サクサク読める怖い話1

突発的ゲーム制作部

第参夜 ぼくの七不思議1(脚本)

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〇壁
  まえがき
  この章はオムニバス形式です

〇黒
  血塗れの音楽室
「血塗れの音楽室って話、知ってる?」
「七不思議のひとつだよ」
  と、隣のクラスから出て来たO(オー)が言ってきた。
「みんなで見に行こうよ」
  と、Oは笑顔で言った。
  オレたちは顔を見合わせた。
  好奇心とノリもあって、
  放課後、みんなで行く事にしたんだ。
  ・・・
  暗くなった校舎に集まったオレたちは、
  Oと音楽室に向かった。

〇音楽室
  ドアを開くと、
  ぼんやりとピアノの陰が浮かび上がる。
  少し不気味だな・・・と思いながら、
  オレたちは音楽室に入った。
  背後にいたOが、ドアを閉めながら──
「もう少しだよ」
  と、ポツリと言った。
  視線がOに集まる。
  Oは笑顔だった。
「なにがだよ!」
  と、男子が怒鳴り、
  その声で女子がビクリと驚いた。
  ♪──
  突然、ピアノがポロンと鳴った。
  みんなの視線が、一斉にピアノへと向く。
  するとOが、ペタペタとピアノに近づいて、
  楽譜を覗き込んだ。
「『血しおしたたる』だって」
  と、笑いながら言った。
  ・・・
  みんなが息をのみ、沈黙する。
「下から血が・・・!!」
  足元を見ると、
  床から血が噴き出していた。
  止めどもなく噴き出す血が、
  足元から徐々に身体全体を飲み込んで、

〇黒
  オレの視界は真っ暗にな・・・
  ・・・

〇学校の廊下
「血塗れの音楽室って七不思議、知ってる?」
  と、隣のクラスから出て来たOが話しかけてきた。
  ボクたちは顔を見合わせた。
「へえー面白そうじゃん。 みんなに聞いてくる!」
  みんなの所に行こうと振り向いた時、
  ふと目に入った入ったOの顔は・・・
  笑顔だった。
  七不思議1『血塗れの音楽室』
  
  完

〇黒

〇図書館
  未返却の図書カード
  図書委員である私は、
  下校前に図書室で片付けをするのが日課だ。
  図書カード入れの整理をしている時、
  受付カウンターの下に落ちている図書カードを見つけた。
「あれ?」
  昼休みには無かったと思うけど、
  誰かが整理中に落としたのかな?
  拾い上げて確認してみると、
  本のタイトルが掠れていて読めない。
「返却の時にタイトル確認しよっと 貸出者の名前は・・・」
  Oと書いてあった。
  名前の横にある数字を見るに、2年の一番端のクラスだ。
  私は拾った図書カードを、
  何も入っていない『貸出中』の部分に差し込んだ。
  そうして、西陽が差し込む窓を背に、
  図書室のドアを開けた。
「もう終わりですか?」
  目の前には、本を持った男子生徒が立っていた。
  返却に来たという男子生徒に「手続きだけ」と伝え、
  受付に戻って振り向いた。
  しかし、そこには男子生徒はおらず、
  受付カウンターに本だけが置いてあった。
(帰ったのかな?)
  首をかしげながら、
  図書カード入れの『貸出中』の部分を覗き込んだ。
「・・・あれ? 図書カードがない」
  確かに入れたはずの図書カードがなくなっている。
  ・・・まぁいっか、明日探そう。
  本を受付カウンターに置き直し、
  再びドアへと向かった。
「え・・・? ドアが開かない・・・」
  なんで・・・?
  何をやってもドアは開かないし、
  大声を出しても誰も来ない。
  カギの掛かっていない窓も、地窓も、
  全く開かなかった。
  ・・・
  あれから、どれくらいの時間が過ぎただろう。
  ずっと変わらない西陽が、
  図書室の壁に寄りかかる私を照らしていた。
  七不思議2『未返却の図書カード』
  
  完

〇黒

〇黒
  西側廊下の2年生
  うちの学校には、不思議な噂がある。
  入学も転校もなかったのに、
  別の人間が卒業する噂。
  勿論、噂に過ぎないのだが、
  毎回同じ『西側廊下の端にある2年のクラス』だ。
  3年生に進級する時になると、必ずこんな話が出る。
「・・・あれ? 〇〇って居なかったっけ?」
「え?? 〇〇って?」
「いや、同じクラスになった〇〇だよ」
「他のクラスの人じゃない?」
  不思議な話だ。
  仮に居なくなったのなら、
  出席簿や生徒名簿を見れば、すぐに分かるはず。
  だから居なくなったのではなく、最初から居ない訳だ。
  しかし、毎年そのクラスでは、
  同じ様な事を言う奴が出てくる。
  ──何で居ない人間が、居ると思ったのだろう?
  そういえば、そのクラスには前から色々と噂があって、
  その中で1番多いのが・・・

〇清潔な廊下
  放課後、その教室の前に知らない生徒がいるという話だ。
  良くある噂だから、試す奴が沢山いたらしい。
  でも、会ったって奴は居ないんだよ。
  噂って、根拠があって出てくる物だろう?
  じゃあなんで、そんな噂が『良くある』って言われているのか。
  おかしいって思うよな?
  あ。
  こう話してて、ふと思い出したんだけど。
  その噂を知ってるって奴に、話を聞いた奴が居たらしい。
  そいつなんて言ったと思う?
「入れ替わったんだよ」
  って、笑いながら答えたんだよ。
  今みたいな放課後で、
  顔は西陽で見えなかったんだけど、
  確かそいつの名前、Oって言ってたな。
  これでこの話は終わりだから、もういいかな?
  じゃあ、教室に戻るわ。
  七不思議3『西側廊下の2年生』
  
  完
  サクサク読める怖い話2へつづく
  第参夜 ぼくの七不思議1
  作:らびLine'S
  終

コメント

  • オムニバスの中に通底する同質の「怖さ」、そして恐らく共通している登場人物、想像するとドキドキしますね!続きも楽しみです!

  • こんばんは
    あー今夜も来てしまいました
    恐ろしくまたストーリー構成が美しいですね

    入れ替わったんだよ

    鳥肌です
    文字だけなんですけどね
    連想させるんですよ

    私もホラーを書いています
    怖がりなんですけどね

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