8 自覚と出立(脚本)
〇女の子の二人部屋
― 一週間後 ―
玲仁(れいじ)・神狐「平穏な日々が続いておるのぉ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ねえ玲仁‥相談があるんだけど」
玲仁(れいじ)・神狐「ん? なんじゃなんじゃ? 申してみよ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「私」
久遠 陽菜(くおん ひな)「もっと強くなりたい!」
玲仁(れいじ)・神狐「日々、修練をして能力は上がっておるぞ?」
玲仁(れいじ)・神狐「これ以上、無理をせずとも‥ 我が護ると申したであろう」
久遠 陽菜(くおん ひな)「それじゃ嫌なの~!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「私‥最初は自分が巫女だなんて、自覚なかったけど」
久遠 陽菜(くおん ひな)「術が使えるようになったら」
久遠 陽菜(くおん ひな)「私でも役に立てるんだ‥って、嬉しかったの」
久遠 陽菜(くおん ひな)「でも私」
久遠 陽菜(くおん ひな)「実戦で全然役に立てなかった!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁のサポートなり、何かできると思ってたのに‥」
玲仁(れいじ)・神狐「だから、陽菜はそのままで──」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ダメなの! このままじゃ‥護られてるだけじゃ!」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜──」
久遠 陽菜(くおん ひな)「だって玲仁、私を護りながらじゃ、攻撃当たってなかったじゃん」
玲仁(れいじ)・神狐「我のチカラ不足が、陽菜にそう言わせているのじゃな‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ごめっ‥そういう意味じゃ‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「んっと‥私は自分のチカラで佐恵を助けたい」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁と一緒に‥緋紗に立ち向かいたい」
玲仁(れいじ)・神狐「一緒に‥?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うん、一緒に♪」
玲仁(れいじ)・神狐「それは‥できるとよいと思うが」
久遠 陽菜(くおん ひな)「でも、今の私じゃ無理」
久遠 陽菜(くおん ひな)「この間の実戦で思い知らされた」
久遠 陽菜(くおん ひな)「それで‥あのね?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「実は、玲仁と会ってから度々、予知夢らしき夢を見てたの」
久遠 陽菜(くおん ひな)「キレイな緑色の剣を私が持ってる夢」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そういう剣に心当たりない?」
玲仁(れいじ)・神狐「緑色の剣‥おそらくそれは神器のひとつ『翠霊斬(すいれいざん)』」
玲仁(れいじ)・神狐「神に仕える巫女の中でも選ばれし者が扱える剣じゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ホントに緑色の剣ってあるんだ~!」
玲仁(れいじ)・神狐「まさか‥陽菜が」
玲仁(れいじ)・神狐「『翠霊斬』の夢を見るとはな」
玲仁(れいじ)・神狐「扱える者がおらず、とうの昔に諦めて」
玲仁(れいじ)・神狐「今の今まですっかり忘れておったわ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「‥どういうこと?」
玲仁(れいじ)・神狐「『翠霊斬』は緋紗に立ち向かえる、唯一の剣、だと思っておる」
玲仁(れいじ)・神狐「しかし、『翠霊斬』は、剣自らが使い手を見定める特性があってな」
玲仁(れいじ)・神狐「我が知る限り、どの巫女も『翠霊斬』に選ばれることはなかった」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そっかぁ、難しそうだね」
久遠 陽菜(くおん ひな)「‥でも」
久遠 陽菜(くおん ひな)「予知夢を見たんだから、可能性はゼロじゃないよね!?」
玲仁(れいじ)・神狐「‥うむ、だが陽菜」
玲仁(れいじ)・神狐「『翠霊斬』は‥人間界に存在せぬのじゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ええ!?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「じゃあ‥どこにあるの?」
玲仁(れいじ)・神狐「天郷(てんきょう)」
玲仁(れいじ)・神狐「天上へ至る間にある神々の住処じゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「天‥郷?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うぅ‥どんな場所だか全然想像できないけど」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁がいれば、きっと大丈夫!」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ん?」
玲仁(れいじ)・神狐「我は‥天郷には行けぬのだ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「え!?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「えと‥なんで?」
玲仁(れいじ)・神狐「我は、緋紗の問題を解決するまで人間界に留まるよう命じられていてな」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そっか‥そう、だよね」
久遠 陽菜(くおん ひな)「じゃあ私、ひとりで天郷に行く!」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜! 正気か!?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うん! だって、強くなるためだもん」
久遠 陽菜(くおん ひな)「私が『翠霊斬』に選ばれるかどうか、行ってみなきゃわかんないし!」
玲仁(れいじ)・神狐「それは分かるが‥しかし、天郷にひとり向かうのは‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「私ひとりじゃ、ダメ?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「無理、かなぁ?」
玲仁(れいじ)・神狐「あ‥」
玲仁(れいじ)・神狐「う‥」
玲仁(れいじ)・神狐「あ、案内をつけることは、できるが‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ホント!? じゃあお願い♪」
玲仁(れいじ)・神狐「だが待て! 陽菜!」
玲仁(れいじ)・神狐「まだ問題がある」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜がいなくなると、我のチカラが再び暴走するやもしれぬ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「‥‥あー」
久遠 陽菜(くおん ひな)「んん~‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「私の身代わりを作るのは、どう?」
玲仁(れいじ)・神狐「身代わり?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うん♪」
久遠 陽菜(くおん ひな)「たとえば~‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「このぬいぐるみ!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「こうやって~」
久遠 陽菜(くおん ひな)「私のチカラを~」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ぬいぐるみに溜める♪」
久遠 陽菜(くおん ひな)「はい♪ 玲仁!」
玲仁(れいじ)・神狐「う、うむ‥陽菜のチカラを感じるな」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁とぬいぐるみ、似合ってる♪ ぷぷっ、可愛い~!」
玲仁(れいじ)・神狐「そ、そうか‥?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「これで、しばらくは私の代わりになると思うんだけど、どう?」
玲仁(れいじ)・神狐「ま、まあ‥の」
久遠 陽菜(くおん ひな)「よし! じゃあ早速明日! レッツゴー!」
〇古びた神社
玲仁(れいじ)・神狐「入るぞ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うん」
〇祈祷場
久遠 陽菜(くおん ひな)「うわあ‥中は意外とキレイなんだね」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜‥信頼できる者に案内を依頼したが、無茶をするでないぞ?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うん、了解♪」
玲仁(れいじ)・神狐(陽菜は思わぬ行動に出ることがあるから、不安じゃのお)
玲仁(れいじ)・神狐「目的を果たしたら、直ちに戻れよ?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うん! 選ばれるように祈ってて♪」
玲仁(れいじ)・神狐「これから転送する場所は、狐神の集落じゃ」
玲仁(れいじ)・神狐「しかし巫女を転送するのは、こたびが初めてゆえ」
玲仁(れいじ)・神狐「転送場所が多少異なるやもしれぬ」
玲仁(れいじ)・神狐「まずは、誰かに場所の確認をするように」
久遠 陽菜(くおん ひな)「はーい! わかりましたぁ♪」
玲仁(れいじ)・神狐「いざ」
〇謎の扉
久遠 陽菜(くおん ひな)「ん‥何? 煙‥霧?」
玲仁(れいじ)・神弧「陽菜、扉に手をかざすのじゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「こ、こう?」
〇黒
‥‥んん
何か‥聞こえる
これは‥‥
〇海辺
???「おい、あんた‥大丈夫か?」
???(なんかボーッとしてるなぁ)
久遠 陽菜(くおん ひな)「こ、ここここは! どこですか!?」
???「うわっ!」
???「あんた、そんな急に起き上がって大丈夫か?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「‥え?」
???「おおおおい!?」
惚れた弱み…陽菜の言うことは何だかんだ聞いてしまうんですね。しかし異世界に行くことになるとは全然予想してませんでした。
案内役はイケメン。まさかここで三角関係!?
そわそわしますね。
おー、新展開突入ですねー!
それでも安定の、ドキドキ・ワクワク・キュンキュン感の絶妙な配合にヤラれてしまってます🥰
そして、今回のスチル演出も凶悪すぎます!胸の鼓動が…💕
きゅるるん顔は玲仁様でなくても、おちてしまう可愛さ😊
陽菜はやっぱり前回の戦闘を気にしてたんですね。一生懸命頑張る子は見ていて応援したくなります!がんばれー!
ラストは新しいキャラも登場!次回も楽しみに待ちます!