第19話 ヒーロー意志(脚本)
〇古い倉庫の中
2021年 北海道 余市 海上自衛隊駐屯地内 倉庫
斎王幽羅「Xヒーロー六代目マスターとして命ずる、人々を救出せよ!」
皆が斎王の言葉に応え、鸞とエンチャントが倉庫に扉の前に行く
斎王幽羅「ごめんね、鸞。鸞の意見無視した形になっちゃって···」
鸞「ふっ···キングが腹くくったんだ、それに反して逃げようとするのはダサいだろ?どこまでも付き合うぞ斎王」
斎王幽羅「ありがとう··· ··· ···どうやって切り抜ける?」
鸞「霞の術で霧を作り出せる、だが恐らく直ぐに晴らされるはずだ」
鸞「そうなる前に船着場まで行けばエンチャントがコンクリートで橋を作れる。それで行こう」
エンチャント魔導法士「混乱を作らねばならんが···幸い、自衛隊は混乱状態と見ていいだろ。放送よく聞いてみろ」
斎王達は海上自衛隊内に響き渡る放送に耳を傾ける。
襲撃!襲撃!掃海艦いずしまが襲撃を受けています、至急出撃をせよ!繰り返す
いずしまが襲撃された、出撃をせよ!これは訓練では無い!
エンチャント魔導法士「出撃まで数十分とみていいだろう。タイミングをみて外に出れば···」
しかし斎王はそれを遮り、反論をする
斎王幽羅「それだと自衛隊の人達の被害が増える、『出撃する前に』軍艦に向かう」
エンチャント魔導法士「挟撃にあってワシらが死ぬぞ、何か策はあるのか?」
斎王幽羅「凪園、キングが自衛隊側で銃を撃ってきたら防いで。鸞とフェードでロシア正教、紅色派側で対応」
斎王幽羅「俺がエンチャントさんを護衛する、それで橋作ったら一斉に軍艦へ向かう」
鸞「失敗の確率が高いな···だがもうやるしかないか?」
凪園無頼「いつまでもグチグチいってねーで、やろーぜ?チキってるんなら帰ればー?」
鸞「ふふっ···まぁそうだな、考える時間もないしとっととやるか···」
エンチャント魔導法士「気乗りせんが···やるか···」
鸞「準備はいいな···?いくぞ···『霞の術』」
倉庫のドアの僅かな隙間から『ふーっ』と息を吹きかける。すると当たりは霧に包まれ、斎王達は配置につく
〇施設内の道
紅色派の中国人「霧··· ··· ···?霧が出るなんて天気予報あったか?」
イヴァン司教「いえ、念入りに天気予報は確認しました。恐らく魔術の類でしょう」
イヴァン司教はそう言うと魔術によりあっさりと霧を晴らす。そして斎王達を見つけ話しかける
イヴァン司教「居たのですね、でも好都合です。すーっ··· ··· ···」
大きく息を吸った後自衛隊内部に響き渡る声量で喋り始める
イヴァン司教「よくもこんな所にいたな!指名手配犯共!自衛隊の皆様、早く我らを助けてください!!」
小山内曹長「クソっ···おい!救出部隊から人員を割き、指名手配犯共を捕らえて来い!!」
予想通り自衛隊員達も接近し、斎王達に銃口を向ける
イヴァン司教「エンチャント魔導法士!千歳での続きをしましょう!さぁ···構えてください!」
エンチャント魔導法士「黙れ!クローンなぞ命の冒涜をしおって、主に召し上げられるはずの魂を何度も人の手で輪廻させるなぞ」
エンチャント魔導法士「『背信以外の何物でもない!!』ワシの前から消えろ、イヴァン司教!!」
紅色派の中国人「まだ生きてやがったか売国奴!中国の敵が、異国の地で死ねフェード!!」
フェード「闭上你的嘴,没有爪牙什么都做不了的渣滓(口を閉じろ、手下がいなければ何も出来ない屑が)」
紅色派の中国人「这世上没有良府奴仆,杀了你们这些叛徒(呂布奉先なんてもういないんだよ。お前らフェードを殺せ)」
一般兵「お前達の事はメディアでよーく知ってるぞ、指名手配犯共」
一般兵「『妊婦を殺害して産まれる前の赤ん坊を取り出した猟奇殺人犯共』、異常者が···我々で捕らえる···!」
凪園無頼「は?俺らそんな事言われてるわけ?まじうぜー、実際見たわけでもねーくせにキモイんだけど」
キング「ひでー話だ、んで?俺らが『すいませんでした』つってお前らに屈すると思うのか?」
一般兵「異常者が···!45mmの圧縮ゴム弾とはいえ当たりどころが悪ければ骨が折れるんだぞ?わかってるのか!!?」
「それがどうした、来るなら来い!!」
斎王幽羅「皆··· ··· ···この場は任せた。どうか死なないで」
斎王とエンチャントは船着場まで走る。自衛隊、ロシア正教、紅色派が妨害しようとするも
一般兵「頭以外ならどこに当てても構わん、撃て!」
凪園無頼「風のビート『風神 大竜巻』!!」
凪園は一蹴りで竜巻を起こし、銃弾の方向を逸らす
凪園無頼「俺ら無視するとかありえなくねー?殺さねー程度に痛めつけてやるよ」
キング「だな、さぁて··· ··· ···暴れるかな」
ロシア正教 教徒「召喚『ウィップス』!!」
教徒達は鞭を魔法陣から召喚し、斎王とエンチャントに向け鞭を放つが
鸞「『火炎放射の術!!』」
鸞から放たれた炎が鞭を燃やし、さらに炎の壁が出来上がる
鸞「まずは目の前の敵を処理する事を勧めるぞ?ロシア人共」
紅色派の中国人「死ねェ!フェードォォォォォ!!」
紅色派の中国人達はフェードに襲いかかるもフェードは懐の環首刀を抜き取り、全て捌き切る
フェード「弱い上に構えが絶望的に『なってない』!!そんな武術で私は仕留められんぞ!!」
紅色派の中国人「これならどうだ!?」
中国人達は銃を抜き取り、引き金を引こうとするも
フェードがその瞬間を見逃す訳もなく、中国人達の銃を持っている方の手首を切り落とし一言
フェード「太弱(弱すぎる)」
そう言うと奥にいる紅色派の中国人に『かかってこい』と挑発をする
鸞「聞いておきたい事がある、あの奥にいる中国人。何かの能力者ではないな?」
フェード「あいつはただの使いっ走りだ、まぁ···私のグローブと同じで異能アイテムを持ってる可能性はある」
鸞「なるほど··· ··· ···イヴァン司教は引きつけるから相手頼めるか?」
フェード「好的(いいぞ)、あいつは私が斬り殺してやりたいと思っていた所だ」
鸞「よし···じゃあ始めるか」
〇施設内の道
海上自衛隊駐屯地内 船着場
エンチャント魔導法士「軍艦はあそこか···?クソッ、老眼で距離感が掴めん!斎王、教えてくれ!」
斎王幽羅「4、500kmだと思う!多分···合ってるよね···?」
エンチャント魔導法士「じゃあ多めに見積もって、作るぞ!?」
エンチャントは地面に触れ、そこから魔法陣を展開。そして地面が見る見る軍艦の方へ伸び
あっという間に橋ができ上がる。斎王は皆を呼ぼうとするもエンチャントに止められる
エンチャント魔導法士「イヴァン司教を先に倒す。恐らく空間魔術による『時空圧縮』ができるはずだ」
エンチャント魔導法士「そうなれば橋を圧縮されて、ただのコンクリートの塊にされかねん。お前は先に行って」
エンチャント魔導法士「軍艦にいる自衛隊員達を助けてこい。いいな?」
斎王幽羅「わかった、死なないでね?エンチャントさん」
そう言って斎王だけが軍艦の方へ走り去る。エンチャントは懐から湿布を取り出し、腰と肩に貼る
エンチャント魔導法士「ふぅーっ··· ··· ···主よ、どうか私に祝福を。今一度···『全盛期の力』をお与えください」
〇宇宙戦艦の甲板
日本海沖海上 掃海艦いずしま船上
清水 海士長「外道が···搭乗員の半分以上を殺しやがって···!」
清水 海士長「お前の目的はなんだ!喧嘩王の真似事をして楽しんでいるのか!!?」
人造兵器はゆっくり近づきながら繰り返す様に
人造兵器 カロル・シヴェータ「Да воссияет в России свет царя(ロシアに王の光あれ)」
と言い、拳を握り振りかぶる
その瞬間、地面から出た手により人造兵器はくるぶしまで埋まり、地面から斎王が現れた
清水 海士長「貴様···指名手配犯の斎王幽羅···なぜこんな所に?」
斎王幽羅「そんな事どうでもいい!早く逃げろ、そこに橋を掛けておいた!急げ!!」
一般兵「誰が指名手配犯の言うことなんて···どうせこれもマッチポンプなんだろうが!!」
当然のように反発の声が上がるも、海士長はそれを一喝。指示通り逃げるよう部下に命令する
清水 海士長「軽傷者は重傷者を優先し運べ!可能な限り多くの人員を救出しろ!!」
清水 海士長「··· ··· ···もう一隻の船に救援要請をしてある。もう来る頃だ、それまでに死ぬなよ?」
清水 海士長「お前を捕まえて警察に突き出せなくなるからな。··· ··· ···急げ!時間が無いぞ!!」
隊員達は船から降り、エンチャントが作ったコンクリート橋を渡って逃げていく
そして人造兵器は無理やり足を引っこ抜き、一度自衛隊員に目線をやってから斎王を指さす
人造兵器 カロル・シヴェータ「最優先目標、斎王幽羅発見。これよりプロトコル『зов весны(春呼び)』を行います」
To Be Continued··· ··· ···