吹きすさんでる風の中で(仮)

ぽむ

エピソード① 僕の話(脚本)

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〇塔のある都市外観
  アロー、諸君。
  
  僕の仕事は、管理センターの中。
  作業機械のトラブルがないか管理する仕事。オペレーターだ。
  反乱分子を取り締まる・・・というのが
  よく分からないが、
  そこには多少人間の心というのがないと
  勤まらないのらしい。
  なので僕は高度AIが搭載され、比較的自由にパーツ交換や形も変えられる。
  割と特級職。
  また特級職ゆえに「家族」というものがもてるらしい。
  好きな相手を住まわせることもできる。
  国の管理してる公営住宅だけど。
  人間でいう「世襲制」とか言うやつらしい。
  中央管理センターに入れるやつは
  みんなそうだ。
  僕はとくに不満もなく、
  淡々と仕事をこなしている。
  L-23エリアのトラブルを見つけるまでは。

〇近未来の病室
  ビーッビーッビーッ
  
  緊急通報です!緊急通報です!
僕「ん、うぅ」
僕「うるさいな・・・。 休憩中(エネルギー補給中)だったのに」
  アラートは突然に鳴った。
  僕らの身体は、核融合発電機で作られるエネルギーを供給源としている。

〇荒地
  1億五千万度の灼熱を封じ込めることが出来なかったニンゲンは、
  大気プラズマ、つまり逃げ場のない強い磁気嵐が地球を覆い、自らを滅ぼしてしまった、という話が通説である。僕らには。

〇近未来の病室
  太陽に向かって落ちたイカロスの話のように。
  ともあれ、ニンゲンというものがどういうものなのか、よく分からない。大昔の伝説のような話である。

〇地下に続く階段
  しかしニンゲンが作った融合炉はずっと動いているし(僕らがメンテナンスもしている)
  僕らを生成し、この街を動かす原動力になっているのは確か。
  だからいつも、排気口の外では強い風が吹いているし砂が舞って埃っぽいから、
  普段は外には出ないで、管理棟の中かオペレーター室のモニタ越しに、
  「外」を眺めてる。

〇電脳空間

〇コンピュータールーム
  データ転送、完了です
  
  シュウウウ
僕「ふぅ」
  ピッ ピピピ
僕「あれ?つかない・・・」
  アラートが鳴ったけど監視カメラが壊れてしまったのか、様子が映らない。
僕「あぁ・・・外に出ないといけないのか」
  僕は砂まみれは嫌だなと思う。
  けど、支度して様子を見にいかないと。
  (外の状態は宇宙空間とほぼ同じで、プラズマに満たされ、
  超音速の磁力嵐と砂という彗星の塵が、直接吹いてくるみたいな感じだろうか)

〇コンピュータールーム
  ニンゲンというモノには
  耐えられないだろうけど、
  僕は耐えられる。
  そう施されてる体だから。
  「ニンゲン」には
  興味を持ってはいけない、
  と、マザーからは言われていたけど、
  ダメって言われると興味が出ちゃうもんだよね。
  僕は独自で研究、調べたんだ。

〇カプセルのある体育館
  融合炉は地面下に埋められていて、特殊なチューブを通して街の管理センター棟まで繋がっている。
  地上は融合炉の灼熱と砂塵に煙る。
  僕はそのセンター内のエネルギールームで補給(チャージ)していた。

〇近未来の病室
僕「やれやれ、仕方ないな。 データ戻して」
  僕は乱暴に背中のチューブを引っこ抜くと、カプセルの蓋をこじ開け、部屋を出ていった。
  シュッ

〇研究機関の会議室
  ボワヮヮン
マル「アロー! ご機嫌いかが?」
  自動ドアを抜けると小さい機械が居た。
  僕はこのちっこい機械を
  「マル」って呼んでる。
僕「良くないよ。 せっかく休もうと思ったら、 ブザーがなるんだから」
マル「仕方ありませんね!任務です任務!」
  マルは、しっぽをフリフリしている。
僕「カメラがやられてしまったみたいで、何も映らないんだ。解析してくれるかい?」
マル「ええ、少々お待ちください。」
  彼は小さいけど優秀だ。だからパートナーに選んだ。細かくうるさいが、よく気がつく。
  ピピ、ブブー。
マル「すみません、ダメですね。 偵察機を出しましょうか?」
僕「いいよ、自分で見てくるから。 君もチャージしてきなよ。」
マル「ありがとうございます。 ではお言葉に甘えて!」
  融合の不安定さで故障など、砂塵が強い時によくある事だ。
僕「とっちみち、直接行って 直さないといけないしな。」

〇荒地
  一応大丈夫な身体とはいえ、関節の隙間とかに砂が入るのは嫌だから、プロテクトスーツは着ていく。
  あと工具と予備燃料だけ後部の荷物入れに詰めて、風と砂塵対策用のバギーに乗る。
  「目的地まで3kmかな」
  バギーを真っ直ぐ走らせると、砂は舞い上がったが、アラートが鳴った地点へすぐに着いた。

〇戦闘機の操縦席(滑走路)
僕「特に何もないようだが・・・」
  見渡すと、なにかが、ある。
  黒い影が。
僕「あれは・・・」

〇荒地
  黒いなにかが、倒れている。
  倒れている?
  「ニンゲン?ニンゲンがいるの?」
  
  咄嗟にそう叫んでしまった。
  見たこともないのに。
  それに、ここにニンゲンが、
  いられるわけが無い。
  僕の勘違いか、錯覚だろう。
  とにかく回収して、解析しよう。
  バギーから袋を出し、黒いそれを包んで後部座席に放り込んだ。
  僕は震えながら、バギーのアクセルをふかした。

〇戦闘機の操縦席(滑走路)
  震える?僕が震える?
  なんだろう、わからない。
  
  こんな気持ちは初めてだ。
  帰ってから、解析するんだ。
  とにかく、解析、解析、解析・・・
  
  僕は混乱していた。

〇黒
  どうやって
  センターまで帰りついたか
  
  覚えていない。

〇白
  気づいたら、白い天井を見ていた。
  
  「あら、お目覚め?」
  僕はセンターの医療ベッドで治療を受けていた。話を聞いたら、入口にバギーで突っ込んだらしい。
  
  「もう大変だったんだから」
  バギーは大破したが、包んでいた黒いものは無事だったらしく、既に回収して解析に回されていた。
  「貴方はゆっくり休んで居ていいのよ、
  任務おつかれさま。」
  
  あれは、なんだったんだろう・・・
  僕は熱で暴走してるのか
  ぼんやりと
  なんで僕は震えていたんだろう、
  僕はあの黒いものの感触を思い出しては
  震えた気持ちを反芻している。
  この不可解な気持ちを解析しなくては・・・
  
  眠りにおちた。。

〇宇宙船の部屋
  「あの熱を受けると、みんなそうなるのよ。大したことなくて良かったわね」
  看護師さんはそう言って、僕の身体を磨いていた。
  冷製タオルというか、あの灼熱プラズマ熱は僕の身体に余熱を蓄えてしまうらしい。
  「僕はいつになったら帰れますか?」
  「もう自由に歩いてもいいけど、検査結果が出るまで、もう少しメンテナンスした方がいいわ。
  事故でフェイスガードが外れて、直接浴びてしまったし」

〇病院の待合室
  眠くないしデバイスもなく
  つまらないので(まだ一般エリアへの入出許可が出ないので)
  医務室の待合休憩所まで出てきて、ニュースを見ていた。
  
  「あっ」
  昨日の僕の事故だ。

〇宇宙船の部屋
  (事故動画がカメラに残っていたのか)
  しかし「黒いモノの話」は、なかった。
  
  (解析結果が知りたいな・・・)
  また部屋のベッドに戻り、チューブに繋がれると吸い込まれるように眠りに落ちた。

〇荒地
  つづく

次のエピソード:エピソード② 僕の話 +1

コメント

  • 「吹きすさんでる風の中で(仮)」は、SFの世界観がとても魅力的でした。主人公のAIである僕が、管理センターで仕事をしている様子が描かれています。その中で、突然のトラブルに直面し、外界に出ることを余儀なくされます。外の世界はプラズマや砂塵に覆われ、非常に厳しい環境ですが、僕はそれを耐えることができる特殊な体を持っています。僕はニンゲンに興味を持ち、彼らの存在を知るために独自に研究を始めます。そして、ある日、荒野で倒れているニンゲンを発見します。驚きと不思議な感情が僕を揺さぶります。この作品は、未来の世界での冒険と謎解きが詰まったSF作品で、一気に引き込まれました。

  • めちゃめちゃすごいですね!!それにプラズマとか融合とか、最近流行りの核融合みたいな設定にもわくわくします!!ぽむさん才能炸裂っす!!子供の頃物語みてわくわくした気持ちが蘇りました!!あざーす!

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