最終話 恋を実らせたスライム(脚本)
〇森の中
リヴァル「かあああああッ!!」
ライム「も、森が⋯⋯」
リン「燃えちゃう⋯⋯」
リヴァル「何もかも燃えてしまえ⋯⋯」
リヴァル「もう必要ない」
リヴァル「聖樹の花がない今、こんな森に用はない!」
ライム「やめろぉッ!」
リヴァル「⋯⋯ふん」
リヴァル「いつかのように、火を消してみたらどうだ?」
リヴァル「そんな大量の水があれば、だが?」
リン「止めなさいリヴァル」
リン「こんな事をしても何にもならないわ」
リヴァル「俺の気は晴れる」
リヴァル「大いに意味のある事だ」
リン「貴方は⋯⋯」
リヴァル「自分の国を手に入れる⋯⋯」
リヴァル「それが俺のすべてだった⋯⋯」
リヴァル「それが無に帰したんだぞっ!」
リン「何故?」
リン「自分の国が欲しいだなんて⋯⋯」
リヴァル「男なら誰でも思い描くさ⋯⋯」
リヴァル「いや。それ以前に貴女には分かるまい⋯⋯」
リヴァル「持たざる者の気持ちなど⋯⋯」
〇児童養護施設
恵まれない出自。
恵まれない環境。
恵まれない立場。
この世のすべてが憎かった。
だから⋯⋯
〇ファンタジー世界
頂きへと昇り詰める。
夢を手にする。
それがすべてだったんだ⋯⋯
〇赤い花のある草原
あるいは⋯⋯
なまじ神が手を差し伸べなければ、
憧れだけで終わっていたのかも知れない⋯⋯
〇森の中
ライム(ぼくと同じ⋯⋯?)
リヴァル「どんな願いでも叶えてくれる伝説の花⋯⋯」
リヴァル「まるで物語の主人公になった気分だった」
リヴァル「もしも本当に神がいるのだとしたら、」
リヴァル「とんだストーリーテラーだ」
リン「⋯⋯」
リヴァル「気が付いた時には王国の宮廷魔術師にまでなっていた⋯⋯」
リヴァル「まあ、俺にとっては通過点でしかないが⋯⋯」
リヴァル「それが全部台無しだ」
ライム「どうして?」
リヴァル「?」
ライム「貴方は頑張った」
ライム「頑張れる人だった」
ライム「自分で何かを手に入れられる人だった」
ライム「なのに何故、そんな風になってしまったの?」
リヴァル「⋯⋯」
リヴァル「まるで自分の方が正しいとでも言いたげだな⋯⋯」
リヴァル「俺が間違っていると?」
ライム「だってそうじゃないか」
ライム「貴方はとっても強いし、」
ライム「カッコいいし、」
ライム「頭も良い」
ライム「おカネってやつも持ってるんでしょ?」
ライム「何でも自由に出来たはずだ」
リヴァル「⋯⋯」
リヴァル「言いたい放題だな⋯⋯」
リヴァル「足るを知る?」
リヴァル「現状に満足し、甘んじろというのか?」
リヴァル「⋯⋯ふん」
リヴァル「所詮はスライムだな」
リヴァル「上に行く、という事を知らんようだ」
ライム「ぼくは、ぼくだよ」
リヴァル「⋯⋯もういい」
リヴァル「スライム如きと分かり合うつもりなどない⋯⋯」
リヴァル「何もかも終わらせるッ!!」
〇森の中
リヴァル「ふん⋯⋯」
リヴァル「ああああああッ!!」
リヴァル「ちっ⋯⋯」
リン「はぁ〜⋯⋯」
「っ!?」
リン「ええ⋯⋯ 当たらない⋯⋯ ?」
リヴァル「まったく⋯⋯ 冗談じゃない!」
リン「熱っつ!?」
リン「あんたっ!」
リン「自国の王女になんて事してくれてんのよっ!?」
リヴァル「何度も言ったはずだ」
リヴァル「お転婆が過ぎる、と」
リヴァル「多少の怪我は覚悟してもらう!」
リン「ふんがーーッ!!」
侍女「嗚呼⋯⋯」
侍女(リヴァルの火炎魔法も、ライム様には効かない⋯⋯)
侍女(でもライム様の攻撃も、軽すぎて大したダメージにならない⋯⋯)
侍女(決定打を与えられるリン様の攻撃も避けられてしまう⋯⋯)
侍女「このままでは⋯⋯」
「チカラを合わせろ⋯⋯」
侍女「え?」
ダチ「ライムーーッ!!」
ライム「ダチ!?」
ダチ「お前がお姫様を守るんだーーッ!!」
ライム「ぼくが⋯⋯ リンを⋯⋯ ?」
ライム「う⋯⋯ うん!」
リン「え?」
ライム&リン「リンは⋯⋯ ぼくが守るッ!」
ライム&リン「ライ⋯⋯ ム⋯⋯」
ライム&リン(まるで初めて会った時みたい⋯⋯)
ライム&リン(ひんやりして⋯⋯)
ライム&リン(心地よくて⋯⋯)
ライム&リン(とても落ち着く⋯⋯)
ライム&リン「でもやっぱ、ねちょねちょするッ⋯⋯!」
ライム&リン「ん? ねちょねちょ?」
リヴァル「そんな事をして何になる⋯⋯」
リヴァル「スライム如きが、ナイトにでもなったつもりかっ!」
リヴァル「なっ!?」
リヴァル「炎が効かない!?」
ライム&リン「粘着質の水は高温を遮ってくれる⋯⋯」
ライム&リン「一種の断熱材ね」
リヴァル「くっ⋯⋯」
ライム&リン「遅いっ!!!」
リヴァル「ぐっ⋯⋯」
ライム&リン「多少の怪我は覚悟してもらう⋯⋯」
ライム&リン「⋯⋯だっけ?」
リヴァル「がはっ⋯⋯」
ライム&リン「大人しく投降しなさい」
ライム&リン「今なら未だ⋯⋯」
リヴァル「何故だ⋯⋯」
ライム&リン「?」
リヴァル「何故、俺ではなく、スライムなんだ⋯⋯」
リヴァル「何故、俺ではいけない?」
ライム&リン「リヴァル?」
リヴァル「何故、振り向いてくれないんだッ!!」
リヴァル「俺はずっと貴女の事を⋯⋯」
ライム&リン「いや、でも⋯⋯ あんたは⋯⋯」
リヴァル「自分の国を手に入れる⋯⋯」
リヴァル「その信念に嘘はない」
リヴァル「だが、その為だけに、貴女に近づいたと思うのか?」
リヴァル「長年、貴女に仕え、」
リヴァル「何の情も湧かなかったと思うのか?」
ライム&リン「⋯⋯」
ライム&リン「⋯⋯待って」
リン「ライム?」
ライム「勝負しませんか?」
リヴァル「勝負?」
リヴァル「リン様を賭けて、か?」
ライム「違います」
ライム「ただの勝負です」
ライム「男と男の⋯⋯」
リン「ライム、何を言って⋯⋯」
リヴァル「俺に勝つ気でいるのか?」
ライム「いいえ」
ライム「ぼくは変身しません」
ライム「貴方も魔法は使わないでください」
リヴァル「⋯⋯」
リン「いや、だから⋯⋯」
リヴァル「バカバカしい⋯⋯」
ライム「そうですか⋯⋯」
リヴァル「俺が勝つに決まっているだろう!」
〇黒
〇黒
〇森の中
リン「もぉ〜バカねぇ⋯⋯」
リン「何で勝てない勝負なんてするかなぁ⋯⋯」
ライム「⋯⋯ごめん」
ダチ「お姫様⋯⋯」
ダチ「男にはねぇ、戦わなきゃいけない時があるんすよ」
リン「ごめん、ちょっと何言ってるかわかんない⋯⋯」
ライム「あの人、行っちゃったね」
リン「リヴァル? うん、妙にあっさりしてたね」
ダチ「何だかんだ言って、」
ダチ「ライムに言われた事が堪えたんだろ?」
ダチ「小物と侮ってた相手に、あれだけ言いたい放題言われたんだから」
ライム「ぼく、何て言ったっけ?」
ダチ「覚えてないのかよ⋯⋯」
ライム「無我夢中だったから⋯⋯」
ダチ「ま、何にせよ、これで一段落か」
リン「そうね。未だ事後処理とか残ってるけど⋯⋯」
ライム「そういえば、どうしてリンがいるの?」
リン「!」
リン「ああ、そうだ⋯⋯」
リン「私、ライムに言わなきゃいけない事があって⋯⋯」
ライム「言わなきゃいけない事?」
ライム「⋯⋯」
ライム「ぼくも!」
ダチ「こ、これはまさか⋯⋯!?」
侍女「お邪魔になってしまいますね」
ダチ「ですね⋯⋯」
リン「え? じゃあライムから⋯⋯」
ライム「え? リンから言ってよ⋯⋯」
リン「いやライムから⋯⋯」
ライム「リンから⋯⋯」
「⋯⋯」
リン「じゃ、じゃあ、いっせーのーで⋯⋯」
ライム「う、うん⋯⋯」
「あのね⋯⋯」
ガッツリ戦闘回だったので「最終回?終わるよね⁉」と疑ってしまいました😅
最終回でリヴァルが好きになるとは…「気が晴れる」発言や現状持っている側なのに貪欲なのが、良いと思ってしまった。
最後の最後にようやく告白シーンが来るかと思ったら、終わった🫥🫥🫥…「続きを、続きをください…」と暴れました。
番外編がまだ未読ですが、楽しい王道ファンタジーを楽しませていただきました。
完結お疲れ様でした!
遅くなりましたがやっと読了できました!ラスト、怒涛の展開とても楽しかったです😆
ライムは一生懸命で真っすぐで、純粋でちょっとお馬鹿で。物理的には冷たいのに、ちゃんと熱いところを持っていて、そんなライムの魅力に最後までどっぷりでした!姫とライムの今後の日常を想像してしまうような、ハッピーなラストに、胸がいっぱいです☺️素敵な物語をありがとうございました!番外編も楽しませていただきますね✨
あああ、リヴァル拗らせたやつだった!!w
いいよ、好きだよリヴァルーー!!www
最後、ダチ透けてましたね…
最初から透けてたんですかね?💦
ともあれ完結お疲れ様でした!
王道でわかりやすくて読みやすかったです!
(王道ファンタジー好き!)