恐怖の生霊不在 ⅶ(脚本)
〇遊園地の広場
生瀬涼子「氷河くん・・・」
生瀬涼子「私を闇の中から救ってくれて、 本当にありがとうございました・・・」
生瀬涼子「ふぅ・・・」
北極氷河「生き霊さん・・・!? だ、大丈夫ですか・・・!?」
北極氷河「やっぱり具合が悪いんじゃ・・・」
生瀬涼子「人間の具合が悪いのとは・・・ また違うと思うのですけど・・・」
生瀬涼子「力が暴走したせいで、大量の思念を 使ってしまいましたから・・・」
生瀬涼子「生き霊として活動出来る エネルギーが不足しているようです・・・」
北極氷河「エネルギー、ですか・・・?」
生瀬涼子「えーっと・・・なんて言えば 良いんでしょうね・・・?」
生瀬涼子「そうだ! ロボット掃除機です!」
北極氷河「え・・・?」
生瀬涼子「ロボット掃除機って、充電が切れると ドックに戻ってエネルギーを 蓄えるじゃないですか・・・?」
生瀬涼子「そんな感じで、私はしばらく 本体の中で眠りにつく必要があるのです」
生瀬涼子「恐らく、数日は必要でしょうかね・・・?」
北極氷河(分かったような、分からないような・・・)
北極氷河「じゃあ、しばらく生き霊さんには 会えないんですね・・・」
生瀬涼子「ふふ・・・寂しいと思ってくれるんですか?」
北極氷河「そ、それはもちろん・・・」
生瀬涼子「ふふ・・・まぁ、 私のことはこのくらいにして・・・」
生瀬涼子「私がいない間、ひとつだけ・・・ 気掛かりなことがあります・・・」
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「俺を狙う謎の怪異、ですよね・・・?」
生瀬涼子「そうです・・・」
生瀬涼子「あの執念・・・ どこにでも現れる神出鬼没さ・・・」
生瀬涼子「あれは・・・まるで生き霊のようで・・・」
北極氷河「い、生き霊・・・」
生瀬涼子「しかも、相手は私に 悟られないように行動し続けている・・・」
生瀬涼子「誰かは分かりませんが・・・ かなりタチが悪い性格なのは 間違いありませんね・・・」
生瀬涼子「氷河くん・・・そういう人に、 心当たりはありませんか・・・?」
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「そういう人かどうかは分かりませんが・・・」
北極氷河「1人だけ・・・います・・・」
生瀬涼子「じゃあ、その人には 気を付けてください・・・」
生瀬涼子「気を付けようがないかもしれませんが・・・」
生瀬涼子「それと、ひと気がない場所も 避けた方が良いですね・・・」
生瀬涼子「相手は必ず、氷河くんが1人の時に 行動を起こしていますから・・・」
北極氷河「は、はい・・・分かりました・・・!」
生瀬涼子「でも、私を暴走させるくらいの 思念を相手も消耗しています・・・」
生瀬涼子「私ほどではなくとも、相手側も休息を 必要とするのは間違いないでしょうね・・・」
生瀬涼子「・・・・・・」
生瀬涼子「ごめんなさい・・・」
生瀬涼子「肝心な時に、そばにいられなくて・・・」
北極氷河「いえ、そんな・・・ 気にしないでください・・・」
北極氷河「俺、1人でもなんとかしてみせます・・・!」
生瀬涼子「ふふ・・・♡」
生瀬涼子「氷河くんも、少しは たくましくなったのかもしれませんね♡」
北極氷河「す、少しですか・・・?」
生瀬涼子「あらあら、少しだって、立派な成長ですよ?」
生瀬涼子「・・・・・・」
生瀬涼子「それじゃ、氷河くん・・・ くれぐれも気を付けて・・・」
北極氷河「はい・・・! 生き霊さんも、 お身体を大事にしてください・・・」
生瀬涼子「ふふ・・・私には・・・ “お身体”なんてないんですけどね・・・♡」
北極氷河「う・・・す、すみません・・・」
生瀬涼子「いえ・・・♡ つい、からかいたくなって・・・」
生瀬涼子「・・・では、また」
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「今から、一人で帰るのか・・・」
北極氷河「いや、さっそくヘタレるなんて 情けないぞ、俺・・・!」
北極氷河「俺は・・・もっともっと、 強くならなければ・・・!」
〇大きな木のある校舎
数日後──
〇体育館裏
北極氷河(生き霊さんがいなくなってから 数日が経ったな・・・)
北極氷河(そろそろ戻って来るんじゃないか・・・?)
北極氷河(まさか、ここまで寂しくなるなんて・・・)
北極氷河(会いたい・・・生き霊さんに・・・)
北極氷河「・・・ん?」
北極氷河「あれは・・・!」
矢田玲奈「それでさー、あの後いろいろ大変で・・・」
生瀬さん・・・!
生瀬涼子「えっ・・・!?」
北極氷河「生瀬さん、おはようございます!」
生瀬涼子「え、えぇ・・・!?」
生瀬涼子「う、うん・・・ 北極くん、お、おはよう・・・!」
北極氷河「生瀬さん、元気そうで良かった・・・!」
生瀬涼子「えっ・・・? えっと・・・」
矢田玲奈「ちょっと、北極氷河・・・!」
矢田玲奈「何、涼子に気安く話し掛けてんのよ・・・?」
矢田玲奈「あんた、そんなに涼子と 仲良かったっけ・・・?」
北極氷河「え・・・?」
北極氷河(し、しまった・・・!!)
北極氷河(生き霊さんと一緒にいた 時間が長すぎて・・・)
北極氷河(つい、生瀬さんと 普通に接してしまった・・・!!)
矢田玲奈「なんなのこいつ・・・?」
矢田玲奈「涼子、行こう・・・」
生瀬涼子「あ、う、うん・・・」
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「はぁ・・・」
北極氷河「こんな有り様で、俺は生瀬さんと 付き合えるようになるのだろうか・・・?」
氷河くん・・・
北極氷河「・・・・・・!?」
木ノ瀬和良「久しぶりですね・・・」
北極氷河(木ノ瀬和良・・・!?)
北極氷河(しまった・・・生瀬さんのことで 動揺している間に・・・!!)
木ノ瀬和良「今日も生き霊はそばにいないんですか?」
北極氷河「だから、俺には生き霊なんて 憑いてないって言ったでしょう・・・!?」
木ノ瀬和良「フフフ・・・」
木ノ瀬和良「それなら、好都合・・・」
北極氷河「な、何・・・!?」
木ノ瀬和良「・・・・・・」
木ノ瀬和良「・・・・・・」
北極氷河「ぶ、分身した・・・!?」
北極氷河「いや、まさか・・・それは・・・!?」
木ノ瀬和良「フフフ・・・理解が早くて助かります・・・」
木ノ瀬和良「あなたの思っている通り・・・ これは私の“生き霊”です・・・」
木ノ瀬和良「生瀬涼子と違って、 私は自分の意志で生き霊を コントロール出来るのですが・・・」
木ノ瀬和良「やりなさい・・・!」
北極氷河「うわあああああっ!?」
〇体育館の裏
北極氷河「くっ・・・!!」
木ノ瀬和良「北極氷河・・・」
木ノ瀬和良「私の力は、まだまだこんな物ではないですよ」
北極氷河「な、なんなんだ、お前は・・・!?」
北極氷河「何故、俺を狙う・・・!? 俺になんの恨みがあるんだ・・・!!」
木ノ瀬和良「・・・・・・」
木ノ瀬和良「さぁ・・・?」
木ノ瀬和良「自分の胸にでも、聞いてみてください」
北極氷河「くっ・・・!! ふ、ふざけるな・・・!!」
北極氷河「は、速い・・・!!」
木ノ瀬和良「フフフ・・・どこを見ているんですか?」
北極氷河「この・・・!!」
北極氷河「くそっ! 当たらない・・・!!」
木ノ瀬和良「フフフ・・・生き霊にも怯まずに 立ち向かう勇気だけは褒めてあげますよ」
木ノ瀬和良「あなたを葬った後は・・・」
木ノ瀬和良「次は生瀬涼子を亡き者にしましょうか?」
木ノ瀬和良「フフフ・・・フフフフフ・・・!」
北極氷河「なんだと・・・!?」
木ノ瀬和良「それが嫌なら、私を止めてみなさい・・・」
北極氷河(なんなんだ、こいつは・・・!?)
北極氷河(目の前に対峙しているのに、 本心が見えて来ない・・・!!)
北極氷河(俺と生瀬さんを狙う理由はなんだ・・・!?)
北極氷河(何故、今日になって、直接俺の前で 生き霊を使う様子を見せたんだ・・・!?)
北極氷河(・・・うだうだ考えていても、 分からないものは分からないんだ・・・)
北極氷河(こいつを倒すことに集中しろ・・・!!)
木ノ瀬和良「フフフ・・・覚悟は決まったようですね」
木ノ瀬和良「死にたくなければ・・・ 死なせたくなければ・・・」
木ノ瀬和良「命を燃やしなさいッ!!」
〇学校の廊下
生瀬涼子「え・・・?」
生瀬涼子(今、北極くんの声が聞こえたような・・・)
矢田玲奈「どうしたの、涼子・・・?」
矢田玲奈「あんた、今日ずっと変だよ・・・?」
生瀬涼子「べ、別になんでもないよ・・・」
矢田玲奈「・・・前から思ってたんだけどさ」
矢田玲奈「好きなの・・・?」
矢田玲奈「北極氷河のことが・・・」
生瀬涼子「・・・・・・!!」
生瀬涼子「あ、その・・・! そんなことは・・・」
矢田玲奈「やっぱりね・・・」
生瀬涼子「えぇ・・・!? 私、何も言ってないのに・・・」
矢田玲奈「分かるよ・・・」
矢田玲奈「友達だからね・・・」
生瀬涼子「うぅ〜・・・!」
矢田玲奈「・・・・・・」
矢田玲奈「・・・・・・」
わらさん、悪い人かもですけどミステリアスで好きですね
涼子さんの気持ちがはっきりとわかった感じでしょうか?
生霊との暮らしが北極君を少しずつ変えていったのですね👍
バトル要素満載の激アツ展開に突入ですね!
……でも、生き霊が見えない人からすると、氷河くんが1人でドタバタしているだけと理解される気が……絵面を想像すると、ある意味ホラーである意味コメディですね……
意のままに操れる生霊…!?あ!ぼくこれ知ってる!ジョ◯ョのスタ◯ドだ!ス◯ンドバトルが始まった!!!ジャンル「バトル」ですよコレは!!!😂😂😂
さて、前回に続いて白熱するバトル展開に自分の気持が友人にバレてしまった本体さん。全貌の見えない敵の迫力も相まってどうなっちゃうんだコレは。続きが楽しみです!