第三豆 こんな私でも(脚本)
〇池袋西口公園
コウコウ ウズラ「いつの日か‥」
コウコウ ウズラ「地上で暮らせるようになったら‥」
コウコウ ウズラ「結婚式を挙げよう」
アカサカ ササ「──喜んで」
〇非常階段
「さーしゃ! 待ってくれ!」
「二人とも待ってうさ〜!」
コウコウ ウズラ「さーしゃ‥ 登るの‥ 速かったんだね‥」
〇会見場
セコイ コウカツ「現在──地下シェルター内の人工は 既に1万人を下回っている‥!」
セコイ コウカツ「嘆かわしい事態だ」
セコイ コウカツ「未だに海外からの応答はなく 救援は絶望的だろう‥」
セコイ コウカツ「国民の皆様に提案があります」
セコイ コウカツ「どうか‥少子化対策として」
セコイ コウカツ「"一夫多妻"を 実施させてくださいますでしょうか?」
〇非常階段
コウコウ ウズラ(あんな男に‥)
〇会見場
セコイ コウカツ「試験的に 私自らが取り組んで参ります」
セコイ コウカツ「もちろん 立候補されました女性の皆様には」
セコイ コウカツ「相応の謝礼と待遇を約束致します」
セコイ コウカツ「どうか、このセコイに」
セコイ コウカツ「"私こそは"と挙手してくださる 素敵な女性に巡り会える事を」
セコイ コウカツ「心から──お待ちしております」
〇非常階段
コウコウ ウズラ(これ以上、奪われてたまるか!)
オーレンジ「え、エネルギー切れになりそうぅさ‥」
オーレンジ「こんな時は──」
オーレンジ「にんじんスムージーィ♪」
〇諜報機関
フニク エマメ「『エナジー・キャロット・スムージー』 通称──ECスムージー」
フニク エマメ「そいつを飲めば エネルギーを補給するだけでなく‥」
フニク エマメ「運動能力を向上させられる! これで彼女に追いつけるはずだメ!」
フニク エマメ「フニックックッ! やはり小生は天下一だメ!」
〇非常階段
フニク エマメ「おい、全部飲んだのかメ?」
オーレンジ「かぁ〜♪ 染み渡るうさ〜!」
フニク エマメ「聞こえているのかメ? それは適量を守って服用しないとだな‥」
フニク エマメ「あ、これは聞いていないやつだメ」
オーレンジ「エネルギーが‥!」
オーレンジ「うさぎってキタアァーッ!!」
フニク エマメ「それをいうなら 『みなぎってきた』だメ──はぁ」
〇歯車
オーレンジ「べーた かろてん ぱわぁーっ!!」
〇非常階段
「ど い て ど い て ぇ ぇ ! !」
コウコウ ウズラ「え──」
コウコウ ウズラ「何だったんだ‥今の」
〇屋上の隅
アカサカ ササ「私なんて‥」
アカサカ ササ「オーレンジさ──」
「行 き 過 ぎ た う さ ぁ ! !」
アカサカ ササ「オーレンジさぁん!?」
アカサカ ササ「ど、どうしよう‥落ちちゃった」
「さーしゃ」
アカサカ ササ「うずりん‥」
コウコウ ウズラ「さっきのは、その‥ あの演説に対しての発言だから」
コウコウ ウズラ「決して──」
アカサカ ササ「分かってる‥」
アカサカ ササ「でもね」
アカサカ ササ「私はもう、汚れているから‥」
アカサカ ササ「貴方の側に‥」
アカサカ ササ「一緒に居る資格が無いの‥!」
〇コンサート会場
ササの友人「きゃー! セコイさまー♡」
アカサカ ササ「ねぇ、もう帰ろうよ‥」
ササの友人「なんで?」
ササの友人「あたし達、立候補したじゃん?」
アカサカ ササ「それは貴方が強引に私を誘ったから‥!」
ササの友人「しょーがないじゃん! お金欲しかったんだから!」
ササの友人「でも友達と登録して 謝礼金がプラスになったでしょ?」
アカサカ ササ「私は望んで来てないっ!」
ファン「ちょっと、五月蝿いんだけど!」
ファン「盛り上げる気無いんだったら帰ってくれる?」
ササの友人「わー! すみません! この子、ちょっと気分が優れないみたいで‥」
アカサカ ササ「帰ります!」
ファン「何なのあの子?」
セコイ コウカツ「皆んなありがとーう!」
〇センター街
〇入り組んだ路地裏
アカサカ ササ「はぁ‥はぁ‥」
アカサカ ササ「何をやってるの、私」
アカサカ ササ「あの人との約束‥」
アカサカ ササ「もう、間に合わない──よね」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「お姉サン、こんな所で何やってんのー?」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「オレと遊ばな〜い?」
アカサカ ササ「すみません、急いでいるので」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「遊べ! 遊べ! ヒドイコト、するぞー?」
アカサカ ササ「この地区は男性禁制ですよ!? どうして貴方達がここに‥」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「いいじゃん細けぇコトはよ!」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「トップ、気に入らね! それだけ!」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「アンタも気に食わねぇから 奴のライブを抜け出して来たんだろ?」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「ここに居るのが何よりの証拠じゃん」
アカサカ ササ「そ、それは‥」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「トップ多妻制度、ダメ! ゼッタイ!」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「男も女も、ビョードーに! 恋しなきゃ!」
「だ・か・ら!」
「オレ達と!」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「遊ぼうぜえ〜?」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「恋しようぜぇー?」
アカサカ ササ「私には想い人が──」
???「そこの男ども! 何故ここに居る?」
セコイ コウカツ「お前達‥」
セコイ コウカツ「これがどういう事か 解ってやっているんだろうなあ?」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「おい、逃げるぞ!」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「待って! 待ってぇ!」
アカサカ ササ「あの、私‥」
セコイ コウカツ「危ないところだったね」
セコイ コウカツ「今日はもう遅いから、僕が送っていくよ」
〇車内
セコイ コウカツ「あれは反対派の人間だろう」
セコイ コウカツ「まだ彷徨いているかもしれないから 今夜は僕の家に泊まりなさい」
アカサカ ササ「はい‥」
セコイ コウカツ「なあに、家には女性秘書が付いている」
セコイ コウカツ「身の回りの事は、彼女に任せよう」
アカサカ ササ「ありがとうございます‥」
〇タワーマンション
〇豪華なベッドルーム
アカサカ ササ「ありがとうございました」
秘書「どういたしまして サッパリしたかしら?」
秘書「それにしても貴方‥」
秘書「本当に、トップの寵愛を受けるつもりなの?」
アカサカ ササ「ちょ、寵愛!?」
秘書「そのネックレス‥」
秘書「トップから貰ったの?」
アカサカ ササ「いいえ‥」
アカサカ ササ「これは男性区で待っている 大切な人から貰ったネックレスです」
アカサカ ササ「早く‥彼の所へ向かわなきゃいけないのに」
秘書「それは──」
秘書「気の毒ね‥」
アカサカ ササ「それはどういう‥」
秘書「その人の事は」
秘書「──諦めなさい」
アカサカ ササ「待って下さい‥!」
「ご苦労、後は僕がやるよ」
セコイ コウカツ「待たせたね」
セコイ コウカツ「さて」
セコイ コウカツ「それじゃあ早速──」
ネイキッド・セコイ「契 り を 交 わ そ う か」
〇黒
悪夢から覚めて
つらい
くるしい
どうして
わたしが
こんな め に
うずりん
たすけて
〇屋上の隅
コウコウ ウズラ「ごめん‥!」
コウコウ ウズラ「本当に知らなかったんだ」
コウコウ ウズラ「浮かれていたんだ」
コウコウ ウズラ「約束の場所で ずっと待ち続けていたんだ」
コウコウ ウズラ「君の噂を耳にするまでは──」
〇池袋西口公園
コウコウ ウズラ「こんなに待っても来ないなんて‥」
コウコウ ウズラ「どうしたんだろう‥」
???「──にしても変な女だったよなあ」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「なンか、ボーっとしてたっていうか 中身カラッポっていうか‥」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「トップにフラれた!?」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「つーか、捨てられたんじゃね?」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「オレ達から守ったクセにな!」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「トップ、サイテー!」
「ギャハハハハハハッ!!」
コウコウ ウズラ(何の話だ‥?)
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「ま、オレ達はそんなトップから 金で雇われた身だし」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「とやかく言うつもりは無えけど」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「オンナはダメだったけど、カネ儲けた!」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「それにあの女! シェルターの外に出たがってたからさ」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「交換条件として、コレ貰っちゃった!」
コウコウ ウズラ「あれは── さーしゃにあげたネックレス!?」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「お金になるかなぁ?」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「高く買い取ってくれるだろ?」
コウコウ ウズラ「あの‥!」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「あ?」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「なんだぁ? てめぇ?」
コウコウ ウズラ「それ、僕の彼女のものなんだ」
コウコウ ウズラ「返してくれるかい?」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「ちょw マジか! 彼氏くんかよ!」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「カワイソ! カワイソ!」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「やべ、トップに浮気されてたって思うとw」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「なんか、こう‥」
「ド ン ! ! マ イ ! !」
コウコウ ウズラ「返せ!!」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「おっ、と」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「とんで火に入る〜? ──なんだっけ?」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「彼氏クンってな!」
語彙力のない暴漢(略してゴボウ)「ヒィッ!! 強すぎィッ!!」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「置いていくなぁっ!!」
コウコウ ウズラ「おい」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「はひっ!? なんでございましょう?」
コウコウ ウズラ「──ネックレス」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「ああ、コレですね? 返しますので許してください何でもします!」
コウコウ ウズラ「それと‥」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「ま、まだ何か?」
コウコウ ウズラ「『何でもします』って言ったよな?」
金髪なチンピラ(略してキンピラ)「え、何する気──」
コウコウ ウズラ「シェルターの外に出る方法を教えてくれ」
〇非常階段
オーレンジ「やっと‥ 着いた‥ うさ‥」
コウコウ ウズラ「反対派の一人から──」
コウコウ ウズラ「シェルターの外に繋がる極秘ルートを──」
コウコウ ウズラ「君が通った道のりを教えて貰った──」
オーレンジ「ズラくん、間に合ったんだ‥」
オーレンジ「彼女が落ちなくて良かったうさ!」
〇黒
コウコウ ウズラ「君と同じルートを辿っていけば──」
オーレンジ「うさり‥ うさり‥と うさぎ足‥」
オーレンジ「からの〜」
オーレンジ「うさ聞きミミ〜」
コウコウ ウズラ「いつか君に辿り着ける──」
コウコウ ウズラ「そう──思ったんだ」
〇屋上の隅
コウコウ ウズラ「もちろん、感染のリスクを考えた事もあった」
コウコウ ウズラ「行き着く前に ゾンビになってしまうかもしれない‥」
コウコウ ウズラ「その上、炎天下だから 熱中症で力尽きてしまうかもしれない‥」
コウコウ ウズラ「だけど──」
コウコウ ウズラ「君が居ない世界なんて有り得ない」
コウコウ ウズラ「そう思ったから──」
僕は
覚悟を決めたんだ
〇荒廃した市街地
コウコウ ウズラ「ハァ‥ ハァ‥」
コウコウ ウズラ「ダメだ‥」
コウコウ ウズラ「意識が、朦朧としてきて──」
そして──やっと
ぞびちゃん「ぞび」
コウコウ ウズラ「見つけた」
コウコウ ウズラ「ぞびっ!」
コウコウ ウズラ(あまり時間がない──か)
ぞびちゃん「ぞびびぃん!!」
コウコウ ウズラ「心配したよ」
コウコウ ウズラ「助けにいけなくて、ゴメン」
コウコウ ウズラ「もう、誰にも渡しちゃダメだよ?」
ぞびちゃん「──ご ん な」
ぞびちゃん「ご ん な わ だ じ で も」
ぞびちゃん「ず ぎ だ ど い っ で ぐ れ ま ず が ぁ」
コウコウ ウズラ「ぐ‥あ‥!」
コウコウ ウズラ「ごめん‥ね」
コウコウ ウズラ「つらかったよね‥」
コウコウ ウズラ「苦しかったよね‥」
コウコウ ウズラ「そばに居られなくて‥」
でも、もう
ひとりには させないから
ぞびちゃん「ぞび」
ぞびお「ぞ、び」
〇屋上の隅
コウコウ ウズラ「ありがとう」
コウコウ ウズラ「身に付けていてくれて」
アカサカ ササ「こんな私でも」
アカサカ ササ「好きだと、言ってくれますか」
コウコウ ウズラ「もちろんだよ」
コウコウ ウズラ「二人で誓い合ったんだから」
〇白
コウコウ ウズラ「健やかなるときも」
アカサカ ササ「病めるときも」
コウコウ ウズラ「共に支え合うことを」
アカサカ ササ「共に愛し合うことを」
『誓います』
〇空
〇空
〇屋上の隅
アカサカ ササ「雨、上がったね」
コウコウ ウズラ「うん」
アカサカ ササ「大丈夫?」
コウコウ ウズラ「風邪引いちゃいそうだ‥」
コウコウ ウズラ「戻ろう」
アカサカ ササ「ええ」
〇非常階段
オーレンジ「良かったうさぁ 二人ともホントに良かったうさぁ〜」
オーレンジ「ズラくんも頑張ったうさ〜」
コウコウ ウズラ「ズラ違う、ウズラだっ!」
オーレンジ「聞こえてた!?」
〇近未来の開発室
全く、反省しているのかメ?
勝手に動き回られると困るのだよ
〇諜報機関
フニク エマメ「二人共、治療後とは言え 一度は感染していた事を忘れるな」
フニク エマメ「オーレンジが駆けつけてなかったら どうなっていたか‥」
フニク エマメ「君達を公の場に晒すのは 『まだ』避けておきたいんだ」
フニク エマメ「事態が収まるまで 当分は小生のラボ内で暮らして貰うメ」
〇近未来の開発室
コウコウ ウズラ「それじゃあ さーしゃとは、これからも‥」
アカサカ ササ「うずりんと一緒に居られるの‥?」
まあ──そうなるメ
アカサカ ササ「うずりん‥!」
コウコウ ウズラ「さーしゃ‥!」
こらこらこらこら!
〇諜報機関
フニク エマメ「TPOを弁えてくれたまえよ‥」
オーレンジ「でも、二人とも幸せそうだうさ」
フニク エマメ「──そうだな」
フニク エマメ「まさに奇跡の巡り合わせ、と言うべきか」
フニク エマメ「全く、ハラいっぱいだメ! フニックックックッ!」
〇コンサート会場
セコイ コウカツ「──とまあ、ライブのような演説には なってしまいましたが‥」
セコイ コウカツ「全ては皆様の今後の将来における不安を す・こ・し・で・も、和らげようと‥」
〇ダクト内
セコイ コウカツ「"皆様を楽しませたい"という‥」
セコイ コウカツ「この僕、セコイの 切実な想いが込められており‥」
モノクル「てぃる〜(セッティング〜) てぃるてぃる〜(セッティング〜)」
モノクル「れん・てぃるっ!(完・了っ!)」
〇果物
〇地下広場
研究員ガスマス「今の音は‥」
「何の騒ぎッスかぁ〜?」
〇地下広場
研究員ガスマス「君も聞こえたか」
見張り番チャーラ「バリケードの向こう側ッスかねぇ?」
研究員ガスマス「恐らく、な」
研究員ガスマス「地上で何かが起こっているのやも──」
〇黒
???「三連ライチ爆弾-トリプライチボム-」
〇地下広場
見張り番チャーラ「地上へのバリケードが‥!?」
研究員ガスマス「一体、誰が──」
「──うさぎ? ──おもちゃ?」
???「モノクル、ご苦労様ですミ」
レイチ「ごきげんよう」
レイチ「皆様を救いに参りましたミ♪」
研究員ガスマス「まさかそれは──ゾンビビーン!?」
見張り番チャーラ「え、あのZBスポアの『核』ッスか!?」
レイチ「さあ♪」
レイチ「ゾンビになって 一緒に"緑"を増やしましょう!」
レイチ「ショータイムの時間ですミよ!」
モノクル「れん──てぃる!? (時間──2回言ってる!?)」
今回は盛り沢山な上に、熱いドラマでした!!
泣ける物語の果てに、屋上での誓いのシーンは演出も相まって見事!!
あれは発明ですね🤩
セコイのネイキッドぶりも中々ですが、
裸になるとサイヤ人になるのかと思いました😄
今後の展開が楽しみです!!
うさぎってキター!
ってセコイもみなぎってる!?
恋人達はお互いの気持ちが通じ合いめでたしと思っていたら今度はあの二人組の何やら不吉な動きが…
一体どうなるのか気になる!
ゾンビ化した男女には重い過去が……。一夫多妻制がいかに人生を狂わせるかがよく分かりますね。
この先に待っているのは繁栄か滅亡か。続きを楽しみにしています。