Xヒーロー

語り部

第21話 糸通し(脚本)

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〇施設内の道
  2021年 北海道 余市 海上自衛隊駐屯地内 フェードサイド
紅色派の中国人「動きが鈍ってきたなフェード、今ならお前を仕留められる」
  膝をつき傷口を抑えるフェードに紅色派の中国人は銃を突きつける。
  最後に言い残す事はあるか?とフェードに問いかけ、フェードは言葉を返した
フェード「祖国光荣,朋友幸福(祖国に栄光を、仲間達に幸福を)」
  フェードに対し引き金を引こうとしたその瞬間、『バンっ』という音と共に紅色派の中国人の手から銃が弾かれる
  フェードが振り返ると海上自衛隊の隊員達がこちらに向け銃を向けていた。どうやら撃ったのは彼ららしい
紅色派の中国人「てめぇら···撃つならこの指名手配犯共撃てよ!こっちを撃つんじゃねぇよ、日本人共!」
小山内曹長「すまなかったな、しかし今回の人造兵器の件で死傷者が出てしまった以上被害を拡大させる訳にはいかないんだよ」
小山内曹長「それにどうやら人造兵器は隊員達を殺したようだが斎王幽羅は私達を助けたようだしな」
小山内曹長「報道では極悪指名手配犯と言われていた斎王幽羅が我々を助ける理由は無い。とすればだ」
小山内曹長「そんな斎王幽羅が敵対している『君達』が現状の敵性存在とみて間違いだろうと思ってね」
紅色派の中国人「ふざけんな···!指名手配犯共の逃亡を助けるっていうのか···!?」
小山内曹長「あぁ。どうせ今回の人造兵器の件で退職させられるだろうしな、どうにでもなれだ」
小山内曹長「お前らも付き合わせて悪いな、さて···射撃用意!構え!」
  フェードは立ち上がり、傷口を抑えながらエンチャントの方に向かう。
  紅色派の中国人は孔明扇を振るおうとするも自衛隊員に撃たれ、孔明扇を落とす。
小山内曹長「包囲、確保!安心しろ、4.5mmの圧縮ゴム弾だ。『死にたくなるくらい痛い』だけだ」
紅色派の中国人「ぐっ···!クソが···!」
小山内曹長「誰かこいつを縄で縛れ。倉石、岩永、清水!ここに残りこいつを見張れ!残る者で斎王幽羅の仲間達の援護を行う!」

〇施設内の道
  駐屯地内 鸞、エンチャントサイド
エンチャント魔導法士「空間切断魔術は術者を巻き込まないよう『予告光』が1秒だけ現れる、それを悟られないようにしろと教えたはずだ!」
鸞「エンチャント、そろそろ斎王の方に退くぞ。フェードが重傷だ」
エンチャント魔導法士「よし···じゃあこの際だ、この異常空間の『欠点』も教えてやる」
エンチャント魔導法士「お前が空間魔術で作ったこの空間、最初の位置の間の空間を歪めて作ったものだ」
エンチャント魔導法士「ワシとお前の最初の位置は『4m弱』、そして空間魔術で空いた距離は『5km』」
エンチャント魔導法士「普通に考えておかしい話だ『空いた空間はどうしたんだ?』ってな、まぁ考えればわかる話だった」
エンチャント魔導法士「『作った』のではなく『伸ばした』って事だ。空間を引き伸ばしてこの異常空間を作った訳だ」
イヴァン司教「···流石ですエンチャント先生、短い時間でよく見破りましたね。しかしどうするおつもりで?」
エンチャント魔導法士「どうする?はっ、簡単な話だ。伸ばしたとすれば空間異常の範囲は『線』って事になる」
エンチャント魔導法士「伸ばせば伸ばすだけ線ってのは細くなる。従って···『横からの干渉に弱い』!」
  エンチャントは鸞とフェードと共に走り出す。イヴァン司教が止めようとするも自衛隊員達のゴム弾が被弾し、振り返る。
イヴァン司教「そうですか···貴方々は犯罪者側に立つのですね?желтая обезьяна···(黄色人種が)」
小山内曹長「すまないなイヴァン司教、彼らに部下を助けられた。殺すにしても『船内』の方が都合がいいだろう?それに···」
小山内曹長「あの人造兵器は元はといえばあんたの所のものだ、国際問題にしない代わりに黙って従ってもらうぞ」
イヴァン司教「そうですか、それ随分お優しい事です···ね!!」
  イヴァン司教は振り返り船に向かって走るエンチャント達に向け、空間魔術により作り出した津波で飲み込もうとする
小山内曹長「クソっ···!撃て、イヴァン司教を取り押さえろ!」

〇沖合
  日本海沖 コンクリート橋内
鸞「津波···!?クソっ···『鬼火 ヒザマの呪い』!!」
  鸞の術により生み出された炎の鳥は、羽ばたきと共に風を起こした。
  しかしその勢いでは津波は止められず、間もなく飲み込まれるという瞬間
エンチャント魔導法士「あいつには見せたくないが仕方ない···『セラフィムの愛』!!」
  エンチャントは魔法陣を複数展開し『炎でできた天使』を作り出し津波を全て蒸発させた
エンチャント魔導法士「あいつはまたワシを恨むだろうな···『冠位魔術』なんて使えるなんて知らんかっただろうしな···」
鸞「早く行くぞ、斎王達が心配だ。それに見ろ、2隻目の船が戻ってきた。急がねば余計な戦闘が増える」

〇宇宙戦艦の甲板
  日本海沖 掃海艦いずしま 船上
エンチャント魔導法士「ミサイル艦わかたかがこっちに向かってきてる、どう逃げる斎王?··· ··· ···おい、斎王はどこだ?」
キング「こっちだ。俺達が来た時には既に気を失ってた、傷を負ってるか診てくれよ」
エンチャント魔導法士「鸞、診てやってくれ。ワシはフェードの傷を治す」
  鸞は斎王を診ることに。幸い外傷はなかったが不思議なことがわかった
鸞「心臓と肺の位置が『逆』になってる、こいつ元々こうだったか···?」
キング「聞いた事ねえぞ?まさかクローン兵器になんかされたのか···?」
フェード「そういえばクローン兵器が見当たらないな、どうなった···?」
凪園無頼「俺ら来た時は斎王とこれあったよねー。どー思うー?」
鸞「腕···?内部が配線だらけって事はクローン兵器のものか。しかしこの腕···『継ぎ目が滅茶苦茶だな』」
鸞「まるで内側から『無理やり引きちぎった』みたいだ」
キング「でも斎王の能力は自分より体積が小さいものには『潜れない』はずだ、こんなこと誰ができる···?」
  するとミサイル艦わかたかの汽笛と共に海上自衛隊の隊員が現れ、斎王達を逃がすと提案してきた
キング「誰が信用するか、俺らは指名手配犯なんだろ?きっと罠だぜ」
鸞「だが俺達を助けてくれたのも事実だ、次の目的地まで安全に移動する方法がない以上どうしようもないぞ?」
エンチャント魔導法士「ワシは賛成だ、フェードの傷を癒す時間が必要だ。しばらく紅色派とロシア正教からの目を逸らす目的で乗ってもいいはずだ」
  紅色派の単語を聞くと乗船していた海士長が話始める。
  どうやら斎王の首に中国人達が懸賞金を掛けておりその額···
フェード「250万人民元···日本円で『5000万円』だ」
キング「5000万だぁ!!?どんだけ斎王殺してェんだよ!」
凪園無頼「やべーじゃん!大阪行くの楽しみなんだけどー!」
エンチャント魔導法士「ひとまず乗るぞ、大阪の件は航行中に話すとしよう」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第22話 休息

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