サクサク読める怖い話1

突発的ゲーム制作部

第弐夜 軽く奇妙な体験談(脚本)

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〇壁
  まえがき
  この章は実体験を元にしたオムニバス形式です

〇市街地の交差点
  自転車の加護
  私は覚えている限りでも、
  過去3回は交通事故に遭っている。
  そのうえ、その全てが
  そっくり同じ流れを辿っているのだ。
  3回とも、私が自転車に乗っていた時に起こり、
  3回ともぶつかって来たのは、
  曲がり角で止まり切れなかった車。
  更に3回とも、
  右側から自転車の前輪を潰されているのだ。
  ・・・
  大変奇妙な話だが、
  あと一つだけ運命を感じた偶然がある。
  そう・・・
  3回とも私は一切無傷で、
  今もこうして生きているという事なのだ。

〇黒

〇部屋のベッド
  黒い奴が忍び寄る
  私がまだ幼かった頃のこと。
  子供ながらに夜更かしをして、
  布団で寝転がりながら漫画を読んでいると、
  急に右足の親指辺りにくすぐったさを感じた。
  部屋には自分の他に誰もいないはず。
  別の本やおもちゃでも、片付け忘れたのかと思って、
  ゆっくりと起き上がり、足元の方へ顔を向けると・・・
  居た。
  黒く俊敏で、多くの人々を青ざめさせる『あの虫』が。
  叫び声をあげる事も叶わない中、
  黒い虫は、その俊敏さを発揮して、
  さっさと離れて行ってしまったが、
  子供時代の夏・・・
  霊感のない私にとって
  1番怖い体験であったことは間違いないだろう。

〇黒

〇温泉旅館
  蜂の巣旅館
  とても蒸し暑い、ある年の夏のこと。
  家族旅行で泊まった旅館の周りには、
  よりにもよって『オオスズメバチ』が大量発生していた。
  いや、周りだけではない。
  建物の中でも我が物顔で、
  何匹もの蜂が重い羽音を立てて飛び回っているのだ。

〇黒
  極めつけは、大浴場に入った時だった。

〇露天風呂
  身体を洗っているその真上に、蜂が飛んできたのだ。
  私の隣にいた父が、咄嗟に立ち上がり、
  風呂桶で蜂に熱湯をひっかけたその瞬間は、
  今でも覚えている。
  人間として、最も無防備な状態で、
  そのうえ身体も火照っている。
  刺されていたら、ひとたまりもなかっただろう。
  父の果敢さには、ただ感服するばかりだった。

〇黒
  ・・・

〇温泉旅館
  翌朝出発する時、
  宿の主人が何故か『袋いっぱいの大根』を
  手土産に差し出してきた。
  せめてもの気遣いのしるしだったのだろうか・・・

〇黒

〇壁
  注意!
  このお話は、2000年半ばを舞台としています。
  当時の社会的文化的な考え方に基づいた
  表現が含まれております。
  現代の価値観と異なりますので、
  ご了承願います。

〇黒
  先輩
  学生だった頃のこと。
  アルバイト先に6つ年上の先輩がいた。
  仕事の内容が私自身には合わず、
  数か月で辞めてしまったが、
  先輩はその後も、
  何かと私を食事や遊びに誘ってくれた。
  一方その頃、急に『見知らぬ女性』から、
  私宛にメールが届くようになった。
  その当時は『メル友』という言葉もあり、
  おまけに私の警戒心の薄さも相まって、
  安易に『彼女』・・・
  いや、そもそも女性かどうかすら分からないその相手に、
  メールを返すようになってしまったのだ。

〇黒
  それからというもの、
  先輩が私を食事に誘った日は決まって、
  彼女から「同じメニューを食べた」
  という事をメールして来たり、
  先輩と遊んだ後、
  彼女と会う約束をしては「都合が悪くなった」と、
  直前になってキャンセルされる
  という事を繰り返されていた。
  思えば、この時点で気付くべきだったのだ──
  結局、1年以上もの間、
  彼女に対面できる日は訪れなかった。
  そしていつも、
  何故か先輩と同じ物を食べていたり、
  先輩と遊んでいる近くにいた、という事ばかりを
  彼女は私にメールで伝えて来るのだった。
  疑いを深めた私は、とうとう決心する。
  ある日、先輩と一緒に食事をした時に、
  「実は彼女、アナタじゃないんですか?」
  という事を、冗談交じりに伝えてみた。
  先輩はその場でこそ「まさか!」と、
  笑いながら誤魔化したが、
  食事を済ませ帰宅すると、
  絶交を知らせるメールを送ってきたのだ。
  疑いは、確信に変わった。
  ・・・
  その日からというもの、私のもとには毎日
  数十件もの迷惑メールが届くようになった。
  あまりにもしつこいので、
  アドレスを変更することにした。
  それからは何とか届かなくなったものの、
  先輩はきっと今でも『彼女』として、
  私に届かない嫌がらせを続けているだろう。
  ・・・
  最後に。
  今まで明かしてこなかったが、
  私と先輩の性別をお伝えしておこうと思う。
  ・・・ともに『男』である。
  第弐夜 軽く奇妙な体験談
  作:モリサキタテワキ
  終

次のエピソード:第参夜 ぼくの七不思議1

コメント

  • 確かに、狭義の「怖い」に縛られない、心がざわざわするエピソードの詰め合わせという感じですね!色々なテイストの「怖い」を存分に楽しませてもらいました!

  • 第二話は違う方が書かれているのですね

    こうゆう実体験て凄いゾッとします
    蜂の話
    勇敢なお父さまですね
    旅館の方、駆除を頼まなかったのでしょうか

    先輩のお話
    怖すぎます
    当時はまだまだLGBTも浸透してないし、携帯の中にいる彼女が本当の先輩を写し出していたのでしょうか
    それにしても迷惑メールてやり方が...

    幽霊は関係ない怖い話、とても読了感があってドキドキしました👍中毒性がありますね!👍

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