第十夜:懺悔(脚本)
〇川沿いの原っぱ
メルン「素晴らしい・・・!!」
メルン「やはり貴方は」
メルン「期待を裏切らないっ!!」
ヴァンパイア「アアアアアアアアッッ!!!!?」
メルン「自分の友人もっ!」
メルン「自分の家族もっ!!」
メルン「しまいには──」
メルン「自分の想い人にも手を掛けたっ!」
メルン「何もかも壊したっ!!」
メルン「私の手中にまんまと引っかかってくれたっ!」
メルン「いやはやまるで芸術ですよっ!!」
メルン「貴方という人はっ!」
七瀬楓「おぇぇぇっ!!」
メルン「おやおや」
メルン「乙女がそんなはしたない」
メルン「まぁ本当の乙女は」
メルン「あんな風に暴れませんがねぇ」
七瀬楓「やめて・・・!」
七瀬楓「やめてよっ!!」
メルン「おやおや」
メルン「そんなに叫んだら」
メルン「お身体に響きますよぉ?」
メルン「なーんてね?」
七瀬楓「何で・・・!?」
七瀬楓「何でこんなことするの!?」
メルン「・・・クハッ」
メルン「何でって」
メルン「決まってるじゃないですか」
メルン「面白いからですよっ!!」
メルン「いやはや滑稽なものですよ」
メルン「何にも気付かないっていうのはねぇ?」
七瀬楓「わ、私は・・・!」
七瀬楓「こんな・・・」
七瀬楓「こんなこと望んでないっ!!」
七瀬楓「私は皆を助けたかっただけ・・・!!」
メルン「えぇ」
メルン「知ってますとも」
メルン「だからこそ滑稽なんですって」
メルン「それにほら」
メルン「楽しそうだったじゃないですか」
メルン「文字通り」
メルン「『欲』に忠実でしたよぉ?」
〇川沿いの原っぱ
七瀬楓「そ、そんなの」
七瀬楓「聞いてない・・・・・・!!」
メルン「まぁ確かにねぇ?」
七瀬楓「卑怯だよ・・・!」
七瀬楓「そんなの・・・!!」
メルン「クハッ!」
メルン「卑怯ときましたか」
メルン「きっかけ自体はそうですねぇ」
メルン「私が作ったものです」
メルン「ですが──」
〇土手
メルン「手を出したのは」
メルン「貴方じゃないですか・・・」
メルン「七瀬さん」
メルン「いや」
メルン「それとも──」
メルン「『隣人』さん?」
〇川沿いの原っぱ
七瀬楓「ァッ・・・!」
七瀬楓「アアアアアアアアッ!!!」
メルン「そうですよっ!!」
メルン「求めていたのはっ!」
メルン「その顔っその表情っ!!!」
メルン「私が見たかったのはそれですよぉっ!」
七瀬楓「──って」
メルン「『何度』繰り返そうが」
七瀬楓「──ってよ」
メルン「こうなる運命なんですよ」
七瀬楓「黙ってよっ!!」
メルン「クハッ!!」
メルン「今度は逆ギレっ!」
メルン「いいですねぇっ!」
メルン「『人間』らしいですよっ!」
メルン「おやおや」
メルン「その銃で何をする気なんですかねぇ?」
ガンナー「消えろ」
メルン「いやいやまさか」
メルン「いやまさかぁっ!」
メルン「できるんですかぁ?」
メルン「貴方に?」
七瀬楓「消えろっ」
七瀬楓「消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ」
七瀬楓「消えろっ!!」
メルン「・・・グハッ!」
メルン「・・・クハハハッ!」
メルン「今ここに・・・・・・!!」
メルン「貴方という作品は・・・・・・!!」
メルン「『完成』されたっ・・・・・・!!」
〇川沿いの原っぱ
ガンナー「う──」
ガンナー「ウアアアアッッッ!!!」
ガンナー「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!」
ガンナー「アァァッ・・・・・・!!」
〇学校の廊下
山田健太郎「あぁ七瀬!」
山田健太郎「ちょっといいか?」
山田健太郎「実は宿題忘れちゃってさ・・・」
山田健太郎「写させてもらってもいいか・・・?」
山田健太郎「えっ」
山田健太郎「ホントかっ!」
山田健太郎「マジでありがとうっ!!」
山田健太郎「絶対に何か礼すっからなっ!」
山田健太郎「ホントにありがとなっ!」
山田君・・・・・・
ごめんなさい・・・・・・
ごめんなさい・・・・・・!!
〇教室
相田愛子「楓」
相田愛子「また山田に写させたんでしょう?」
相田愛子「人が良すぎるわよ」
相田愛子「何だったら私がガツンと──」
相田愛子「えぇ? 駄目?」
相田愛子「ほんとお人好しなんだから」
相田愛子「けど」
相田愛子「それが楓だから」
相田愛子「仕方ないか」
相田愛子「うふふ」
愛ちゃん・・・・・・
ごめんなさい・・・・・・
ごめんなさい・・・・・・!!
〇学校の廊下
松井優斗「おっ七瀬じゃん──」
松井優斗「っておいおい」
松井優斗「顔赤いけど大丈夫か?」
松井優斗「保健室にでも・・・」
松井優斗「あっいいのか?」
松井優斗「そうかぁ」
松井優斗「無理すんじゃねえぞー?」
松井優斗「気楽にやろうぜ」
松井優斗「後は適当でいいんだからよ」
松井優斗「な?」
松井君・・・・・・
ごめんなさい・・・・・・
ごめんなさい・・・・・・!!
〇おしゃれなリビングダイニング
楓の母親「あーやれやれ」
楓の母親「どっこいしょ」
楓の母親「あらあら楓」
楓の母親「肩揉みしてくれるの?」
楓の母親「悪いわねぇ」
楓の母親「優しいわねぇ貴方は」
楓の母親「ずっとそのままでいてよ?」
楓の母親「あらまぁ」
楓の母親「恥ずかしかったかしら?」
楓の母親「ふふふ」
楓の母親「本心だから仕方ないじゃない」
楓の母親「ありがとう」
楓の母親「私のとこに産まれてくれて」
お母さん
ごめんなさい
本当に・・・
ごめんなさい・・・・・・!!
〇川沿いの原っぱ
ガンナー「ごめんなさい・・・・・・」
ガンナー「ごめんなさい・・・・・・!!」
ガンナー「こんなこと」
ガンナー「許されていいわけない・・・・・・!!」
ガンナー「・・・・・・」
ガンナー「・・・・・・ア」
ガンナー「アハハハハハハッ・・・・・・」
ガンナー「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ」
ガンナー「そうだ・・・」
ガンナー「そうだよ・・・」
ガンナー「そうすればいいんだ・・・」
ガンナー「皆・・・・・・」
待ってて・・・・・・
今から・・・・・・
そっちに・・・・・・
いくから・・・・・・
〇事務所
部下「そんじゃ部長!」
部下「おつかれ様でしたぁっ!」
楓の父親「うんお疲れ様」
部下「この後飲みに行かないっすかぁっ!」
楓の父親「あー悪いね」
楓の父親「急いで帰らなきゃならないんだ」
部下「何すかそれ?」
楓の父親「誕生日プレゼントだよ」
楓の父親「壊しちゃったみたいでね」
部下「壊した?」
楓の父親「前にも買ったんだけどね」
楓の父親「それと同じものを買ったんだ」
部下「へー」
部下「誰にプレゼントするんすか?」
楓の父親「そりゃあ」
楓の父親「娘だよ娘」
部下「えっ・・・?」
部下「結婚してないのに?」
楓の父親「へ?」
楓の父親「何を言って──」
上司「うん・・・?」
上司「あれ・・・?」
部下「大丈夫っすかぁ?」
上司「あーすまんね」
上司「変なことを言ったね」
部下「いえいえ」
部下「それではお疲れ様でーす!」
〇綺麗な一戸建て
上司(何だろう・・・)
上司(何か忘れてる気がする・・・)
上司(おかしいな・・・)
オトウサーン・・・・・・!!
〇綺麗な一戸建て
上司(疲れてるな・・・・・・)
彼女の人生・生活に深く関わってきた人達を結果的には次々に手にかけたという事実、それは受け止められないですよね…😢 見ていて胸が苦しくなるとともに、宜なるかなという思いも…😨
物語としては完結しているのでしょうが、さらに本件で亡くなった方々がなぜ「社会的に喪失」してしまったのか、この巧みな展開に関心が誘われてしまいました🤔
え、えーー!
全部なかったことに!?😱
サイコパスなとある芸術家を思い出しましたね……。
自分の死を持って作品が完成する という……。
やっぱり母親の記憶は心が締め付けられますね。そして一人になった父親。なぜみんな忘れてしまうんでしょう。
メルンの動機は楽しいから?でもガンナーに撃たれたメルン。死んだはずの楓のこえ。繰り返し。
最終回楽しみです。