魔法少女は眠らない

夜缶

第零夜:魔法少女は眠らない(脚本)

魔法少女は眠らない

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〇研究所の中
メルン「よく来てくれました」
メルン「『隣人』さん」
メルン「人によっては」
メルン「『何度』も語りかけてますかね?」
メルン「・・・」

メルン「もしくは」
メルン「『画面』の前のアナタ」
メルン「の方がいいですかねぇ」
メルン「なんてね」

〇研究所の中
メルン「どちらにせよ」
メルン「私にとっては隣にいたようなものですし」
メルン「『隣人』さんと呼びますがね」
メルン「おっとその前に」
メルン「顔を見せないといけませんねぇ」
メルン「あっいらないですか?」
メルン「この演出」
メルン「驚きました?」
メルン「それとも」
メルン「気づいてましたか?」
メルン「あぁ」
メルン「いいんですっ!」
メルン「どうせアナタの声は届きませんから」
メルン「まずは」
メルン「ここまで来てくれた『隣人』さんへ」
メルン「改めて感謝を」
メルン「面白かったのか」
メルン「つまらなかったのか」
メルン「どういう感想を持とうが」
メルン「どんな顔をしていようが」
メルン「私には分かりかねますがね」
メルン「少なくとも」
メルン「興味を持って来てくれたんですよね?」
メルン「いやはや何とも」
メルン「嬉しいものです」
メルン「さて」
メルン「アナタは彼女をどう見ていましたか?」
メルン「可愛い女の子?」
メルン「見るに堪えない女の子?」
メルン「それとも──」

メルン「面白い道具ですかね?」

〇研究所の中
メルン「あっもしかして」
メルン「引きましたかね?」
メルン「でも事実じゃないですか?」
メルン「だってねぇ」
メルン「単なる『キャラクター』なんですから」
メルン「『役目』という名のレッテルを貼られてる」
メルン「『キャラクター』って」
メルン「そういうものでしょう?」
メルン「レッテル貼りも別に悪くないですよ?」
メルン「私だって差別させないように」
メルン「『黒い何か』って」
メルン「報道で言ったんですけど」
メルン「いやはや酷いですよねぇ」
メルン「皆さん」
メルン「寄ってたかって『怪物』だって言います」
メルン「多様性もクソもないですねぇ」
メルン「同じ『人間』だったというのに」
メルン「見た目が違うなら攻撃していいんですかね?」
メルン「だからこそ不満ですか?」
メルン「あんなに良い人達が」
メルン「こんな仕打ちを受けるのは」
メルン「納得いきませんかぁ?」
メルン「確かにごもっともですねぇ」
メルン「甘々でドロドロな物語も良し」
メルン「勧善懲悪もまた良しでしょう」
メルン「ですがねぇ『隣人』さん」

メルン「もしそれらを望んでいたのなら」
メルン「【こんな所】にいないですよねぇ?」
アナタ「『あぁやめてよっ!』」
アナタ「『何でそんな理不尽な・・・!?』」
アナタ「『可哀想だよぉ・・・!!』」
アナタ「『あぁでも・・・・・・』」
メルン「『続きが気になるなぁ・・・』」
メルン「なんてねぇ!」

〇研究所の中
メルン「何ともまぁ」
メルン「業の深い生き物ですよねぇ」
メルン「『人間』というものは」
メルン「あっ」
メルン「それともアレですか?」
メルン「助けてあげたいとか」
メルン「どうにかして守ってあげたいとか」
メルン「そんなこと考えてます?」
メルン「そうですねぇ」
メルン「ではこう考えてみて下さい」
メルン「アナタの目の前で誰かがいじめられてる」
メルン「そんな子に手を差し伸べられますかぁ?」
メルン「仮に」
メルン「助けられたとしても」
メルン「アナタもいじめの対象になる」
メルン「それでも助けたい?」

メルン「こいつめんどくさいなとか」
メルン「そんなこと考えたくないとか」
メルン「そう思いましたかねぇ?」
メルン「じゃあそれが答えですよっ!」
メルン「そうじゃなきゃ」
メルン「【幸せになれない人】なんて」
メルン「生まれませんもんねぇ??」
メルン「クッハハハッ!!」
メルン「まるで闇鍋っ!!」
メルン「闇鍋のような世界ですよっ!!」
メルン「アナタのいる世界というのはっ!!」

〇研究所の中
メルン「そんな闇鍋のような世界にいれば」
メルン「そんな考えにもなりますよねぇ」
メルン「闇鍋の中身は闇鍋でしたかっ!」
メルン「はてさて」
メルン「今のアナタはどんな気持ちなんでしょうね」
メルン「笑ってます?」
メルン「悲しんでます?」
メルン「むしろ冷静ですか?」
メルン「そもそも──」
メルン「あんなものじゃ」
メルン「物足りない」
メルン「もっと欲しいとか考えてますか?」
メルン「だとしたらっ!」
メルン「アナタ悪魔ですねぇっ!!」
メルン「なら一緒ですよ!」
メルン「私とアナタというのは!」
メルン「えぇ?」
メルン「お前は『キャラクター』だろ?」
メルン「『人間』じゃない奴が戯言いうなと?」
メルン「クッハハハッ!!!」
メルン「そうですよ『隣人』さん!」
メルン「我々は『生きてない』んですよっ!!」
メルン「だから言ったじゃないですか」
メルン「『道具』なんだと」
メルン「ただの『キャラクター』なんだと」
メルン「それにですよ」
メルン「ここにいるということは」
メルン「『創造』ができる」
メルン「そうなんでしょう?」
メルン「何を創造するんでしょうかねぇ?」
メルン「『自由』にとりあえず創造?」
メルン「それとも『色』に溺れる?」
メルン「一周回って」
メルン「『破壊』でもしますかぁ?」
メルン「なぁんてねっ!」
メルン「『人間』は『創造』しては」
メルン「『破壊』する生き物なんですねぇ」
メルン「なればこそ」
メルン「私は天使にでもなりましょう!」
メルン「悪魔にでもなりましょう!!」
メルン「『キャラクター』とはそんなものですよっ!」
メルン「憐れだと思いますか?」
メルン「惨めだと思いますか?」
メルン「そう考えているのなら」
メルン「お門違いも甚だしいですよ・・・!!」

メルン「だって『自我』なんてないですもんねぇ?」
メルン「『キャラクター』なんて!」
メルン「もしそんなの持ったら」
メルン「『人間』になっちゃいますもんねぇ?」
メルン「ただアナタ達に」
メルン「いいように言わされてるだけなんですよ!」
メルン「掃き溜めみたいなもんですよっ!」

〇研究所の中
メルン「あらあらもしかしてぇ」
メルン「罪悪感とか持っちゃいました?」
メルン「クッハハハッ!」
メルン「何という自己矛盾っ!」
メルン「でもいいじゃないですか」
メルン「『人間』なんですから」
メルン「『欲』に従って」
メルン「ここまで来てくれたんでしょう?」
メルン「私は嬉しいです」
メルン「まぁ」

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コメント

  • 素晴らしい長編作品をありがとうございました😂
    最終話にして最も露悪的で胸糞な内容でしたが、胸の底をグラングランと動かされました😨 如何なる手段でも感情に訴えるモノこそが良作、個人的にはそう思っていますので、本作は本当に優れた作品だと実感しています😊
    そして、メルンの立場から本作を見つめる夜缶様こそ、最も精神的な負荷が大きかったのかなと推察しています😢
    この魅力作を提供くださり感謝です🙇‍

  • なるほどー! 最初からそうだったのですね!😳
    メタ的発言で哲学のようなものを考えさせられました。
    世界はループするのかな??
    ともあれ、完結お疲れ様でした!

  • 完結お疲れ様です。
    メルンの中身が矢継ぎ早に語りかけてくるのは斬新でした。
    途中からなぜか紫色の男の顔がヤカンさんに見えてきました。メタ視点だとつい外に目が向いてしまいますね。
    画面のこちらがわの隣人として画面を通した向こう側の隣人が気になります。
    隣人さんがこのお話を作って楽しかったとか良かったと思っててくれていれば、少し救いはあるのかなと思いました。

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