NO RYO!

ざとういち

恐怖の感情爆発 ⅵ(脚本)

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〇観覧車の乗り場
北極氷河「う・・・うぅ・・・」
生瀬涼子「ほら、氷河くん、早く乗らないと 後がつかえてしまいますよ?」
北極氷河「す、すみません・・・でも・・・」
生瀬涼子「ふぅ・・・やれやれ・・・」
生瀬涼子「えいっ♡」
北極氷河「うおっ!?」
生瀬涼子「さて・・・次は私が・・・」
  彼女に、私の感情を分け与える・・・
  ドス黒い、強い感情を・・・
生瀬涼子「え・・・?」

〇モヤモヤ
生瀬涼子「一体、何が起こって・・・!?」
  生瀬涼子・・・
  もう我慢する必要はない・・・
生瀬涼子「あ、あなたは・・・!?」
  解き放て・・・感情を剥き出しにしろ・・・
生瀬涼子「何を言ってるんですか・・・ 私は・・・何も・・・」
  北極氷河を自分の物にしたいんだろう?
生瀬涼子「・・・・・・!!」
生瀬涼子「そ、そりゃそうですよ・・・! だって、その想いで生き霊は 送り込まれているんですから・・・!」
  なら、何故その想いを抑え込んでいる?
生瀬涼子「そ、それは・・・氷河くんが 決めたこと・・・だから・・・」
生瀬涼子「私は、彼の意思を尊重したくて・・・」
  目の前にいるのに、彼の心は
  私のことを見ていない
生瀬涼子「ち、違う・・・! 私はそんなこと思ってない・・・!」
  お互いに好きなはずなのに、
  彼の心は、遠くを見つめている
生瀬涼子「や、やめて・・・うぅ・・・!」
  どうしてあの子のことは好きなのに、
  私のことは、好きだと言ってくれないの?
生瀬涼子「うぅ・・・! うああああ・・・!!」
  ・・・・・・
  これも全部・・・
  北極氷河を排除するためだから・・・

〇観覧車のゴンドラ
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「あれ・・・?」
北極氷河「な、なんで生き霊さんは 乗って来ないんだ・・・!?」
生瀬涼子「す、すみません・・・」
生瀬涼子「乗るタイミングを・・・ 誤ってしまって・・・」
北極氷河「生き霊さん・・・? なんだか、いつも以上に 顔色が悪いですよ・・・?」
北極氷河「大丈夫ですか・・・!? 具合が悪いんですか・・・!?」
生瀬涼子「だ、大丈夫です・・・!」
生瀬涼子「生き霊に具合が悪いとか・・・ そんなの、ないですから・・・」
生瀬涼子「私なら・・・大丈夫・・・」

〇遊園地

〇遊園地

〇観覧車のゴンドラ
北極氷河「うぅ・・・」
北極氷河(ただでさえ怖いのに・・・ 日が暮れてさらに恐怖心が・・・!)
生瀬涼子「はぁ・・・はぁ・・・」
北極氷河(生き霊さんは、観覧車に乗ってから ずっと様子がおかしい・・・)
北極氷河(あんなに苦しそうに・・・ 明らかに普通じゃない・・・!)
北極氷河(具合が悪いなんてないとは 言っていたが、本当なのか・・・?)
北極氷河「あの、生き霊さん・・・ 無理しなくて良いですよ・・・?」
北極氷河「生き霊さんなら、今すぐにでも 観覧車から降りられますよね・・・?」
北極氷河「お、俺のことは 気にしなくて良いですから・・・!」
生瀬涼子(氷河くん・・・あんなに震えて・・・ 高くて暗くて・・・怖いはずなのに・・・)
北極氷河「生き霊さんの身体が一番大事ですから」
生瀬涼子(やめて・・・優しくしないで・・・!)
北極氷河「生き霊さんにはたくさん助けられました! だから、次は俺の番です・・・!」
生瀬涼子(やめて・・・やめてよ・・・!)
北極氷河「さぁ、生き霊さん、手を貸しますよ?」
生瀬涼子「・・・・・・!!」
生瀬涼子「う、うああああああああッ!!」

〇遊園地
  フフフ・・・
  終わりだ、北極氷河・・・
  密室で逃げ場なんてない・・・
  頼みの生き霊も暴走している・・・
  好きな女の怪異に襲われて死ね・・・!

〇古民家の居間
北極氷河「な、なんだここは・・・!?」
北極氷河「俺達は観覧車に乗っていたはずなのに・・・」
生瀬涼子「・・・・・・」
北極氷河「生瀬さん・・・!?」
北極氷河「ど、どうしてここに・・・!?」
北極氷河「俺と一緒にいたのは生き霊さんのはず・・・」
生瀬涼子「ふふふ・・・氷河くん・・・」
生瀬涼子「やっぱり、“生き霊さん”って 呼ぶんですね・・・」
生瀬涼子「同じ生瀬涼子のはずなのに・・・!」
北極氷河「そ、その喋り方は・・・!?」
生瀬涼子「私は生瀬涼子・・・生き霊でも・・・ 生瀬涼子なんです・・・!」
生瀬涼子「そこに違いなんて・・・ないんですよ!!」
北極氷河「うわっ・・・!? ち、血が・・・!!」
生瀬涼子「氷河くん・・・私は、 あなたを愛している・・・」
生瀬涼子「怖がりだって、 そんなのどうでも良くなるくらい・・・」
生瀬涼子「私は、あなたのことが好きなのに・・・!!」
北極氷河「ひっ・・・!?」
生瀬涼子「私は・・・もう我慢しない・・・」
生瀬涼子「あなたは・・・私が連れて行く・・・」
生瀬涼子「本体の手の届かない所へ・・・」
北極氷河「い、生き霊さん・・・」
北極氷河「や、やめてください・・・!」
生瀬涼子「・・・・・・」
生瀬涼子「氷河くん・・・心配しなくて良いですよ?」
生瀬涼子「霊体になって、 一緒に仲良く暮らしましょう♡」

〇黒背景
生瀬涼子「ち、違う・・・! こんなの、私じゃない・・・!」
生瀬涼子「別の誰かの感情を流されてる・・・!?」
生瀬涼子「お願い・・・! 止まって・・・! 氷河くんを、傷付けないで・・・!!」

〇古民家の居間
北極氷河「う、うぅ・・・」
生瀬涼子「ふふふ、本当に氷河くんは 怖がりですねぇ〜・・・♡」
生瀬涼子「情けなくて、頼りなくて、 私がいないと何も出来ない・・・」
北極氷河「くっ・・・うぅ・・・!」
生瀬涼子「そんなあなたが愛おしい・・・ 私が、あなたの全てを手に入れる・・・」
  く・・・苦しい・・・
北極氷河「・・・・・・!!」
  嫌だ・・・私は・・・
  こんなことしたくない・・・
  氷河くん・・・お願い・・・
  助けて・・・!
北極氷河「聞こえた・・・」
北極氷河「生き霊さんの・・・声が・・・!!」
生瀬涼子「あらあら、何を言ってるんですか?」
生瀬涼子「私ならさっきからずっと 話してるじゃないですか♡」
北極氷河「違う・・・!」
北極氷河「お前は生瀬さんじゃない・・・!」
北極氷河「俺には、分かる・・・!」
生瀬涼子「ふフフ・・・」
生瀬涼子「フハハハハハハッ!!」
生瀬涼子「本人と生き霊の 区別も付かないお前が何を言っている!?」
生瀬涼子「北極氷河! 怖いのが苦手なんだろ!?」
生瀬涼子「だったら・・・」
生瀬涼子「最大の恐怖でショック死させてやるよ!!」
北極氷河「こ、こいつは・・・!?」
生瀬涼子「それは人間の恐怖心によって 姿と声を変える・・・」
生瀬涼子「規則性なんてものはない・・・ 不確定な物ほど、人は恐怖するんだ・・・」
生瀬涼子「お前の苦手な物にいくらでも 姿を変えてやるぞ・・・?」
生瀬涼子「フフフ・・・フハハハハハッ!!」
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「ふっ・・・」
生瀬涼子「な、何がおかしい・・・!?」
北極氷河「いや・・・以前の俺なら・・・ 泡を吹きながら白目を剥いて、 失禁していただろうなと思って・・・」
生瀬涼子「はぁ・・・!?」
北極氷河「本当に怖いのはこんな物じゃない・・・」
北極氷河「ジェットコースターでも、お化け屋敷でも、 虫でも、心霊現象でもない・・・!」
北極氷河「本当に怖いのは・・・」
北極氷河「大切な人を、失うことだッ!!」
生瀬涼子「そ・・・そんな・・・馬鹿な・・・」
生瀬涼子「北極・・・氷河ァ・・・!!」
北極氷河「生瀬さんを・・・解放しろ・・・」
生瀬涼子「許さない・・・! お前が憎い・・・!」
生瀬涼子「次は必ず、殺してやる・・・!!」

〇黒背景
  ・・・・・・
  あれ・・・? 私は・・・
  何をしていたんだっけ・・・
  たしか、観覧車に乗って・・・
  でも・・・感情が暴走して・・・
  身体が・・・温かい・・・
  変ですね・・・霊体のはずなのに・・・

〇空
北極氷河「生瀬さん・・・大丈夫ですか・・・?」
生瀬涼子「は、はい・・・大丈夫ですけど・・・」
生瀬涼子(ちょ、ちょっと待って・・・! 私、お姫様だっこされてる・・・!?)
生瀬涼子「あ、あの・・・氷河くん・・・ 身体が密着してますよ・・・?」
生瀬涼子「こ、これって・・・良いんですかね・・・?」
北極氷河「・・・・・・」
生瀬涼子「・・・ズルいですね、氷河くんは」
生瀬涼子「こういう時に、黙るなんて・・・」
生瀬涼子「でも・・・」
生瀬涼子「もう少しだけ・・・ このままでも、良いですか?」
北極氷河「・・・はい」
生瀬涼子「・・・・・・」
生瀬涼子「ありがとう・・・氷河くん・・・」
生瀬涼子「・・・・・・」
生瀬涼子(私・・・本当は分かっているんです・・・)
生瀬涼子(生き霊は本来、この世界に 存在してはいけない物だから・・・)
生瀬涼子(ましてや、恋愛だなんて・・・)
生瀬涼子(生瀬涼子の幸せを、心から願います・・・)
生瀬涼子(私は、彼女そのものなんですから・・・)

〇遊園地

次のエピソード:恐怖の生霊不在 ⅶ

コメント

  • 本当に怖いのは大切な人を失うこと、確かにそうですね
    北極君て怖がりだけどそれに打ち勝つ勇気をもってて、強さも弱さも持ってて魅力的ですね

  • 氷河くん、とにかくイケメンすぎる……
    そして生き霊さんの切ない恋心が……
    氷河くんと生瀬さんと生き霊さんの三角関係に発展しそうな…関係性が複雑すぎますが

  • 恐怖を克服した氷河の成長がアツい回でした☺本体と結ばれた暁には生霊さんとはお別れに…?と思うと寂しいですね…😢

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