力になってくれるよ」
レミ=アルシオン「その人が何で助けてくれるって分かるんです?それに何でこんな所で封印なんてされてるんです?」
クオレ「それはおいおい分かるよ。あいつとは長い付き合いなんでね」
クオレ「私は会わないといけない人がいるからここでお別れだね。ではまたいつか、君の旅に祝福があらんことを」
〇地下実験室
レミ=アルシオン「ここかな・・・」
そこにいたのは少女だった
一瞬、あの時出会った怪しい自称女神様よりも、強く圧倒的な威圧感を放っていたような気がした。
レミ=アルシオン「眠っているのかな」
アニマ•ルーナ「──────」
レミ=アルシオン「これ、本当に目覚めさせて良いのかな?」
〇森の中
一方その頃・・・
???「見事でしたな、クオレ神」
???「自分の世界の民を誘導し転移させ、転移先で襲われるよう仕向け、助けに入り自然な流れで頼み事をする」
???「これでかの神も、復活を遂げるでしょう」
クオレ「あなた、一体何を企んでるの?」
クオレ「あいつを封じてる魔法を強制解除する道具なんて、簡単に作れるものじゃない!!私の権能でも無理だった」
クオレ「封印を解く道具を渡す。 その対価として」
クオレ「①私の世界の一般市民を目覚めさせた彼の旅に同行させること。 ②封印を解くのはその一般市民でなければいけない」
クオレ「やっぱり怪しいわね!私に封印を解かせるのではなく、一般人じゃないとダメだなんて」
???「我々の目的は貴方たちの損害にはなりませんよ」
???「それに貴女も封印を解く方法が見つからず困っていた」
???「完全な利害の一致ではないですか」
???「それに、一般市民を転移させ代わりに解かせることを良しとしたではないですか」
クオレ「それは・・・私はまだあいつに会うわけにはいかないから・・・(封印されてるのを見には行ったけど・・・あれはノーカンよね)」
???「(封印を施したのは我々だ。そして、神でもなんでもない一般市民により解かれた時のみ・・・)」
???「(呪いが伝播し2人は操り人形と化す・・・フハハハハ!)」
???「(神や上位存在に解除されては、その場で呪いの術式に気づかれて消される可能性がある)」
???「(この神は例外だがな)ではなクオレ神。私は帰るとしよう」
クオレ「まぁあいつに小細工は通用しないし、様子見といきますか・・・」
〇地下実験室
レミ=アルシオン「これを、この装置にはめればいいのかな?」
???「待った。それはやめた方がいいよ」
レミ=アルシオン「えぇーーー!?」
???「そんなものなくてもいいのに・・・」
???「というかそれ、すごい危ないよ?」
レミ=アルシオン「ま、待って!!あなたは封印されてたんじゃ!?」
???「そんなわけあるか。俺は同期以外に封じられるなんて無いからね」
???「なんか怪しい連中に何かされそうだったから封印されたフリをしてたのさ」
???「時系列順に並べるとこうなる」
???「①5000年前、俺はこの世界に漂流した」
???「②でも疲れてたから、自分を保護する為に、4000年経過したら自動で解除される封印を施した」
???「③そして自動解除より500年の間、この世界について調べていた。だがある日、油断して寝てしまったんだ」
???「それを倒れてると勘違いした怪しい連中が、俺を封印した気でいたから、ついでに数100年の間は寝てあげてたのさ」
レミ=アルシオン「な・・・そ、そんなこといきなり言われて信じられないよ・・・」
アニマ•ルーナ「だよなぁ・・・俺はアニマ•ルーナという。 故郷のために、世界を渡り歩く旅人さ」
アニマ•ルーナ「それで、そんな物騒なもの誰から渡された?」
レミ=アルシオン「クオレとかいう、怪しい自称女神様だよ」
アニマ•ルーナ「は!?クオレだって?何でこの世界に・・・」
レミ=アルシオン「いい人でしたよ?助けてくれましたし、これを持って封印を解いてくれって言われたんです」
アニマ•ルーナ「(そういえばクオレ、俺がマジ封印じゃなくフリをしてた時に来てたな・・・)」
アニマ•ルーナ「(今にして思えば、あの連中の術式も中々のものだったな・・・専門ではないクオレでは何もできない訳だ・・・)」
レミ=アルシオン「私の世界はね、神に見放され滅んじゃったわ。あの時、神が残した工房を探索してた」
レミ=アルシオン「そして謎の機械のスイッチがあったから押しちゃったのよ」
アニマ•ルーナ「いや、そこは押したらダメだろ・・・」
レミ=アルシオン「そしたら急に別の世界に飛ばされて・・・よく考えたら大変な事態だわ!!」
アニマ•ルーナ「俺にいい考えがある。丁度そろそろ出発しようと思ってたんだ」
アニマ•ルーナ「調べ物をしてた500年の間に、次元転移戦艦ディマンシスを開発した」
アニマ•ルーナ「それに乗れば、並行世界を渡り歩く事ができる」
アニマ•ルーナ「俺は故郷復興の為に、世界を渡り歩く。君も元の世界に帰る為に俺の旅に同行する」
アニマ•ルーナ「どうかな?旅をするのは楽しいよ」
レミ=アルシオン「そうね・・・どうせ当てもないし、ご一緒させてもらうわ。これからよろしく」
アニマ•ルーナ「おそらくこの世界はじき終焉を迎える。 さっさと移動したほうが良いだろう」
レミ=アルシオン「だめですよ?滅びが来るのなら、この世界の人達はどうなるんですか!!可哀想ですよ!!」
アニマ•ルーナ「諦めろ。それが受け入れるべき運命だ。 それにあの戦艦には多くて10人程度しか乗せられないからな」
レミ=アルシオン「たった10人でも、救える命があるのなら良いじゃないですか!!」
アニマ•ルーナ「だめだ。住民は何万人もいるんだぞ?それら全てを救えないのなら、助けようなんざ無責任だ」
アニマ•ルーナ「可哀想な人なんてこの世に幾らでもいるんだ それら全てを助ける気か?出来ないだろう?」
アニマ•ルーナ「可哀想と思ったのなら、その人達全員に平等に手を差し伸べるべきだ。それが助けようとした者の責任だ」
アニマ•ルーナ「可哀想と感じているのに、助けられない から諦める。それは大きな矛盾だ」
アニマ•ルーナ「その状況にある存在に可哀想と思ったのなら 助からない人がいてはいけない」
アニマ•ルーナ「まぁいい。今のは忘れろ」
レミ=アルシオン「・・・・・・」
レミ=アルシオン「わかってる。それも一理あるわ」
アニマ•ルーナ「さて、準備ができたら出発だ」