第三話 束の間の休息(脚本)
〇海
大海原に放り出された僕らは、
必死に島を目指した。
──が⋯
大原 満枝「泳げど泳げど、着かないじゃないか」
佐江川 一輝「むしろ遠ざかってるような⋯」
樋上 雄司「救命胴衣のせいだ! 死ぬ気で手足動かせ!」
ネイキッド・N・ヌーディック「⋯本当に浮力のせいでしょうか?」
樋上 雄司「あぁ!?」
ネイキッド・N・ヌーディック「島付近の白波の立ち方が、 ここの延長線だけ違うような──」
樋上 雄司「まさか⋯」
「離岸流か!?」
角下 イノ「リガン流?」
リガン「受けてみよ⋯」
リガン「我が『リガン流』をッ!!」
ネイキッド・N・ヌーディック「『離岸流』」
ネイキッド・N・ヌーディック「岸に打ち寄せた波が沖に戻る際に 発生する局地的な急流です」
樋上 雄司「解説してる場合か!」
樋上 雄司「皆! 岸と平行に泳げ! こっちだ!!」
ネイキッド・N・ヌーディック「沖への流れが緩んだら 岸を目指しましょう」
ネイキッド・N・ヌーディック「大丈夫、これは助かる流れです!」
〇海辺
14:30頃 エバーグリーン島上陸
樋上 雄司「皆無事か!?」
角下 イノ「ひぃ、ふぅ、みぃ⋯」
角下 イノ「全員いるッス!」
無名山 ホルヘ「言ったでしょう? 主は我らを見捨てません」
佐江川 一輝「ちょwww なんで聖書無事なん! 神パネェ!」
無名山 ホルヘ「ドヤッ!」
服部 せつな「ふべぇぇ、スマホたん死んぢゃった〜」
服部 せつな「分割ががが⋯」
大原 満枝「ちょっとその足! えらいアザじゃないか!」
服部 せつな「船乗った時のだよ! ポリタンクめぇぇ💢💢💢」
静永 春花「すごい音したもんね、 『ゴイィ〜ン』て」
ネイキッド・N・ヌーディック(妙ですね、あの容器は先ほど⋯)
穂積 真緒 「どこか痛むの?」
ネイキッド・N・ヌーディック「いえ、特には⋯」
樋上 雄司「ひとまずコテージに向かおう」
〇山道
🦟(蚊)
🦟
服部 せつな「大体さぁ──?」
服部 せつな「自家用ボートなんて、 ケチぃことするからケチがつくのよ!」
静永 春花「ぅ、あぅ⋯」
静永 春花「す、すびば⋯ぜん」
服部 せつな「⋯つーのは冗談で、その、」
佐江川 一輝「船のせいじゃないって!」
佐江川 一輝「ほら、お盆だし~? 呼ばれちゃった的な?」
静永 春花「そんな時期選んで ごべんばばい⋯グスッ」
角下 イノ「施設メンしか呼んでないのも コスパ重視で?」
「おまッ!」
静永 春花「雄司さんの心遣いです❤️」
静永 春花「私、親も、呼べる同僚もいないから⋯」
静永 春花「ヒラソルメンバー水入らずでって 雄司さんが⋯❤️」
角下 イノ「それ、SNSでもノロケました?」
ネイキッド・N・ヌーディック「ちょっとイノ君!」
ネイキッド・N・ヌーディック「あからさまに詮索しないでください!」
角下 イノ 「ネイキッさんが言ったんスよ?」
角下 イノ 「ピエロ野郎はSNSから 情報を得てるって⋯」
ネイキッド・N・ヌーディック「シ──ッ! 皆には伝えてないんですから!」
角下 イノ 「はい?」
ネイキッド・N・ヌーディック「お二人の晴れ舞台に 水は差せないでしょう?」
ネイキッド・N・ヌーディック「我々だけで解決しますよ!」
角下 イノ 「マジっすか⋯」
樋上 雄司「着いたぞ」
〇古い洋館
「お──!!」
佐江川 一輝「なぁ、あれチャペル!?」
大原 満枝「本格的だねぇ」
静永 春花「元はベンチャー企業の 保養所だったそうです!」
樋上 雄司「確かこの辺に⋯」
「置き鍵!?」
樋上 雄司「無人島だしな」
角下 イノ「それもそうか」
「⋯」
〇広い玄関
佐江川 一輝「中も悪くないねぇ!」
佐江川 一輝「どこで見つけたのよ? こんな隠れ家的ロケーション」
樋上 雄司「ネットとかで⋯な」
樋上 雄司「海保と親父に連絡してくから 春花、案内頼む」
静永 春花「どうぞこちらへ」
〇豪華な部屋
服部 せつな「は~、やっと休める~」
大原 満枝「落ち着くねぇ」
角下 イノ「わぁ!」
角下 イノ「かっちょいい ウェルカムドールっすね~!」
静永 春花「オーナーさんのですよ」
大原 満枝「さてと、」
大原 満枝「お昼を用意しようかね」
静永 春花「手伝います」
大原 満枝「いーのいーの! このために来たんだから」
大原 満枝「子供達は休んでなさい!」
大原 満枝「お勝手はあっち?」
静永 春花「一緒に行きます!」
静永 春花「お茶お持ちしますね!」
佐江川 一輝「ヘルプ入りま~す!」
ネイキッド・N・ヌーディック(⋯視線を感じるような?)
穂積 真緒(さっきは海という場所柄 感覚がマヒしてたけど)
穂積 真緒(久々に見ると、 全裸ってインパクトすごいな)
無名山 ホルヘ(レディーもいるのに恥じらいもなく⋯)
服部 せつな(うちの服売り込めないかな~)
服部 せつな(爆買い・太客・インセン ぐへへ⋯)
佐江川 一輝「なぁに固まってんのさ、皆!」
佐江川 一輝「はい、特効薬~🎵」
「未成年なので」
佐江川 一輝「お堅いなぁ~」
佐江川 一輝「何事も経験よ? ケ・イ・ケ・ン🎵」
樋上 雄司「くそッ!! どういうことだ!?」
〇おしゃれな廊下
〇広い玄関
「どうしましたか!?」
樋上 雄司「見ろよ、これ! 繋がらねぇと思ったら──」
電話線が『ない』んだ!!
ネイキッド・N・ヌーディック「⋯根元から抜かれていますね」
樋上 雄司「オーナーのつけ忘れか⋯」
角下 イノ「元々インテリアだったとか?」
樋上 雄司「残念ながら、 この島唯一の連絡手段だ」
樋上 雄司「予定日に戻らなきゃ、 親父が迎えに来るだろうが⋯」
大原 満枝「なら、気楽に行きましょ!」
大原 満枝「水・電気・ガスも生きてるし、」
大原 満枝「台風に備えて食料も、たんとある」
大原 満枝「でしょ?」
服部 せつな「いや、16日仕事なんだけどぉ」
服部 せつな「無断欠勤とか⋯ ボーナス死んぢゃうよぉぉ」
佐江川 一輝「ダイジョブ×2! 『やむを得ず』でイケるから!」
佐江川 一輝「バカンス延びてラッキー🎵」
ネイキッド・N・ヌーディック「⋯」
大原 満枝「腹が減っては気も滅入る」
大原 満枝「お昼にしましょ!」
〇おしゃれな食堂
穂積 真緒「また皆と食卓を囲めるとはね」
角下 イノ「これが『最後の晩餐』に なりませんよーに🙏」
ネイキッド・N・ヌーディック「縁起でもない⋯」
静永 春花「あの、イノさん」
静永 春花「ごめんなさい、部外者を 巻き込んでしまって──」
角下 イノ「願ったり叶ったりッス! 非日常、大好物なんで!」
角下 イノ「でも、『部外者』か⋯」
角下 イノ「皆さんの名前も覚えたのに⋯」
静永 春花「え?」
角下 イノ「疑ってるッスね?」
角下 イノ「見ててください」
彼女は大原満江さん
この三人は──
そして──
静永 春花「すごいです!」
静永 春花「あの騒ぎの中、この短時間で⋯!」
佐江川 一輝「でも重要な情報、忘れてない?」
佐江川 一輝「オレ! 今『フリー』でぇす!」
佐江川 一輝「ど? 今度遊んでみない?」
角下 イノ 「合コンとか無理ッスわ! 僕ほぼニートなんで!」
佐江川 一輝「そーゆー意味じゃなくて⋯」
佐江川 一輝「あ! そういや、お春~?」
佐江川 一輝「雄二との馴れ初めだけどさぁ?」
佐江川 一輝「一人旅先で『たまたま』 再会したって、ウソっしょ?」
静永 春花「⋯え?」
佐江川 一輝「始めから狙って 和歌山行ったんしょ?」
佐江川 一輝「ず~っと仕事辞めたがってたじゃん?」
穂積 真緒 「二人、連絡取ってたんだ?」
佐江川 一輝「あ⋯や、SNSよ?」
樋上 雄司「声かけたのも、交際申し込んだのも 俺からだよ」
ヒュ〜! 男前──!!
「ふぁ~ぁ」
角下 イノ 「眠ぅ⋯」
服部 せつな「ミ〜トゥ〜 ⋯」
大原 満枝「今日は予定はなかったね? 各自、夕飯まで休んだら?」
無名山 ホルヘ「シエスタですね!」
樋上 雄司「そうするか 俺も頭を冷やしたい」
静永 春花「お部屋に案内しますね!」
佐江川 一輝「え~? 飲み足りないんだけど~」
樋上 雄司「これお前の部屋な」
〇暗い廊下
2階廊下
静永 春花「左側が女性客室、 右側は男性陣」
静永 春花「洗面台と共通トイレは 左手突き当たりです」
穂積 真緒 「お風呂は? 浴衣とかある?」
静永 春花「お風呂は地下です」
静永 春花「浴衣はすみません、 タオルと歯ブラシはありますが⋯」
穂積 真緒 「ドンマイ、洗えばいいさ!」
角下 イノ「うん?」
角下 イノ「着替えがない状態で 洗濯するってことはつまり──」
ネイキッド・N・ヌーディック「廊下に出る時は声をかけましょう」
樋上 雄司「野郎どもはこっちだ」
樋上 雄司「手前からホルヘ、ネイキッド、 イノ君は⋯」
樋上 雄司「今俺のとこ開けるから」
角下 イノ「部屋はあと3つあるッスよね?」
角下 イノ「樋上さんと、佐江川さんと、僕で──」
樋上 雄司「一番奥は物置きで、 中から鍵もできないんだ」
樋上 雄司「俺はロビーで休むから」
ネイキッド・N・ヌーディック「ロビーなら私が!」
ネイキッド・N・ヌーディック「オープンな空間の方が落ち着くので」
樋上 雄司「⋯そういや施設でもお前 いつも中庭にいたな」
樋上 雄司「寝るのも廊下だったし──」
樋上 雄司「わかった、ロビーは譲ろう」
ネイキッド・N・ヌーディック「かたじけない」
ネイキッド・N・ヌーディック(二手に分かれた方が 警護しやすいですからね)
ネイキッド・N・ヌーディック「少し散策しても?」
樋上 雄司「構わんが、敷地内にしてくれ」
樋上 雄司「浜への道以外は 整備されてないらしくてな」
樋上 雄司「崖や沼もあるって話だ」
ネイキッド・N・ヌーディック「了解です」
〇浴場
地下浴場
ネイキッド・N・ヌーディック(男女とも窓・避難扉なし)
ネイキッド・N・ヌーディック(息が詰まりますが、 侵入経路がないのは安心材料か⋯)
〇結婚式場のテラス
テラス
ネイキッド・N・ヌーディック(見通し良好。 イノ君の部屋からも見えますね)
ネイキッド・N・ヌーディック(これは?)
ネイキッド・N・ヌーディック(薪?)
ネイキッド・N・ヌーディック(常緑樹? 乾燥が足りないような⋯)
ネイキッド・N・ヌーディック(それにどこかで見覚えがある)
ネイキッド・N・ヌーディック(なんの枝だったか──)
💧
ネイキッド・N・ヌーディック「おっと、一雨ふる前に」
〇綺麗な教会
〇教会の中
ネイキッド・N・ヌーディック「お祈りですか?」
無名山 ホルヘ「セニョールも?」
ネイキッド・N・ヌーディック「神には縁遠くて⋯」
無名山 ホルヘ「⋯」
無名山 ホルヘ「セニョールは 植物に詳しかったですね?」
ネイキッド・N・ヌーディック「ええ、多少は⋯」
無名山 ホルヘ「その花を知ってますか?」
ネイキッド・N・ヌーディック「ドクゼリですね?」
無名山 ホルヘ「『レースフラワー』だそうです」
無名山 ホルヘ「花嫁に相応しき 素朴で無垢な花──」
ネイキッド・N・ヌーディック「春永さんのチョイスでしょうか?」
無名山 ホルヘ「そんな話はしていない!」
無名山 ホルヘ「ここは『聖域』なのだ! 主の! そして、新郎新婦の!」
無名山 ホルヘ「用がないなら去りなさい」
ネイキッド・N・ヌーディック「失敬しました」
〇豪華な部屋
ネイキッド・N・ヌーディック(『あれら』の不自然は一体?)
ネイキッド・N・ヌーディック(どちらも『ヤツ』とは 関係無さそうですが⋯)
ネイキッド・N・ヌーディック(⋯本人達に確認するか?)
ネイキッド・N・ヌーディック(否──)
ネイキッド・N・ヌーディック(もし勘違いや過失だった場合、 気持ちを傷つけてしまう⋯)
ネイキッド・N・ヌーディック(かと言って、無視はできないし⋯)
ネイキッド・N・ヌーディック(だめだ、考えがまとまらない⋯)
〇幻想
ネイキッド・N・ヌーディック「ここは?」
ネイキッド・N・ヌーディック「デバ君!」
ネイキッド・N・ヌーディック「ええ、元気ですとも!」
ネイキッド・N・ヌーディック「乗り物酔いも疲れも 吹き飛びました!」
ネイキッド・N・ヌーディック「あぁ、デバ君! 私の心のオアシス!」
ネイキッド・N・ヌーディック「そう、ですね もう戻らないと⋯」
ネイキッド・N・ヌーディック「帰ったら根菜パーティーですね!」
〇豪華な部屋
ネイキッド・N・ヌーディック「⋯夢?」
ネイキッド・N・ヌーディック(会いに来てくれてありがとう デバ君❤️)
ネイキッド・N・ヌーディック(お陰で頭がスッキリしました)
ネイキッド・N・ヌーディック(まずは『彼女』に話を聞いてみましょう)
〇広い厨房
ネイキッド・N・ヌーディック「遅くなりました」
大原 満枝「いいとこに来たね!」
大原 満枝「イノ君といっちゃん 起こしてきてくれる?」
大原 満枝「雄ちゃんは食堂にいるから」
ネイキッド・N・ヌーディック「了解です!」
大原 満枝「マオマオはせっちゃんをお願い」
穂積 真緒 「あいよ!」
〇暗い廊下
ネイキッド・N・ヌーディック「イノ君?」
ネイキッド・N・ヌーディック(寝起き不機嫌なタイプでしたか⋯)
ネイキッド・N・ヌーディック「佐江川さん」
ネイキッド・N・ヌーディック「佐江川さん?」
ネイキッド・N・ヌーディック「佐江川さーん!?」
樋上 雄司「起きねぇのか?」
樋上 雄司「──ったく、あの酔っぱらいは」
樋上 雄司「あけるぞー?」
〇可愛らしいホテルの一室
樋上 雄司「電気つけるぞ!」
〇可愛らしいホテルの一室
樋上 雄司「おい、一輝! 飲んだくれるにもほどが──」
「え⋯」
これはいかにもなシチュエーションが整ってしまった……と思っていたら、やっぱり!😂
失礼ながら、真っ先に消えそうだなぁとは思っていました💦💦
犯人は一体……?
デバくん、夢にまで会いに来てくれて有能ですね!
スチルの使い方がはえーとなって参考になります。ミステリーでは間取りがあると分かりやすいですね。特に導線が分かるのも推理に役立ちます(推理は苦手ですが……)
徐々に緊迫感が増してから推理の王道的展開ですね。壁に残された文字や密室の謎が、、、気になります!!
外部への連絡手段がない。
無人島。
これは何かが起きる予感しかないと思っていたところ
第一の殺人が!!
しかも意味深なメッセージもあり先が気になります。
そしてデバ君が夢に出てきてくれるとは二人?は気持ちが繋がっているんですねー☺️
服を洗濯中着替え無しとは全員がヌーディストに目覚めてしまうのではとドキドキしてしまいました。