未来の僕(脚本)
〇大きいマンション
翌朝
〇おしゃれなリビングダイニング
てちお「朝ごはんできたよーって、母さんは?」
父「それが今さっき旅立っていったんだ」
てちお「は?」
父「てちお、お昼に母さんの分の朝ごはんをもらうよ」
てちお「じゃあ、お弁当は冷蔵庫に入れておくから、晩御飯はそれね」
父「すまないな」
こうして僕の朝の努力は色々と水の泡となる。
〇おしゃれなキッチン
てちお(ちょっと寝不足だなぁ。それはそうと4人分のお弁当を作らないといけない)
僕の朝は早い。
まず起きたら、お弁当を今家にいる人数分作るところからはじまる。たまにイレギュラーな事がおこる。
ダルク「おはよう、てちお」
てちお「おはよう、だる姉」
ダルク「私も手伝うわ」
てちお「ありがとう。でも、もうほとんどできてるんだ」
ダルク「あら、残念。でも、てちおの作ってくれるお弁当は美味しいから楽しみだわ」
てちお「今日は、だる姉の大好きなタコさんウィンナーを・・・」
てちお「・・・」
そう、こうして突如異世界召喚されてしまい、僕の苦労は水の泡となる事がある。
いずれ僕も、こんな能力に目覚めるのかと思うと先が思いやられる。
弁当を作り終えると、次は朝食の用意をする。
〇学校の校舎
学校。僕が一番平和だと思える場所。
誰かが目の前から急にいなくなるなんて考える事もないからね。
てちお「ん?門の前に誰か立ってる」
未来の僕「やぁ、まってたよ。過去の僕」
てちお「え!?今なんていいましたか?」
未来の僕「僕は未来の君さ」
てちお「未来の僕だって!?」
未来の僕「そうだ。今日は頼みがあってやってきた」
てちお「待って、じゃあ僕は過去へタイムリープする能力に目覚めるって事!?」
未来の僕「詳しい事は言えないんだ。 でも、これだけ伝えにきた。野草の勉強を今からするんだ」
てちお「野草?未来か異世界で必要になるの?」
未来の僕「そうだ。そして僕の未来を変えるんだ」
てちお(突然変な事いう人だけど、野草の勉強は必要だって母さんからもチラッと聞いた事がある。それに、なんとなく自分だって感じがする)
てちお「まぁ・・・よくわからないけど、わかった。今日から野草の勉強をする」
未来の僕「昔母さんも野草が大事ってチラッと言ってた事が本当に大事だったんだよ。僕が僕で良かった」
てちお(さようなら。僕の安らぎの場所)
〇教室
てちお(それにしても、僕の将来凄い服装してたな。いったい僕の身に何が起こったんだろうか)
〇学校の校舎
てちお(野草の勉強してたら、もう夕暮れか。 早く帰ろう)
てちお「嫌だ。嫌過ぎる。違う、絶対僕じゃない」
未来の僕「残念ながら、僕だよ」
てちお「ぐっ・・・」
未来の僕「野草だけじゃダメだったんだ」
てちお「え?」
未来の僕「先ずは、むつ兄の問題を解決するんだ。むつ兄は、とある女に執着してて何度も転生を繰り返して追いかけてるんだ」
てちお「むつ兄がそんな事を!?」
未来の僕「むつ兄が狂ってしまう前にどうにかするんだ」
てちお「でも、僕には何の力もないよ?」
未来の僕「だけど、過去の僕には頼れる家族がいる。 家族を頼るんだ」
てちお「待って!?その言い方だと未来の僕には家族がいないみたいじゃないか!」
未来の僕「時間がないんだ。家族に頼るんだ」
てちお「消えちゃった。どうしよう・・・」
〇おしゃれなリビングダイニング
てちお「ただいまー」
父「どうした、てちお。随分と浮かない顔して・・・」
てちお「それがさ、未来の僕が僕に会いにきて、むつ兄が原因で家庭崩壊が起きるような事を仄めかしてくるんだ」
父「えぇ!?タイムリープ能力なんて発現しないはずだよ?」
てちお「ほんとに?どうして分かるの?」
父「父さんの勘だよ。だけど、何かが起こってしまったんだね。母さんが帰ったら相談してみるよ。むっ君の問題を解決しないとね」
てちお「うん」
父「てちお、大丈夫だ。父さんがどうにかするから。安心しなさい」
てちお「うん!」
てちお(不思議な安心感があった。父さんが1番何の力もないはずなのに何でも解決してくれそうな不思議な力・・・)
〇おしゃれなリビングダイニング
父「・・・」
むつ兄「また・・・か」
父「むっ君。久しぶりだね」
むつ兄「久しぶり、じゃあ、俺行くね」
父「まぁ、待ちなさい」
むつ兄「何か用?」
父「・・・」
むつ兄「父さん?」
父「てちおが心配してたぞ?」
むつ兄「誤魔化さないでくれる?今のは何?」
父「あはは。父さんじゃないさ」
ママ「はぁい。母さんよ!」
むつ兄「母さん!?」
ママ「むっ君が何かに悩んでそうだったから帰ってきちゃった!」
むつ兄「えぇ!?」
父「ほら、むっ君は母さんの方が好きだろ?」
むつ兄「いや、いいから。俺は行くね」
父「任せたよ。ママ」
〇勉強机のある部屋
てちお(やっと静かになった。 また寝不足になりそうだな)
〇水中
何度でも君と結ばれてみせる。どこへでも追いかける。君を失いたくないんだ。
〇ヨーロッパの街並み
どうやら中世ヨーロッパくらいの世界に転生したようだね。
ママ「むっくーーーん❤️」
むつ兄「母さん!?どうして!?」
ママ「あら、母さんの能力を舐めないでほしいわね。で?むっ君の目的は?」
むつ兄「詮索しないで」
ママ「母さんなら、その子ごと現代に連れて帰られるのに?」
むつ兄「え?ほんとに?」
ママ「えぇ、ほんとよ」
むつ兄「どうして連れて帰りたいって分かったの?」
ママ「あら、これでも一応母親よ? さぁさぁ、どの子かしら?」
むつ兄「なんかやだなぁ。母さんに教えるの」
ママ「え?」
むつ兄「いや、なんでもないよ。 とりあえず身分を作りにいくよ」
ママ「ふふふ。すっかり転生慣れしちゃって・・・」