第47話 チャンバラ☆タイムトラベル!③(脚本)
〇屋敷の門
蜘蛛丸家の看板が掲げられた、荘厳な屋敷の門前。
両脇にはからくり人形が並んでいる。
〇後宮の庭
要は従者たちを従えて、花の咲き乱れる庭園を歩いた。
蜘蛛丸要「女は花が好きだって言うけど、獅子王一葉はどの花が好きだと思う?」
従者「要様が選ぶお花で間違いございません」
蜘蛛丸要「質問に答えろよ。彼女には術が効かないんだから、ちゃんと考えて」
従者「要様がお間違いになるはずはありません」
蜘蛛丸要「・・・わかった。もういいよ」
〇古風な和室(小物無し)
高原みこ「このお菓子も美味しい! おかわり~!」
従者「はい、仰せのままに」
蜘蛛丸要「ようこそ獅子王一葉。 くつろげているかな?」
高原みこ「うん! 蜘蛛丸家の人、みんないい人だね」
蜘蛛丸要「ただ俺の言いなりになっているだけさ」
高原みこ「ん?」
蜘蛛丸要「それよりも、これを」
高原みこ「!」
蜘蛛丸要「君のために俺が選んだんだけど、どう・・・かな?」
高原みこ「これ・・・」
蜘蛛丸要「ああ、気に入らなかったらすまない。 こういうのは慣れていなくて」
高原みこ「(ぱくっ)」
蜘蛛丸要「え!?」
高原みこ「うぇっ」
高原みこ「なーんだ、お菓子じゃないんだ」
蜘蛛丸要「!?」
高原みこ「すっごく綺麗だから、食べられるのかと思っちゃった!」
蜘蛛丸要「・・・ははっ」
蜘蛛丸要「君って、想定外のことばかりするね。 花を食べようとするなんて姫らしくない」
高原みこ「はっ、しまった!」
蜘蛛丸要「?」
高原みこ「い、いつもの一葉ちゃんは多分ちゃんとしてるんだよ!」
蜘蛛丸要「・・・いつもの?」
高原みこ「うん、今は家出しちゃってるけど、本物の一葉ちゃんはきっと立派なお姫様だから嫌いにならないで」
蜘蛛丸要「ちょっと待って、君は本物の一葉じゃないの?」
高原みこ「うん、私は高原みこって名前で・・・」
蜘蛛丸要「みこ?」
高原みこ「しまった! い、今のは間違い! 私は一葉ちゃんの影武者なんかじゃ──」
悪田「要様、夕餉の準備が整いました。おなごと影武者の話など、爺は感心しませんな」
高原みこ「! わわ私は影武者なんかじゃ」
蜘蛛丸要「! 刮目せよ!」
高原みこ「ぐがー!」
悪田「坊ちゃま、何故一葉様を・・・?」
蜘蛛丸要「気にするな。それよりも一葉との祝言を急ぎたい」
悪田「ほう! ではすぐに準備して、来週にでも・・・」
蜘蛛丸要「いや明日だ。 気に入ったよ、この『獅子王一葉』」
〇屋敷の門
嘉成光「はぁ、はぁ、火尾衛門め、どこに行った」
からくり侍「・・・・・・」
嘉成光「! な、なんだよ。お前に用はないって」
からくり侍「・・・・・・」
嘉成光「不気味な奴・・・」
からくり侍「蜘蛛丸家ニ用ガナイ者ハ去レ」
嘉成光「喋った!? すごい技術だな」
〇城下町
あばら家に身を隠した一葉は、瓦版(かわらばん)を読んでいた。
蜘蛛丸要と獅子王一葉の見合い大成功!
結婚秒読みか!?
獅子王一葉「わたくしはここにいるのに何故・・・」
???「ようやく見つけました」
獅子王一葉「!」
アテナ「ここにいたのですね、獅子王一葉」
獅子王一葉「あなたは、屋敷で見かけたからくり人形!? まさか蜘蛛丸家の追手が──」
アテナ「私は獅子王家の命令で来ました。 さあ、一刻も早く屋敷に戻りましょう」
獅子王一葉「え・・・」
アテナ「貴方の家出のせいで、御主人(マスター)が影武者の任を強いられています」
獅子王一葉「何故そんなことに」
アテナ「貴方が戻れば御主人(マスター)は解放されます。さあ」
獅子王一葉「・・・戻るわけにはいきません」
獅子王一葉「蜘蛛丸家の魔の手から、宝刀を守らなければならないのです」
アテナ「事情は私に関係ありません。 貴方を屋敷に戻すのが私の使命」
獅子王一葉「・・・ならば同じ言葉を返しましょう」
アテナ「・・・・・・」
獅子王一葉「私にもあなたの事情は関係ない。私の使命を果たすために、戻るわけにはいきません」
???「ココダ! 本物ノ獅子王一葉ヲ見ツケタゾ!」
「!?」
〇古風な和室(小物無し)
蜘蛛丸要「今頃獅子王家は、本物の一葉を血眼になって探してるんだろうねえ」
蜘蛛丸要「だけど本物は永久に見つからない・・・俺の手下が消しに行ったからね」
高原みこ「・・・・・・」
蜘蛛丸要「宝刀を抜くには一葉が必要・・・だけど、もういいや」
蜘蛛丸要「高原みこ・・・俺は君だけ手に入ればいい」
〇城下町
からくり侍「トオッ! オ命頂戴スル!」
アテナ「からくり人形の侍!?」
獅子王一葉「蜘蛛丸家のからくり侍です!」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)