〇屋敷の門

〇古風な和室（小物無し）
高津　和宏「はぁ〜夏に食べるアイスは最高だぜ！」
痩せ紫「それと、蝉の声！風流ですね！」
高津　宅浪「くつろいでる所すまない。除霊の依頼だ！」
高津　和宏「なんだよ、いきなり！」
高津　宅浪「海の──」
ルグレー王「海とな！」
高津　和宏「あん？おっさん、霊体と海は関係ねぇだろ！」
ルグレー王「いや、もしかしたら妻と娘の魂は海を彷徨っておるやもしれん」
高津　和宏「そんな事あるのかよ？」
高津　和宏「おっさん？」
ルグレー王「ぐふっ、ぐふふふっ」

〇海水浴場
女性 1「おじさま〜オイル塗って〜」
女性　2「え〜私の方が先よ！」
ルグレー王「これ、順番に塗っていくから喧嘩するでないぞ」
女性 1「私が先よね？おじさま！」
女性　2「私よ！」
女性 1「私！」
ルグレー王「いやぁ〜困ったのぉ〜」
女性 1「おじさま〜」
女性　2「おじさま〜こっち！」
ルグレー王「グヘッ・・・──」

〇古風な和室（小物無し）
ルグレー王「グヘヘヘッ──」
高津　和宏「・・・おっさんよ、重大な事を忘れてるぞ」
ルグレー王「なんじゃ？」
高津　和宏「相手に姿が視えねぇだろうが！」
ルグレー王「な、な、な、な、何と！」
高津　和宏「どんまい、おっさん」
ルグレー王「・・・無念じゃ」
高津　宅浪「王様、仕事の依頼は海の近くの川ですよ」
ルグレー王「なんじゃ川か・・・」
高津　宅浪「和宏、行ってくれないか？不審な霊体が出没するらしい」
高津　和宏「俺は行かねぇぜ、気分が乗らねぇ」
ルグレー王「この際、海でなくても構わん！和宏よ川に行こうぞ！」
高津　和宏「遊びに行くんじゃねぇんだよ！」
高津　宅浪「そうか、行ってくれたら報酬は全てお前にやろうと思っていたが、仕方ないな」
高津　和宏「えっ!?全て！」
高津　和宏「是非行かせてくれよ！兄貴！」

〇河川敷
高津　和宏「不審な霊体が出没するのはこの辺だな・・・」
ルグレー王「本当に出没するのか？」
子供　1「わーい！」
ルグレー王「子供は無邪気でいいのう！」
高津　和宏「おっさんも裸で充分に無邪気だぜ！」
「うわぁぁぁぁ！」
ルグレー王「子供の声じゃ和宏！」
高津　和宏「向こうだ！行ってみようぜ！」

〇河川敷
海パン　「少年よ！一緒に川で遊ぼう！」
子供　1「い、嫌だよ！」
海パン　「いいじゃないか？遊ぶだけだ！」
子供　1「おじさん、絶対に変な人じゃないか！」
海パン　「何だと!!このガキ！」
高津　和宏「おいテメェ！気持ち悪りぃんだよ！」
海パン　「あんっ？」
ルグレー王「裸で何をしとる！子供が可哀想じゃ！」
海パン　「テメェも裸だろうが！」
ルグレー王「わしの方が似合ってるからいいのじゃ！」
高津　和宏「俺からみりゃどっちも一緒だけどな」
ルグレー王「な、な、な、な、なんで!?」
高津　和宏「おい！海パン野郎、テメェ霊体だろ？ さっさと本性みせろよ！」
海パン　「よく分かったな、お前除霊師だな？」
ルグレー王「えっ？霊体？本性？え？」
海パン　「これが私の真の姿だ！」

〇河川敷
河童「グへへへッ！」
ルグレー王「なんじゃ、脅かしおってカエルではないか」
河童「河童だ！ふざけやがって、ぶっ殺してやる！」
ルグレー王「ワシはもう死んでおるぞ・・・」
ルグレー王「和宏、河童とはなんじゃ？カエルの新種か？」
高津　和宏「正解だ！カエルが突然変異したんだぜ！よく分かったな！凄いじゃねぇか」
ルグレー王「やめろ、和宏、凄いじゃなんて・・・・・・」
河童「違う！舐めやがって、くらえ水しぶき！」
高津　和宏「暑いから丁度いいぜ！」
河童「なに!?く、くらえ水しぶき！」
ルグレー王「見よ和宏！綺麗な虹じゃ！」
河童「くそ！何故！」
高津　和宏「じゃあ今度はこっちの番だな！」
高津　和宏「ロエキヨイタイレ、ロエキヨイタイレ！」
高津　和宏「霊体よ！成仏せよ！」
河童「うぎゃあああああ！」
ルグレー王「・・・和宏、少しやりすぎじゃと思うぞ カエルさんが可哀想じゃ」
高津　和宏「俺じゃねぇよ、おっさん！」
ルグレー王「和宏以外だれがおるのじゃ？」
高津　和宏「誰だ？テメェ！」
？？？「・・・・・・・・・──」
？？？「今月分の魂が集めれていないと聞いたぞ？」
河童「す、すいません、もう少し時間を下さい！」
？？？「・・・そうか、ならしょうがない」
河童「な、なにを──」
「うぎやぁぁぁ！」
「お、お助けを！」
「ぐっ・・・・・・・・・──」
？？？「使えないやつは嫌いだ」
高津　和宏「おいテメェ！やりすぎだぞ！」
？？？「・・・・除霊師か──」
ルグレー王「なんじゃ！お主は！」
？？？「ほう、上質な霊体ではないか・・・」
ルグレー王「わ、わしの事か？」
高津　和宏「おっさんに手だしたら容赦しねぇぜ！」
ルグレー王（（和宏が、ワシの為に怒ってくれておる））
？？？「・・・欲しい霊体ではあるが、今日は魂の回収に来ただけだからな、目的が違う」
高津　和宏「魂集めて、何すんだよ！」
？？？「・・・少しだけ教えてやる。俺は上質な霊体を殺しその魂をあるお方に献上している」
？？？「そして、俺が今狙っているのは若い西洋人の女の霊体だ。何でもこの辺で目撃されたらしい」
ルグレー王「そ、そ、そ、それって妻のグレイシア！」
？？？「・・・名前は知らんが、醜い姿に変化しない霊体の魂は希少で中々手に入らないからな」
高津　和宏「霊体を殺すなら？テメェは敵になるかもしれねぇな！」
？？？「殺すのも除霊するのも大差は無いと思うがな」
高津　和宏「何だと！テメェ！」
？？？「・・・では、私は失礼する。せいぜい裸のヤツが醜いバケモノにならぬよう気を付けるんだな」
高津　和宏「けっ！次あったらぶっ飛ばしてやる」
ルグレー王「・・・グレイシア、会いたいのぉ」
高津　和宏「・・・おっさん」

〇祈祷場
高津　宅浪「なぁ、痩せ紫」
痩せ紫「なんですか、宅浪様！」
高津　宅浪「昔、宮殿が攻められた時、王様の妻と娘はどうやって逃げたんだ？覚えているか？」
痩せ紫「確か両方とも同じ船に乗って逃げたはずですよ」
高津　宅浪「その時は──」
痩せ紫「そうです！何で知ってるのですか？」
高津　宅浪「これだよ」
痩せ紫「新聞？」
高津　宅浪「ここの記事なんだが・・・」
痩せ紫「あっ！」

〇黒背景
「・・・・・・・」
？？？「戻りました」
「魂の回収は、うまくいったのか？」
？？？「・・・申し訳ありません」
「このような事が続けば、お主も命がないぞ」
？？？「・・・肝に命じます」
「もうよい、下がれ」
？？？「・・・今日、上質な男の霊体を見つけました、まだ変化する前の姿でしたが、どう致しますか？」
「・・・先に女の霊体を探せ、もしも見つからなかった場合、その男の霊体を魂にしろ」
？？？「・・・かしこまりました」

〇河川敷
高津　和宏「おっさん、もう夜だ、帰ろうぜ！」
ルグレー王「・・・ワシもいつか、記憶を失ってあの カエルみたく醜い姿になるんじゃろうかの？」
高津　和宏「心配すんな！カエルもだけど、おっさんの今の姿も大概だぜ！」
ルグレー王「か、か、か、か、和宏!?」
高津　和宏「んっ？」
子供　2「はやく！こっち！こっち！」
男性 1「おい、そんなに急ぐなよ」
女性 1「川の方に近づいちゃダメよ！」
ルグレー王「どうしたのじゃ？人が集まって来ておる」
高津　和宏「なるほど！」
ルグレー王「へ？」
高津　和宏「もう少しここに居ようぜおっさん！」
ルグレー王「はへっ！」
高津　和宏「空見てみろよ！」
ルグレー王「空？」
ルグレー王「お、お、お、お、お〜！」
高津　和宏「日本の夏の風物詩だぜ！」
ルグレー王「綺麗じゃのぉ〜」
高津　和宏「この辺に嫁さんが彷徨ってるなら、きっとこの花火も見えているはずだぜ！」
ルグレー王「そうじゃな。今は隣におらぬが、きっと同じ花火を見ているであろうな」

〇屋敷の門

〇広い玄関
高津　和宏「おう！帰ったぜ！」
痩せ紫「お帰りなさいませ！和宏様」
高津　宅浪「で、どうだった？霊体の方は除霊出来たか？」
高津　和宏「それが、変な仮面のヤツが現れて邪魔されたんだ！ムカつくぜ！」
ルグレー王「そうじゃ、カエルさんが可哀想じゃったの」
高津　宅浪「仮面のヤツ？カエル？何の話だ？」
高津　宅浪「覚えてないのか？」
高津　和宏「だから、仮面のヤツだって！」
ルグレー王「カエルは！突然変異したヤツじゃ！」
高津　宅浪「・・・内容くらい覚えておいてくれよ」
高津　和宏「そうだ、兄貴！俺の報酬は？」
高津　宅浪「すでに、渡したはずだが？」
高津　和宏「もらってねぇぞ！」
高津　宅浪「川で花火大会があったろ？」
高津　和宏「えっ？まさか！」
高津　宅浪「特等席で、いい眺めだったろ？」
高津　宅浪「それに、俺は金をやるなんて一言もいってない」
高津　和宏「ま、まてよ！」
高津　和宏「なんだよ騙しやがって！ぶっ飛ばす！」
ルグレー王「お、お、お、お、落ち着け和宏！」
痩せ紫「和宏様・・・」
高津　和宏「なんてな！」
「えっ！」
高津　和宏「今日は、おっさんと花火が見れて楽しかったぜ！報酬はそれで我慢してやらぁ！」
高津　和宏「俺は疲れたから風呂入って寝るぜ！」
痩せ紫「良かったですね！王様！」
ルグレー王「フフッ和宏め！可愛いヤツじゃのぅ！」
痩せ紫「お、王様？」
ルグレー王「ぐふふふっ」

〇海辺
？？？「・・・・・・──」