恐怖の初デート ⅹ(脚本)
〇空
〇大きな木のある校舎
〇体育館裏
矢田玲奈「・・・・・・」
どうしたんですか? そんな顔して・・・
矢田玲奈「・・・・・・!」
矢田玲奈「りょ、涼子・・・」
矢田玲奈「う・・・あ・・・」
矢田玲奈「・・・・・・」
生瀬涼子「・・・正直に言ってください」
生瀬涼子「そういう、約束でしたよね?」
矢田玲奈「・・・・・・」
矢田玲奈「う、うん・・・」
矢田玲奈「本当に、良いのかなって・・・」
矢田玲奈「私、あんなこと、したのに・・・」
生瀬涼子「・・・・・・」
生瀬涼子「良いって言ったじゃないですか」
生瀬涼子「わざわざ、花瓶で 腕を切ったフリまでしたんですから!」
矢田玲奈「・・・・・・」
生瀬涼子「私の、正直な気持ち・・・」
生瀬涼子「もう一度伝えても、良いですか・・・?」
矢田玲奈「う、うん・・・」
生瀬涼子「私は、あなたの気持ちと向き合いたい・・・」
生瀬涼子「私は今まで、素直になれなくて・・・」
生瀬涼子「友達にすら、本当の気持ちを・・・ ずっと隠し続けてきました・・・」
矢田玲奈「・・・涼子」
生瀬涼子「だから、良ければ時間をください・・・」
生瀬涼子「お互いに、本当の自分を見つめ直す時間を」
矢田玲奈「・・・・・・」
矢田玲奈「うん・・・分かった・・・」
生瀬涼子「ありがとう、玲奈・・・」
矢田玲奈「・・・せっかくだから、正直に言うけどさ」
生瀬涼子「はい・・・なんでしょうか・・・?」
矢田玲奈「素直になったら敬語になるってさぁ・・・」
矢田玲奈「涼子、ちょっと変じゃない?」
生瀬涼子「えぇっ・・・!? やっぱり、そうですかね・・・!?」
〇体育館の裏
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「相変わらず、矢田玲奈は 生瀬さんと一緒にいるんですけど・・・」
北極氷河「あれ、大丈夫なんですかね・・・?」
木ノ瀬和良「さぁ・・・? そんなこと 私に聞かれても困りますよ・・・」
北極氷河「そ、そんなぁ・・・」
北極氷河「協力したよしみじゃないですか・・・!」
木ノ瀬和良「・・・・・・」
木ノ瀬和良「こっちは、生き霊を倒されたせいで、 二度とその力を使えなくなったんです」
木ノ瀬和良「ちょっと、ムカついてるんですよ・・・」
北極氷河「す・・・すみません・・・!」
木ノ瀬和良「まぁ・・・生き霊を失っても、私には、 他にも能力がいろいろあるので・・・」
木ノ瀬和良「ワラ人形・・・とか・・・」
北極氷河(こ・・・怖い・・・)
木ノ瀬和良「・・・・・・」
木ノ瀬和良「生き霊が受けた心の影響は、 本体に変化を及ぼす可能性があります」
木ノ瀬和良「まぁ、憎悪の塊のような 生き霊が倒された影響で・・・」
木ノ瀬和良「矢田玲奈にも、多少は変化が 起きたのかもしれませんね・・・」
北極氷河(確かに、生瀬さんの生き霊さんも、 以前そんなことを言っていたが・・・)
北極氷河(やっぱり、不安だ・・・)
〇空
矢田玲奈の一件もあり・・・
俺はしばらく、自分の恋について
考える余裕が持てなかった・・・
でも・・・
そんな状況を変えるきっかけを
作ったのは、予想外の人物だった・・・
〇体育館裏
北極氷河「はぁ・・・」
北極氷河(生瀬さんの生き霊さんは消え・・・ 生瀬さんとの仲は進展しない・・・)
北極氷河(俺は、何をやってるんだ・・・?)
北極氷河(あの戦いで、俺は何を得たんだ・・・? 失った物ばかり・・・考えてしまう・・・)
北極氷河・・・
北極氷河「・・・・・・!?」
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「いや・・・気のせいか・・・」
北極氷河(矢田玲奈は倒したんだ・・・ あいつの声が、聞こえる訳がない・・・)
北極氷河ァ・・・
北極氷河「いや、やっぱり聞こえる・・・!!」
北極氷河(嘘だろ・・・!? な、なんで・・・!?)
北極氷河(生き霊は、一度消えたら もう現れないはずだろ・・・!?)
北極氷河「や、やめろ・・・!! 来るな・・・!!」
矢田玲奈「えぇっ・・・? だ、大丈夫・・・?」
北極氷河「矢田玲奈・・・さん・・・!!」
北極氷河「な、なんの用ですか・・・!?」
矢田玲奈「北極氷河・・・」
矢田玲奈「ちょっとあんたに、話があるのよ・・・」
北極氷河「・・・・・・!!」
〇体育館の裏
北極氷河「・・・・・・」
矢田玲奈「・・・・・・」
北極氷河(な、なんだこの状況は・・・!?)
北極氷河(矢田玲奈に言われるがまま、 こんな場所までついてきてしまったが・・・)
北極氷河(俺は、大丈夫なのか・・・!?)
矢田玲奈「涼子のこと、なんだけど・・・」
北極氷河「な、生瀬さんの・・・!?」
矢田玲奈「私があんたに言うのも・・・ どうなのかとは、思ったんだけど・・・」
矢田玲奈「あの子、あんたのことが好きなのよ・・・!」
北極氷河(知ってます・・・!! もう十分に・・・!!)
矢田玲奈「で、でも・・・私がたくさん・・・ 余計なことをしたせいで・・・」
矢田玲奈「あの子、自分の恋を考える余裕が 持てなくなったみたいで・・・!!」
矢田玲奈「罪悪感に苛まれて・・・ 私はまた、余計なことをしてる 最中なのかも・・・しれないけど・・・」
矢田玲奈「でも・・・!! 涼子のために・・・ なんとかしてあげたくて・・・!!」
矢田玲奈「あの子は、大事な友達だから・・・!!」
北極氷河「矢田さん・・・」
矢田玲奈「あの・・・それで・・・」
矢田玲奈「ほ、北極氷河は・・・ 涼子のこと・・・好きなの・・・?」
北極氷河「えっ・・・!?」
北極氷河「す・・・好きですけど・・・」
矢田玲奈「良かった・・・!!」
矢田玲奈「北極氷河・・・お願い・・・」
矢田玲奈「男らしいあんたなら・・・!! きっと、なんとかしてくれるのよね!?」
北極氷河「えぇっ・・・!?」
北極氷河(そうか・・・!! 矢田さんの本体さんは、 俺の本性を知らないんだ・・・!!)
矢田玲奈「それで・・・考えたんだけど・・・」
北極氷河「そ、それは・・・?」
矢田玲奈「遊園地のチケット・・・」
矢田玲奈「私は涼子を誘うから・・・」
矢田玲奈「あんたは、偶然を装って、 同じ日に遊園地に来て欲しいの・・・!」
北極氷河「え、えぇっ・・・!?」
矢田玲奈「学校だと・・・なかなか気分が 変わらないんじゃないかと思って・・・」
矢田玲奈「ど・・・どうかな・・・?」
北極氷河「う、うぅ~ん・・・」
北極氷河(なんだか・・・妙なことになってきた・・・)
矢田玲奈「・・・・・・」
北極氷河(矢田さんの真剣な表情・・・ この気持ちは、きっと本物だ・・・)
北極氷河(いろいろあったが・・・ こんな顔を見せられたら・・・)
北極氷河(断れないだろうが・・・!)
北極氷河「分かりました・・・行きます・・・!」
矢田玲奈「・・・・・・!」
矢田玲奈「ありがとう・・・北極氷河・・・!」
北極氷河(しかし・・・遊園地か・・・)
北極氷河(大丈夫か・・・? 俺・・・)
〇遊園地の広場
そんなこんなで・・・
遊園地デート作戦当日──
生瀬涼子「遊園地なんて、久しぶりですね・・・♪」
矢田玲奈「ほんと、いつ以来だっけ・・・?」
生瀬涼子(遊園地に誘ってくれるなんて・・・ 玲奈にも、少しずつ日常が 戻って来てくれているのでしょうか・・・?)
矢田玲奈(北極氷河はどこにいるの・・・? 肝心のあいつがいなきゃ、 本当にただ遊園地に来ただけになるわよ?)
お、おや・・・!
・・・・・・!?
北極氷河「そ、そこにいるのは・・・!! 生瀬さんと矢田さんじゃあないですか!?」
北極氷河「いや〜! 奇遇ですねぇ〜!」
矢田玲奈(演技下手くそか・・・!?)
生瀬涼子「えっ・・・ほ、北極くん・・・!? ど、どうしてここにいるの・・・?」
矢田玲奈(涼子も喋り方、元に戻ってるし!)
矢田玲奈(両想いなんでしょ・・・!? なんでこんなに余所余所しいの・・・!?)
矢田玲奈(だ、大丈夫か、こいつら・・・!?)
〇ツタの絡まった倉庫
少女A「うわぁ・・・ここが、 この遊園地の名物のお化け屋敷・・・?」
少女B「なかなか迫力あるっしょ〜? なんか変な噂もあるしさ〜・・・」
少女A「へ、変な噂・・・?」
少女B「なんか・・・出るらしいんだよね〜・・・」
〇黒背景
本物の・・・幽霊が・・・
前回の激アツバトル編が心地良く収束していく一方で盛り上がる恋愛要素……氷河くん、遊園地アゲインww そして何だか矢田玲奈さんが可愛く見えてきました……