ファリンの箱庭

ソエイム・チョーク

エピソード2(脚本)

ファリンの箱庭

ソエイム・チョーク

今すぐ読む

ファリンの箱庭
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇ファンタジー世界
ロズール「つまりどういう事なんだ? この首輪が嵌まっている限り、俺はおまえの奴隷ってことか?」
ファリン「そんなところですね」
ロズール「冗談じゃない、俺はお前になんか従わない」
ファリン「「私はあなたに従います」と言いなさい」
ロズール「私はあなたに従います・・・なんだ? 口が勝手に動く?」
ファリン「「おまえの事は死んでも守る」と言いなさい」
ロズール「おまえの事は死んでも守る・・・へぇ? おまえ、そういうこと言われたいんだ?」
ファリン「・・・」
ファリン「とにかく逆らえないことがわかりましたか?」
ロズール「いいや、俺はもう帰らせてもらう じゃあな!」
ファリン「あ、ちょっと!」
ファリン「ま、すぐにわかるでしょう 逃げられないということに」

〇要塞の廊下
ロズール「なんだ? 結構簡単に逃げられるじゃないか やっぱあれだな」
ロズール「命令に逆らえないなら、逃げるなって言われる前に逃げちゃえばいいんだな」
ロズール「しかし、この呪いはどうしたらいいんだ? 教授なら解けるかな?」
ロズール「そうだな、教授には文句も言いたいし、とりあえずもう一度行ってみるか・・・」

〇上官の部屋
ロズール「教授!」
教授「おや、ロズール君 ファリン君には会えたかね?」
ロズール「それどころじゃないんですよ! アイツ、俺に何をしたと思います?」
教授「なにか交換条件でも出されたかね? たぶん大したことじゃないと思うんだが・・・」
ロズール「大したことですよ、あいつ、俺を・・・むぐっ?」
  ロズールは急に口が動かなくなってしまった
  教授はそれに気づいてくれない
教授「彼女の祖父は私にとって先輩でもあった 魔術犯罪の撲滅に一生を捧げた立派な男だったよ」
教授「ファリン君もいずれ一門の人物になるだろう」
ロズール「そんなわけあるか? あいつ、人を・・・むぐぐっ?」
教授「そう、確かに彼女は人当たりが良くない しかし、仕方ないのだ」
教授「あの年で、不幸にも家族を全て失い、一人で祖父から受け継いだ魔術の研究をしている 無口になってしまうのも仕方ない」
ロズール「そうじゃなくて・・・むぐっ?」
教授「だがそういう部分を君が変えてくれるかもしれないと、期待しているのだ」
ロズール「むぐぐっ?」
教授「大丈夫、君ならできるとも ファリン君を手伝い、自らの魔術も極めるのだ」
教授「卒業試験までは遠いように見えてあっという間だぞ、時間を大切にしなさい」
ロズール「むぐぐぐっ?」

〇城の回廊
ダング「あ、ロズール、戻ってきたのか!」
シシュア「何の用だったの?」
ロズール「ああ、ええと、何だっけ? 途中でいろいろあって・・・」
ロズール「そうだ、たしかこのままだと卒業できないって言われたんだ」
シシュア「何が理由だったの?」
ロズール「俺、氷属性魔術が苦手だから、全然使えないのは卒業させられないって・・・」
ダング「そっかー、さすがにそれは、頑張って何とかしろとしか言えないなー」
ロズール「・・・まあ、それはいいんだ 俺にも原因があるから仕方ない」
ロズール「問題はその後だよ、ファリンっていう後輩を紹介されたんだ。そいつに魔術を教われって・・・」
ダング「後輩に頭下げるのは辛いなぁ」
シシュア「でも卒業が掛かってるんだからしょうがないでしょ」
ロズール「いや、それなんだが、見てくれ、この首輪を!」
ダング「え? 首輪?」
シシュア「何もないけど?」
ロズール「は? あれ?」
  ロズールは自分の首に触ってみるが、確かに首輪はない
ロズール「あれ、おかしいな、ファリンにつけられて・・・呪いの・・・むぐっ?」
  やはり喋れない、効果は継続している
ロズール「くそッ、ダメか・・・」
ダング「なぁ、そのファリンって女の子か?」
ロズール「まぁ、性別は女だが」
ダング「じゃあ、そのファリンをダンスに誘えばいいんじゃないか?」
ロズール「誰が誘うか、あんな奴!」

〇城門沿い
ロズール「ああ、もう・・・どうすりゃいいんだよ」
ファリン「ここにいたのですか・・・」
ロズール「うわっ、出た!」
ファリン「この辺りにいるだろうと思っていました」
ロズール「おまえ、俺をどうしたいんだ?」
ファリン「私の仕事を手伝って欲しいだけです、終わったら解放しますよ」
ロズール「何で他人に喋ろうとすると、なにも言えなくなるんだ? ズルいだろ」
ファリン「ズルいですよね」
ロズール「は?」
ファリン「外では私も喋れませんからね」
ロズール「何だそれ?」
ファリン「あの、もともとアレはそうなっているとしか言えませんね」
ロズール「意味わからねぇよ」
ファリン「もう夕食は食べました? まだなら、御一緒しませんか?」

〇怪しげな酒場
  食堂にて
ロズール「俺に何をさせる気なんだ?」
ファリン「私はあの場所を調べています、ただ一人ではどうにもできない場所があって・・・協力者が必要なんです」
ロズール「友達でも誘えよ」
ファリン「・・・外では話せないんですよ」
ロズール「友達がいないんだろ?」
ファリン「いないですよ、悪かったですね」
ロズール「そんな人生、楽しいか?」
ファリン「楽しくありませんよ、余計なお世話です」
ロズール「でもなんで俺なんだ? 卒業も危うい落ちこぼれだぞ、頼まれたってなにもできないよ」
ファリン「そうですね」
ロズール「ほら、そういうところ、ちょっとは否定しろよ! 可愛げがねーなー」
ファリン「はぁ・・・」
ファリン「もう私はあなただけが頼りです、あなたがいなければ、きっと私は死んでしまうでしょう」
ロズール「・・・ハイハイ、次はもうちょっと演技力を磨いてから出直してね」
ファリン「この肉、美味しいですね・・・」
ロズール「そうだな」
  その後、二人は無言で食事を続ける
  ほとんどの料理が片付いた頃に、ロズールは言った
ロズール「やってやるよ」
ファリン「はい?」
ロズール「もう逃げない、仕事だか研究だか知らないが、俺にできることならやってやる」
ファリン「本当ですか?」
ファリン「では、短い間になると思いますが、よろしくお願いしますね」

次のエピソード:エピソード3

成分キーワード

ページTOPへ